オーバーロード セバスのほのぼの日常   作:きりんじ

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おばあさんとセバスのお茶会

そして、おばあさんがお茶をトレーに載せて持ってきた。

 

「お待たせしました、どうぞ。私の最近のお気に入りのお茶です」

とても芸術的な価値がありそうな花の装飾を施されたポットから、こちらもお花の装飾が施されたカップに注がれる。

(茶色い液体ですね・・たしか紅茶と言っていたので、ツアレが飲んでいたものと同じでしょうか?)

 

家に着いた為か、おばあさんが明るい表情で話す。

「お砂糖やミルクは自由に使ってくださいね」

 

セバスはティーカップを持ち上げて、まず香りを確認する。

「ありがとうございます。では、お茶いただきます。」

(香りを嗅いでみても、紅茶には何も怪しいところはありませんね・・・)

 

セバスがこのお茶を気に入ったか気になる様子のおばあさんはワクワクしていた。

「あの、お茶はお口に合いましたか?こちらは紅茶なんですが、最近見つけてお気に入りなのです」

照れながらおばあさんが話した。

 

「ええ、とても美味しい紅茶でした。香りが華やかで素敵ですね」

(ツアレに今度何のお茶が好きか聞いてみましょう・・)

セバスは飲んだ感想を率直に伝えた。

 

そしてセバスは先ほど街で買ったパンをおばあさんにあげることにした。

(荷物を運んでいたせいで、パンの袋も少しつぶれてしまったしお茶に合いそうなのでおばあさんに聞いてみましょうか・・・)

 

「このお茶に、先ほどこの買ってきたこのパンがとても合いそうなので、パンいかがでしょうか?ちょっと袋はつぶれてますが、パンはつぶれてないので良かったら?」

セバスはパンの袋を開けて、おばあさんに見せた。

 

「まあ、美味しそうなパンですね~。私のお手伝いのせいでつぶれてしまったのですね・・・申し訳ありません・・・では、お言葉に甘えてパンを頂いてもよろしいでしょうか?」

おばあさんは、美味しそうなパンを潰してしまったのは自分のせいだと思い、セバスの提案を受け入れた。

 

「おばあさんのせいではありませんよ。お手伝いをすると決めたのは私ですし、パンはこうなる運命だったのですよ、美味しいパン屋さんを見つけられて良かったのでお気になさらずに」

セバス優しい表情で、2種類のパンを袋から出し、おばあさんが用意してくれた可愛い花柄のお皿に乗せた。

 

「私、お店のパンを食べるなんて久しぶりです・・・人と会いたくないのでめったに行かなくて・・・このパン・・美味しい・・・」

少し涙が出そうになりながら、パンを食べるおばあさん。

 

泣きながら食べているおばあさんを優しく見守りつつ、セバスはパンについて話し始めた。

「このパンは今、巷で話題の塩パンというそうです。パンの中にバターが入っていて、焼くとバターが溶けてそれはそれは美味しい食感になるそうですよ」

パンについての説明が終わるセバスは、にっこり微笑み紅茶を飲んだ。

 

「・・・なんだ・・このしょっぱさは・・私の涙のせいじゃなかったんですね・・・良かった・・」

パンを食べ終わったおばあさんは、目を赤くしながらも笑顔になった。

 

 

 

 

________色々なお茶を飲み、色々なお話をして、のんびりとした時間が過ぎる・・・

おばあさんが遠くを見ながら話し始める。

「本当のんびりとした時間は良いですね。私はこうやっておしゃべりしながらのお茶会が好きなんです。」

好きなことの話の割に何故かおばあさんは寂しそうだった。

 

急に寂しそうな様子のおばあさんが気になったので、セバスは質問をした。

「そうですね。こうやってのんびりするのはとても良い事ですね。いつもこんな感じでお茶会をしていらっしゃるのですか?」

 

____誰かが亡くなったとか家族の思い出あたりが、寂しさの理由だろうと思ったセバスは、おばあさんから返ってきた答えに驚くことになる____

 

 

「・・・私は、人間が嫌いです。もうかれこれ10年以上は人間とおしゃべりらしいおしゃべりはしていません。なので、お茶会を開いたのもとても久しぶりです」

まだ遠くを見ているおばあさん。

「そうだったのですか・・・楽しいお茶会だったので・・びっくりしました」

セバスは落ち着いて話した。

 

「何故、人間嫌いの私があなたをお茶会に招いたか気になりませんか?」

おばあさんが振り向き、セバスの顔を見て話す。

「そうですね・・・気になります。私があなたと同じように老人だからでしょうか?」

セバスはその話自体はどちらでも良かったが、この家の入ったときの違和感が分かるかもしれないと思い答えた。

 

 

「さて旦那様、つかぬ事をお聞きしますが、あなたはもしや人間ではありませんね?」

ぐいっとセバスにおばあさんは顔を近づけた。

「ん?どうしてでしょう?何か気になる点でもありましたか?」

微笑みながら、いつでも相手と戦えるように姿勢を整えるセバス。

 

「実は私は、タレント持ちで相手の強さや魔力が見えるのです、またマジックキャスターを若いときに仕事としていたので分かります・・・ずっと黙っていて申し訳ありませんでした・・・敵意はありません・・」

と、おばあさんは最初に会った時のような暗い様子に変わる。

 

「そうでしたか、本当の事を言って頂いてありがとうございます。私もひとつ質問をしても良いでしょうか?」

「はい、私に答えられることなら・・・」

 


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