オーバーロード セバスのほのぼの日常   作:きりんじ

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プルプルな食べ物と言えば?

 「今回はプジングというプルプルなデザートを作るワン!」

「承知しました。ペストーニャ様」

 

「プジングを作る上で必要なものは、 まずは愛情だワン!」

「はい、愛情ですね!」とツアレは返事をすると、メモを取る。

 

 そして、ペストーニャは冷蔵庫から魔物の卵を取り出して、虹色砂糖、水、牛乳、バニラニオイルを調理台の上に準備した。

 

「愛情は、無理に出さなくてもいいワン。好きな人や尊敬する人、楽しかった思い出を思い出しながら作ると、材料の分量を間違えてもどうにかなるワン!でもアインズ様などにお出しするときは、話が変わるのでまた詳しく教えるワン」

 

「はい!その際はよろしくお願いします」

 

 

「・・・さて、愛情以外の材料に入るワン!これらは、至高の41人の《ナザリック地下大墳墓》を創造した絶対者の方々が以前、冷蔵庫にご用意された食材を利用しているワン」

 

「41人・・・。以前セバス様が仰っていた、セバス様より強いと言われる方々の事ですね」

 

「ツアレは至高の41人の方をすでにご存じだとは、さすがワンね! あの方たちは強さも抜群だけれど、今までに集めた食材がどれも一流品なのだワン!しかし、数に限りがあるので、デミウルゴス様が新たな農耕地を探しているらしいワン」

 

「農耕地、新たに見つかると良いですね~」

 

「愛情の次に大切なのが、卵と砂糖の厳選だワン!どれでも良いというわけではなくて、ナザリック式のプジングは魔物の卵と虹色砂糖のみ使用しているワン」

 

「それはどこかに取りに行ったりしているのでしょうか?」

 

「ええ。卵はナザリック地下大墳墓内の養鶏場で(ウーコーケイ)という高級な鳥系魔物を飼育してるので、そこから頂いているワン。砂糖はアインズ様が、モモン様として活動時に、達成報酬として獲得した砂糖が美味しかったのでそれを使用してるワンね!」 

 

「なるほど。ここには養鶏場があるのですね」

 

「この世界と至高の41人の方々が生活していた世界と生態系の違いがあるから、それに近づけるようデミウルゴス様や私たち料理チームは日々努力をしているワン!」

 

「努力大切ですね!勉強になります」

 

「アインズ様ご自身が食物摂取をしないにも関わらず、私たちナザリック地下大墳墓内の私たちのために、料理品目の拡充と質の向上をお望みなのだワン」

 

「さすがアインズ様ですね!」

ツアレは心の中で、だからセバス様は私が食べたことのある料理をいつも気にしてくるのかな?と思った。

 

 

そして、一通りペストーニャの材料の説明が終わった。

(ペストーニャ様の説明いつもより長かった・・・今までに教えてもらった料理より、こだわっている感じがひしひしと伝わってくる)

 

 

 ペストーニャの前には山盛りの砂糖と卵などがあるため、ツアレが説明を聞いた後に改めて見るとより一層、彼女の意気込みが伝わってくる。

 

その勢いにツアレは少し不安もあったが、メイド服の上に着用したフリルエプロンのひもを結びなおし、もう一度手を洗い、調理を開始した。

 

 

 まずツアレは魔物の卵を割る。

卵は手のひらサイズのため、慣れれば片手でも割れそうな大きさだ。

しかし、この卵が何故か両手で調理台に叩きつけても割れてくれない。

 

「えい!ふん!おりゃ!・・・ふう〜何で割れないんですか!卵さん!えい!」

 

ただ卵を割るだけなのに、格闘技をしているかのような声だけがキッチンで聞こえる。

 

ペストーニャや他の調理スタッフは簡単に割っていたので、ツアレも簡単に割れるものだと思っていた。

困ったツアレはペストーニャに助けを求めた。

 

「ペストーニャ様、申し訳ありません。この卵がなかなか割れないのですが、割り方を教えて頂けますでしょうか?」

 

卵をガンガンと話している間も叩きつけているが、まだ割れない。

 

ツアレの言葉を聞いたペストーニャは謝罪する。

「ツアレ、申し訳ないワン!人間にこの卵の割り方を教えるのは初めてだったから、すっかり忘れてたワン!この卵は魔力を込めながら割れないといけないんだったワン」

 

「そんな卵もあるんですね。この世界には知らないことばかりだ~」

そりゃあ、割れないわけだと理由が分かってホッとしたツアレだった。

 

(卵さえ割れないメイドなんて使えない・・・・調理人になれる可能性があるとして、私をアインズ様に雇用するように仰ってくださったセバス様の努力が無駄になるところだった・・)

 

 

「・・・ところでツアレ?貴方は魔力を物に込めた経験はあるワン?」

 

「ペストーニャ様、申し訳ございません。先ほど申したように、私は魔力を込めた事も、魔法について学んだ事がございません」

痛いところを突かれたツアレは小さな声で答えた。

 

「そう・・・じゃあこの卵は割る事は出来ないワンね。今回は私が割るので、それ以外を手伝ってくれるかしら?」

 

「は、はい!何なりとお申し付けください!頑張ります!」

 

