続きが書きたいけど今はちょっと無理な作品置き場。   作:PL.2G

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    例のアレ 仮製品版
  いつか連載出来たらいいな

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【全知全能】の俺が世界の覇者 ~プロローグ

少年は呟く。

今までに、何度も何度も考えて、口にしてきたことを、また再確認するかのように、あえて声にする。

 

「生きるのに疲れた・・・。」

 

その事実は少年の、いや、この男にとっては二度目の。そう。二度目の人生において・・・である。

 

――この世界でのこの男の名前は『一ノ瀬(いちのせ) 騎士(きし)』。

この世界に来て十四年と言う短くも長くも無い歳月がそろそろ経とうとしていた。

 

「でも・・・それもきっと今日で終わりだ・・・。」

 

そう呟く男の瞳の奥には、明日への渇望を抱く色を宿していた。

男は空を仰ぐ・・・そして自分の中に存在する【絶対神(・・・)】に対し請う。

両手を大きく広げ、居るはずの無い視線の先の何かに対し、祈りにも似た言葉を紡ぐ。

 

 

「この・・・クッソくだらない世界に、新たな法則(ルール)を・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

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――約十四年前

 

どこまでも続く果てしない白い世界。

雲でもなく、綿でもなく、綿アメでも何でもない。それが何か全くわからない。

物質であるかどうかもわからない何かで構成された、白一面のただただ白い世界。

 

そこに不自然に色づいた存在が二つ――。

 

その内の一つの存在が声という名の音を発生させる。

 

『私はぁ、アナタが存在していた世界で言う所のぉ神様ぁ、と言う存在でぇす。アナタがぁ生まれ変わるにあたりぃ、アナタにアナタのおぉ好きな能力(ちから)をぉ、一つぅ、授けたいとぉ思いまぁす。』

 

『はぁ・・・?』

 

神様と名乗った小さく白い存在。その対面に立つ至って普通と言われそうな見た目の存在。白い縒れたシャツにデニム生地のパンツ、顔は30程度と言った風貌の男。

男は右手で頭を掻き小さく相槌を打つ。何の前触れも無くそこに居た男は、これまた唐突に前に居たソレ(・・)に、男か女かどっちともつかない妙に間延びした声でそんな事を言われる。男の三~四メートル先に立つソレは一メートル程度の身長しかなく、全身を金糸で縁取られた見るからに高級そうな絹に似た布に覆われており、男の眼中には、覆いかぶさった布から覗く口元しか見えていなかった。

男は「えらい小さいな・・・」と、ありふれた感想が頭を過ぎった辺りでソレに対し質問をする。

 

『お好きなって事は・・・貰える能力(ちから)とやらはそっちが提示したものを選ぶのでは無く、その言葉通りに俺が勝手に決めて良い、ってことで良いのか?』

 

もっと他に、ソレは本当に神様なのか?とか、ここはドコだ?とか、生まれ変わる?だとか、するべき質問があるだろうが現状その男には正直心底本当にどうでも良かった。ただし男が今し方したのは質問ではなく確認だ。

 

『おやおやぁ?やぁけに冷静ですねぇ?「私が本当に神なのか?」とぉかぁ、「ここは何処なのか?」とぉかぁ、もぉっとぉ、疑問に思ってもよいかとはぁ思うのですがぁ・・・まぁあ、此方としてはぁ、話が進めやすくてぇ非常に助かりますけどぉ?』

 

そう言ってソレは、面白いものを見つけた幼子のように無邪気に、そして邪悪に口角を吊上げる。

 

『そぉですねぇ。お好きな能力(ちから)をじぃっくり考えてくださぁい。具体的なぁ能力(ちから)の内容はぁ、貴方の思考から汲み上げてぇ、使いやすいよぉにぃ補填とかぁ、無理なモノはぁ、削除したりぃしていぃきまぁすよぉ。』

 

ヤジロベェみたいに頭をゆっくり右往左往しながらコロコロと笑い、ソレは止まることなく話を続ける。

 

『なぁのでぇ、私に能力(ちから)の名称を言ってくれぇればぁ、あぁとはこちらでぇ勝手に手続きをしていきますのでぇ、悔いの無ぁいよぉにぃ、じぃぃぃぃっくりとぉ、考えてくださいねぇ』

 

