僕のヒーローアカデミア:BEAST ON!   作:u160.k@カプ厨

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6/4 22:16脱字の修正を行いました。7w76kxZ/Nc様、ありがとうございました。


修行其の八:ゾワゾワ!(ヴィラン)連合!

 マスコミの侵入事件から数日後、僕たちはヒーロー基礎学の授業に臨もうとしていた。

 

「俺とオールマイト、そしてもう一人の先生を加えた3人態勢で授業を見ることになった」

 

 教卓に立つ相澤先生の「()()()」との言葉に、僕は違和感を覚えた。

 先日の戦闘訓練ではオールマイトが一人で担当していたけど、今回は三人。特例なのだろうか?

 

教師(プロヒーロー)の3人体制ですか……先日のマスコミの方々が侵入して来たあの事件が原因ですかねぇ?」

 

 バエさんの疑問は僕が感じていたことでもある。どうやら相澤先生の言葉を疑問に感じたのは僕だけではないらしい。同時に、あの時感じた妙な気配を思い出してか、変な胸騒ぎを感じる。

 

 

 ところで、先日の戦闘訓練の時と今回、部外者であるはずのバエさんが雄英にいるのか。

 

 実はバエさんは『スクラッチ』という会社の『特別開発室』所属のスタッフであり、商品使用状況のリアルな情報を収集するために出向していたのだ。ちなみにその商品と言うのが、僕が師匠(マスター)から送られた拳法着(コスチューム)だったりする。

 結構フリーダムなところがあるバエさんが正規の手続きを踏んだ上で授業にも参加していた事実を聞いた時には本当に驚いた。

 

「はーい、今回はなにするんですか?」

「今回は災害水害、なんでもござれの人命救助訓練を行う」

 

 隣の瀬呂君の質問に『RESCUE』と書かれたプレートを掲げた先生が答える。

 

「救助訓練か!ヒーローの本懐!腕が鳴るぜ!」

「水難救助なら私の独壇場ね、ケロケロ」

 

 気合十分と言った様子の切島君と蛙吹さん。

 

「今回も大変そうってか、苦手かもしんねぇ……」

「ねー」

 

 対して、上鳴君と芦戸さんはやや意気消沈気味だった。でも上鳴君の個性は上手くやればAEDの代わりになるし、芦戸さんも閉じ込められた人の救助や瓦礫の除去に役立つ人命救助においても有効な個性だと思う。

 

 そして僕は、獣拳は救助活動に臨むとして一体なにができるのだろうか。今日の授業ではしっかりとそこの部分について学ぼう。

 

「コスチュームの使用については各自の判断に任せる。今回は少し離れた場所での訓練になるのでバスでの移動だ。以上、準備開始」

 

 相澤先生の指示に従い、僕たちは行動を開始した。

 

 

 

 しかし今日の救助訓練は音もなく近付いている悪意によって、しばらくお預けになってしまう運命であることに僕はまだ気付いていなかった。

 

 ----------。

 

「皆!バスの席順でスムーズにいくよう、番号順に2列で並ぼう!」

 

 委員長に就任した飯田君はやる気に満ち溢れたフルスロットル状態だ。

 

「笛、持ってたの?」

「あぁ! こんな事もあろうかとな!」

 

 凄く張り切っていた飯田君だが、バスに乗った瞬間ガックリと膝をついて落ち込んだ。

 

「……こういうタイプだったとは! クソッ!!」

「イミなかったねー」

 

 ケラケラと笑う芦戸さんのいう通り、出した指示が無意味になってしまった。なぜなら僕たちが乗ったバスは市バスなど、両サイドに席があるタイプだったのだ。

 

 

 バスに揺られて約20分、バスはドーム状の建物の前で停止した。

 

 ----------。

 

 ゲートを抜けた先は遊園地のような場所でした。

 

「スッゲー!USJかよ!」

 

 切島君が感嘆の声を挙げる。すると宇宙服のようなコスチュームの人物が僕たちを出迎えてくれた。

 

「水難事故、土砂災害、火災、暴風、その他諸々の災害訓練のために僕が作ったウソ()災害()事故()ルーム、略してUSJにようこそ!」

「「「「「ホントにUSJだったーーーーー!!!!!」」」」」

「商標登録とか問題なかったんですかねぇ?」

 

 その人物こそ三人目の教師(プロヒーロー)。災害救助のスペシャリストであり、紳士的な振る舞いが人気のスペースヒーロー・13号だった。

 ……バエさん、その辺りは突っ込んじゃダメです。

 

「わー!私、13号大好き!」

 

 麗日さんが目を輝かせながら尊敬の眼差しを送っている。彼女のコスチュームが宇宙服のようなデザインなのは13号先生のそれを意識しているのだろうか?

 そんなことを考えている間に、相澤先生と13号先生が何やら話していた。どうやらオールマイトの到着が少し遅れているようだった。

 

「さて、訓練に臨む前にお小言を一つ、二つ、三つ、四つ……」

 

 どんどん増えている……けど、プロヒーローの教えを受けることができる貴重な機会!一言も聞き逃さないようにしないと!

