山吹色をもっと濃く   作:スタプレ

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最終回なのに短くてスマソ


4話 互いの色をもっと濃く

 

沙綾「今日もいい天気だね。」

 

曲「そうだな。最高のお出かけ日和だろうなぁ...」

 

もちろん今なんてどこにも行けません。

 

病院にいると時間の間隔なんて分からなくなる。気づいたら朝で、誰かが来て、そして外は真っ暗になる。

 

回復して欲しいと願うばかりだが、それに反して日に日に悪化している。やはり転生者には別の世界への環境についていけないのだろうか。

 

目の前の少女、沙綾もお世辞に回復しているとは言えない。顔色があまり良くないことは自分でも分かっているらしい。

 

そんな楽しみはたわいもない雑談だった。

 

話題は今日の天気と、お見舞いに来てくれた人の情報のみだった。

でもそれだけで充分だ。これ以上はもうお腹いっぱい。

 

もうすぐバイバイだけど、この至福はいつまでも終わらせたくないな。

 

曲「さーや。」

 

沙綾「どうしたの?」

 

曲「もうダメかもしれない。」

 

死ぬ感覚は感じるものなのか?でも自分の体は自分がよく知っている。この感覚は嘘でもないだろ。

 

沙綾には悲しませるかもしれないが、何も言わずに去るのはもっと嫌だ。

 

沙綾「実は...私も。」

 

曲「...え?」

 

沙綾「自分でも分かるんだ。もう生きられる気があんまりしないって。」

 

これから知らない世界に行くかもしれないのになんでそんな安心した顔をしているの?

 

沙綾「正直怖いよ。でも曲となら大丈夫かな?」

 

曲「そう...なんだ...」

 

なんだろう。なんか複雑な気持ちだな。

 

沙綾「曲はどう?」

 

曲「俺も怖いよ。でも、さーやに頼られているのに怖気付くのはなしだよな。」

 

沙綾「大丈夫だよ!」

 

さっきまで晴れていたのにいつの間にか曇ってきている。

 

曲「俺さ、この世界に来てよかったと思っている。」

 

沙綾「私も曲が来てくれてよかったと思うよ。」

 

曲「思えば山吹ベーカリーに行かなかったらここまで仲良くなってないもんな...」

 

沙綾「ホントに偶然なのか必然なのか分からないよね〜」

 

あの香りがなければこんな楽しい思い出なんてなかったんだ。きっと、ひっそり死んでいた。

 

曲「ありがと、俺と仲良くしてくれて。」

 

沙綾「こちらこそありがとうだよ。」

 

そして沙綾が手を差し出してきた。

 

沙綾「ねぇ。手、繋いでもいい?」

 

俺も今ある力を振り絞って手を出す。

 

曲「もちろんいいよ。」

 

ベッドは近いからすぐ届く距離だが、俺たちはやっとの思いで手を繋ぐことが出来た。

 

一見冷たそうに見える沙綾の手はとても暖かい。全身まで温まりそうだ。

 

沙綾「私たち...離ればなれにならないかな?」

 

曲「多分...いや、きっと......大丈夫...だよ。」

 

沙綾「.........ホント......に......?」

 

曲「.........信じ.........よう.........よ.........」

 

最後に見えたのは美しい彼女と、街を差し込んだ太陽の光だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーピーピーピーピーピーピー

 

これはまずいぞ!

ただでさえ聞きたくない音なのに、その和音はさらに私を焦らせる。

 

看護師「先生!山吹さんと曲さんが!」

 

あの2人か!

 

医者「分かった。今向かう。」

 

2人のいる病室に入るとすぐ脈を測る。

 

看護師「先生...」

 

私は黙って首を振る。

 

看護師「お二人は...とても仲がよかったんですね。」

 

よく見ると、2人は手を繋いでいる。その顔はとても幸せそうだ。

 

医者「世界一幸せなカップルなんだろう。あの世でも上手くやれよ...」

 

私は看護師たちに関係者へ連絡するよう指示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれぐらいの年月が経ったんだろう...

 

もう何年も前の話だと思うけど、実際はそんな時間は経っていない。

 

さーやとまがりんが亡くなったあと、ポピパは解散する話が出た。

でも解散したらさーやとまがりんは悲しむ。そう感じたから今でも私たちはキラキラドキドキを届けている。

 

ライブのドラムは全て打ち込み。新しいドラム担当を募集するつもりはない。

だって5人でポピパだから!いなくなっちゃったけど、私たちからは離れてない。

ドラムにはさーやが座っていて、舞台裏ではまがりんが見守ってくれている。そんな気がするんだ。

 

「そっちは楽しく過ごしている?」

 

輝く星が出ている空に問いかける。

 

「私たち、輝いているでしょ?これからもちゃんと見守ってね!」

 

涙を流しながら、届かない星々に手を伸ばす。

 

 

 

 

Thank you for reading this story!




めっちゃ悲しいエンドにしてしもうた...後悔はしてない!

ていうことで、『山吹色をもっと濃く』は完結しました!最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!

短いですが、最後まで書ききれたことにホッとしています笑

今新作の1話目と2話目を書いています。事情により2話目も完成してからあげます。

ここまでのお付き合いありがとうございました。また別の作品でもお会いしましょう!
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