『手続きってお前・・・まあでもなー。能力(ちから)、ね・・・。』

 

まるで市町村役場での説明。男はそう思った。

ソレの話は聞く限り荒唐無稽。余りにも胡散臭くて、だが現在の不可思議な場所での状況がソレの言葉が嘘を言っているように到底思えなくさせているのは事実だった。しかしすぐさまその考えも男は放棄する。それは男の性格故だ。そしてソレに言われた通りに能力(ちから)のことを考えてみるが、やはり男はすぐに放棄する。男はそう言った事――考える事が酷く苦手だった。いや、むしろ大嫌いだった。どんな些事だろうと悩む・考えると言った事をするのが大っ嫌いだった。家でも外でも学校でも会社でもなんでもかんでも・・・。

 

 

――だから男は思った。

 

「だから俺は終わりにしたんだよ。」と・・・

 

 

それに終わりを告げた男が覚める筈のない目を覚ますと、ソレはわざわざ自分で終わらせたそれを『またやりなさい』と言い出したのだ。さらにオマケ付きで・・・。しかもそのオマケの内容を『自分自身で考えてくれ』と来たもんだ。考える事が、悩む事が嫌で大嫌いで自分自身で終止符を打ったのに、だ。

 

ソレがなんで男にそんな事をしようとしているのか、理由も知らないし解らない。それを考える事も嫌なので男の思考はここまでで終わる。

 

『ゆっくりぃ、考えて下さいねぇ。貴方の新しい人生にぃ、素敵な色が付くよぅにぃ』

 

ニタァっと品悪く、頬が裂けているのではと思うほどに口角を吊上げ笑う。到底神様と名乗るモノがして良いとは言い難い笑顔であった。

 

男は思う。胡散臭いにしろ突然「お好きな能力(ちから)をあげるよ」と言われたところで、「じゃあこれにしますね」とすぐに回答出来る程に男には妄想思考、ボキャブラリー、教養などは無かった。アニメや漫画、ドラマに小説等々の俗物にも全くと言って良いほどに詳しく無い。

 

ここで少し別の話に耳を傾けて欲しい。男は考える事が嫌いなのだが、思考と言うのは人間である以上は必然の行為、行動であり、止める事は不可能で有るに等しい。出来る人間が居るのであれば、それは最早人間では無く屍だろう。考えないと思っていてもその思う行為自体が無意識的に考えてしまっている行為である以上、思考と言うのは切っても切れないモノだ。

ただこの男はそれでも表面上、自分でなるべく考えないように努めてきた。その結果、男は無意識下で直ぐに結果に辿り着けると言う思考能力を手に入れていた。所謂『天才』だったのだ。

 

――閑話休題

 

そして、男はふと気付く。

 

『ちなみに生まれ変わるとして、生まれ変わり先って、生前と同じ世界って事でOK?』

 

『違いますぅ。明確にどう言った所になるかはぁ・・・ちょっとぉわかりませぇん。ごめぇんなさぁい。』

 

男の質問が残念な結果に終わる。

 

『わからない・・・。って、あれ?それって実際問題かなり無茶振りなんじゃないの?生まれ変わり先もわからないで能力を決めるって。』

 

『はぁい。ですのでぇ、ここでしっかり悩んでぇ、考えていただいてぇ、悔いの無い選択をお願い致しますねぇ。私の力では・・・そこまでの干渉がぁ許されてぇいませんのでぇ。』

 

絹のような布に包まれた小さなソレが更に縮んだ。布がヒラヒラしていて判り難かったが、多分頭を下げたんだろうと男は思う。が、やっぱり正直どうでも良いと男は更に思う。それよりも能力(ちから)の件だと切り替えた。

 

『面倒だな。もう俺、生まれ変わる気持ちが更々無いんだけど。それは選択肢に無いの?』

 

実は男はずっと言おう言おうと思っていたのだが、ソレのテンポは非常に悪いし、間髪居れずに話すしでタイミングが全く掴めなかったのだ。しかしここに来て遂に言えた事に男は心の中でガッツポーズをする。

 

『申し訳ありません』

 

しかしあっさり否定された。

 

『ふーん・・・なんで?』

 

当然の疑問だった。

 

『申し訳ありません』

 

『ふーん・・・』

 

