フレンドリィショップに就職した   作:ダリエ

4 / 8
四話

「今日も配達行ってきまーす」

「よろしくー」

 

 今日も今日とてレッツ勤労。配達用の社用バイクを押して先輩社員に挨拶をしながら通り過ぎようとしたら、今日はちょっとした連絡事項があったらしく途中で呼び止められた。

 

「ああそうだ。今日はいつもと変わったところの荷物があるんだ。本当ならよほど特別な事情が無い限りは男子禁制なんだけど……今回は担当の子がいないって言ったら特別に許可をもらえたから大丈夫。だけどちゃんと配達員だと説明するんだよ。捕まっちゃうからね」

「ん? どこかの女子寮かなにかですか?」

 

 えーなにそれーちょっとテンション上がるー。あかいバンダナとか巻いていこっかなー。

 

「いや。君も知ってるだろう。タマムシジムさ。そこのポケモン用のポケモンフーズ。お願いね」

「タマムシジム……」

 

 タマムシジム。今日俺は人生で初めてその場所に行くことになったのだ。地元民なのにね。行ったことないの。

 

 俺の旅はタマムシをサイクリングロードに出て、セキチクシティからクチバ、ヤマブキ、シオン、ハナダ、ニビ、トキワ、マサラ、グレン。そして最後にタマムシでラストのバッジを獲得するという手はずだったからな。グレンに行けずにマサラで止まってしまったけど……。

 まあこういうこともあるかと考えをやめ、メットを被ってデパートから出発した。

 

 俺は教習所仕込みのドライブテクでタマムシの道もすいすい進んだ。邪魔な細い木は普通に引っこ抜き、近道でジムに着く。

 

「よいしょっと……」

 

 配達用のバイクを邪魔にならない所に駐車して、依頼された荷物を抱えてジムへと歩み寄る。

 

「ふぅ……流石に重いな……こっちにいる間に車の免許とるかなこりゃ」

 

 本日のお届け物は草タイプ用高級ポケモンフーズ。バイクで運べはしたがかなりの量だ。本来なら車で運ばないと危ない重さだろう。流石はお嬢様ジム。どうも予算が違うらしい。

 

「すいませーん。タマムシデパートから商品の配達に来ましたー。手が塞がってるので扉を開けてもらってもいいですかー?」

「はい。今開けます」

 

 インターホンをなんとか押して配達に来たことを伝える。するとジムの中から女性の声が聞こえる。どこか聞き覚えのある声だった。

 

「はい。確か配達員の代理の方ですね? ご苦労様で……」

「あ……えーっと久しぶり……です……」

 

 その声の持ち主を思い出す前に、俺の前に出てきたのは和服を纏ったいかにもお淑やかな雰囲気のお嬢様……名前はエリカ。

 タマムシジムのジムリーダーのエリカであり、トレーナーズスクールタマムシ校の俺の同期であるエリカだった。

 

「……少々お待ちください」

「えっ」

 

 エリカは容赦なくジムの扉を閉ざした。それから一分ほど経った。

 

(えっ。自分では開けられないから呼んだんですけど!?)

 

 持ってるポケモンフーズこれ一つ百キロくらいあるんだけど?それを俺は両手で複数持ってるんだけど?高級品だから一度地面に置いて傷でもつけて返品されたら損害が!

 

 手が塞がっているのでドアを開けることは不可能。俺はそれからにっちもさっちも行かなくなり、結局二分動かなかったら閉ざされた扉は開いた。

 

(このまま うごかず ふたつのときを まて)

 

 俺は白目になりかけながら耐えたのだ。褒められてしかるべきだと思う。 

 

「ちょっとー。そこに立ってられると邪魔なんですけどー。覗きならジュンサーさん呼びますよ?」

 

 中からはジムトレーナーであろうミニスカートが出てくる。褒めてくれなかった。むしろ邪魔者か犯罪者扱いだ。いやそれはどうでもいい。助かった。俺をこの苦痛から解放しておくれ。 

 

「ってあれ? エイジュ先輩じゃないですかー! 私です! スクールで後輩だったアコです!」

 

