続きが書きたいけど今はちょっと無理な作品置き場。 作:PL.2G
こんな寄り道ばかりですみません。
どうも画面の前の皆様。
『全知全能の偶像』こと、一ノ瀬騎士です。
今日はいつものアイドル世界ではありません。久し振りにベッドで眠りたくなり、仕事も終わりいざベッドで寝てからぴったり三時間。
目が覚めたら森の中でした。しかも俺が今まで見たことの無い場所です。
何がなんだかさっぱりなのですが、これから俺の新しい物語が幕を開けるのかと思うと、非常に不謹慎ですがワクワクしてしまいます。
志希は大丈夫なのか?仕事は・・・?なんて事考えるだけどうしようもないし考えたくもないから考えない。
正直な話をすれば【全知全能】でどうにでも出来るのでこの際放っておきましょう。すまん、志希・・・身勝手な兄をどうか許しておくれ。(おっけ~♪)
脳内で志希がサムズアップしてくれたので良しとする事とした。
「さて…」
まずはここが何処なのかを知る必要があるんだけど・・・、【全知全能】で知ってしまったらまったく面白くないから、今から【全知全能】は最低限だけ使うとしよう。
と言うより、【いろいろな意味で頑丈で強靭な身体】と【いろいろな意味で異常で発達した五感】があればある程度やっていけるでしょう。
「ん?人の気配?」
七キロ先・・・多分、森を抜けた辺りに人の気配。
「八人?いや、それと別に六人・・・金属のぶつかる音に、木が燃える音・・・」
それにもう一つ、
「悲鳴」
とりあえず
クラウチングスタートの格好を取る。
「位置について、ヨーイ・・・ドンっ!!」
ドンッ!!と後方に爆音を残し森の中をただただまっすぐに目の前に迫る樹木などはお構いなしに本当にまっすぐ突っ切る。
最初の一歩を踏み出す姿勢のまま、空中を進むこと二秒。
「到着っ!!」
今まさに剣を振り下ろしますといった姿勢で固まる欧風甲冑を着た人─取り合えず人としよう─と蹲る背中を赤に染めた女性の間にザザーッと地面を滑り砂埃を巻き上げ着地する。
「どうもこんにちは。言葉通じてます?通じて無い訳無いか。で、何してるんです?大の大人が女性に怪我させるなんてとてもじゃ無いけどいけない事ですよね?」
振り返り足元を見ると背中を大きく袈裟切りされた女性、そしてその子は腕の中のさらに小さな少女を護る様に抱きしめられて震えていた。
「なんだ貴様!!どこから来た!!」
「そっちの森からですよ。とりあえず色々聞きたい事はあるんですけど、先に」
そう言って俺は少女の背に手を翳す。
「まだどこか痛みますか?」
「え、あれ?」
「よし、じゃそこでじっとしててください。すぐに終わりますから」
そう言って俺は手を甲冑たちに翳す。
そのまま手を返し、親指と薬指を重ね、パチンと鳴らす。
瞬間、甲冑姿達はガラガラと音を立て膝から崩れ落ちた。
「へ?ええぇぇ!?」
「これでここは一安心かな?それで、この先に貴女の住む村が?」
「はっ、はい!!」
「まだ、さっきの奴らが何人か残っているから、それをどうにかしに行こうと思うので待っててください」
「は…ひっ!?」
「ん?」
彼女の視線の先、俺の後方。
すぐさま振り返ると黒い靄の様なものが空間から漏れ出し、次第に大きな口を開けていく。
ヌッと音も無く豪奢なローブを纏った身長の高い骸骨が歩み出て来た。
「おいおい、マジか。超楽しくなってきた」
予測不能、奇々怪々、亀毛兎角の事態に俺のテンションは駄々上がりの鰻上りで鯉の滝登りだ。(意味が滅茶苦茶だけど気にしない)
「む?貴様、先程の騎士達では無いな…誰だ?村人でも無さそうだが…」
「ん?日本語?それと、解りづらいかもしれないですけど俺の名前は騎士なんで、先程の騎士とは違うけど騎士です」
「ちょっと待て、今何と言った?日本語?って事はもしかしてユグドラシルを知っている人ですか!?」
長身の骸骨は突然敬語になった。なんと言うか営業マンみたいな感じだな。
「あー、それはちょっとわかんないですね、ごめんなさい」
「あー、そうなんですね。なんかこちらこそスミマセン」
長身の骸骨が頭に手を当て申し訳なさそうにぺこぺこと頭を下げる。もの凄くシュールだ。
「まぁ、積もる話は後って事で、とりあえず村?を救いに行きますけど、骸骨さんはどうするんですか?もしかして滅ぼしに来た系ですか?それなら本気で相手しますけど?」
「いやいや、ちょっと待ってください。俺もこの女の子が襲われてたのを見かけたからここに来たんですよ」
「それならよかった、じゃあ行きますか?」
「ちょっと待ってください。一応、彼女たちに防御魔法をかけて行きます」
「防御魔法?めっちゃファンタジーですね。楽しくなってきた」
防御魔法かぁ。この世界は完全に剣と魔法のファンタジーってやつなのかな?蘭子ちゃんが居たら興奮するかな?いや、こんな血生臭い現場だと興奮なんかしないか…
したらしたでそれはちょっと女子中学生としてどうかと思ってしまうな。
「魔法は使えないのですか?」
「いや、使えます」
うん、嘘は言ってない。
「
」
そう骸骨さんが唱えると、少女たちの周りにドーム状の薄い幕が張られた。
「うぉ、本当にゲームみたいだ」
「今の反応からするに騎士さんは俺とは違うタイプの魔法を使えるみたいですね?」
「まぁ、なんと言うか、エフェクトが無いと言いましょうか・・・とりあえず行きましょ?」
「そうですね、まぁ俺魔法職なんでタンク役が居ないと不安なんですけどね・・・」
そう言って人差し指で頭を掻き始める。ちょっとわからない単語が多すぎるから、困ったときの【全知全能】!!
