一人きりはこわいからみんなにあいたいくて庭にでた。
屋敷の庭はすごく広くてまわり塀に囲まれて。
それはまるでどこかの舞台みたい。
ざあとかぜがふいてすぐに演劇が始まるのかとわくわくした。
遠くでいろんな音がしてる。
街のなかでみんなが楽しそうに騒いでる。
幕はまだ開かない。
一面 まっかになってる街のひろば。
───わからない。
わたしをバラバラにするために見知らぬかめんの人がやってくる。
───よく わからない。
けれど誰かが前にやってきてわたしをつれようと手をひっぱった。
───わたしは子供だから よく わからない。
そのましゅという人はわたしをかかえてとびあがった。
───ほんとうに よくわからないけれど。
意味もなく 泣いてしまいそうだった。
夜空には、ただ一人きりの月がある。
すごく不思議。 どうしていままで気がつかなかったんだろう。
───なんて、ツメタイ───わるい、ユメ。
ああ───気がつかなかった。
こんやはこんなにも。
つきが、きれい──────だ──────
月姫
Blue Blue Grand Moon.Under The Crimson Order.
A.D.2001 幻影再演劇場都市 三咲町
制作・著作
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「つきが、きれいだ……ってなんだ夢か」
暗闇の中を誰かに抱えられた夢を見ていた立香が目を開くと白い見慣れぬ天井がそこにあった。
天上はまるでラクガキされたように黒い線だらけでその黒い線に触れたらいきなり線をなぞるようにモノがばらばらになる……なんてことはまったくない普通の天井だった。
「知らない天井だ!」
ろくな大人がいない環境で鬱になってしまった汎用人型決戦兵器の第二パイロットの名言が口から情熱と愛と共に迸り溢れ出した。
いつかは言ってみたい台詞ランキングのナンバー7を言えた満足感に暫し浸り正気に返ると左右をキョロキョロと見回した。
「あー、そっかここはカルデアか」
ドクターロマ二といつわの二人と話をした部屋と一緒の間取りだった。
違いといえば部屋に漫画やDVDやブルーレイディスク、ゲーム機がないということだけである。
腕を上げてみると白い袖口から支給された制服だと分かった。
「んんんんん???」
先程から聞き覚えのない低い声が部屋に響いて違和感を感じて下を見ると黒いズボンを穿いているのが見えた。
あれ、ズボンなんか穿いてたっけ?
……いやおかしいなんでそもそも真下を向いたのに胸に邪魔されないでズボンが見えるんだ!?
「え、嘘! 胸がなくなってる!?」
手で胸をペタペタ触るとそれなりに豊かな膨らみがなくなっていた。
かわりに硬い筋肉の感触が伝わった。
「まさかまさかまさか!?」
股間を触ると本来なにもなかった場所に柔らかい感触があった。
部屋に置いてあった姿見をみると黒髪の少年がこちらを驚いた顔で見返している
「お、男になってるぅぅ!?」
「先輩どうしました!?」
そういって部屋に白衣を纏って眼鏡をかけている銀髪の少女、マシュ・キリエライトが駆け込んで来た。
「大変だよマシュ! 中国の呪われた泉に入った記憶もなく水も被ってないのに変身しているこれは新手のスタンド攻撃かもしれない!」
「ええーと、泉? スタンド…? すいませんよくわからないです、それで先輩いったい何があったんですか……?」
「つまり男になってる!」
「はい? もともと先輩は男性では?」
「なん…だと……」
マシュは対人経験が少なそうではあるがさすがに男と勘違いされるとは立香はショックを受けた、ちゃんと胸もあったしけっこう可愛いほうだとちょっぴり……うん、ちょっぴりだけ自惚れていたのにあんまりだ。
「う~~ううう あんまりだ…H E E E E Y Y Y Y あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ
AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!」
「ええ!? 先輩今度はいきなり泣きだして本当にどうしたんです!?」
「フー スッとしたぜ! 激昂してトチ狂いそうになると 泣きわめいて頭を冷静にするといいと焔柱の男の人がやってた」
「えぇ……」
「とにかく起きたら自分の認識だと女だったのに男になってるんだよ、そちらの認識だと最初から男なのマシュ?」
「え、ええ、失礼かもしれないですが先輩の容姿は中性的ではありませんし出会ったときから男性だと……」
「うーん? どういうことだろ、……そもそもわたしは冬木という街に居た気がするんだけど」
「冬木ですか? 最初にレイシフトした」
「そうそう、それでマシュに助けられて……あれ? そのあとが思い出せない」
冬木に転移して武家屋敷で遺書書いて襲われてマシュに助けられて……誰かにあったようなそれは誰だっけ?
思い出そうとしたらなんだか顔が熱くなってきた……知恵熱かな?