 口の中を噛み、なんとか意識を保ちながら、そう言う彼女の顔を確かめる。確かにこちらも見覚えがある。数年見ない間に成長したのか記憶と若干違う姿な気もするが、記憶の彼女はジムトレーナーが十分務まるだろう才能だったので間違いないだろう。

 

「おおアコちゃんか。大きくなったね。久しぶり。俺は今日ちょっと仕事で荷物を届けに来たんだ。ポケモンフーズなんだけど、どこに置けば良いかな?」

「あー。いつものマッチョなお姉さんじゃないからなんだと思いましたよー。どうぞ先輩! こちらです!」

 

 マッチョなお姉さん。まさか俺の願いと店長の願いが両方叶うルートがあったのかと驚嘆しながら、俺は早足で彼女の背中を追ってなんとか苦役から解放された。俺も筋トレはしているが終わりの見えないそれはまさしく苦行だった。

 

「ふう……」

「先輩お疲れですねー。お水どうぞ。おいしいみずですよ」

「ああ。ありがとう」

 

 俺はもらった水を飲み干す。さらに自分のポーチからプロテインを取り出す。今日はバイバニラ族が描かれた物だ。それで一息つく。俺はほんの少し休もうと決めた。なんたって腕が震えている。このままでは絶対に事故る。

 

 すると後輩のアコは気後れせずに俺に話しかけてきた。どうやらこの子には数年ぶりにあった友達とどうにもうまくお喋りできないみたいな現象は発生していないようだ。

 

「それで一体どうしたんですか? 確かどこか遠くの街のフレンドリィショップでお仕事をしてるんでしたよね? どうしてこちらに?」

 

 なんで知ってるのぉ?俺ただの店員さんなんですけどー。

 

 若干の情報漏えいの不安を抱いたが、まあ真実は女の子の情報網はあなどれないと言っただけだろう。トキワのショップでも口コミで流行った商品結構あるし。まあそれはあそこが田舎寄りだという事も多分にあるだろうけど。

 

「ああ。最近ロケット団で世間が騒がしいだろう? だから系列店で強い奴を集めて人員を振り分けたんだがその関係で俺はトキワからタマムシに異動になったんだよ。今はデパートで働いてるから是非買い物に来てくれ。まあ俺は配達担当だからあんまり店にいないけど」

 

 そうやって笑う。しかし自分で言ってて今更気づいた。

 

 そういえば俺の本懐は店舗の防衛なのに配達に回されているというのは若干妙であることに。

 俺のことは人事にも伝わっているはずだ。配達の人手が足りないのは事実のようだが、それでもずっとこの仕事に振り分けられるのはやっぱりちょっと妙だ。というか余った時間でチラシの投函とかさせられたし。

 確かに地域の巡回も警備としては悪くはないが……デパート配属の他の対策班の奴ら(全員ロケット団判定黒かグレー)は内勤だ。

 

(つまり俺はデパートの警備から遠ざけられている……?)

 

 もしかしたら既にこっちにもロケット団が紛れ込んでいる可能性があるのか。急いで調べる必要があるな。

 

 そんな不穏なことを考えている俺の気も知らずに、後輩はのんきに世間話を続ける。

 

「なるほどなるほどー。最近物騒ですもんね。エリカ様もなにかとここしばらくはお忙しいそうで今日は特にお化粧のノリが悪いって嘆いていましたもん。あっ! これ内緒ですよ?」

「どうせ話す機会もないよ。昔は同じ学生だったが……今はジムリーダーとショップ店員だ。立場が違う。ああ、ジムリーダーというとそういえばこの前ヤマブキに行った時にナツメにあったんだけど彼女もなにかコスメ買ってたな」

「そんなことないですよ! 先輩はいつでもすごいですって! ところでナツメさんって化粧品なにを使ってるんですか? あの人もエリカ様くらいお綺麗ですもんねー。気になります!」

「あー確か……」

 

 俺はそんな世間話をしながら酷使した筋肉をほぐしていた。そしてようやく調子が戻ってきたので俺は彼女に別れを告げてジムから出たのだった。

 

「じゃあなアコちゃん。当店のまたのご利用をお待ちしております」

「あはは! もうすっかり店員さんですね。はい先輩! またご利用しますよー! 今度はポケモンバトル見てくださいねー!」

 

