「でしたら竈門君は私の屋敷でお預かり致しましょう」
蝶柱である胡蝶しのぶは那田蜘蛛山で負傷をした炭治郎の治療をする為に自分の屋敷で預かると提案した。
その朗らかな笑顔に炭治郎はあっけにとられ、同性である甘露寺蜜璃は見惚れてキュンとトキメイていた。
「はい連れて行ってください!」
ぱんぱんと手を鳴らして顔を隠している鬼殺隊の支援要員である隠を呼び寄せ運ぼうとしたが炭治郎は柱(人じゃなくて建物の方)にしがみついて。
妹である禰豆子を刺した風柱の不死川実弥にせめて頭突きでやり返させてくれと喚いていた。
「頭突きなら隊律違反にならないはず……はぶぇ!?」
そしてお館様を慕う霞柱の時透無一郎が進行を邪魔されたので石をぶつけられていた。
「お館様のお話を遮ったら駄目だよ」
その胸中の苛立ちをあらわすかのようにその手に握られた小石はビキッと割れた。
雲の上の存在である柱がキレている様子を見て隠の二名は内心ガクガクと怯え。
そして甘露寺嬢はその怒っている無一郎の姿にトキメイていた。
「早くさがって」
「あのーちょっといいですか?」
また妨害するやつのが出たのかと無一郎は石を声のした方に向け、凍りつくように動きを止めた。
あたふたとその場を去ろうとした隠に掴まれていた手が離れて石をぶつけられ目を回した炭治郎が正気に戻り顔を上げるとその声の方向を向いている岩柱以外の柱の顔が顔を赤らめぼけっーとしている。
「お館様ッ!」
何かしらの異常を感じた岩柱である悲鳴嶼行冥は跪いた姿勢からその体格から信じられない程の身軽さで飛び出しお館様の方の前に盾になるべく庇う態勢をとった。
その光景にあっけにとられた炭治郎は険しい顔をしている岩柱に対して穏やかなままのお館様とその横にいる他の柱と同様になっており顔を赤らめている子供を見てもしやと近くにいる隠の顔を見ると布で覆われていない部分が同様に赤くなっていた。
まさかなんらかの血鬼術かと炭治郎は痛み動かない体に鞭を入れて立ち上がろうとする。
「大丈夫だよ行冥、――それでどうしたのかな、いつわ?」
いつもどおりの心に染み渡るような声音でお館様が語りかけた方向を見ると炭治郎も他と同じように顔を赤らめた。
「ちょっと確認したいことがありまして」
「無惨の居所がつかめたのかい?」
「それらしき人物は見つけた」
「「「「「「「「「なんだって!?」」」」」」」」」
その人物は鬼滅隊の人間がするように黒尽くめだがこの時代では珍しい洋装をしていた。
そしてその顔はこの世すべての美というもの集めて作り出したかのように美しかった。
その顔に心奪われた柱たちも流石というべきか鬼殺隊の宿敵である鬼舞辻無惨の名前が出たことで正気を取り戻す。
「見つけたのはいいけど本人だとすると下手に追い詰めると周りにいる人間を殺したり鬼にして囮にして混乱を引き起こして自分はさっさと逃げるようなタイプ……性格みたいなんでちょっと裏付けが欲しくて」
そういうと懐から紙を取り出して炭治郎へ見せた。
あまりに常軌を逸した目の前の美貌にぼーっと呆けた炭治郎が自分に相手が自分に向けていること気づき。
慌てて目の前の紙に目を通す。
そこには幼い少年の姿だが浅草で見かけた鬼舞辻無惨に違いなかった。
「無惨!」
「間違いない?」
「子供の姿だけど浅草で自分が見かけたのはこいつです!」
「裏は取れたね」
無惨の似顔絵を見るべく駆け寄ってくる柱達から距離を取りいつわと呼ばれた人物はお屋形様の下へ移動する。
「場所は何処だい?」
普段の穏やかな顔は変わらないがそこからは怒りの感情を隠しきれていないが無理もない。
一族代々が宿敵と定めた相手の居場所が分かったのだ決着がつくかもしれないと思うと心が嵐のように荒れ狂っているであろうことは察した。
「とある製薬会社の創始者の家へ養子として入ってる、恐らく太陽を克服する薬の開発に好都合だと思っているんでしょう場所は――」
場所を告げると迂闊に攻め込むと逃げられた挙句いたずらに被害を広げるだけ、
いかにして効率よく追い詰めるかを柱達と話し合い始め要は済んだと立ち去る黒い美影。
目が眩むような美が去り世界が色あせた様に感じながら去っていった美を思い返す。
先ほどの人はいったい誰なんだろうと思いながら炭治郎は蝶屋敷に運ばれたのであった。
◆◆◆
「……鬼狩りでは…ない…変わった装束だ…」
「どうみてもやばい奴だこれ」