 

「皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性は《ブラックホール》。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

「その個性でどんな災害からでも人を救いあげているんですよね!」

「えぇ……ですが簡単に人を殺せる力でもあります。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう?」

 

 13号先生の言葉に何人かが頷く。僕に個性はないけど、獣拳を学び、鍛えた拳も容易に人を傷つけ、殺めてしまう可能性を秘めている。

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし一歩間違えば容易に人を殺せる『いきすぎた個性』を個々が持っていることを忘れないでください」

 

 ……ッ!

 

 13号先生の話の最中、あの日感じた妙な気配を感じた。それは先日とは違い、ハッキリと感じられる。そしてその気配は徐々に強く、明確になり、こちらに近づいてくる。

 

「出久さん、気付いてますか?」

「はい、先日感じた気配がします」

 

 やはり気付いたらしいバエさんと小声で状況を確認し合う。しかし周囲には相澤先生と13号先生、そしてクラスメイトの姿しか見えない。

 

「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います……この授業では心機一転! 人命のために個性をどう活用するのかを学んでいきましょう! 君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいね」

 

 視線を走らせ、首を左右に動かす。植物や柱の影、建造物の上、どこを見ても何も見えないことが焦りとなって心臓の鼓動が早くなる。

 

「オイ、緑谷、聞いてんのか?」

 

 相澤先生が注意をしたのと同時に気配の出所が分かった。最初の頃に比べてかなり近い所に来ている。

 そこはUSJの中央に位置する中央広場。そこに視線を注いでも何もない。

 

「先生……何か来ます!」

「おそらく、空間転移系の個性かなにかを使っているようです!皆さん注意してください!」

 

 手甲付きグローブの高次元圧縮ポケットから取り出した得意武器である二本一対の棍棒、《激旋棍(ゲキトンファー)棍棒(バトン)》を両逆手に構える。

 じっとりとした嫌な汗が背中を伝う。そんな僕とバエさんの様子を見て、訝しげな視線を向けていた相澤先生や他のクラスメイトは何かを察してくれたらしい。相澤先生たちの視線も中央広場に向けられる。

 

「なんも見えねぇぞ?」

「何か、ってなんだ?」

「デク君? 来るって、なにが来るの?」

 

 上鳴君と峰田君、麗日さんが不安そうに声を挙げる。しかし、僕やバエさんも気配を感じることしか出来ていない。

 

「わからない……けど身体中の毛が逆立つようなゾワゾワって、何か凄くイヤな感じが止まらな……来ました!」

 

 僕の声に全員の視線が中央広場に向いたとき、その中空に黒い霧状のモノが現れた。その霧は徐々に広がって行き、その中に蠢く人影を捕えた。

 

「全員一塊になって動くな!13号!生徒たちを守れ!」

 

 「あれはヴィランだ!」と相澤先生が叫ぶ。黒い霧の中から次々とその目に悪意を宿し、ニヤニヤとイヤな笑みを浮かべた者達が現れる。

 

「ヴィラン!? ヒーローの学校に入り込むなんてアホ過ぎんぞ!」

 

 上鳴君が叫ぶが、不思議ではないのかも知れない。野生動物が狩りをするとき、狙うのは群れから逸れた個体や年老いた個体、そしてまだ未成熟な個体が多い。

 そしてマフィアやテロ組織なんかも警察や軍隊に攻撃や奇襲をかける、と言ったことは昔からあったことだ。

 まだ未熟な学生(ぼくたち)厄介な相手(プロヒーロー)になる前に潰しておこうと考えるのもありえないことではない。

 

「こないだのマスコミが侵入してきた事件、アレはあの人達の仕業だ……!」

 

 先日の妙な気配は眼下に押し寄せる大量のヴィランの中で、最奥に控えている身体中に手のオブジェをくっつけたリーダー格と思しき男のモノ。つまり、なんらかの個性(方法)でマスコミを侵入させたのはあのハンドヴィランで間違いないだろう。

 そして黒い霧から最後の一人、脳がむき出しの筋骨隆々な黒い大男が姿を現すと、霧は徐々に人の型となってハンドヴィランの横に控えた。

 

「そうだな、見たところセンサーが反応してねぇ。それだけ用意周到に事を運んでいたんだろうな。あっちにはそういう個性持ちがいるって考えるのが普通だな」

「それに校舎と隔離されている場所に僕達が入る時間の襲撃……生徒か教師の誰かがリークしたか、情報を盗まれたんだ」

 

 数も多い上にさっきの空間転移系の個性、校舎にいる他の先生方(プロヒーロー)が異変に気付いて駆け付ける頃には既に撤退した後……怖い位に画策された奇襲だ。

 

「頭の回転が速くて助かる。とにかく奴らはバカだがアホじゃない。何らかの目的があるのは間違いねぇな」

 