 俺は再び配達の仕事へと戻ったのだった。

 

(急いで調査しなければ)

 

 ロケット団の野望と戦うために。

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 エイジュが去った十数分後。タマムシジム。

 

「エイジュさんは!?」

 

 急ぎながらも上品さを損なわない駆け足で、彼女は先程去ったタマムシジムの扉の前へと戻ってきた。途中で出会ったトレーナーに応対を任せたが流石に時間を掛け過ぎたという焦りもその顔からは窺えた。

 

「あ、私が応対しておきましたので先輩ならもうお帰りになりましたよエリカ様。それにしてもずいぶんと気合の入ったお化粧してますね? もしかして何かお話しすることがあったのですか?」

 

 ミニスカートのアコはエリカに向けてニヤニヤと笑う。本来ならジムトレーナーがジムリーダーにするのはとがめられる行為だが、二人は同じスクールの先輩後輩という親しい仲なので許されていた。

 

「そんなぁ~」

 

 しかしエリカはそんな彼女のおふざけも無視してその場で崩れ落ちる。

 

「……私もう今日はふて寝します。ちょっとうとうとどころではない本気の眠りです。今日は臨時休業しましょう……もういっそのこと三日くらい休みましょう」

「ええっ!? ダメですよ! 今日はジムに挑戦者の予約が入っているんですからね! 午後からは生け花教室の授業だってあるじゃないですか! あと寝るならそのお化粧落としてください! ああもう手伝いますから!」

 

 タマムシシティ出身の名家のお嬢様であるエリカ。

 現在の彼女は優秀なジムリーダーであり、タマムシ大学でも教鞭を執る人気講師でもある。容姿も端正であり振る舞いも品行方正、内面もその出自や容姿に劣らない大和撫子っぷり。カントーの大都市にふさわしい人物である。

 

 彼女のことを聞けば、誰もがタマムシが誇る最高のトレーナーと答えるだろう。

 

 だがしかし。彼女からしてみればそれは大きな間違いである。

 

(せっかく八年ぶりにエイジュ君とまた会えたのに。全くお話できなかった……)

 

 エリカはその男に並ならぬ感情を抱いていた。

 

 

 

 時は十年ほど前に遡る。タマムシにあるトレーナーズスクール。そこに幼き日の彼女らの姿があった。

 

「おとうさま、おかあさま。わたくしがんばりますわ」

 

 一方は当時からその家柄や教育もあって既に才女との誉れ高かったエリカ。

 

「やったー! 入学だー! 受験からの解放だー!」

 

 もう一方は一般家庭の出自で特別な教育は一切受けていない、しいて言うなら親の愛は存分に受けたのと背が高めなことが取り柄の男児エイジュ。

 

 二人を比較すれば月とスッポンとまでは言わないが、その間には確実に大きな隔たりがあると誰もが考える。実際に始めは誰もその二人を比較なんてしなかった。

 

 

 

 しかしスクールが始まって蓋を開けて見れば――常に頂点はエリカではなくエイジュの手にあった。

 

(ナゾノクサのタイプはくさとどく……ギャラドスはみずと……ドラゴンかしら?)

(コイルのタイプはでんきと……あれ? もうはがねタイプって発見されてたっけ? いいやはがねも書いとけ)

 

 筆記は常にトップを二人で争う。互いに時々ミスがあったので入れ替わりが激しかった。通算すれば多少は偏りもあるだろうがほぼ互角だった。

 

「ええと……ガーディ! たいあたり! え? おぼえないのですか!? どうしましょう……! みずタイプには不利ですけど……かえんほうしゃ!」

「おっ! 今日はヤドンか! よろしくな! バトル勝とうぜ! めいそう! 続けてみずのはどう!」

 

 バトルなどの実技では差があった。こちらではエリカは直接対決したらほとんど勝てなかった。

 無論、エリカ自身はその子供から群を抜いた知識、歳にそぐわぬ冷静さで他を圧倒する実力を持っていた。しかしエイジュは他を隔絶した実力を持っていた。知識は最新を超えていたし、実戦でしか培えないような戦闘の流れを読む力も最初から持ち合わせた。

