「ランスロット……だと? おい、テメェ! それはどういう事だ!? アイツは一体何なんだ!?」
俺の呟きを聞いたモードレッドが怒鳴り声を上げる。その顔には、彼女の性格を考えればやはりというか、強い怒りの表情が浮かんでいた。
「ジーク……彼はユグドミレニアが創造したホムンクルスだ。だけど以前死にかけていて、俺は彼を助けるために、剣の戦争で手に入れたランスロットの霊基と聖杯の魔力の一部を与えたんだ。彼の変身はそれが原因だと思う」
「ホムンクルスにサーヴァントの霊基と聖杯の魔力を与えたぁ!? 無茶苦茶するなぁ、おい!」
モードレッドの剣幕に思わず俺が事情を説明すると、それを聞いた獅子劫さんが呆れながら驚いた声で言い、モードレッドが苛立った声で吐き捨てるように言う。
「ッタク! 円卓の穀潰しがどうなろうと心底どうでもいいが、もうちょっとマシな使い方をしやがれ! 厄介なもんを作ってんじゃねぇ!」
「Arrrrーーー!」
モードレッドの言葉に反応して、ジークだったランスロットは虚空から
「ッチ!」
「Aーーーrrrr!」
それに対してモードレッドも自身の剣を虚空から取り出し、ランスロットの剣を受け止める。その後もランスロットは何度もモードレッドに向けて剣を振るうが、彼女はそれを全て受け止め、弾き返すと獰猛な笑みを浮かべる。
「ハッ! 狂ってはいるが剣の使い方は忘れていないようだなぁ? ああ、間違いない! その太刀筋! 間違いなくお前はアイツだ! あのイケ好かない寝取り野郎だ! ……だったら俺も本気でヤらないとなぁ!?」
「ーーーーー!?」
モードレッドはそう言うと、一瞬で全身鎧を身に纏った姿となり、それを見たランスロットの動きが止まった。しかし……。
「A……! Arrrrrrrrrr!」
ランスロットの動きが止まったのは一瞬で、すぐにランスロットは先程以上に激しい動きでモードレッドに斬りかかった。これって全身鎧姿を見た事で相手がモードレッドだって分かり、昔の記憶が刺激されたからか?
「どうやら俺が憎いみたいだがそれは俺も同じだ! お前だけは絶対にブッ殺す!」
互いに怒号を上げながら激しい斬り合いを行うランスロットとモードレッド。
そんな二人の斬り合いは、正に英霊同士の戦いに相応しかった。そしてそれを見て俺と頼光さんは一つの結論に達した。
「これは良くない流れですね」
「そうですね」
つまり「ランスロットが負ける」という結論に。
今はランスロットもモードレッドも互角の戦いをしているが、それは今だけだ。いくらジークが所有魔力に優れたホムンクルスだと言っても、ランスロットの姿で戦うために消費される魔力は尋常ではない。そもそもあの変身は全く予想もしていなかった完全な暴走で、当然術式なんて安定しておらず、モードレッドと打ち合う度にランスロットの霊基がグラついているのが分かる。
このままだともってあと二 、三分くらいでジークの変身が解け、彼はモードレッドに殺されてしまうだろう。
ジークを殺させる気なんて最初からない俺が頼光さんを横目で見ると、彼女も同じ気持ちだったようで、こちらに視線を合わせて小さく頷いてくれた。
「援護、お願いします」
「承知!」
俺の言葉に頼光さんは短く答えると、ランスロットと斬り合っているモードレッドへと向けて高速で駆け寄り、彼女に斬りかかった。
「っ!? 危ねっ!」
ランスロットとの戦いに集中していたモードレッドだったが、頼光さんが刀を振り下ろそうとした直前に気付き、間一髪で頼光さんの斬撃を回避した。
「何の真似だ!? 邪魔をするんじゃねぇ!」
「そうはいきません。この子を死なせるわけにはいきません。よってここからは私も戦わせてもらいます」
モードレッドが仮面の奥から苛立った声を出してくるが、頼光さんはそれに刀を構えて答える。ランスロットはモードレッドしか見ておらず、頼光さんに斬りかかる心配はなさそうだった。
これでいい。頼光さんだったらモードレッドが相手でも遅れを取ることはないだろう。
……と、なると俺の相手はやっぱりあの人か。
「………」
俺は頼光さんがランスロットの援護に入ったのを見届けると、先程からこちらを見ている獅子劫さんの方へ視線を向けた。
モードレッド対ランスロット。
この展開を書きたかったために、剣の戦争の設定を考えました。
正直、やり過ぎで強引すぎる気もしますが、反省も後悔もしておりません。