続きが書きたいけど今はちょっと無理な作品置き場。   作:PL.2G

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なんか、少し捗っちゃったので投稿します。


東方第2話プラス

「ねぇねぇ普通じゃないニンゲン君。君の名前は?」

 

イナバが問いかけてきた。

頬に滲む血を袖で乱雑に拭いながら答える。

 

()()()()()四阿(あずまや)二十九(ひずめ)だ。よろしく、鈴仙(レイセン)優曇華院(ウドンゲイン)・イナバ。」

 

「うっわ。自分のフルネーム久々に他人(ヒト)の口から聞いたわ……っと、ヒズメ君ね。おっけ。じゃあ、私のスペカを避ける事が出来れば君の勝ちだよ。さっきまでのは準備運動。そしてここからが本番。もしも勝つ事が出来たら、普通って言葉を師匠に習う事をお勧めするよ。」

 

「じゃあ、勝たせて貰うとするよ。」

 

「その度胸は本物かな?それとも蛮勇かな?」

 

人差し指をこちらに向け他の指を握りこむ。たったそれだけの動作で自分の肌に張り付くような緊張感が襲ってくる。さっきまでただの可愛らしい手の筈なのに、今は本物の銃を突きつけられているみたいだ。

 

「バンッ!!」

 

小気味の良い可愛らしい声と共に銃弾の様な形と赤と白の丸い光弾がイナバの指から三六〇度四方八方に飛び交いだした。

光弾の幾つかが俺の眼前に迫る直前、イナバの眼が光弾越しに赤く輝くのが見えた。

 

「(来る。)」

 

途端、先程まで周囲を埋め尽くしていた光弾は、何事も無かったかのように鳴りを潜め、虚空へと消え失せた。

次の瞬間、見ていた方向とは別の方角から一発の光弾がまたも頬を掠め飛んで行った。

 

「これが…本気の幻朧(ルナティック)月睨(レッドアイズ)…」

 

体中から嫌な汗が噴き出す。

光弾を掠めた頬に汗が滴りヒリヒリとしてくる。

心拍と体温が異常に上がるのを感じる。

 

これは、危機感からか…?

 

いや、──違うな…」

 

心の中の自問に対し、無意識に声を出して答えていた。

 

「楽しんでいる。俺は、この状況が…楽しくて愉しくて仕方がないっ!!!」

 

今まで止まっていた歯車が、時間が、急速に動き出す。そんな錯覚を覚える。

俺は現実に目を向ける。

上下前後左右四方八方東西南北三六〇度何処も彼処からも、

不規則に変則的に無作為に容赦無く無尽蔵に、俺に向かい光弾が何処からとも無く現れ飛び交う。

それを避ける、除ける、よける!!

身体が軽い。光弾が何処から飛んで来るのか()()()()()()()()()。何故だか解らないけど判る。

その飛んで来る光弾をどう避ければいいのか、どう動けばいいのか、即座に思いつく。

そして、その思った通りに身体が動く。

その所為だろうか先程から身体がミシミシと若干の悲鳴を上げているが今は関係ないし気にしていられない。

俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()

本能がそう叫んでいる。だから何が何でも避けなければならない。避けなければいけない。

 

「だからっ!!どうしてっ!!避けられるんだよーっ!!」

 

紅い目の兎耳の少女、鈴仙・優曇華院・イナバは空中で地団駄を踏みながら吠える。

 

「知らんし解らん。ただ、さっきからとある言葉が頭の中をチラつくんだ。記憶が無いのに何故そんな言葉がチラついているのか俺には一切合切さっぱり全く全然わからない訳だが…それでもこれは真実だって感じるんだ。イナバ!悪いが俺はお前に負けるつもりは無い。なんてったって()()()()()()()()()()()()()()()()からなっ!!」

 

「むきーっ!!!ムカついた、もう怒った!!!泣いて謝ったって許してあげないもんねーだ。死んでも文句言うなよっ!!!!!」

 

そう言うと、イナバは深呼吸を数度行い、その目を閉じた。

死んだら文句は言えないだろ?と口にしようと思った矢先、そんな空気じゃなくなっていた。

あれだけ飛び交っていた光弾は、いつの間にか霧散し再度鳴りを潜めていた。

 

「ん?」

 

イナバはゆっくりと右手人差し指を前方に構え、左手を右手首に添える。

拳銃の握りを思わせた。

ゆっくりとイナバは瞳を開ける。

イナバの妖しく艶やかな紅い目が先程のものよりも深く、濃く、そして鈍く淡く輝きだす。

それを見た瞬間、まるで自分が縺れたのではないかと思う程に視界がぐらり、と蹌踉めく。

兎耳の少女、鈴仙・優曇華院・イナバは声高らかに叫んだ。

 