 何よりも彼のその根拠不明の自信と余裕がポケモンにも伝搬したのか、実力以上の力を発揮し、彼の指揮下では授業中に進化を始めるポケモンも多かった。自分のポケモンでもないのに熱心に世話をしていたのでポケモンたちに特別懐かれてもいた。

 

 エリカはバトルで白旗を揚げた。これはエリカに限らず全員だ。教師すらも彼に教えを乞うていたのを彼女は知っていたし、エリカが悩んだ時に真っ先に助言を求めたのも彼だった。というかスクールで使われている教本は今でも当時彼が作った物が抜粋して使われているし、彼女のジムも参考にしているほどだ。

 

「わたくし、エリカは生徒会長に立候補します!」

 

 彼女はバトルは諦めて学校政治で勝ちを狙いに行った。政治と言っても可愛いもので、積極的に委員長や生徒会長を目指したのだ。それでも彼女は負けた。正確に言うと勝敗などはなかったが彼女は確かな敗北感を味わった。

 

「ごちそうさまでした! よっしゃ! 昼休みにポケモンのところ行く人このゆびとーまれ!」

「俺も行くー! 今日こそ勝つからなエイジュ!」

「僕だって二人には負けないよ!」

「エイジュくん。わたくしもよろしいですか?」

 

「OK! みんなついてこい!」

 

「あたしもー!」

「ぼくもー!」

 

「うう……わたしも行きたいけどマトマのみのサラダ食べ終わるまで行っちゃダメだって先生が……」

「あー。マトマのみトマトっぽい癖にからいもんな。よし! こっそり持っていこうぜ。大丈夫。ポケモンは結構マトマ好き多いから」

「でも先生に怒られちゃうんじゃ……」

「その時は俺がどろぼうしたって言うから大丈夫。でもこれは二人だけの秘密な」

「うん!」

 

 エイジュはトレーナーに必要な素質、他者を率いるという行為を自然にこなした。加えて個人的な性根として兄貴分的な気質でもあったのか、あっちにぼっちがいれば仲間に誘い。あっちにいじめっこがいれば鉄拳制裁。あっちに勉強が遅れている子がいればつきっきりで教えてやり。あっちに泣いている子がいれば慰めに行くと、とにかく面倒見のいい少年だった。

 

 確かにエリカは優等生だったし、事実として多くの生徒に慕われたがエイジュには勝てなかった。というかエリカもエイジュを慕っていた。上の回想にも普通に混じっている。

 しかし、聡いエリカはエイジュから特別な感情を向けられていない事を理解していた。どこまでも単純なその事実を以って彼女は負けを認識した。

 

 そのまま時は過ぎたので当然だが最終成績も首席エイジュの次席がエリカ。卒業までの間を夫の後ろを三歩遅れて進む妻のような状態だった。

 

 その結果。

 

(私はきっとこのまま彼のお嫁さんになって彼の背中を追いかけていく人生を送るのでしょう……うふふ)

 

 スクール卒業前には既にエイジュに徹底的にぼこぼこにされ過ぎたせいで世間一般の恋愛からはかなりズレた惚れ方をしてしまった。

 今まで良家の人間として人の上に立つべきとの教育をされたエリカには、同世代で常に自分の上に立ち続ける男は劇薬だった。

 

「タマムシ大学卒業式! 卒業証書授与! 卒業生代表は首席のエリカさん! 卒業おめでとう! これからはこのタマムシシティのジムリーダーとして頑張ってくれ!」

「はい」

 

 何度も言うがエリカは優秀だ。事実スクール時代はエイジュを除けば生徒間では無敗。実力は教師にも匹敵し、その後はタマムシ大学の推薦ももらって進学、そのまま大学の卒業を待たずに縁故など一切なしの実力のみでジムリーダーになって首席で卒業。

 

 まあ進学した先の大学で、エイジュがスクール時代に筆記試験の答案に正解では無く、当時未発見の真実を書くので度々失点していたということを、進学したエリカは知ってまた打ちのめされて好感度が増すのだが、これは余談だ。

 

 くどいようだが、彼女は相対的にも絶対的にも間違いなく才女と言えた。言えたったら言えた。

 事実、本気を出した彼女に勝てる人間は今でもほぼおらず、ジムリーダーとしての職務以外での敗戦は皆無と言って良かった。

 

