何もかもダイスの女神に任せたらとんでもない主人公ができた 作:塩谷あれる
「ヴィランンン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
黒い靄からは未だにヴィランが出てくる。その数は優に100を越えるだろう。
「先生、侵入者用センサーは!」
「勿論ありますが…!」
「現れたのはここだけか、学校全体か…なんにせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうことができる“
「あぁ。気になるのはどうやって情報を仕入れたのかだが、ま、こんだけご丁寧に外から隔離してるんだ、ただのカチコミやらなんやらじゃないことは確か…態々センサー無効化してきてるくらいだし、連絡が使えるかどうかもわからんね。奴さん、相当策練ってきてらっしゃる」
轟と蓮田が冷静に分析するのを横目に見ながら、首元の拘束テープを緩める。
「…いや、まだできないと決まったわけじゃない。13号、避難開始。学校に連絡試せ!上鳴、お前も“個性”で連絡試せ」
「ッス!」
「わかりました、お気をつけて!」
「待ってください!一人で闘うんですか、先生!?あの数じゃとても…」
「一芸だけじゃヒーローは務まらん」
そう言いながら相澤は戦闘態勢を取り、セントラル広場へと飛び降りる。そしてそのまま下で待ち構えたヴィラン達を一網打尽にしていった。その様は正に、鎧袖一触とでも例えるべきだろうか。
「すごい…!多対一こそ先生の得意分野だったんだ…!」
「分析してる場合じゃない!早く避難を!」
「させませんよ」
13号の誘導の元、避難を開始していた生徒達だったが、先程までヴィラン達を吐き出していた黒い靄──黒霧が立ち塞がった。
「初めまして、我々は敵連合。僭越ながら…このたびヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは──
──平和の象徴、“オールマイト”に、息絶えて頂きたいと思ってのことでして」
黒霧の発言に、その場の全員が戦慄する。彼らにとって──否、この日本のいかなる人間にとっても、最強のヒーローと言えるオールマイトを殺す、それをいともなげに言ってのける黒い靄に対し、信じられないと言う気持ちが彼らの心を埋め尽くしたのだ。
「本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃる筈ですが…何か変更があったのでしょうか?まぁ、それとは関係なく…私の役目は
黒霧は自分の体を肥大化させ、生徒達を包み込もうとする。13号がそれを察知し、戦闘態勢を取るが、前に出てきた切島と爆豪の攻撃によって遮られてしまう。
「その前に俺達にやられることは、考えてなかったか!?」
「馬鹿野郎!何してんだお前ら!」
「ダメだ退きなさい二人とも!!」
蓮田と13号の言葉も虚しく、黒霧は更に霧の面積を拡大していく。
「危ない危ない…そう、生徒と言えど優秀な金の卵…散らして嬲り殺すとしましょう」
(ックソ!全員は逃がしきれないか!?)
霧は遂に生徒達を完全に包みこむ。咄嗟に蓮田が触手を放ち、近くにいた飯田や麗日、13号達を霧の範囲外に放り出したが、彼の言葉通り、彼を含めた全員は助け出すことができなかった。霧が晴れ、目を開けた蓮田がいたのは──
「あっつ…くはコスチュームのお陰でないが、オイオイ、一体全体どこなんだここは…一面火の海じゃねぇか」
辺りが炎に包まれた、巨大な廃ビルの中だった。
「蓮田、無事か!?」
「まぁ何とかな…ここは、USJの一部、でいいのか?」
同じくこの場所に飛ばされたらしい尾白がこちらに駆け寄ってくるのに、蓮田は手を振って応えた。
「あぁ、みたいだ。まさかこんな本格的な火災だとは思ってなかったけ─蓮田、後ろ!!」
「は?後ろ?」
蓮田が振り返ると、目の前には既に鈍器を大きく振りかぶったヴィランがいた。
「死ィねぇえ!」
「ドアホ」
蓮田は、振り下ろされた鈍器を尾白に当たらないよう軽くいなして中指の触手で絡め取り、そのままガラ空きの腹に膝蹴りを思いっきり入れる。ズパァン、というどこか気持ちの良い音が響き、そのままヴィランは気絶した。
「ったく、中学のアホ共の方が良い不意打ちするっての」
「すげぇ、一瞬かよ…目視2秒足らずで即撃退って、お前ホントに何者?」
「言ってる場合か。ほれ、団体様が来るぜ?」
尾白が蓮田の言葉につられその方向をみると、確かに30人余りのヴィラン達がこちらへ向かってきている。
「うわ、マジで来てる!」
(目算凡そ35前後か…丁度半分で分担は流石に尾白の負担にしかならんだろうし、まとめて俺が片付けた方が良さそうだな…面倒だが、やるかぁ…)
「尾白、お前ちょっと避難して目と耳完全に塞いでろ」
「え?いや、何言ってんだよ!?今もうすぐそこにヴィランがきてんだぞ!?」
「だからだよ。詳しくは言えんが、手っ取り早く片付けることにした。廃人──まではいかんでも、気狂いになりたくなきゃあっち行ってろ」
「は、はぁ…?」
尾白は蓮田の言っていることがよく理解できず、疑問符を頭に浮かべていたが、とりあえずは言うことに従うことにした。
「よ、よく分からないけど、気をつけろよ!」
「分かってる」
尾白が自分に背を向け、ある程度の距離まで行ったのを確認すると、今度はヴィラン達に向き直った。
「へへへ、良かったのか?二人で闘わなくてよぉ」
「ま、お前を殺したらすぐにアイツも同じ目に遭うがな!」
「……尾白を追っかけずに態々皆して残って言うセリフがそれか?だとしたら失笑通り越して不憫に思えてくるよ。もっと頭の良い言葉思い浮かばなかったんか」
蓮田はハァ、と溜息を吐く。その仕草がヴィラン達にとっては挑発に等しかったようで、皆一気に殺気立つ。しかし蓮田はまるでそれが日常とでも言わんばかりに平気そうな素振りを見せる。
「あぁそれと、さっきなんていってたんだっけ?あぁ、そうそう、『二人で闘わなくていいのか』だっけか…」
ハハ、笑わせてくれるぜ、と蓮田は笑──否、
ヴィラン達は見てしまった。その顔を、狂気に嗤う、その表情を。そして聞いてしまった、その声を。確かに聞こえた、その声を。言葉を。
────いイんだよ、どうせお前らこコデ終わりなんだから────
「よぉ、尾白」
「うお!?な、何だ、蓮田か…終わったのか?」
「まぁな、火がない場所にまとめて拘束しておいた」
いきなり後から現れたことに多少驚きはしたものの、それが
「で、これからどうする?」
「俺は広場に行くつもりだ。流石の相澤先生でも、あの数は苦戦するだろ」
かなりヤバそうなのもいたしな、と言う言葉は胸にしまっておいて、蓮田はそう返した。
「そうか…俺は、他のエリアに行って、加勢ができればしてみるよ。戦闘向けの個性じゃない奴もいるにいるだろうし」
「わかった。気をつけろよ」
軽く頷いて、尾白は他エリアがある方向へと走っていった。と思ったら、振り返って蓮田に声をかけた。
「蓮田!さっきの手っ取り早い方法だけど、結局何やったんだ!?」
「………」
蓮田は、表情の読み取れない仮面の裏側で、数秒黙った後、
「
ただ、そうとだけ言ったのだった。
初 S A N チ ェ ッ ク タ イ ム
結果はいうまでもなく全員失敗、まとめて不定の狂気落ち。やったね☆
ホラーっぽい文書こうと思ったらなんかガタガタになってすいません。次回はいよいよ脳無とご対面!