「じゃあまずツアレにやってほしいことは、プジングのカラメルソース作りからだワン。小鍋に虹色砂糖、水を入れて溶かして、砂糖が薄く茶色くなるまで煮詰めるワン。その時は鍋を回しながらがポイントだワン!・・・ここまで出来るワン?」

 

「やってみますっ」

 

ツアレはごくりとツバを飲むと、緊張した面持ちで、何故か禍々しいドクロのデザインの小鍋をコンロに乗せて、虹色砂糖を入れた。

 

(このデザインはアインズ様がモチーフなのかしら?さすがナザリックの方はこだわってるわね・・)

 

 

 

____虹色砂糖は、光が当たるだけでキラキラと虹色に輝いてとても綺麗である。

 

何故虹色なのかというと、ごく稀に崖の上に自生する虹色サトウキキから作られるとても貴重な砂糖である。

そして、これもデミウルゴスが自分達だけで作る事は出来ないか、砂糖の研究者をどこからか誘拐してきて研究させ、作ろうとしているらしい。

 

 

 

____そんな事情をツアレは知らないので、ただ綺麗な砂糖だな~と思っただけで小鍋に入れた。

 

「ツアレ、その砂糖が薄く茶色くなったら、火を止めて熱湯を入れるワン、その時跳ねるので注意しながら、鍋を回しながら溶かしてワン」

 

「は、はい!!あちちち、でも砂糖のいい匂い・・・」

 

鍋を回しながら砂糖のいい匂いにうっとりするツアレ。

出来たカラメルを小さなカップに入れて、プジング液を作る作業に移る。

 

 

「そして小鍋に牛乳を入れて魔物肌ぐらいに温めるワン」とペストーニャが当たり前に言うと、ツアレはきょとんとした。

 

「ペストーニャ様、魔物肌とはどう意味なのでしょうか?」

 

「魔物肌というのは、恒温性の魔物の肌ぐらいに温めてくださいという意味なのだワン。ツアレの場合は人間肌、人肌というのかしらね・・・ご理解頂けたかしら?ワン」

 

「なるほど、自分の肌ぐらいの温度に温めるのですね・・・」

(あ、そういえばセバス様の手も温かった気がするけど・・・あれが魔物肌なのかな?・・・いやいや、今はそれどころじゃないし!)

 

ツアレが心の中で1人ツッコミをすると、ペストーニャの説明がまた次へ進んでいた。

 

「次にボウルという容器に魔物の卵を割って入れて、虹色砂糖を入れてよく混ぜるワン。ここは私が代わりにやるワン。そして、温めた牛乳を少しずつボウルに入れながら混ぜて、こし器でこして小鍋に戻すワン」

 

ツアレは言われたとおりに、作業することで精一杯だったがプジングの完成に近づいてきた。

 

 

「最後に、弱火か中火でヘラヘラという道具で、かき混ぜながらトロトロとしてくるまで煮詰めるワン。あ、これは好みでバニラニエッセンスを2、3滴入れると風味がよくなるワンね」

 

「はい。ヘラヘラって料理で使うヘラみたいな名前ですね!混ぜ方はこういう感じで大丈夫でしょうか?」

ツアレは大きなボウルを片手で抑えて、一生懸命ぐるぐるかき混ぜる。

 

「その混ぜ方、初々しくて良いワンね~。私たちは魔法で混ぜてしまうから、そんなに混ぜたことはほとんど無いんだけど・・・人間らしくていいと思うワン!」

 

「あ、そうなんですね・・・魔法使えるようになったら、また教えてください!」

さりげなく魔法が使えないことを言われた気もするが・・・ここで落ち込んではいられないと、ツアレは明るく返事をする(気持ちは落ち込んだが)

 

 

ツアレが一生懸命かき混ぜたプジング液を、小さな容器に移し替える。

 

「小さなカップに今作ったプジング液をこしながら、ゆっくりゆっくり入れてくださいワン」

 

「おっとっと、ゆっくり~ゆっくり~。こぼさないように・・・」

結局ヘラヘラとヘラの違いは分からなかったが、複数用意した小さな容器がプジング液で埋まっていく。

 

 

「すべてのプジング液を移し替えることが出来たら、最後は氷系の使い魔か炎系の使い魔に頼むワン。ツアレは温かいプジングと冷たいプジングどちらが食べたいワン?」

これもペストーニャは当たり前に言った。

 

「えっ!最後はコンロの火で温めたり、そこにある冷蔵庫は使わないんですか!?」

今までのコンロの火加減を気を付けていたのは何だったんだろうと、ツアレはまたまた驚いた。

 

「実は最初から使い魔に頼んでも良かったんだけれど、ツアレが魔力を操れないことが卵の段階で分かったので、初めてコンロを使用してみたワン。まさか本当に使えるとはびっくりしたワン・・・料理長ぐらいしかコンロは使用しないのでドキドキだったワン」

 

もうツアレはツッコミどころ満載で、言葉にならなかった。

 

「ああ、話は戻るけれど温かいのと冷たいのどっちにするワン?」

 

「調理は緊張の連続だったので、冷たいプリンでリフレッシュしたいです」

 

 

 

そして、ペストーニャは食器棚をガサガサ探していた。

「あれ?ツアレと一緒にデザートを食べる用に用意をしていた、かわいい犬柄のお皿が無いワン~!!!」

 

「わ、私も探します!!」

 

 

 

 

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