無惨討伐のために戦力を集めて襲撃したところ追い詰めた無惨はいかんなくその生き汚さを発揮してピンチを感じた途端即座に鬼殺隊を無限城へと飛し。
いつわとはぐれた立香は上弦の壱である黒死牟に遭遇していた。
見るだけでこれまで戦ったサーヴァントと同じくあまりにもかけ離れた強さを持つであろう鬼を相手にして竦むがこれまでの世界を救うための戦いの経験が磨き上げた強い意思は窮地において彼女を強く奮い立たせた。
そう、自分自身は弱くても頼れるサーヴァントが自分にはいるのだ。
「セイバー任せた!」
その言葉に今まで霊体化していたサーヴァントが実体化する。
突然あらわれた人物に、否、あまりのもありえない人物をみたことに心の底から驚愕していた。
「――――あり得ぬ。 お前は死んだはず、なぜそこにいる、なぜ!?」
「お労しや 兄上」
あの時と同じく過去に感情を見せなかった男が自分を憐れむかのように涙をながしていた。
しかし前と違い共に鬼狩りをしていた時の容貌のまま剣のクラスのサーヴァント、継国縁壱の姿がそこにあった。
亜種特異点『大正鬼殺活動過狩り狩り小史』に続かない
無惨「(無言の全力疾走)」
炭治郎「ムザンガニゲテル!」
いつわ「すでに追跡用に糸は巻いてあるよ」
久しぶりの悪性隔絶魔界都市<新宿>-序章- 始めます。
いつわは学校にたどり着くと入り口で背負っていた立香を降ろしてマシュに預けると、朝にラジオ体操をするかのように腕を上げて開いて下ろすことを繰り返した。
「何してるのよ貴方?」
「ちょっとね」
動作を終えたいつわは建物に入ると廊下を勝手知ったるといわんばかりの足取りで教室に移動した。
他のメンバーは訝しげな顔で後を追いかけた勝手な行動に文句がでないのは、この少年の茫洋な美は薄暗い廊下をただ歩くだけでも闇夜に抱擁され光をもたらすような錯覚を見るものの心理に起こすからだ。
「ちょっとここで待ってね」
とセイバーだけ連れて初めて訪れたはずなのに薄暗い学校をまるでこの場所には何があるか把握しているかの様に軽やかにいくつかの部屋を行き来した。
数分後には防災用道具が入ったリュックや毛布など使えそうな物を集めてだして教室の教壇に置いたあとに毛布を敷いてそこに立香を横たえさせた。
「……長い夢を見ていた、具体的には白い医者に会った後に太正桜に浪漫の嵐を経験したぐらい」
「白い医師は心当たりがなくもないけど、太正桜?」
「いずれ会う気がする女王様やくノ一や女剣士に似た声の人と一緒に帝都で戦っていたんだ」
「帝都ですか?」
「帝都で女剣士というと――すぐ吐血する桜なセイバー?」
「なにをいっているんだ、帝都の平和を守れたのは全部神山隊長のおかげじゃないか!」
「誰だよ神山隊長(※劇中はまだ西暦2015年です)」
「フォウ…?(意訳:ねえねえ本当に大丈夫?)」
一息ついた所で目を覚まし起きてそうそうよくわからないことを立香が言い出していた、明らかに正気を失っている。
「サーヴァント契約の後遺症でただでさえ脳に負荷がかかっていたのが、どこかの誰かさんを見て悪化したのね……」
「それは大変だね」
『彼にそういう遠回しの嫌味は通用しないよ』
「(白い医師ってあいつか、夢の中だとしても一目見ればそれはおかしくもなるか)
邪神なTRPG風に言うとSAN値が下がりすぎて一時的狂気に陥っているのだ、あまりに美しすぎるものはあまりにも醜すぎるものと同じく人を狂気へと駆り立てるのである。
そんな立香をオルガマリーはぶちぶちと文句をいいながらなんやかんやで世話しているあたり面倒見はいいらしい。
ロマ二は精神的に不安定な人間でも自分よりも状態が悪く世話が必要な人間がいると逆に落ち着くものだなーと感心していた。
「キラキラのアーチャー狙いで回したらドレイク船長を引いてしまったり、ギリシャロボ使い狙ったらマジカルアサシン引いたり、りゅうたん引いて、ラスト一枚で手足が多い中華ロボ引いた気がするけど*1、わたしは正気に戻った!」
「中華ロボはAチームの芥さんが食いつきそう」
『ダメだね、まだ先があるんだから寝かせてあげて』
「アハハ、大きい...あれは彗星かな。いや、違うな。 彗星は もっと、バァッて動くもんね。 あれは死兆星かな?」
カルデアから支給された鎮静剤をいつわはオルガマリーに渡し押さえ込むが「
とても女性が言うセリフではないが見て見ぬフリをする情けがこのメンバーにはあった。