 冷静に分析する轟君に動揺などは見られない。

 

「13号、生徒たちを連れて避難開始。学校側にも連絡試せ、上鳴も個性使って連絡してみろ」

「はい!」

「了解ッス!」

 

 首元にかけていたゴーグルを掛けながら、指示を出す相澤先生。その気配からすでに臨戦態勢に移行しているのが判った。

 

「先生!一人では無茶です!先生の個性は多対一では不利じゃないですか!」

「安心しろ、別に死ぬつもりはない。それにな……一芸だけじゃヒーローは務まらん!」

 

 相澤先生はヴィランたちの前に躍り出ると、その個性と捕縛布、そして体術を持って次々とヴィランを制圧していく。

 

「出久さん!あの霧男がいませんよ!?」

「!?」

 

 バエさんの声に従って、ハンドヴィランに視線を向ければ、確かに横に控えていたミストヴィランの姿が消えていた。即座に気配を探る。

 

「ッ!」

「みなさん、こっちです!」

「させません「穿穿弾!」ぬぅ!?」

 

 13号先生が避難誘導を開始すると同時に行く手を阻むように現れたミストヴィランに放った激気は直撃させることに成功。巧い具合に吹き飛ばした!

 

「お見事です!緑谷く「まだです!手応えがなかった!まだ来ます!!」ッ!?」

 

 僕の声に13号先生とクラスのみんなの緊張が高まる。それを嘲笑うように再び黒い霧が形を成してミストヴィランが姿を見せる。

 

「中々やりますね、先ほども私たちに最初に気付いたのも確かキミでしたね? ……何者です?」

「……獣拳使い。それ以上は答える義理なし」

 

 互いに睨みあっていた時間は数秒にも何十分にも感じられた。

 

「ジュウケンとやらが何か知りませんが……まぁ、いいでしょう……改めてお初にお目にかかります。我々は『(ヴィラン)連合』。本日我々がヒーローの巣窟である雄英高校(こちら)にお邪魔させて頂いたのは……平和の象徴、オールマイトに死んで頂こうと思いまして」

「「「「「!?」」」」」

 

 ミストヴィランの宣言は僕たちを震撼させるには十分だった。動揺する僕たちを他所に、ミストヴィランは相澤先生(イレイザーヘッド)と13号先生の姿しか見えないことを予想外とでも言いたげに目的であるオールマイトの姿を探す。

 その姿は油断し、隙だらけのようでいて実はその逆。殺意や害意と言ったモノを内包した悪意と意識は僕たちを捉えたままだ。それだけでこのヴィランが相当の実力者であることが伺える。

 

「いらっしゃらないのならば仕方ありません……私の仕事に「死ねぇ!」「オラァ!」」

 

 何かの行動に移行しようとしたミストヴィランにかっちゃんと切島君が奇襲を掛けた!

 しかし、その行動は13号先生の奇襲を妨害してしまう。さらに先生とヴィランの中間に着地してしまったことで13号先生は追撃すら出来なくなってしまった。

 

「その前に俺達にやられるってのは考えなかったのかよ!」

 

 切島君が挑発的に叫ぶが、二人の攻撃は先の僕の攻撃と同様に効いていないようだ。その証拠に霧散した霧の身体が再び形を成していく。

 

「怖い怖い……生徒とは言え、さすがは金の卵と言ったところですね……ですので」

(頭部だけで身体の再形成を止めた? ……いや、あのヴィランの能力を考えると……まさか!)

 

 ミストヴィランの狙いを察知すると、推測通り霧の身体を広げて僕たちを包囲する。

 

「バエさん!」

「くっ!……出久さん、どうかご無事で!」

 

 肩に止まっていたバエさんも僕の意を汲んでくれた上で離れる。

 

「散らして嬲り殺す」

 

 そこで僕の視界は真っ黒に閉ざされた。

 




~バエの獣拳アカデミー~


バエ「スクラッチ!獣拳使いの先達が組織したスポーツメーカーで、最新のスポーツ科学を使い獣拳を進化させています!」
出久「個性の発露に伴い、超人社会となった今ではヒーロー向けのサポートアイテムの研究や開発、商品展開も行っていますね!」
バエ「実は私はそこの正社員なんですよ!エッヘン!」

出久「ヴィランの襲撃を受けた僕たちに更なる試練が!」
バエ「出久さん達生徒のピンチにオールマイトさんは間に合うのでしょうか!?」
出久「更に向こうへ!」
バエ&出久「「Puls Ultra!!」」



出久「バエさんって、巨大戦をメイとしたヒーローの活動を()()()実況・撮影した動画を大手動画投稿サイトに投稿しているじゃないですか……」
バエ「はい!結構人気なんですよ! それがどうかしましたか?」
出久「僕、てっきりそこで広告収入などを得ているのかと思ってました……」
バエ「……それもいいですね」
出久「バエさん!?」
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