転生したらバーサーカーのマスターになりました。   作:兵庫人

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タグに「主人公はチート」をつけることにしました。
あと、今回の話に留人が剣の戦争で契約したサーヴァントのヒントがあります。


017

「っ! マスター!?」

 

 俺が放った勾玉の爆発が獅子劫さんを飲み込んだのを見て、頼光さんとランスロットの二人と戦っていたモードレッドが声を上げる。

 

 安心してくれ、モードレッド。獅子劫さんは別に死んでいないよ。勿論無事でもないけれど、これでここから離脱するなり、獅子劫さんを捕まえてミレニア城塞へ連れていくなり、事を進めやすく……。

 

「……何?」

 

 爆撃が上手く決まって獅子劫さんを戦闘不能にできたと思っていた俺だったが、爆煙が風で晴れると、そこには獅子劫さんの姿はなかった。……どういうことだ? 獅子劫さんは一体どこに行ったんだ?

 

 

「やれやれ。どうやら間に合ったようだな」

 

 

 俺が獅子劫さんを探していると、少し離れた場所から女性の声が聞こえてきた。声が聞こえてきた方を見ると、そこには頭に獣の耳を生やした女性と、彼女に服を掴まれた獅子劫さんの姿があった。

 

 あれは……アタランテ? 状況から見て、彼女が獅子劫さんを助けたみたいだけど、何で彼女がここにいる?

 

「う、うう……。アンタは……?」

 

「私は『赤』のアーチャー。神父の命でお前達の様子を見に来たのだが、到着してみればお前が殺されそうだったのでな、こうして助けたわけだ」

 

「なるほどな……。それならもっと早く来てほしかったが……とにかく助かったぜ。ありがとうよ」

 

 獅子劫さんが質問をすると、アタランテは表情を変えることなく答えて掴んでいた彼の服を離し、獅子劫さんは苦笑をしながら礼を言う。

 

 しかしここでアタランテの登場か。これはいよいよまずいな。そろそろランスロットの方も限界のはず……?

 

「Aーーーrr………!」

 

 俺が視線を向けると案の定、ランスロットは限界に達してしまったらしく、漆黒の全身鎧は霧となって霧散し、元のジークの姿へと戻った。

 

 仕方がない……。もう「切り札」の一つを使うしかないな。本当はカルナやアキレウス用の切り札だったのだが、この状況では使うしかないだろう。

 

(頼光さん。今から『切り札』を使います。頼光さんはジークを守ってあげてください)

 

(分かりました)

 

 念話を頼光さんに飛ばすと、すぐに彼女からの返事が返ってきた。

 

 これで切り札を使う準備は整ったのだが、その前に一つ言っておきたいことがあった。……アタランテに。

 

「なぁ、『赤』のアーチャー。一つ言ってもいいか?」

 

「何だ、『黒』のマスターよ?」

 

「……お前さぁ、自分だけが被害者みたいな顔をしてルーラーに八つ当りするのはやめろよ」

 

「何? 八つ当り?」

 

「私に、ですか?」

 

 俺が前世からアタランテに言ってやりたかった言葉を言うと、アタランテと今まで黙って戦いを観戦していたジャンヌが揃って首を傾げた。

 

 原作では「黒」のアサシンとして召喚されたのは、ジャック・ザ・リッパーという生まれる前に死んでしまった子供の怨霊の集合体だった。そしてアタランテは聖杯大戦中にジャックのマスターを殺害してジャックにも手傷を追わせたのだが、それが原因となってジャックは完全な怨霊となって暴走してしまい、最後にはジャンヌの祈りの力で成仏させられた。

 

 子供の頃に愛された事がなかった経験から、子供を愛することに尽力していたアタランテは、ジャックという子供を成仏……殺したことからジャンヌを心底憎むようになってつけ狙うようになったのだ。

 

 俺はこの原作での、アタランテがジャンヌを狙う行動が納得できなかった。

 

 アタランテの願いや子供を大切にしようとする気持ちは嫌いではないのだが、ジャックが暴走した原因を作ったのは彼女だし、彼女も最初はジャックを殺そうとしたのも事実だ。それを棚に上げてジャンヌだけが悪いように責めるアタランテの言動がどうしても好きになれず、顔を会わせる機会があれば、今の言葉を言ってやろうと思っていたのだ。

 

「『黒』のマスターよ。八つ当りとはどういう意味だ」

 

「別に気にしないでください。俺のも単なる八つ当りで……ただちょっと言ってみたかっただけですから」

 

 さて、言いたいことも言ったし、そろそろ始めようか。

 

「っ!? マズイ! 留人を止めろ!」

 

 心の中でそう呟くと俺は切り札の一つ、大きめの勾玉をポケットから取り出し、それを見た獅子劫さんが血相を変えて叫ぶ。……だけどもう遅い。

 

「解放されろ、俺の世界」

 

 俺がそう呟くとポケットから取り出した勾玉が強い光を放ち……。

 

 

 次の瞬間、「世界が変わった」。

 

 

 先程まで周囲の景色は建物一つない夜の道路だったのに、今は上を見れば雲一つない晴天の中央に太陽が輝き、下を見れば宝石のように磨き抜かれた勾玉が数えるのも馬鹿らしいほど無数にあって、地面を覆い尽くしている。更に勾玉の地面には、様々な形状をした光輝く武器が数多く突き刺さっており、太陽と武器の光を勾玉が反射して、地面自体が光を放っているように見えた。

 

「な、何だこれは……!?」

 

「『固有結界』だ」

 

 突然周囲の景色が変わったことにアタランテが驚いていると、額に冷や汗を流した獅子劫さんが彼女の質問に答えた。

 

 固有結界。

 

 それは術者の心象風景を外界に再現させて、文字通り「世界を変える」大魔術。自身の心象風景である固有結界の中ならば、固有結界を作り出した術者はほぼ無敵に等しい。

 

 そして俺は、事前に固有結界の術式と展開に必要な魔力を勾玉に封じておくことで、戦闘時にノータイムノーコストで固有結界を展開することができるのだ。

 

 これが俺の二つある切り札の一つ。

 

 その名も固有結界「偉大なる過去と宝の大地(ヴィシュヌ・パージュー)」だ。

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