あっさり拒否された。

男は当然深く考えることなく「なんか決まっているみたいだ。」と結論付けた。

そしてまた能力(ちから)に関して一応考えるフリをしてみたりするが、「する意味あるかこれ?」と一蹴する。

 

『ではぁ、能力(ちから)が決まったら呼んでくださぁい』

 

男はソレの話がここで終わりだと、返す刀で返事をする。

 

『いや、もう決まったよ。』

 

実は男の中で大分前から決まっていた。

最早コレしかないだろうと思っていた。

だから早々に考えを破棄し、無心に耽っていた。

 

『おぉやおやぁ?えらぁくお早いでぇすねぇ。そんな事でぇだぁい丈夫なぁんですかぁ?』

 

ソレはニヤニヤと下品に口を曲げる。

 

『考えるのは面倒だし苦手で何より大嫌いなんだ。どこまで譲歩してもらえるか判らないしそれは無理って言われたらまたゼロから考えなきゃいけないからなるべくある程度OKしてもらいたいんだけど・・・。俺が望む能力(ちから)は――――』

 

男はソレの見えていない目、目がありそうな部分を見つめる。

 

『ふむふむ~なぁるほどぉ。そりゃぁいいですねぇ。思考を汲み取る必要もなぁい程にわかりやすい能力(ちから)ですねぇ。よいでしょうよぉいでしょう。請け賜わりましたよぉ。』

 

『えっ!?いいの!?』

 

その言葉を合図にしたかのように、男とソレの中心から風が起こる。全く伺えなかったソレを覆っていた布が風で捲れ上がり、瞳があるべき場所が眩く光った所で男の記憶は一度終わる。

 

 

 

 

男が再度目を覚ました時、母親であろう女性に抱きしめられており、女性は涙を流しながら「生まれて来てくれて、ありがとう。本当にありがとう」と、何度も何度も男の誕生を祝福していたのだった。

 

 

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そんなこんなで、考える事が大嫌いな男が、考えて、考えて、考え抜いた(ちょっとだけ考えた)結果、与えられた能力(ちから)

 

 

その名も、

 

全知全能(ぜんちぜんのう)

 

 

全てに於いて余す事無く完全無欠に完璧で完成された完了形の絶対的で無敵な能力(ちから)

考える事が苦手で大っ嫌いな男が、どのような世界で生まれ変わっても卒なく生きて行けると、考える事を放棄して考えた出した、最強に楽をして生き抜いて行けるであろうと望んだ能力(ちから)

 

その力を貰って生まれ変わった先は、平和と言う二文字が大変良く似合う世界で、【全知全能(最狂の力)】の所為で虚無感(ひま)と言う名の最狂の敵(チートボス)と闘いながら、無意味に人生と言う名の砂時計が完全に落ちきるのをただひたすらにボーっと眺めるだけの日々だった。

 

 

今日までは・・・。

 

 

そう、この男は何故今の今までその考え(・・・・)に至らなかったのか?

全知全能(最狂の力)】を持ちえながら何故にこの答えに至らなかったのか?

人生はクソゲーと言いながら、虚無感と戦い、考えたくも無い事を考えさせられたりもして、何故もっと早くこの答えを考えなかったのか、と。【全知全能(ぜんちぜんのう)】が聞いて呆れる。

と、今までの自分に嘲笑を含んで自虐を繰り返してきた男だがそんな事は最早どうでも良いと頷く。

 

 

 

『【全知全能(絶対神)】よ、俺は問う。俺がこれから先の人生で【楽しくっ!!】生きていく為の方法を俺に示せ』

 

 

全知全能(絶対神)】は今までの14年間に唾を吐くように簡単に簡素に男の頭の中に答えを連ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【世界征服】 or 【トップアイドル】

 

 

――――この二択である。

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ・・・・ふふふ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

男は「愚問だ・・・」と呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界征服(こっちだ) or 【トップアイドル】

 

 

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男は数十余年(・・・・)ぶりの歪んだ笑みを浮かべると、【全知全能(絶対神)】は新たな法則(ルール)を世界に齎した。

 

 

「さぁ、舞台(ステージ)の幕は今あがった・・・【出演者(アイドル)】達よ・・・【演舞(ライブ)】の開演(はじまり)だ!!」

 

 

 

――サァ、オレヲ愉シマセテクレ――




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以上
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