悪性隔絶魔界都市<新宿>   作:ハイカラさんかれあ

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『もしも特異点Fで呼んだサーヴァントが○○だったら』


虹色の輝きと召喚用に設置した盾が円を描き光を放ち力が集結し何かが呼ばれようとしていた。

「よっし☆5サーヴァントだ!」
「☆5?」
「メタネタ乙」

ガチャガチャー!と踊りを舞いながら何か呪文を唱える藤丸立香(彼氏いない歴=年齢)。
命尽きようとする瞬間に手を握ってくれた憧れの先輩を困った顔で見つめるマシュ・キリエライト(かわいい)。
そして何がでるのか興味深そうに見守る秋いつわ(超絶美形転生者)。

そして光が集結して何者かが現れた。

なんという見事な肉体!
武人などという言葉では物足りぬ!
超人にして軍神!

「百年前の民も百年後の民も神州無敵と問われて答えるのは麻呂の名前だろう」

■■■だった。





「ますたぁ、世に『神州無敵』と称される(くだり)血眼(ちまなこ)にしておろがむが良い」

セイバーのサーヴァント■■■がそういい黒い騎士王の前に一歩踏み出した。

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!」

一目で尋常ではないサーヴァントだと判断し最初から宝具を開放し、放たれた黒く染まった極光がこちらを切断しようと迫ってくる。

「最強の聖剣の真名開放だ! なんとかしてかわさないと!?」

慌てるロマニの声を耳にしても、一切動じることもなく■■■は落ち着いて何かを迫り来る光に投げた。

「も、■■■卿大丈夫ですか!?」
「安泰じゃ、我が武器である火薬を詰めた犬を投げ入れ発動した壊れた幻想によって極光を四散させたゆえ」
「ふぉうふぉッ(容赦ないなッ)!?」

宝具が通用しないとみるや黒き騎士王が魔力放出で強化された聖剣で首狙いの斬撃を放つ。
その剛剣の前ではいかなるサーヴァントでさえも無惨に首を切り落とされると思われたが……。

「ば、馬鹿な!? 」
「首と顎で白刃取り!?!?」

鍛え抜かれたという言葉では言い表しきれない鋼の筋肉で首と顎の間に聖剣を挟み見事に死の一撃を食い止めた!
そのまま首をあげて受け止めた刃を離した瞬間に騎士王は後ろに跳んで最大限に距離を取る。
あまりにもありえない光景を自身で体感して物語に謳われる歴戦の剣士である騎士王でさえも冷や汗が止まらない。

「ご無事ですか!」
「押すか引くかしなければ斬れぬ、安泰じゃ」
「もう全部このサーヴァント一人でいいんじゃないかな?」





「びえっくしょん!」
「イヤやわぁ、茨木風邪ひいたん?」
「なにやら寒気がするぞ……」

羅生門で茨木童子はこの先生きのこれるのか!?


『もしも特異点Fで呼んだサーヴァントが『衛府の七忍』の『桃太郎卿』だったら』


続・悪性隔絶魔界都市<新宿>-序章-(Ⅱ)

前回までのあらすじ

 

藤丸立香♀がカルデアに入館しました!

カルデアが爆破されました!

遡ること数年前に転生者の秋いつわくんがカルデアに就職しました!

「なんでさ」

 

1、

あの人を初めてみた時のことはよく覚えている。

まだまだ短い人生の中でこれ以上に綺麗なものをこれから先に見ることがないだろうと確信できる人だった。

驚いたのはそれなのに彼は自分を飾らず自然体でなんというか――自由だった。

ある日たまたま二人だけで話す機会があったので彼に直接聞いてみた。

日常の中にあって突き抜けて特異な『モノ』を持っているのにどうしてそんなに気取らずにいられるのか。

 

『顔については会う人によくいわれるけどそれが当たり前なんで気にしたことはないかな』

『周囲と自分との違いとかは気にならないんですか?』

『うーん、同じぐらいの顔面偏差値の友人が昔一人いたし』

『貴方と同じくらい綺麗な人間が他にいるんですか!?』

『なんかいたね、従兄弟も仮面つけてるけど同じような顔してるんじゃない?』

『世界は広いですね……、やはりご両親も同じぐらい綺麗なんですか?』

『普通だった気がするけど昔の話なんで覚えてないかな』

『あっ、……すいません悪いことを聞きました』

『いや別に、よくあること(フィクションのキャラの家族構成には)』

 