「あの赤い外套のアーチャーがいるのですか……」
「ああ、黒化したお前さんを守ってる。 腹立たしいが骨が折れる相手だ」
一方サーヴァント二名は我関せずとこの先にある戦いに備えて情報交換をしていた。
両名共に自分たちの役割である戦闘に集中するべしと英雄として戦争なれしているだけあって完全に割り切った効率重視な行動である。
ギャグ空間に関わりたくなかっただけかもしれない。
立香を眠らせるとマシュもオルガマリーも状況の激しい変化に精神的にも肉体的にも疲労の色が濃くなっていたこともあり、サーヴァント二騎に夜営を頼み見つけていた毛布を体に巻いて限界だったのかすぐ眠りに落ちた。
いつわはさすがに女性と同部屋は後々面倒になると思い別の教室に毛布を持って出て移動してから眠りについた。
◆◆◆◆◆◆◆
「本来は男は男、女は女で護衛した方がいいんだろうけどよ。 あの顔じゃフェルグスの叔父貴みたいに男でも手を出してしまいそうなんでな、頼むわ」
「……は? 何を言っているのですかキャスター!?」
「自分のマスターだし問題ないだろ、仮に襲ってもあの年頃なら女から襲われてもOK出すだろ」
正直寝込みの女と一緒のほうがまだ理性が保てそうなんでよろしくなー、とキャスターは手をひらひら振って出ていった。
困ったセイバーがマスターであるいつわの方を見ると、近くの椅子に黒い上着を掛けて万が一に備えて靴を履きながら安らかな眠りについている。
黒真珠のような艷やかな髪に、すらっとした耳鼻、紅い唇は思わず吸い寄せられそうな……。
セイバーはハッ、とその寝顔を見詰めながらよからぬことを考え出したことに気付きあわてて顔を振った。
いつわの玲瓏たる美貌を眺め続けるとまさに朧とかすみ続けて見えてくる、あまりの美しさに理性が蕩けてくるのだ。
生前自分を律して公正であると心がけ続けた末に人の心がわからないとまで言われた自分の心をこうも簡単にかき乱すとは……。
部屋を出ていったキャスターを睨みつけるがキャスターはケルトの戦士らしい独自の価値観を持っており誇り高い、自分がうち倒した女戦士ならともかく寝入っているか弱い婦女子を襲うような卑劣さは持ち合わせていない男だ。
一度交わした約束はきちんと守り抜く義理堅さを持っているので、立香達を守ると言ったのなら守り通すだろう。
「――はぁ、まったく困ったものです」
死を迎える前に聖杯を手に入るという目的でサーヴァントとして様々なマスターに出会った。
こちらと必要最低限しかコミュニケーションを取らないマスターだったり、非力でサーヴァントに気をつけろと口を酸っぱくしても「大丈夫だと」言って護衛を断ってサーヴァントに突撃したりするマスターにも困ったものだが、生前のブリテン時代を含めて容姿が飛び抜け過ぎていて対応に困るというのは初めてのことだった。
どうにも調子が狂って困る、今回の召喚も戦闘以外の方面でも一筋縄ではいかないようだとため息をついた。
◆◆◆◆◆◆◆
美しい月夜の姿を遮る炎と黒煙のヴェールにより判りづらいが長かった夜は終わり次の朝を迎えた。
本来なら朝靄を太陽の光がかき消し、鳥が囀り朝の調べを奏で始める時間であるが、骨だけの死者が跋扈しているこの場所ではいつわ達の耳に届くのは風が鳴く音ぐらいなものだ、その風音の中に笛のような鋭い音が響いた。
何かに気付いたセイバーがいつわに声をかけるより早く、椅子に掛けてあった黒い上着が妖糸によりいつわのもとへとふわりと浮かび上がったかと思うと金属に磁石が張り付くように毛布から出した手に収まり、飛び起きたいつわがそれを纏うと同時に手も触れずに部屋の引き戸が開く。
セイバーに体を抱えられたいつわが部屋から出ると背後から瓦礫が崩壊したのは次の刹那だった。
「合流しよう」
セイバーに降ろされたいつわは短くそう指示をするとそのまま女性三人のいる部屋に飛び込んだ。
「サーヴァントの手を逃れた藤丸立香を待っていたのはまたしても地獄だった(裏声)」
「いつもの調子にもどったようでなにより」
どうやら一晩寝たらさすがに錯乱状態から通常の状態に戻ったようだ。
眠りについている間になんらかの耐性がついたのか魅了対策を心得ている他のメンバーと違って対処法をしらないはずの立香が何故か直接いつわの美貌を見て顔を赤らめはしても我を失うことはない様子だった。
