「セバス様!?今日から朝ご飯はご一緒ではないはずでしたが、どうしてこちらへ?」
ツアレは驚き過ぎて、話しながら手がわちゃわちゃと動いていた。
「今日はツアレの初めての食堂での食事の為、道に迷っていないか心配で様子を見に来ました。ご迷惑でしたでしょうか?」
少し困り顔を見せるセバス。
「いやいやセバス様、そういう訳ではありませんが、後ろから突然セバス様の声がして驚きました!」
目を大きく開いて、お気に入りの人に会えた喜びを表すツアレ。
「そうでしたか。驚かせてしまってすみませんでした。そして聞きたいことはなんでしょうか?」
セバスはどうしてもさっきのツアレの言葉の意味が知りたいらしく、もう一回尋ねてきたのだった。
「いや、えっと・・・その・・・何というか・・・んんん~」
独り言のつもりで話したことなので、人に話すのはとても恥ずかしかった。そして尚更、本人に伝えるなんてもってのほかだった。
「ツアレ、何でも言ってください。何を言われても怒りませんから・・・早く言わないと朝食の時間に遅れますよ・・・?」
セバスが心配そうに、恥ずかしそうにもぞもぞとしているツアレの顔を覗き込む。
「えっと・・その・・・働き初めにセバス様に言って頂いた励ましや褒め言葉を・・・その・・・また言って頂きたいな・・・って・・・独り言を・・・」
恥ずかしさの中、ツアレはぼそぼそっと話した。
「ふむ、ツアレは褒めて欲しいのですか?私は人が何もしていない時に、褒める事は難しいので、次回ツアレが仕事で成果を出したら褒めましょう。それで大丈夫でしょうか?」
真面目にセバスが答えて、ツアレは表面上は喜びつつも、内心少し落ち込む。
(そうだよね・・・何もしていないのに褒めてっていう方がおかしいよね・・・・当たり前の答えが返ってきて、落ち込む私は何を言っているんだか・・・)
そして、ツアレはふと時間を確認すると、もう朝食の時間が始まっていることに気づく。
「セバス様、お忙しい中お話を聞いて頂きありがとうございました。私は食堂に向かいますのでこれにて失礼致します」
と、セバスにお辞儀をした。
ツアレがこの場から離れようとしたら、セバスがもう一度話しかけてきた。
「ツアレ一人で食堂に行けそうですか?私も久しぶりに食堂で朝ご飯でも食べようと思っているのですが、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
セバスがツアレに尋ねる。
「もちろん構いませんが・・どうして?」
てっきりセバスは執務室に戻るものとばかり思っていたので、とっさに付いてくる理由を聞いてしまった。
「初めての食堂に行っても心細いでしょうし、もう一度プレアデス達にツアレをご紹介したいと思ってまして・・・」
そして、セバスが食堂に付いてくることになった。
(ちょうど一人で心細かったから嬉しいけど、目立つなあ・・・はあ・・)
一人で食堂に行かなきゃいけないと思っていたので、ずっと食堂に行く日までドキドキして睡眠不足が続いていたのに
今朝のセバスの言葉のせいで、少し気持ちがモヤっとしたツアレ。
(付いてくるなら早めに言ってください~!!何のために睡眠不足になったのか・・。睡眠不足損だわ・・・)
(でもセバス様に付いてきてもらった方が何かときっかけが作りやすいと思うし、明日こそ一人のはずだし・・・予行練習だと思おう~~~!!)
今までにいろいろあったせいか、気持ちの切り替えが前から早くなったツアレはこの現象を前向きに捉えることにした。
そして、ツアレはセバス様と一緒に食堂に向かって歩いていると、廊下で様々なモンスターや人造人間(ホムンクルス)のメイド達に声を掛けられる。
ツアレはホムンクルスのメイド達の名前がまだ分からないので、メイド達の話はABCで聞き分けることにした。
メイドA「あっ!セバス様!本日は珍しく食堂でお食事ですか?」
メイドB「セバス様、本日は食堂で朝ご飯ですか?何かあったのですか?」
メイドC「おはようございます!!!セバス様が食堂に!!珍しいですね!!朝ご飯ご一緒してもよろしいですか!?」
そしてセバスはメイドAの言葉に返答した。
「おはようございます、シクスス。本日も良い朝ですね。本日はある用があって食堂でご飯を食べることにしました」
ツアレ(可愛い方だ・・シクススさんって言うんだ。覚えておこう・・・)
続いてセバスは、メイドBに声を掛ける。
「リュミエール、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?本日は特に食堂では問題は起こっていないので安心してください」
ツアレ(ふむふむ、清楚で素敵なリュミエールさんね。言いづらいから、名前呼ぶとき噛まないようにしなくちゃね・・・)
最後にメイドCと挨拶。
「おはようございます。本日も元気いっぱいで嬉しいですよ、フォアイル。是非ともご一緒したいのですが、本日はツアレと食べる約束をしていますので明日でもよろしいでしょうか?」
ツアレ(フォアイルさんって元気いっぱいな人だな~あの明るさ、積極性・・・見習いたい・・・)
そして、ツアレはこの後数人のメイド達と出会ったが、多くて名前が覚えられなかった。
(41人はまださすがに覚えられない・・・)
セバスとツアレは一礼をしてメイド達から離れて、食堂の搬入口の近くに複数のモンスター達が食材の搬入をしていた。
モンスターA「セバスサマ、アサゴハンクルノハヤイネ」
モンスターB「ナゼニンゲンショクドウ?アア、セバスサマガイルカラカ?」
などなど・・・
セバスはモンスター達にも挨拶をして、食堂の入り口へ向かっていった。
ツアレはモンスター達の名前を覚える事は後回しにした。
(今日は先輩メイドの名前を覚えるだけで精いっぱい・・・モンスターさん達ごめんなさい・・次回覚えます・・・・)