山吹色をもっと濃く   作:スタプレ

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怖いからアンチヘイトのタグも付けました。

2章ラストです。


7話 ホントの壊れるの意味

 

曲「......さーや。」

 

ポピパの他の4人は怯えて声が出てない。そりゃ親友の1人が包丁持って登場して冷静でいられる方がおかしい。

 

悲しみの〜向こうへ...ってふざけてる場合じゃない。

 

沙綾「何してるの曲。まさか浮気?」

 

曲「う、浮気!?」

 

待て!そもそも付き合っていたのか?

 

トントンと一段ずつ降りてくる沙綾。蔵は地下だから逃げ場は当然ない。

 

曲「何...するつもりだ?」

 

落ち着いて会話しようにも口も震えて思った通りに喋れない。

 

沙綾「消すの。」

 

彼女は無表情で答える。

 

曲「消す...俺をか?」

 

沙綾「何言ってるの?あなたを消す理由がないじゃない。」

 

もはや口調も変わってる...

 

曲「まさか...」

 

不味いな...最悪俺を殺すつもりはないから警察に電話して時間を稼ぐしか...

 

携帯はどこやったけ?

 

しかしいくら探しても携帯は見つからない。

 

曲(しまった...バッグの中だ。)

 

ここで大声出しても興奮させるだけだ!

 

沙綾「だからどいて曲♪」

 

沙綾が初めて笑った。でもそれはいつもドキッとさせるものじゃなく、魔女みたいな不気味な笑顔だった。

 

少し振り返ってみるともう腰を抜かしてる。おたえだけは平然を装っているが、ビビってるのがバレている。後の3人は文字通りの真っ青だな。

 

沙綾「どいてよ曲。」

 

曲「どかないよ。」

 

沙綾「...邪魔しないでよ。刺しちゃうよ?」

 

曲「何がしたいか分かるからどくことは出来ないな。」

 

沙綾「ふーん...っそ。」

 

そして包丁を構えた沙綾は直立不動の俺に目掛けて走ってきた。

 

有咲「危ない!」

 

しかし気づいた時はもう沙綾は間近にいた。

 

『キャー!!!』

 

色々な悲鳴がこだまする。

下に目をやると包丁が体から生えてるように見えた。

 

あぁ......冷たいな、包丁って......

 

沙綾「曲......なんで......なんで避けなかったの!?」

 

沙綾は俺がヘタレだから避けると思い突進したんだろうな。

 

曲「お前を...犯罪者...にさせたく......ないし、大事な......友人を失わせたく...ないから。」

 

そもそも緊張して体が動かなかっただけなんですけどね。仮に動いてもどくつもりはなかったけど。

 

曲「なんで...こんなことするんだ?」

 

沙綾の耳に囁くようにしか喋れない。

 

沙綾「......ないと思ったから...」

 

曲「?」

 

沙綾「こうしないといけないと思ったから!」

 

そして彼女は哭き叫ぶ。

 

沙綾「あの時好きって言ってくれて嬉しかった!なのに断った!!ポピパに入る前と同じ...だった。だから、だからそんな私を殺してしまおうと!」

 

語る少女の瞳にはハイライトが灯っている。

 

それにしても読みが当たっていたとは...

 

沙綾「そして失望した曲を振り向かせようと、あらゆる接触をした。なのに曲は怯えるばかり!そして他の女の子と話してるとイライラして...」

 

そっか......不気味だからこその表現だったのか。嫉妬の矛先も俺以外関係なしまでと思うなんて...

 

曲「バカだな...さーや。」

 

沙綾「私は真剣にって...え?」

 

刺されると麻痺ってするんだな。

だから右手で沙綾の頭をくいっと自分に寄せる。

 

曲「俺はそんなちっぽけな男じゃないさ。そんなことで失望したりしない。さーやの事は嫌ったり、絶交したりしない。これが何よりの証明だよ。」

 

沙綾「私...やっと分かったよ、曲。」

 

彼女の目には涙が浮かぶ。

 

曲「これから恋人として...付き合ってくれるか?」

 

沙綾「うん......でも曲は...私が!」

 

そっか、もう死んじゃうのか。

 

さてどれぐらい出血したのかな?もう1回目を下にやると...あれ?出てない。

 

曲(そういえば血の匂いもしなければ生暖かくない。痛みもあまりないし...まさか?)

 

左腕を上に上げてみる。

 

 

カランカラララン

 

金属の音が蔵に響く。

 

一同「「「「「へ!?」」」」」

 

どうやら刺されてはいなかったらしい。体と腕に挟む感じで保っていた。なんと運がいいことでしょう!

 

冷たい感じはただ服1枚から伝わったわけで、麻痺も声が薄れるのもただの思い込みだったようだ。

 

曲「とりあえず...この包丁何とかしたいな。」

 

有咲「盆栽の土にでも刺しとく?」

 

曲「そうしてくれ。あまり刃物の部分は見たくないし、何らかの事故で刺さったらいかんからな。」

 

包丁を拾って、有咲が出した盆栽の土にぶっ刺す。これで大丈夫だろう。

 

沙綾「みんな、本当にごめん!」

 

ここから完璧な土下座と言える沙綾の謝罪タイムが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

香澄「もう気にしすぎだってば〜」

 

りみ「あの時はビックリしちゃったけど、沙綾ちゃんが戻ってきてくれたからよかったよ〜」

 

改めて深い絆があることを知った。

殺されかけたのにポピパのみんなは沙綾のことを許してくれた。もうしないという約束もちゃんと結ばれている。

 

しかしまだ気まずい空気が流れている。ちょっと冗談も交えるか。

 

曲「そういえば誰かチビってないか?今なら『仕方ないよねー』って言ってみんなで掃除するだけで済むぞ〜。」

 

有咲「うちの蔵では辞めて欲しいんだが...」

 

たえ「実はちょっと...」

 

有咲「嘘だろおい。」

 

たえ「嘘。」

 

有咲がおたえに「お〜ま〜え〜は!」と言って噛み付いている。

 

怯えていたが、4人は信じていたんだろう。沙綾はそんなことしないって。

 

曲「これで一件落着かな?」

 

沙綾「そうだね。曲もごめんね...私が言うのもあれだけど生きててよかった...」

 

曲「終わったことは水に流す!いつまでも気にすんな!」

 

沙綾「うん!ありがとうまが...」バタン

 

曲「え?さーや?」

 

明らかに緊張が解けて気を失った倒れ方じゃないぞ。

 

曲「さーや?おい、さーや!」

 

呼び掛けても反応をしない。呼吸はしているけど顔色が良くない!

 

曲「さーや!しっかりしろ!」

 

声でポピパの4人も異常事態に気づく。

 

香澄「さーや、大丈夫!?」

 

りみ「沙綾ちゃんしっかりして!」

 

有咲「沙綾!返事をしろ!」

 

たえ「さーや!」

 

しかし反応をする気配がない。

 

曲「まずいな......早く救急車を!」




最近の文字数から見て今回は少なめでしたね。申し訳ないです。

さて2章も終わりいよいよ最終章です。3章は2章よりも短い予定にするつもりです。何とか完走しそう笑

それでは次回もお楽しみ
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