しかしあくまでも耐性がついたのはいつわの美貌限定らしく立香の顔は恐怖で青ざめ足元はガクガクと震えており、気を紛らわせるために軽口を叩いてなんとかいつもと同じ精神状態を保とうと努力をしているのだといつわは察した。
こりゃ早めに方をつけたほうがいいなといつわは思いつつ視線を部屋に移した。
「他の二人は?」
部屋の中では攻撃によりパニックになったオルガマリーと呼吸を荒げて明らかに気負いすぎな様子のマシュをキャスターがルーン魔術を使い鎮めている所であった。
さらに視線を走らせると先ほどいつわが居た部屋のすぐ横にあるこの部屋は特に被害がない、キャスターが防御用のルーン魔術を予め施していたようだ。
「便利だね、一家に一人ルーン使い」
「あいにくとそこまで使い勝手はよくねぇよ、しかしアイツがまさか弓を持つとはな」
「弓使いをアーチャーって言うんだから、そりゃ弓持ってるんじゃないの?」
キャスターの発言に立香が疑問を持つ、セイバーは目を逸らした。
かつての自分の部下は弓使いとして名を馳せているくせに、矢を放たずに弦を弾いて風の刃を撃ちだす騎士だったからである。*2
『立香くん、…大変言いづらいんだが弓を使わないアーチャーは結構多いんだ』
「うっそでしょ!?」
「聞いたことがあります、遠距離から何か投げたらアーチャー認定受けるぐらいには弓使うアーチャー少ない、らしいです」
「そうなの!?」
「なんでも銃で攻撃してもアーチャーですし、石投げてもアーチャー、なんなら放電攻撃しても、蹴鞠を蹴りだしてもアーチャーになるとか」
「アーチャー認定ガバガバァ!?」
「アーチャーってなんだろうね……(哲学)」
「貴方たち遊んでないで逃げるなり迎撃するなりなんとかしなさい!」
アーチャーとは何かを説明するためにサーヴァント銀河の話が長くなりそうになっている背後では、連続で射込まれている矢の衝撃で建物にひびが入り始めていた。
キャスターの防御用ルーン魔術といつわが人知れず巻いていた妖糸の補強でも限界が近い。
「こちらの戦力はサーヴァントが実質三騎、だが俺には遠距離から攻撃するアーチャーに同じ距離で対抗できる手段がない。 ルーンはそういうのには向いていないんでな」
『セイバーはどうだい?』
「宝具を使えば可能です。 ……しかし私の宝具は魔力の消費が激しいのでこの後の戦いを考えると使わない方がいいでしょう。 どうにかしてアーチャーに接近する必要がありますね」
「本命は聖杯を守っているというアーサー王。 それ以外の残っているサーヴァントはバーサーカーとアーチャーだったわね?」
「おう、だがバーサーカーは何故かある場所から動かないんで厄介なのはアーチャーの野郎だけだ」
「なら次の為にいかに消耗を少なくして倒すかが問題ね、アーチャーはマシュの盾で攻撃を防ぎながら距離を詰めてセイバーとキャスターで倒すというのが無難かしらね」
「貴女への負担は多いですが、大丈夫ですかマシュ?」
「は、はい、がんばります!」
魔術知識が皆無の立香は手持ち無沙汰な様子でアーチャーの攻撃により段々と罅が入ってきている教室の壁を不安そうに見ていると、横でいつわはなにやら指をカタカタとキーボードを叩くように動かしているのが見える。
「秋さんなにしてるの?」
「伏兵が居ないか探ってる、……うん、アーチャーの場所もわかった」
そう言うと何かを思いついたのかいつわは話し合いの輪に加わった。
その背中に立香は決意を秘めた声をかける。
「……ねぇ、わたしに手伝えることないかな」
なにもできないのはしょうがないけどなにもしないのは嫌だ、と彼女は言った。
この中で唯一の素人で魔術やサーヴァントみたいな超常はフィクションでしか認識していなかったものが、自分に現在進行形で襲いかかる現状に気が気でないはずだ。
それでも勇気を振り絞っている姿にマシュは奮い立ち、英霊二人は好感を持ち、オルガマリーは呆れ、ロマニは困った顔をした。
そしていつわはこう告げた。
「それじゃあ僕と一緒に囮になって貰おうか」
いつわ「囮役はもちろん立香がやる」
ロマニ「卑劣な策だ……」
久々に書いたらアーチャー戦決着~冬木クリアまで長くなってまちま編集してます
春が来るまでになんとか終わらせたいなぁ(遅筆感)
最近仕事であまり時間がない!ので優先して見たい作品を教えて下さいそれを書きます
-
淫獄都市ブルース
-
性春姫
-
ポルノ13
-
悪性隔絶魔界都市<新宿>
-
その他 別の新作