 

我ながら単純で呆れる。

この上ない綺麗な顔で強烈に惹かれるだけでなく。

自分と違い特別な『才能』を持っていても周囲の期待や羨望をどこ吹く風。

ありのままに揺るがずにただ自分らしくある姿に私は……。

 

「デュエルだキリシュタリア、決着をつけよう!」

「ほう、私にデュエルを……受けて立とう!」

「開始の合図をしろぺぺ!」

「わかったわ、……デュエル開始!」

「先行は貰った、アンタップ、アップキープ、ドロー!」

「MTGかよ!? そこは遊戯王にしろよ!」

 

いつわとぺぺとキリシュタリアの三人の奇行にカドックがツッコミを入れていた。

先日カドックは三人に面白半分に性転換する薬を飲まされて(その後対価として魔術の研究を手伝わせていた)

ダ・ヴィンチに同類を見るような目で見られたりしていた。

そんな目にあっても相変わらず三人組に関わろうとする所にカドックの人の良さが垣間見えていた。

 

私とマシュみたいに距離をとって見るか、この場から足早に去った他の三人の様に関わらないようにすればいいのに。

「これが友人同士のやりとりですか、なるほど…」とマシュは興味深そうに目を輝かせている。

オフェリアはもう一度視線をマシュから三人に変えて遠目に眺めながら口元に柔らかい笑みが浮かんでいた。

これが在りし日のAチームが過ごすありふれた日常の光景である。

 

 

2、

 

前略、お袋さま元気でしょうか? 

仕事場で知り合ったDrロマニという人物によると(ガチャのし過ぎで)お金に困っていたので二つ返事でOKして就職した人理継続保障機関フィニス・カルデアフという組織は人類が絶滅するという結果を観測してそれを回避するということを目的に結成された国連承認の団体だったようです。

 

正直胡散臭さ大爆発ですが今更気が変わったので帰りまーす(^^

といって帰ることも出来なさそうなので社会人へと一歩を踏み出そうとしたのですが。

来てそうそう爆発事故というトラブルに襲われ、知り合ったマシュ・キリエライトという少女が巻き込まれて瀕死の重傷を負いました。

 

その時にわたしが出来たこと言えば彼女の手を握って「大丈夫だよ」と繰り返すことしか言えませんでした。

そんな無力なわたしが気がついたら冬木という街に居ます。

炎上する都市の中でおちこむこともあるけどわたしは元気です。

 

『なにをやってるんだい立香君?』

「遺書を書いてます」

「ふぉう!?」

『縁起でもないよ!?』

 

 

そう言って明かりのない和室の机の上にあった便箋(びんせん)の用紙に筆ペンでつらつらと文章を書いていた立香は顔を上げた。

小説投稿サイトで低評価を貰ったことのある程度の文章力なので当然遺書書きなど知らないのでかなり適当である。

なお当時書いていたジャンルはボーイズがラブっているよくあるジャンルであった。

 

「死ぬつもりはないけど遺書を書く機会ってないので書いてみようかなーって」

 

HAHAHAと陽気な声をあげてぽりぽり頭を掻いてから持っていた筆ペンを置いて立香はフォウの頭を撫でた。

 

「良ーし、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしいいねいいね!よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしいい子だフォウくん」

「ふぉ!」

「それで霊子転移(レイシフト)でしたっけ? タイムスリップしてここにいる理由は」

 

今いるのは西暦2004年の冬木という地方都市、そこにある武家屋敷の一室である。

 

『そう、難しい話をするとそこは"特異点"と呼ばれる正確な時間軸から切り離された場所になっているんだ。 

通常の時間旅行よりは簡単に出来るとはいえコフィンなしでよく意味消失に耐えてくれたよ。

大体のことはわかってくれたかい?』

「所々黒歴史(ちゅうにびょうじだいのあくむ)を思わせるワードが出てくるなぁぐらいにしかわかりませぬ!」

 

きっぱりと答えた。 

あまりにも堂々とした態度は清々しく。

爽やかさすら感じた。

 

『ええー!? いやでも、そこは理解してもらわないと』

「大丈夫だ、問題ない」

『それダメなやつ!』

「大丈夫だよドクター。 わたしも、これから頑張っていくから」

『よくわからないけど最期のお別れっぽい台詞はやめてくれ!』

「冗談はさておいて細かい事情はともかくわたしは生きる為に全力で頑張るだけです」

「――うん、まあ、そうだね。 いつわ君もレイシフトに成功してそちらに向かっているんで合流してなんとか頑張って生き残って……!? マズイ立香君逃げてくれ!」

 

ふんすと気合を入れる立香を見て一瞬呆気にとられたがロマニは納得したように頷いた。

しかし次の瞬間に慌てて声を荒げて空間に投影されていた画像が途絶える。

 

 

「ドクター……? ドクター!! 応答してロマァァーーーーーーーーーーーーン!!」

 

ガシャン!!

