転生したらバーサーカーのマスターになりました。   作:小狗丸

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ネットやFateの本を調べて、作者の地元と頼光さんの本拠地が同じ事から今回の話を書いてみました。


005

 お好み焼き。

 

 水に溶いた小麦粉の生地に野菜・肉・魚介類など好みの材料をいれて、鉄板の上で焼き上げてからソース・マヨネーズ・青のり等の調味料をつけて食べる日本の料理である。

 

 お好み焼きとは非常に奥深い料理だ。誰でも簡単に作れる料理だからこそ、作る人の腕前や材料によって味が大きく変わり、それ故に多くの日本人に慕われている料理の一つとなっている。

 

 つまり何が言いたいかというと、お好み焼きは聖杯にも劣らない良い文明。異論は認めない。

 

「いや、ちょっと待て! いきなり何を言い出すんだお前は!?」

 

 俺が自分の部屋で頼光さんが焼いてくれたお好み焼きを食べて持論を語っていると、食事に誘った親友のカウレスが突然大声を出してきた。

 

「いきなりどうしたんだ親友? いくら眼鏡キャラだからって、○っつぁんみたいなツッコミキャラにならなくてもいいんだぞ?」

 

「ぱっ○ぁんって誰だよ、ぱっつぁ○って!? そうじゃなくて何で俺はここでお前達と昼食をとっているんだ!?」

 

 俺の言葉に反射的に返事をするカウレス。こうしてみるとカウレスってやっぱりツッコミキャラの素質あるよな。

 

「俺はこれから予定があって、その準備に忙しいのに強引に連れてき「はい、カウレスさん。できましたよ」……」

 

 カウレスは若干興奮しながら俺に何かを言おうとするのだが、その直前に頼光さんが新しく焼けたお好み焼きを彼の前に置き、カウレスは笑みを浮かべて料理をすすめてくる頼光さんの顔をしばらく見た後、毒気が抜かれた様な顔となって自分の分のお好み焼きを一口食べる。

 

「どうだい、親友? 味の方は?」

 

「不味くはない……というか美味しい、と思う。生地が脆すぎるけど日本のピザみたいなものか?」

 

「良かった、気に入ってくれたようですね。私もマスターから作り方を聞いた時からこの料理を気に入っていて、美味しいと言ってもらえて嬉しいです」

 

 カウレスの言葉に頼光さんが嬉しそうに言う。やっぱり頼光さんも関西人だからね。例え作るのが初めてでもお好み焼きを気に入ってくれたようだ。

 

※頼光さんは生前、摂津国(現在の兵庫県)を拠点としていた。

 

「まあ、このオコノミヤキ? は美味しいんだけどさ。ここにあるライスは何なんだ?」

 

 そこまでカウレスはお好み焼きの横に置かれた白米を見る。

 

「正直、炭水化物と炭水化物を一緒に食べる意味が分からな「それ以上は駄目だ親友! 関西人、特に大阪と兵庫の人を敵に回すぞ!」うわぁ!? ご、ゴメン……? ってカンサイジン?」

 

 カウレスが危うく言いかけた暴論を俺は辛うじて止めた。全く、いくらお好み焼きを食べるのは初めてだからって、なんて事を言おうとするんだ、この親友は?

 

 関西ではお好み焼きはオカズ。そしてご飯とお好み焼きの組み合わせは最高だ。(暴論)

 

 その後、食事を終えるとカウレスは俺の方を見て口を開いた。

 

「それで? どうして俺を強引に昼食に呼んだんだ? 食事ならそこにいるサーヴァントと一緒にすればいいじゃないか?」

 

「そんな寂しいこと言わないでくれよ、親友。これからしばらく一緒に聖遺物を探すんだからさ」

 

「何? どういうことだ?」

 

「いや、実は親友のお姉さんのフィオレさんに聞いたんだよ。親友にも令呪が宿ったって」

 

 今から一時間くらい前、ここにフィオレさんが訪ねてきた。フィオレさんはカウレスに令呪が宿ったことを知らせてくれると、それと同時に彼がサーヴァントを召喚するための聖遺物を探す旅に出ることも教えてくれたのだ。カウレスが最初に言っていた予定とはこの聖遺物探しの旅のことである。

 

 そしてフィオレさんは俺と頼光さんにその手伝いをするように頼んできたのだ。ご丁寧にダーニックと「黒」のランサーの許可までとってまで。ちなみに当の本人は俺にカウレスの事を頼むと、すぐに自分もマスターに選ばれる為に聖遺物を探す旅に出てしまった。

 

「姉ちゃんめ……。余計なことをして……」

 

「まあ、そう言うなって。フィオレさんも親友のことが心配なんだって。それで親友はどんなサーヴァントを召喚するか希望と当てはあるのか?」

 

 フィオレさんの行動にカウレスは少し不満そうな表情を浮かべたが、俺はそれを宥めるとどんなサーヴァントを召喚する予定なのか聞いてみた。

 

 原作のカウレスは今のように他のマスター候補よりも先に令呪が宿って、不本意ながらも聖杯大戦に参加するが、本人の魔術師としての力量はお世辞にも高いとは言えなかった。だから彼は理性と引き換えに全てのステータスを向上することができるバーサーカーを召喚することを選んだのだが、ここでは俺がバーサーカーの頼光さんを召喚してしまったので、カウレスが聖杯大戦でバーサーカーを召喚することはない。

 

 俺が参加した剣の戦争は、サーヴァントの全てがセイバークラスだったがあれは特例中の特例で、普通同じクラスのサーヴァントが召喚されることはないのだ。

 

「……とりあえず目当ての英霊の当てはある。俺はアサシンのマスターになるつもりで、目的のサーヴァントはアサシンらしい逸話も持っているから 、多分アサシンとして召喚できるはずだ」

 

「アサシン?」

 

 俺が聞くと、カウレスは自分の右手に宿った令呪を見て頷いた。

 

「この令呪が宿ってすぐ、俺はダーニックさんに呼ばれて言われたんだ。姉ちゃんは俺と同じようにマスターに選ばれる。だから聖杯大戦では姉ちゃんのサポートに回れって。俺も姉ちゃんは必ず『黒』のマスターに選ばれると思うし、家族の助けになることは不満はないさ。……でも留人、俺はお前や姉ちゃんみたいに魔術師として優れているわけじゃないから、普通にサーヴァントを召喚しても満足なサポートはできない。だからアサシンのマスターになろうと思ったんだ」

 

 カウレスの考えを聞いて、俺だけでなく頼光さんも納得したように頷いた。

 

 確かにアサシンだったら戦術次第でステータスが上回っている相手を倒せる可能性もあるし、フィオレさんのサポートだけに専念するのだったら、原作のバーサーカーよりもアサシンの方がいいのかもしれない。

 

 だからカウレスのアサシンのマスターになるという考えは大いに納得できる。……できるのだが。

 

 これってどんどん原作からズレてきているよな。原作開始前から原作崩壊待った無しじゃないか。


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