ツアレが、ホテルの売店で購入した商品を袋からガサガサと取り出す。
ツアレが選んだものは・・・・
・野菜たっぷりチャンポー麺
・串に刺さっているたれ付きのお肉が美味しそうなヤキトーリン
以上、二点を選んでいた。
そして、最後にセバスが「ツアレ、デザートもどうですか?」と追加した白いクリームのケーキもあった。
「今日のセバス様は優しすぎて変な感じ・・・・」
ナザリック地下大墳墓内で共に仕事をしているときは、ここまでは優しくない。
きちんと上司と部下の壁がある気がする・・・。
ツアレはそんなことを考えたが、お腹が空いているのも事実なので購入した夕飯を食べ始めた。
(良かった~まだ温かかった~)
ツアレはチャンポーの麺をすすって、そう思った。
セバスの部屋での約束事について話すのが長くて、温めた商品が冷めてしまうのが、実はこっそり心配だったのだ。
「うん、おいひ~。ナザリックでも食べられたらな~」
初めて食べる美味しさに箸が止まらなくて、思わず口に出た。
ナザリック地下大墳墓内でも、セバスのおかげで人間用の料理のメニューは増えた。しかしまだ品数が少ない為、わがままだと思うのだが、毎日食べていると飽きてしまうのだ。
チャンポー麺が食べ終わると、ヤキトーリンを食べ始める。
「このたれているソース?これが美味しそうで選んだのよね~」
売店でぶつぶつ言い始めたころに、悩みに悩んで選んだ商品だった。
一口、串に刺さったお肉を食べると「たれ」の美味しさに驚いた。
「美味しい~~~!!この初めて食べる甘くてしょっぱいソース・・・美味しくて病みつきになりそう・・・一本しか購入しなかったのが悔やまれる・・・」
売店で購入した二点はあっという間に食べ終わってしまい、名残惜しいツアレは溜息をついた。
「またいつか食べたいな・・・」
最後にデザートを・・・・と思ったが、留守番を始めてまだ一時間も経っていないので、もう少し取っておくことにした。
「この赤い飲み物も飲みたいけど・・・もったいなくてまだ飲めない・・・」
ツアレはこのまま座っていると、すぐデザートを食べてしまいそうなので小休憩後に、とりあえず立ち上がって部屋を歩き回ることにした。
「・・・・う~ん・・・部屋の中を歩いてもやることがない・・・誰もいないしベッドに寝転んじゃおうかしら・・・」
ツアレはいけないと思ったが、食べてすぐベッドに寝転んでみた。
「はあ・・・こんな私でも幸せになれるのかなあ・・・」
今でもかなり幸せなのだろうが、寝転んだらそんな言葉が口に出た。
「セバス様はとても親切だけど、私の方が先に死んでしまうのかしら・・・あの地獄から助けて頂いて、ずっと一緒に過ごして働いているけれど・・・きっとセバス様は人間じゃない気がする・・・だから・・・私が先に死ぬのよね・・・」
幸せなのに涙が出た。現実って怖い。
ツアレは頬を伝った涙を手で拭うと、ばっと起き上がった。
「泣いてる顔なんて見せたら、セバス様が心配しちゃうものね・・・お出迎えは笑顔でいなきゃね・・・」
_________________そして、そんな一人で留守番しているツアレを観察している存在がいた。