「月眼!!『月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)』」

 

「は?新しいスペカっ!?おいおい、ちょっと待てよ!?さっき言ってたルールはどうしたっ!?」

 

「ふふふ…さすがに面白いなぁ、ヒヅメ君は。因みに、鈴仙のしている事はルール上何の問題もないよ。」

 

その声が聞こえた瞬間、イナバの時が止まる。

いや、世界の時が止まった。

声のした方に目を向けると異常なほどに大きく見える月の輝きをバックに、完全に影と化している姫様であろう人物が、永遠亭の屋根の上でとんでもなく長い髪をなびかせて語る。

時が止まったこの世界で、夜風になびく髪の煌きが、異様なほどに綺麗に見えた。

 

「弾幕ごっこルール…()()()()()と弾幕ごっこをする場合、幻想郷に住まいし力ある種族または能力を保持した者達の使用できるスペルカードは一種とする。」

 

月の姫は人差し指を立てそう高らかに声を発する。

 

「はぁ・・・」

 

俺は静かに姫様の話を聞く。

 

「ヒヅメ君、君は──」

 

そこで言葉が切れたと思った瞬間、右耳に息が当たるほどの距離で姫様の声が聞こえてきた。

 

「──()()()()()()()()。」

 

ゾッとして俺は咄嗟に右を向く。

 

「──であると、私はそう思って居るよ。その反応速度は、実に…、いやはや、実に()()()()()()。」

 

そう言い終えると、ケタケタと笑いながら左手を高く上げヒラヒラと振りつつ縁側に向かい歩いて行く。

ふと、イナバを見るとバツの悪そうな顔をしながら頭を掻いていた。

 

「邪魔したな、鈴仙。続きを始めるといいよ。永琳、茶と菓子を。」

 

縁側にごろりと涅槃仏のように右手で頭を支え寝転がる姿勢を取ると、左手を持ち上げた。

その持ち上げた左手は何処からとも無く現われた八意さんの持ってきたせんべいをつかんだ。

 

「ふぁふぁふぃふぉのふぁふぁふぃふぇふぁふぃふぇふぉふぁふぉ。」

 

せんべいを口に含み喋りだすが何を言ったのか一切わからなかった。

 

「わかりましたー。」

 

イナバは返事をする。

 

「よく解るな」

 

「伊達にここに永い事住んでいないからね。じゃあ、仕切り直し。これが避けきれたらヒヅメ君の勝ちだよ!」

 

「勝ちは貰うぞ。」

 

 

──────

 

 

「ふむ…永琳。どっちが勝つと思う?」

 

「姫様のご想像と同じですよ。」

 

永琳は間髪入れずに微笑みながらそう答えた。

 

「そうか…それは困った。それだと賭けには出来ないな?」

 

「姫様、そもそも我々には掛けるものなんて無いじゃないですか。」

 

頬に手を当てほとほと困ったようにそう語る永琳。

だが、永琳はきっと私の答えをわかっていてこう答えているのであろう。

ならばその児戯に付き合うのも一興と言うものだ。

 

「掛けるものならあるさ。」

 

「あら、いったい何を?」

 

クスクスと微笑む。

 

「ヒヅメくんの所有権さ。」

 

「まぁ、姫様は余程気に入ったのですね、彼が。」

 

演技をする気もない程抑揚のない科白だった。

 

「化け物が()()()()()を過ごし続けて居れば、異様な物に恋い焦がれてしまうのはなんら可笑しな事では無い。そういうものだろう?」

 

「それも、そうですね。」

 

その言葉を聞いて、茶を啜る。

ふと空を見上げると、こちらを覗き見る(こきょう)が見える。

今宵の月はなかなかどうして忌々しい程に美しいことか……。

 

 

──────

 

 

あのニンゲン(ヒヅメ)はおかしい。

 

 

私のスペカを悉く避ける。

最早普通のニンゲンでは無いと判断したので最終兵器の『月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)』を展開した。

 

しかし、今もなおニンゲンは避け続けている。空を飛んでも居ない、地面に二本の足で固定されているだけのニンゲンに。

地面で避ける場合、実は空で避けるよりも難しいと思っている。

弾幕は何故か地中に展開ができない。そのため、空中では足下側に展開するはずの弾幕が地面より上に展開されることになる。

簡単に言えば地上でよける場合は空中戦と比べて弾幕の密度は倍になる。それをあのニンゲン(ヒヅメ)()()()避け続けている。

認めたくは無いが、ここまでやられては最早私に勝ち目は無いだろう。

 




来年内,活動を再開したく思ってます。
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