 それほど才気あふれた彼女をことあるごとに土をつけまくったのは後にも先にもたった一人。

 

 エリカはスクール時代は彼に勝つために常にエイジュを見ていた。それこそ平日休日の別なく四六時中といっていい。運よく別宅が彼の家の隣にあったのも大きいだろう。真面目なエリカはその几帳面さからストーカー顔負けの入念な観察をした。いや、してしまった。

 

 すると人間不思議なもので、はじめは意識していなくても気にし出したら早く。なんとなく目で追うだけでも思春期には十分だろうに、さらに相手に詳しくなりすぎて謎の親近感までが発生。というか実際に同じ学校の同じ学年同じ秀才クラスにいたので近しい関係。名前もエからなので席もお隣。とうにお膳立ては整っていた。

 

 彼の人となりを知り、その姿を眺め、時間があれば彼について考え、そして時折話したり触れあったりもするわけだ。

 

 結果として――愛は凄まじい速度で育ったのだ。

 

 だがエイジュからすれば。

 

「エリカ? ああ生徒会長ね。原作キャラだしあんまり近づかないほうがいいだろうな。それにどうせ彼女がジムリーダーになる前にバッジは取るつもりだし……」

 

 認識はこんなもんである。クラスメイト以上の感情がそもそもないのでやっぱり特別扱いはされてなかった。

 

(きっとすぐにチャンピオンになり、故郷に凱旋。そして彼は白馬に乗って私を迎えに来て。二人は永遠に結ばれるのですね……)

 

 彼女は当時本気でそんなことを思っていた。なんなら今も思ってる。

 

 実際にテレビや雑誌では異常な速さで地方を攻略していく特異な少年として取り立たされていたエイジュ。インタビューにもこれと言って答えなかったので謎多き天才とも呼ばれていた。

 

 それをエリカは、

 

「ああ。私を少しでも早く迎えようとしてくれているのですね。そんなに急がなくても私はどこにも行きませんのに。うふふふ」

 

 などと解釈していたほどだ。ジムがお花畑ならば頭もお花畑である。

 

「いやっほぉぉぉ! たーのしー!」

 

 なお実際は彼は旅が楽しくてたまらなかっただけである。おもしろい本を読み進めるように早く先へという欲求だけが彼を動かしていた。

 

「船酔いって……船酔いって……」

 

 その後、彼がリーグ挑戦を諦めて失意の帰郷。ちょっとグレたりもしたが、すぐに普通にフレンドリィショップに就職した時には多くの者が残念に思ったし、勝手に彼に失望するものもいた。誰よりもその才に接してきたエリカもそのどちらかとかと思いきや。

 

(構いませんわ。二人のあかいいとはそんなことで断ち切れるほど細くはないのです。なんなら私が養って差し上げます) 

 

 もうその恋慕は揺るがなかった。がんじょうの極み。剥がれないばけのかわの如し。かつての弱点なしだったゴースト・あくタイプがふしぎなまもり持って来たレベル。

 

 ちなみにフォローするとフレンドリィショップの正社員の給料はそんなに安くはない。お嬢様からするとちっぽけだが普通に一家族が生活するに十分である。末端でもシルフカンパニー傘下なのだ。

 

(ああ……会いたい。この前は幸運でした。まさか実家に戻っていたエイジュくんを一目見れるなんて。すっかり背が伸びてかっこよくなってましたね。そうですわ! 今度からデパートへの配送依頼を増やしましょう! 配達員の指名ってできるのかしら?)

 

 ちなみに彼が実家に戻った時に感じた視線は彼女の物だ。彼の部屋から見える武家屋敷はエリカの実家の別宅である。

 

 そんなこんなでエリカは少々変わった馴れ初めとはいえ間違いなくエイジュに恋をしているのだった。

主人公エイジュくんのグレンへの移動方法模索エピソードを早めるかについて(3~5はネタ選択肢ですが結果は考慮します)

  • 1 本来の想定の時期で!
  • 2 いいよ早くこいよ!
  • 3 そんなことよりヒロインだ!
  • 4 そんなことよりポケモンだ!
  • 5 そんなことより労働だ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。