「え~と……? それでマスター? 獅子劫とゴーライオン、本当の名前はどっちなんだ?」
「獅子劫界離に決まってるだろ!? てか、召喚した時にもそう自己紹介したろ!?」
冗談ではなく本気で困惑した顔になって聞いてくるモードレッドに、獅子劫は思わず大声で答える。まさか「マジカル傭兵ゴーライオン」なんて面白ニックネームが本名だと思われたかと思うと、獅子劫は本気で落ち込みそうになった。
「あー、やっぱりそうか……。ちぇ、ゴーライオンの方がカッコいいのに……」
「おい? お前、今何て言った?」
後半は小声で言ったモードレッドの発言を獅子劫は問い質そうとするが、モードレッドはそれを無視して持っていた剣の切っ先をジークに向ける。
「さぁて、楽しいお喋りの時間は終わりだ。さっさとあの
「……いいだろう。セイバー、彼らを頼む」
「分かった」
ジークはジークフリートにカウレスとフィオレ、そして気絶したままのゴルドの事を頼み、彼の返事を聞くとモードレッド達の前に進み出る。
「行くぞ! 我が内に眠る騎士よ! どうか力を与え給え!」
「来やがったか……て、何っ!?」
「こいつは……?」
ジークが自らの内側にあるランスロットの霊基に命令を送った次の瞬間、彼の体に変化が起こった。しかしその変化は前回の変身とは異なっており、それを見たモードレッドと獅子劫は揃って驚きの声を上げた。
前回の戦いで変身したジークは、体格が変わって漆黒の全身鎧を纏い、魔剣へと転じた聖剣を手に持つ「狂戦士のランスロット」となっていた。
しかし今回の変身したジークは体格は変わっておらず、漆黒の全身鎧ではなく純白の全身鎧を纏い、魔剣に転じる前の聖剣アロンダイトを両手に構えた「騎士ランスロットの姿を借りたジーク」となっていたのだ。
これにはモードレッドと獅子劫だけでなく、ジークフリートとカウレスとフィオレまでもが驚きを隠せないでいた。
「その姿は……! ジーク、お前、ランスロットの力を制御できるようになったのか!?」
「いいや。まだ完全じゃない」
カウレスの質問に、ジークはモードレッドと獅子劫から視線を逸らすことなく首を横に振って答える。見ればジークの体から時折、黒い静電気のようなものが走り、黒い静電気が走る度にジークは自分の体の自由が奪われそうになって、体を僅かに震わせる。
「……どうやら俺の中にいるランスロットとモードレッドの因縁は、予想以上に深いみたいだ。こうしてモードレッドを見ているだけで、体が勝手に暴れだしてしまいそうだ」
「……」
そう言うジークの視線の先では、最初こそ驚いていたが、今は完全にジークを自分が倒すべき「敵」と定めたモードレッドが無言で剣を構えていた。
「だから……。この体が暴走する前に……アイツを倒す!」
そしてジークは、地面が爆発するような力強さで地面を蹴り、モードレッドへ向かって突撃した。