傷心のまま残った聖昌石と聖昌片をかき集めて十連ガチャを回したら、一回で魔王信長が来てくれました。
時は少し遡る。
ジークとジークフリート、カウレスとフィオレの四人は、奇襲を受けて重傷を負い、気絶しているゴルドの前に立って、「赤」のセイバーであるモードレッドとそのマスターである獅子劫界離と対峙していた。
「よぉ、久しぶりだな? テメェとはもう一度会いたいと思っていたんだぜ?」
モードレッドがジークに向けて獰猛な笑みを浮かべる。どうやらジークの中にランスロットの霊基があることに思うところがあるらしく、獅子劫はそんなモードレッドを横目で見てから肩をすくめてジークに声をかけた。
「何というかお前も大変だな? よりにもよってウチの王様に目をつけられるなんてよ」
「……いや、むしろ好都合だ」
「何?」
獅子劫の言葉にジークは、モードレッドの姿を見たせいで、今にも暴走しそうな自分の中にあるランスロットの霊基を抑えるように、胸に手を当てながら答え、それを聞いた獅子劫とモードレッドが怪訝な顔となる。
「俺は仲間達の為に大きな手柄を必要としている。だから強い敵と戦える機会が訪れるのは、俺としては願ったりかなったりだ。……例え俺では到底敵わなくても、それでも戦いを挑むだけの価値はある」
「……仲間達の為に大きな手柄ねぇ? まるで一人前の騎士みたいなことを言うじゃねぇか? だが分かっているのか? この俺と戦うってことは、お前は手柄を上げることなく死ぬ、犬死に以外の未来はないんだぞ?」
獰猛な笑みを浮かべていたモードレッドが若干不機嫌そうな表情となって、そして声に僅かな殺気をのせて言う。その殺気を感じて、ジークの後ろにいたカウレスとフィオレは気圧されて一歩下がるが、当の本人であるジークは殺気を浴びても気圧されることなく、強い決意を感じさせる顔で口を開いた。
「そんなことはやってみなければ分からない。さあ、かかって来い『赤』のセイバー! マジカル傭兵ゴーライオン!」
「いやちょっと待て!?」
ジークフリートの横に立ち、戦う覚悟を決めたジークの言葉に獅子劫が待ったをかける。……何と言うか、今のジークの言葉のせいでこれまでのシリアスな空気が即死した。
「何だそのマジカル傭兵ゴーライオンってのは!?」
獅子劫の言葉にジークは首を傾げて答える。
「何だ……って、マスターが貴方のことをそう呼んでいたが? 確か……『獅子劫さんは死霊魔術を高いレベルで戦闘に利用しているプロの傭兵だから、決して油断しては駄目だ。その実力は正にマジカル傭兵ゴーライオンといった感じで、むしろマジカル傭兵ゴーライオンこそが本当の名前だ』と言っていたが?」
「留人のヤロウ……!」
留人がジークに言った忠告(?)は、獅子劫の実力を認めて敬意を表したものなのだが、内容が内容なだけに当の本人は全く喜ぶ気になれず、次に留人と会ったら必ずシメると固く心に誓う獅子劫であった。
「……全く。ジークに何を教えているんだよ、アイツは?」
「ねぇ、カウレス?」
ジークと獅子劫の会話を聞いて思わず呆れた顔となるカウレスに、フィオレが話しかける。
「どうしたの、姉さん?」
「あの人の名前って獅子劫界離じゃなかったの? マジカル傭兵ゴーライオンが本当の名前だったの?」
「………姉ちゃん」
首を傾げながら聞いてくるフィオレの天然な一面を見て、カウレスは全身から力が抜けた気がした。
ここにはいない一人の「黒」のマスターのせいで、戦闘が始まる直前だった張り詰めた空気は、最早完全にぐだぐだになってしまっていた。