「あぁ、盾役なら任せてください。こう見えて前衛職なんで」
胸を叩く。
「いやぁ、助かります」と言いながら長身の骸骨さんは「
すると俺の身体はふわりと宙に浮く。
「おぉ、飛んだ」
「では、村に向けGO」
上空から煙の上がっている方角を目指した。
8X―・・・・・・・・
「悲惨だな・・・」
「えぇ、そうですね」
二人で着地する。
「なっ・・・なんだお前たちは!!」
「どうします?そう言えば考えて無かったですね・・・」
「ちなみに騎士さんはこの辺の事詳しいですか?」
「あぁ、僕は先程ここに来たばかりなので・・・」
「まぁ、俺も似たようなものです」
「何をごちゃごちゃと話している!!!ええい、このリッチを殺せ!!!ついでに隣の変わった衣装の男もだ!!」
多分この隊のリーダーなのだろうやたら偉そうな男は吠える。
「骸骨さん、あの男を捕縛します。で、情報を引き出しましょう」
「それが良さそうですね」
「あいつの捕縛は任せてください」
そう言った瞬間、俺は奴の後ろに回り込み、首に手刀を落とす。
「かっ・・・――」
倒れる身体を支えてから地面にゆっくりと寝かせる。
「はい、OKです」
「はっ・・・はは。騎士さん、凄いですね・・・」
他の兵は今のを見て動きを止めた。
「さて?まだやるかい?」
俺は周りを囲む騎士たちに問いかける。
「う・・・うおおおぉぉぉぉーーーー!!!!」
「しまっ!?」
じりじりと後退る騎士の内の一人が剣を振り上げ勢い良く骸骨さんに向かって行った。
「がっ・・・」
しかし、次の瞬間にはその兵の頭が無惨にも地面に転がる結果となった。
「モモンガ様、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした」
デカい斧を携えた全身黒色の鎧を纏った兵が骸骨さんの前に跪く。
「しかしっ!?何故待っていて下さらなかったのですかっ!?わたくしの到着がもう少しでも遅ければ今頃あの下等生物の刃がモモンガ様のお身体に触れているところでした!!」
そう強く声を発した黒鎧さんは「はっ!?」と声を上げるとともに巨大な斧を地面に落とし両手を顔の前に持って行った。そう、『しまった』みたいな時のアレだ。
「う・・・うむ・・・、それは、その・・・まぁ、なんだ、助かった・・・。それと、先に行って悪かったな。許してくれ」
歯切れ悪く答える骸骨さん。
「い、いえ・・・そんな、悪いだなんてとんでもございませんっ!!あぁ、モモンガ様のお役に立ててわたくしはとても光栄にございます!!結果的にお守りする事が出来たとは言え、先程わたくしはモモンガ様に対し許可を求めずに意見具申を致しました。それに対しわたくしはどんな罰でも受ける所存にございます」
黒鎧さんはそう言うと正座をし、両手を膝の上に乗せ頭を垂れた。
うん、今のやり取りで分かった事は、まず首を落としたのはあの黒鎧さんって事と、骸骨さんの名前がモモンガって言う非常にカワイイ名前だって事と、あの黒鎧さんはモモンガさんの部下って事かな。
「いや、良いんだアルベドよ。勝手をした私が悪いのだ、よって私はお前の全てを許そう」
「寛大なお心遣い、感謝致します。・・・所で、そこに居る下等生物は如何致しますか?」
そう言ってアルベドと呼ばれた黒鎧さんは大きな斧を片手で持ち上げるとその切っ先を俺に突き付けて来た。
「僕の名前は一ノ瀬・騎士。今日たまたまこの世界に来ちゃっただけの一般人ですよ」
事実を述べる。
「やめろアルベド。この人は私の盾役として一役買ってくれたのだ、そして貴重な同郷の者なのだ。だからこれ以降の無礼は私が許さん」
「・・・はっ。畏まりました。大変、失礼を致しました」
なんかめっちゃアルベドさんから威圧を感じる。なにこれ楽しい。
「いえ、僕は特に気にしていないですよ。それにモモンガさんと同郷と言ってもがもがもあがもが・・・」