 

唐突に切れた通信に向かって呼びかけるが反応はなく。

ステルスゲームの無線のような声を上げてしまったがその直後。

屋敷の入口付近から大きな音によって打ち消された。

何者かが侵入してきたのだ。

身を隠すものは部屋になにもないのでフォウを抱えて部屋の片隅に退避する。

 

(うわーい、まるでホラー映画見たいだぞぅー……怖ッ!)

 

息を潜め、身を隠してフォウをぎゅっと抱きしめて部屋で縮こまって侵入者をやり過ごそうとする。

ギシギシと足音が響く音が自分の方に近づいてくるのがわかった。

 

(ひぇぇぇぇえ! めちゃくちゃ怖い! ダンボール箱かステルス迷彩が欲しいよー!)

 

気分は蛇の名前を持つ潜入工作員が見つかってアラートが消えるのを待つソレである。

ゲームや映画で見るのと実際に経験するのとでは怖さが段違いである。

「こんな経験は正直したくなかったよーひーん!」と立香は嘆いた。

足音はすぐそこまで迫っていた。

 

          

そして足音が止まった瞬間に嫌な予感がして全力でその場から離れる。

野生の本能とか直感とかそういうのが全力でわたしに逃げろと言っている!

 

ゴッ!!

 

轟音と共に障子が破壊された。

自分のすぐ上を飛んでいった障子の枠に肝を冷やす。

恐怖を噛み殺してフォウを抱えて脇目もふらずに先程まで障子があった場所に向かって全力で走る。

今まで居た部屋は縁側なので眼の前にはすぐ庭がある。

うまく行けば障子を破壊した相手がこちらを視認する前に逃げることも可能――。

 

(嘘、もう一体!?)

 

敵性存在(エネミー)をやりすごしたと思ったら新しい敵性存在(エネミー)がいた。

後ろにいる個体に比べると小柄だが自分を殺すには十分すぎる相手だと分かった。

いつか動物園で見た腹を減らした時のライオンなんて目じゃない威圧感を感じる。

 

「は、はぁい調子いい? あ、あいむゆあー…」

 

息を止めた直後に全力疾走したせいで一瞬酸欠で頭が真っ白になったがすぐに大きく深呼吸をして友好的な挨拶をしてみた。

返答は無言の攻撃であった。

 

(あ、ダメだこれ)

 

髑髏の仮面をつけた怪人の蹴りが迫るのをスローモーションで感じた。

これが噂の走馬灯が流れる前兆というやつかと冷静にどこか他人事のように感じる自分がいる。

視線の端で何かがわずかに銀色の光が煌めいた気がした。

そして黒い足が自分に当たる直前で攻撃が弾かれた(、、、、)

 

「走って」

 

決して大きい声ではないがよく通るとても綺麗な声が聞こえた。

その声に命ぜられるまま周囲を咄嗟に見渡して土蔵を見つけてそこに向かって走った。

バタンと大きな音をたてて扉を開き、そして素早く振り返って閉めた。

咄嗟に閂を見つけてかける。

ハアハアと暗がりの中で自分の呼吸音が響いた。

連続で全力行動をしたせいで息が荒い。

フォウくんが自分の腕から離れて心配そうにこちらを見ている。

 

(……全力で逃げてきたけど、これ、居場所バレバレで逃げ場がないよね?)

 

ふらふらと扉を離れて反対側の壁によりかかりながら呼吸を整えて気づく。

 

ガッ!! ゴッ!!

 

その考えを肯定するように扉を思いっきり殴りつけるような音が響いた。

一撃ごとに閂が曲がっていくのが目に見えて分かった。

 

ドガッ!!