「先輩、たいへんです顔が真っ赤になってます! もしかしたら疲労で熱が出たせいで混乱しているのでは! ドクターに一度見てもらいましょう!」
そう言ってマシュはサーヴァント形態に変身してお姫様抱っこで立香を運んで駆け出した。
立香は冬木でもこんな感じだったなーと思いふけりながら医務室まで運ばれ廊下ですれ違うカルデアスタッフの視線から現実逃避した。
・
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「ふむ、失敬」
そういって指を立香に近づけるとそのまま指が水面の如く顔に沈んでいった、あまりにも常軌を逸した光景であるがそれをみるマシュは立香を心配そうな顔で見守るだけであった。
慣れているのだこの男の起こす奇怪な現象をみることに。
そして知っているのだ彼にとって治せない症状は死からの蘇生だけだと。
カルデアの職員全員が彼に抱く感情、それは信者が信奉する神に対しての畏怖に似ていた。
もっとも名前からして彼は神ではなく悪魔に近いのだが。
「――なるほど、把握した」
そう言って指を引き抜く。
指を抜かれた立香は指を入れる前と何も変わらない様子であった。
つまりあまりにも美しすぎるモノを見てしまった衝撃で固まったままということである。
「話せるかね?」
「あ…はい……」
「君の状況はレイシフトによる後遺症のようなものだ。一時的な存在の揺ぎと意識が薄れたことによって起きた平行世界への意識だけの転移だ、夢のようなものと捉えて構わんよ」
「はぁ……」
「治療は施した。あとは目を閉じ再び目を開けば元の場所に戻る、夢から覚めたまえ」
さながら高名な数学者が学生のやっている宿題を気まぐれで解いたような何の感慨もない声で治療は終わったと告げる。
元に戻れるという喜びの気持ちよりも立香の胸に残るのは一つの疑問であった。
秋いつわすら上回る美貌の持ち主である白い男性は誰だろう?
秋いつわが天使の美貌だとするとこの眼の前の人物は神の美貌だ。
どこか親しみを感じさせ心に生涯焼き付くようないつわの美貌に対して目の前の人物は美しさに崇敬の気持ちしかわかない。
どちらも極まった美だが目の前の人物は正に超越者であると感じた。
「あの……、あなたはいったい何者ですか?」
カルデアでドクターと呼ばれる人物はロマ二・アーキマンではなかったか?
その問いに対して彼は答えた。
「――名乗っていなかったな、私は医者だ名をメフィストという」
その名乗りを聞いたとたんに立香の意識は闇に落ちていった。
2、
「先輩。 起きてください、先輩。……起きません。ここは正式な敬称で呼びかけるべきでしょうか……。」
「つきが、きれい───だ───」
「なんだか聞き覚えがあるフレーズ」
「あぁもう、なにやっているの! いい加減正気に戻りなさい!!」
『いつわ君、いつわ君、顔! 顔隠して! 立香君には初めて見る君の顔は刺激が強すぎる!』
立香は顔を真赤にしてぶつぶつとなにやら呟いている。
マシュは正気に戻らない立香にどんな言葉をかければいいのか試行錯誤を繰り返し。
思い通りに物事が上手くいかないことにオルガマリーは喚き散らし。
ロマニは立香がこうなった原因の人物に注意を促し続け。
原因の人物であるいつわは立香の独り言が夏目漱石の『I Love you』を日本語に翻訳するなら『月が綺麗ですね』と遠まわしな表現にしたほうが言ったというエピソードか、月姫の冒頭の台詞のどっちだろと思案していた。
「……しかしたまげた、あんな色男みたことないぜ同郷の後輩に『輝く
「『輝く
「おっ、どっかで会ってたかセイバー?」
「ええ、貴方と同じように聖杯戦争で。 ランサーのサーヴァントとして召喚された彼と剣を交えたことがあります」
「ランサーか、じゃあオレとは聖杯戦争で顔を合せる可能性は低そうだ」
サーヴァント二人は遠巻きながらその様子をみて談笑している。
一体何故この様な状況になったのか?
・
・
・
「問おう。 貴方が私のマスターか」
そう問いかける少女騎士の頬が染まり動きが止まる。
宝石はその絢爛さ希少性により価値が決まるという、地中で気が遠くなるような年月によって発生し様々な道具や熱意によって採掘し類まれな技術により研磨された石は物によっては常人では一生手が届かない程の価値が付与される。
しかし宝石のその希少性と美しさすら彼を見たら道端の石に感じさせる美、神はどれほどの年月と情熱と技術と熱意が注げて作り上げたのかと問いたくなるであろう顔。
その美しさを何かと比べるという相対的な評価は対象を貶めるだけの無意味な行為であると断言できる絶対的な美しさの持ち主こそが秋いつわである。
先程のアサシンのサーヴァントとの戦闘により顔を隠していたバイザーが壊されたことにより素顔になったいつわの顔をみてしまったものは同じ様な美しさを持っていない限り誰であろうとこうなるのである。
それをなした万物を魅了する美貌の少年はというと?
