暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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#11 カリ×ト×シトウ

 ハンゾーのおしゃべりに60時間以上付き合うという試験以上の苦行をようやく終えたラミナ。

 ゴン達が制限時間ギリギリで現れたので、逃げ場所がなかったのだ。

 

 内心で「遅いわ阿呆」と思いながらも、それはお門違いだと分かっているので必死に怒りを抑え込む。

 

 そして、タイムアップを迎える。

 通過者は26名。しかし、内1人がゴール直後に死亡したので、実質25名が通過したことになる。

 制限時間が終了したのと同時に扉が開き、太陽の光が差し込む。

 ラミナ達通過者は外に出て、新鮮な空気を肺に吸い込む。

 

 外にはリッポーと補佐役の男が立っていた。

 

「諸君、タワー脱出おめでとう。残る試験は四次試験と最終試験のみ」

 

 残る試験は2つ。

 その事実に受験者達は気合を入れる。

 リッポーは遠くに見える島を指差す。

 

「四次試験はあのゼビル島にて行われる。では早速だが……」

 

 パチンとリッポーが指を鳴らし、補佐の男が小さな箱を持ってくる。

 箱の蓋部分には穴が空いていた。

 

「これからクジを引いてもらう」

 

「クジ……?」

 

「これで一体なにを決めるんだ?」

 

 ハンゾーが腕を組んで訝しむと、リッポーは笑みを深める。

 

「狩る者と、狩られる者」

 

 物騒な言葉に受験者達の空気が張り詰める。

 

「この箱の中には25枚のナンバーカード。すなわち今、残っている諸君らの受験番号が入っている。今からタワーを脱出した順に1枚ずつ引いてもらおう。第一号の者から」

 

 リッポーの言葉と同時にヒソカが動き出す。

 ラミナは4番目にカードを引く。周囲に見られないように、すぐさまポケットにカードを仕舞う。

 全員が引き終わると、リッポーが説明を再開する。

 

「全員、引き終わったね。今、諸君がそれぞれ何番のカードを引いたのかは、全てこの機械に記憶されている。したがって、もうそのカードは各自自由に処分してもらって結構。……そして、それぞれのカードに示された番号の受験者が、それぞれのターゲットだ」

 

 リッポーが説明をする度に、受験生達の緊張感が高まっていく。

 もうすでに試験は始まっているのと同義だった。

 

「奪うのはターゲットのナンバープレート。自分のターゲットとなる受験生のナンバープレートは3点。自分自身のナンバープレートもまた3点。そして、それ以外のナンバープレートは1点。最終試験に進むために必要な点数は、6点!」

 

 リッポーは両手で6本の指を立てる。

 

「ゼビル島の滞在期間中に6点分のナンバープレートを集める事。それが合格基準だよ。それじゃあ、下に船が待ってるから。それに乗ってくれたまえ」

 

 リッポーがそう締めると、受験生達は誰1人一言も発せずに移動を始める。

 ラミナもその流れに乗りながら、ナンバーカードを確認する。

 

 書かれていた番号を確認したラミナは、僅かに眉を顰める。

 しかし、すぐに表情を戻してナンバーカードを手裏剣のように森に向かって飛ばす。

 ナンバーカードは森の中の木に突き刺さった。

 

 書かれた数字は……『404』。

 

 

 

 

 

 船に乗り込んだ受験生達は自分のナンバープレートを隠し、周囲の者達の観察に神経を注いでいた。

 といっても、ヒソカ、イルミ、ラミナ、キルアの4人は堂々とナンバープレートを胸に着けたままだったが。

 ハンター協会の制服を着ている女性がにこやかに説明を始める。

 

『ご乗船の皆様、三次試験お疲れ様でした! 当船はこれより2時間ほどの予定でゼビル島に到着します。ここに残った皆様25名の方々は来年の試験会場無条件招待権が与えられます。例え今年受からなくても、気を落とさずに来年また挑戦してくださいねっ!』

 

「「「「……」」」」

 

(うっ……辛気臭ぇ~)

 

 当然のことながら、その明るさにノッてくる者はいない。

 ハンゾーですらも顔を鋭くして、集中しているようだ。

 彼らの問題は『自分を狙う者は誰なのか?』ということである。特に緊張している理由はヒソカ、そしてラミナである。

 ヒソカは元々ヤバい空気を醸し出しているから。そして、ラミナは一次試験や二次試験でのナイフ投げを見て、かなりの手練れであることが窺えたからだった。

 

 多くの者がこの2人に狙われたら、勝ち目は薄いと思っている。なので、少しでも違うという確信が欲しかった。

 そして、ラミナは違う意味で神経を尖らせていた。

 

(……やっぱバレたみたいやな)

 

 変装中のイルミからヒシヒシと殺気が向けられていた。

 キルアの針はやはりイルミによるものだったのだと確信出来たが、同時に試験どころではなくなりそうだった。

 