話の途中で骸骨さん、モモンガさんが俺の口を塞いで、小声で耳打ちをしてきた。
「(すいません騎士さん。アルベド
「(そうなんですか、わかりました。なんと言うか色々苦労していらっしゃるんですね。心中お察しします)」
「(その優しさが、今は骨身に染みますわぁ・・・まぁ実際は骨だけなんですけどね・・・)」
「(はぁ・・・)」
モモンガさん特有のギャグに何とも言えない気持ちになる俺。
「モモンガ様!!いささかその人間に近づきすぎな気が致しますがっ!!」
そう言いながらモモンガさんの左腕にしがみ付くアルベドさん。
「アルベドさんって、あれですか?その、モモンガさんの奥様ですか?」
モモンガさんにもアルベドさんにも、どちらにも受け取れる質問をする。
すると、
「もー、騎士様ったら、わたくしがモモンガ様の奥様だなんてぇ~♪バシバシッ‼‼やっぱりそう見えちゃいますか?見えちゃいますよね?そうですよね?そうなんですよね?ねっモモンガ様♡」
俺の肩をバシバシと勢い良くシバキながら内股で腰をクネクネさせそんな事を早口で言い始める。
「い、いや。ちょっ、なっ何を言ってるんですか騎士さん!!アルベドは、そのー、あのー、そうっ!娘みたいなものですっ!!僕のお嫁さんになんてそんなっ!!」
相当動揺しているのか、しゃべり方や声のトーン、口調がガラッと変わってしまった。
「モ・・・モモンガ、様?」
「(あぁー!!しまっったぁっ!!!)」
アルベドさんは驚いた口調でモモンガさんを見つめ、モモンガさんはそれを聞いて両手で頭を抱えて飛び上がる。
「それはその内結婚するって事ですか?」
でも俺はお構いなしに話を続ける。
正直、恋愛や結婚、彼氏彼女や夫婦と言う感情、事象、物事に関しては非常に興味があるのだ。
なんてったって俺には全然わからない世界だからなのである。
「騎士さんアンタ今の話聞いてましたっ!?どこをどう考えたらそんな話になっちゃうんですかねー!!!???」
「あぁ、何も考えてませんので、思った事すぐ口にしてるだけです」
「結婚・・・けっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚けっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン血痕結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKONけっこんケッコン結婚KEKKON・・・」
アルベドさんはカタカタと身体を震わせ、ブツブツと呟いている。
「おい、お前たちっ!!!」
しゃくりあがった声で呼びかけられた。
「「ん?」」
すると欧風甲冑の男が剣を構え、ガタガタと震えながら涙目で立っていた。
「あぁ、すっかり忘れてました。そう言えばこんな状況でしたね」
俺の左腕の中で気を失う男。
俺達を囲む十を超える騎士達。血を流し倒れる村人たち。
「にこやかに話している場合じゃなかったな」
調子を取り戻したのか、モモンガさんの口調が戻る。
「たっ、隊長をはなっ、離せっ!!」
未だカタカタを剣の切っ先を震わせ、それでも隊長を取り戻さんと俺達に勇猛果敢に問いかける。
「まぁ、別にこの人の命を取ろうって言うんじゃないよ?少~し質問をし尽くして、それからちゃんとこの人のお家に帰してあげるから。だから、ね?」
「ね?じゃなーいっ!!」
そう言って剣を振りかざし駆け出す騎士。
「んもう、別に命は取らないって言ってるのに、話を聞かない人たちだ」
そう言いながら指を鳴らす。
世界は静寂に包まれる。
静寂の世界の中、一人が声を発した。
「これは・・・
俺は振り返る。
「これで周りを気にせずに、ゆっくりとお話しできますね」
モモンガさんに
何とか今年中には本編進めたく思います。
と言い続けてはや何か月ですか、私。
本当に申し訳ございません。