転生したらバーサーカーのマスターになりました。   作:兵庫人

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「ルーラーよ。今、そなたは第三次聖杯戦争で天草四郎がルーラーとして召喚されたと言ったが、それはそなたのように、監督役として聖杯に召喚されたという意味か?」

 

「いいえ、王よ。第三次聖杯戦争の時、ルーラーのサーヴァント、天草四郎はアインツベルンのマスターによって召喚されていました」

 

 ランサーはジャンヌに質問するのだが、質問に答えたのは彼女ではなくダーニックで、その表情は第三次聖杯戦争の時のことを思い出しているのか非常に険しかった。

 

 まあ、他のサーヴァントの真名を看破したり、自らも十画以上の令呪を所有しているルーラーと契約したマスターなんて反則もいいところだから、それと戦った記憶なんて思い出したくもないだろう。

 

「ふむ……。ダーニックが言うのなら間違いないだろうが、それにしても、何故東洋の英霊であるはずの天草四郎を、ルーラーとして召喚することができたのだ?」

 

 ダーニックの言葉にランサーが口にする。その疑問はこの場にいる全員が思っていたことだ。

 

 基本、ルーラーに選ばれるのは聖杯に対する願いを持たず、聖杯を求めない英霊で、魔術師と契約をして聖杯戦争に参加することはない。だからこそルーラーは聖杯戦争の監督役となり、その為の令呪を与えられるのだ。

 

 更に言えば聖杯戦争のサーヴァント召喚のルールでは、東洋の英霊は召喚の対象外とされており、天草四郎は二重の意味で召喚されるのがありえない英霊なのである。

 

「これは私の推測なのですが……。アインツベルンは聖杯戦争を開催した御三家の一つで、聖杯のシステムを担当していました。そしてサーヴァントを召喚するのは聖杯の役割で、アインツベルンのマスターは聖杯のシステムに干渉することで、東洋の英霊である天草四郎をルーラーとして召喚したのでしょう」

 

 そこまで言うとダーニックは俺と頼光さんの方を見てきた。え? 一体何?

 

「留人。お前が天草四郎と同じく東洋の英霊であるバーサーカーを召喚することが出来たのも、きっとアインツベルンによる聖杯のシステム干渉によるものだろう」

 

 ああ、成る程。第三次聖杯戦争でアインツベルンが東洋の英霊も召喚できる様にしたから、俺は頼光さんを召喚出来たってことか。そう考えると、そのアインツベルンのマスターには感謝しなくちゃいけないのかな?

 

「天草四郎は、『黒』の陣営が所有している大聖杯を使って人類の救済を実行すると言っていました」

 

「人類の救済、か……。聖人らしい願いではあるが、随分と大きな願いを掲げたな。それでその人類の救済とは、一体どのような過程によるものなのだ?」

 

 ジャンヌの言葉にランサーは、彼女に天草四郎が一体どのような過程をもって人類を救済するつもりなのか質問する。聖杯とは自らに集束した膨大な魔力をもって因果律を歪め、過程を無視して所有者の願望を実現させる願望器であるため、所有者が考える願いを叶えるまでの過程によれば、世界に大きな影響を与える可能性があるのだ。

 

 しかし、ジャンヌはランサーの質問に首を横に振る。

 

「いいえ、私はそこまでは聞いていません。しかし私が見た限り、天草四郎は今を生きる人達に一切の期待を持っていないようで、彼が大聖杯を使用すれば、世界に大きな影響を与えるでしょう」

 

『『……………』』

 

 ジャンヌがそう言うと、この場にいた全員が緊張した表情になって沈黙するが、俺はそれも仕方がないと思う。今まで俺達が行っていた聖杯大戦は、規模は大きいが、それでも魔術師の世界によくある抗争の一つだ。それがいきなり世界の一大事と言われたら、驚くしかないだろう。

 

「天草四郎は、最初は私にも人類の救済に手を貸すように言ってきましたが、それに断ると、すぐさま私を排除しようとしてきました。そこをここにいる『赤』のセイバーと、そのマスターである獅子劫さんに助けられて、今に至ります」

 

 なるほど。それでジャンヌと獅子劫さん達が一緒にいたわけか。

 

「『黒』の陣営の皆さん。そして獅子劫さん。私は聖杯大戦の監督役として、皆さんに『赤』の陣営……いいえ、天草四郎と彼に従うサーヴァントを倒す協力を要請します」

 

「うむ。そういう理由であれば余としては断る理由はない。お前はどうだ、ダーニック?」

 

「私も同じ意見です、王よ。元より『赤』の陣営は、我ら『黒』の陣営の倒すべき敵。断る意見などございません」

 

 ジャンヌが口にしたのは、俺の予想通り天草四郎を倒すための協力要請で、それを「黒」の陣営のトップであるランサーとダーニックが了承する。

 

「……獅子劫界離とそのサーヴァントよ。今までお前達とは戦ってきたが、今回は事情が事情だ。同じ仲間として戦う以上、その力をあてにさせてもらうぞ」

 

「へいへい」

 

「……ふん」

 

 同じ敵と戦う仲間にしては、友好のかけらも感じさせない目で見ながらダーニックが言い、それに獅子劫さんが口元に笑みを浮かべて答え、モードレッドが兜の下で鼻を鳴らす。

 

 思わぬ形で新しい戦力がやって来て心強いのだが、「赤」の陣営にいるサーヴァントは、どいつもこいつも一癖も二癖もある油断のできない英霊ばかりだ。さて、最早原作なんて完全に崩壊したこれから先、一体どうなるのだろうか……?

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