 

強烈な一撃が閂ごと壊れた扉が飛んできた。

部屋の片隅に逃げていたことで難を逃れたがこちらを見つめる怪人二体。

逃げ場もなく、状況を改善するような一発逆転のアイディアは何もない。

もはや乾いた笑いしか出ない。

 

「これはもうだめかもわからんね」

「ふぉーう…」

 

立香は体格が大きい方の怪人が拳を振りかぶったのを見て。

腕に抱えているフォウを庇うべく背を向けて体を固くした。

 

ゴッ!!

 

大きな打撃音が響いたが予想していた衝撃が一切こないことを疑問に思い目を開いた。

眼の前に居たのは――

 

「マスター、よかった間に合いました。 サーヴァント、マシュ・キリエライトこれより――」

「マシュ! 何故マシュがここに!? 怪我は? 生きてたのか、自力で治療を? マシュ! うぷッ」 

「(無言の顔パン) ふぉ、ふぉうふぉー(訳:落ち着け、決め台詞を邪魔するな)」

 

カルデアで知り合った少女マシュ・キリエライトであった。

爆発により死にかけていた彼女は再開したい今、大きな盾で攻撃を防ぎ、立香を護る英霊(サーヴァント)を自称していた。

壊れた土蔵の隙間から降り注ぐ月の光に照らされる彼女はまるで物語の英雄のようだった。

 

3、

「僕だけ置いてくの酷くない? いや、いいけどね」

 

屋根の上に立ついつわは飛び上がって遠くに移動する立香とマシュの姿をぼけーっと見送った。

アサシンらしきサーヴァントの攻撃から立香を糸を使って護ったのは彼である。

立香が土蔵に逃げた隙に戦闘態勢を整えていたら勢いよくこの武家屋敷に駆けつけたマシュに気づいた。

 

サーヴァント特有の直感からか立香の大まかな位置を把握していたマシュは大きな音がする方向へ移動して土蔵の中に居る立香を見つけた。

新手の存在を迎撃しようとする敵性存在(エネミー)二体をいつわは糸を使い捌き。

二人が合流するのをサポートしていたのだがマシュはそのまま立香とフォウを抱えて飛び上がって急速に場から離脱していた。

多分いつわが居たのに二人共気付いていないのだろう。

 

 

爆発事故に巻き込まれた人員の応急処置を終えたカルデアスタッフは秋いつわを特異点F。

つまり西暦2004年の冬木に送り込んだ。

特異点の解決と強制的に霊子転移(レイシフト)に巻き込まれた藤丸立香とマシュ・キリエライトを救出ためだ。

 

レイシフト適正と戦闘力はAチームでも随一ではあるが前所長の肝いりかつ魔術師としては素人の彼に対する現在の所長との仲の悪さは有名なのでAチームメンバーでありながらボイコットしてたことも緊急時故に不幸中の幸いとして唯一の無事なマスターとしてお咎め無しである。

 

オルガマリーへの対応も素顔でいればどうとでもなったのだが顔を隠してカルデアで過ごす日々をおくった甲斐があって当初の目標であった爆弾回避に成功である。

もっともここからが長いのだが……。

 

『いつわ君、聞こえるか! 先程立香君との連絡が途絶えた!!』

「はいはい聞こえてますよー、彼女は変な格好をしているキリエライト嬢が抱えて安全地帯へと離脱したよ」

『マシュが!? 一体全体どういうことなんだい!?』

 

いつわは飛んできたダークを糸で弾き飛ばす。

こちらに気付いたアサシンのサーヴァントによる攻撃である。

 

「悪いけど立香嬢を狙っていた敵性存在(エネミー)がこちらに気づいて攻撃を仕掛けてきたので一旦切るよ。

――さて、しょうがないレオナルド・ダ・ヴィンチ作の糸と身につけた技がサーヴァントに通用するか試してみるか。……ダメなら逃げよう」

 

そう言って指を折り曲げて糸を放ちいつわは戦闘を開始した。

 




淫獄都市ブルースで募集したアンケートにて。
投票数第一位を得たことを記念して第二話を投稿。

連載になったので場所を移しました。
投稿速度は遅いでしょうが今後もよろしくおねがいします

最近仕事であまり時間がない!ので優先して見たい作品を教えて下さいそれを書きます

  • 淫獄都市ブルース
  • 性春姫
  • ポルノ13
  • 悪性隔絶魔界都市<新宿>
  • その他 別の新作
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