ペストーニャが帰ると、セバスはツアレに話しかける。
「ツアレ、私がここに来たのはお話があったからなのですが、もう夜も遅いですし次回にしますね」
帰ろうとするセバスの手をツアレは掴んだ。
「・・・大丈夫です。私はまだ眠くありません。少しぐらいならお話を聞いても良いですよ?」
珍しくツアレはセバスを引き止めた。
普段なら言う通りにするのだが、今日はスパでエステも受けた為、勇気が出てきたようだった。
「そうですか、ツアレ。では少しの間で良いのでお話を聞いて頂けますか?」
セバスはツアレの手を握り返して答えた。
「は、はい、セバス様・・なんなりと・・」
そして、二人はツアレの部屋に入った。
「セ、セバス様、こちらの椅子をお使いください。あ、でも座りずらかったら好きなところへ座って頂いても構いませんので、私の事はお気遣いなく!!!」
ツアレは緊張し過ぎて、敬語と配慮がぐちゃぐちゃになってしまった。
「では、こちらの椅子に座りましょうか。」
セバスは最初にツアレが勧めた椅子に座った。
ツアレもそそくさとセバスの近くにある椅子に座る。
_____しかし座ったものの、ツアレは次に何を話せばいいか分からない。
(こういう時って、招いた側が何か話すんだっけ?ええっと・・・別にそういう訳で招いたわけじゃないんだし・・・)
椅子に座ったツアレはずっともじもじ、そわそわ落ち着かなかった。
セバスがそんな落ち着かない様子のツアレを見て、安心させようとを話す。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、ツアレ。仕事の話ではありません。ちょっとした雑談だと思ってください」
「・・!そ、そうですよね!雑談ですよね、雑談!・・・ふう~」
何かを期待していた、何かを心配していたツアレは安堵と落胆が入り混じった溜息を深く吐いた。
そして、ちょっとホッとしたツアレは、自分でセバスを引き留めたのにもかかわらず、気持ちが落ち着いてきたら、激しい恥ずかしさと後悔の念が押し寄せてきた。
(うわ~!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!恥ずかしい!失敗した!失敗した!失敗した!こんなに恥ずかしくなるのなら引き留めなきゃよかった~!でもここまできたらセバス様の話を聞こう!うん!)
ツアレがこんなに恥ずかしい気持ちと、後悔の念に襲われているとは気づかないセバスは、顔が会ったときよりも赤くなり、両手で顔をぐーっと覆い始めたツアレの体調の心配をした。
「先ほどより顔が赤いようですが、大丈夫でしょうか?ツアレ?」
「だ、だ、大丈夫です!セバス様の話を聴かせてください・・・」
声が徐々に小さくなりながらも、話題を変えた。
「ツアレが大丈夫というなら、さっそく本題に入りましょうか?実は本日、ツアレの為の服を買ってきました。」
「え?私の為に服を???どうして?」
自分の予想とはかけ離れている話題できょとんとするツアレ。
「今日はお互いにお休みをアインズ様より頂きましたが、ツアレと街に出掛ける用事がなくなってしまったので、せっかくのお休みですし、とりあえず町に出掛けたのですよ」
にこっと微笑むセバス。
ツアレはペストーニャとスパのおかげで、楽しい休日を過ごしたと思っていたが、自分のせいでセバスとお買い物に行く話を潰してしまったのを思い出した。
「今朝は申し訳ありませんでした、セバス様。私が臆病なせいで外に出られなくて、せっかくのお誘いを断ってしまって。」
椅子から立ち上がり、深く腰を曲げて謝罪するツアレ。
セバスはツアレの肩に優しく触れる。
「大丈夫ですよ、お互いに外出が出来そうな時にお誘いしますから。そして、私が話したいことは今朝の話よりも、この服の事です。」