(しまった、なんか光ってたときに尻もちついた体勢にするべきだったリテイク希望!)
そんなことを考えていた。
3、
「要約すると敵から藤丸さんを逃がすべく援護してたらなんかおいてけぼりくらって残った敵と戦闘になって倒して、戦力不足を感じてダメモトで召喚してみたらなんか成功した」
「ダメで元々で騎士王呼ぶとか騎士王ゆかりの触媒を体に埋め込まれてでもいるのかい!?
というかサーヴァントを倒した!?」
「いかにもアサシンという風体の割には突撃と投げナイフ攻撃ばかりだったしおそらくまともな思考をしてなかったと思うので正気なら厳しかったね」
Fateシリーズの恒例のサーヴァントとの対面イベントをこなして立香の元へと(空を駆けながら)合流したいつわだったが、しばし顔を赤らめて惚けただけで済んだセイバー(真名:アルトリア・ペンドラゴン)と違い一般人である立香がいつわの顔をみたことにより完全に意識が飛んでしまっていた。
マシュは久しぶりにいつわの素顔を見て惚けていたがなんとか正気に戻り意識が飛んでいる立香を正気に戻そうとしている、キャスターはいつわの顔を見て驚いたがそれ以上にいつわのすぐ側に居たセイバーを見て驚いた。
場を混乱させた元凶のいつわ本人は登場時に決め台詞を言ったが全員にスルーされたことを残念がっていた。
「それでもサーヴァントとやりあって魔術を使わずに無傷とは……とんでもないな君は」
「それはどーも」
確かに『
だからこそ『サーヴァントには人間じゃ勝てねぇ、武術を習っていないサーヴァントでもだ、ならなっちゃえばいいじゃんサーヴァントに』というデミサーヴァントを作ろうという考えが生まれているのである。
しかし
それに比べて危うくやられかけたし大したことでもないといつわは思っていた。
「今年の水着ガチャはオッキーしかこなかったから
「――ボクには君が何を言っているかわからない」
「君は知るだろう、目当てのキャラに容易く辿り着く者とそうでないものとの差は残酷なまでの開きがあるという事実を、存在を求める心は僕らを過酷なガチャへと駆り立て続ける、降りるということは許されなかった」
「知りたくないよ!? 唐突なデスポエムはやめてくれ!」
ドルオタにはガーチャーと呼ばれる人種の苦悩はわからないかと視線を同志へと向けるが相変わらず天地乖離す開闢の意識状態(意味不明)な立香をみるとマシュに介抱されている。
「───マスター。マスター、起きてください、起きないと殺しますよ」
「あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ 」
『これは返事? それとも寝言?』
「というかもしかしてレムレムしてない?」
顔を見ると支障が生ずるということで顔を隠していたがサーヴァントとの戦闘でその美貌を遮るものがなくなったことで、その顔を見てしまった立香は恍惚に浸っていた。
マシュもオルガマリーも同様にいつわの顔をみて忘我状態だったが過去に見ていたこともありしょうがないのでロマンから支給された
「たかが目隠しがとれた程度でこれとは相変わらず面倒くさい」
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・
「先輩大丈夫ですか?」
「だいじょうぶだ、わたしはしょうきにもどった────よくあることです、ここは魔界都市<新宿>です」
『いや冬木町だからね?』
「駄目みたいですね」
(なんで魔界都市なんて地名が? この世界にはあの作品ないはずだけど)
キャスターがルーン魔術を使ってなんとか会話ができる程度に回復したがこりゃあかんということで一時的に学校に避難して夜を明かすことに決めた。
次回予告
「親父が聖杯戦争に参加してたっていうのか!?」
「そうだ、まず衛宮切嗣は虚空でだかだかと足踏みをした」
「足踏み」
「そして無を手に入れた」
「無」
「EDが始まってムービーエンドだ、奴は聖杯戦争をそうやって最後まで勝ち残った」
「爺さんがTASさんだったなんて……」
「セイバーとの会話は必要最低限の3回だけして乱数調整して終わらせます。これが一番速いと思います」
「NKT……」
【Fate/Zero】TASさんが第四次聖杯戦争を一日で終わらせるそうです
公開未定!
八月が終わってないからセーフ!……だめ?
最近仕事であまり時間がない!ので優先して見たい作品を教えて下さいそれを書きます
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淫獄都市ブルース
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性春姫
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ポルノ13
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悪性隔絶魔界都市<新宿>
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