(どっかで仕掛けてくるやろうなぁ……。面倒やなぁ……)

 

 感じる殺気だけで交渉はほぼ不可能だと理解する。

 ただでさえ、他の者からも狙われる可能性もあるのに、伝説の暗殺一家の長子からも逃げなければならないなど苦行にも程がある。

 ラミナは近づいてくるゼビル島を見つめながら、ため息を吐くのだった。

 

 

 

 そして、一行を乗せた船はゼビル島に到着して着岸する。

 

「それでは、先ほどクジを引いた順番に下船して頂きます! 1人が下船してから2分後に次の人がスタートする方式となります! 滞在期限は丁度1週間! その間に6点分のプレートを集めて、またこの場所に戻ってきてください! それでは1番の方、スタート!!」 

 

 ヒソカが悠々と歩いて上陸する。

 2分後にイルミが降りて、森の中へと消えていく。

 

(……厄介やな) 

 

 待ち構えられている可能性が高い。

 この状況だとヒソカ、イルミ、ハンゾーと腕が立つ者にいきなり襲われる可能性が高い。

 ヒソカはまだ狩りを楽しむ可能性があるが、イルミとハンゾーはそんなタイプではないだろうと推測する。

 

「それでは4番の方、スタート!」

 

 すぐにラミナの番が来て、小さくため息を吐きながら船を降りる。

 とりあえず、イルミが消えた方角とは違う方角に足を進めて、森に入る。

 

 直後、【隠】を発動して気配を殺し、音を立てないように注意しながら全力で駆け出す。

 木々の間をすり抜けたり、枝の上を跳び移りながら身を潜める場所を探す。

 

 と言っても、身を潜めやすいと思う場所は他の受験者も来る可能性があるので、微妙なところを探すつもりだった。

 背後の気配を探ると、追ってくる気配を感じなかったのでどうやらイルミはまだ追ってきてはいないようだった。

 

「……先にターゲットを狩る気か?」

 

 イルミはシルバ達から情報を聞いているはず。そして旅団と仲が良いという話から、決してラミナに勝つ気で来ても油断はしないだろう。

 なので、負傷して動き辛くなる可能性を考えて、先にターゲットを狩ってから襲ってくるのではと推測する。

 

「まぁ、油断は出来んわな」

 

 下手な予断を捨て、ラミナは移動を再開した。

 そして、大きめの木の上に登って【隠】を使ったまま座り、しばらく様子を見ることにした。

 

 それから6時間が経過したが、1人として姿を見かけることはなかった。

 夕暮れも過ぎ、鬱蒼とした森が更に暗くなり、月や星の光すら届きそうにない。

 

「……来よったか」

 

 ラミナは猛スピードで近づいてくる禍々しい気配を感じた。サングラスをかけ、右手にブロードソード、左手にスローイングナイフを数本具現化して、地面に下りる。

 直後、ラミナの目の前に現れたのは、変装を解いたイルミだった。見た目は穏やかそうだが、視線や纏う気配は禍々しい物だった。

 

「随分と物騒な雰囲気やないか。うちがお前のターゲットかいな?」

 

「違うよ。けど、来た理由は分かってるんだろ?」

 

「……キルアの頭に埋め込まれとった針のことか?」

 

「そうそう。やっぱりお前が抜いたんだね」

 

「すまんすまん。無駄な殺しをしようとしたキルアに殺気を込めた【発】を飛ばした時に、気づいてしもてなぁ。抜いてからお前さんの仕込みやって気づいたんよ」

 

「まぁ、そうだろうね。けど、だからって見逃す理由になると思う?」

 

「思てへん」

 

 ラミナとイルミの周囲の空気が急速に冷え込んでいく。

 イルミは両手に針を持って構える。

 

「流石にお前相手やと手加減出来ひん。死んでも恨むなや」

 

「優しいねぇ。悪いけど俺は――」

 

 ラミナは【一瞬の鎌鼬】を発動して、無拍子で投げられた針を全て叩き落とす。

 そして、仕返しとばかりに5本のスローイングナイフを高速で投擲する。

 

「手加減って知らないからさ」

 

「ふんっ」

 

 言葉の続きを言いながら、軽々とナイフを躱す。

 ラミナはそれを鼻で笑いながら、次々とスローイングナイフを連続で投げつける。

 イルミは躱し、弾き落としながらも針を投げて、ラミナは高速の斬撃で全て切り落とす。

 

「親父から聞いてた武器とは違うね。確か武器ごとに能力が違うんだっけ?」

 

「企業秘密やな。けど、そっちは分かりやすいな」

 

「まぁね。ただ……いつまでも避けられると思わないでよ」

 

 イルミが一瞬でラミナの背後に移動する。それと同時に針を投げるが、針はラミナの体をすり抜けて、ラミナの体は煙のように消える。

 残像だと理解したイルミは背後に右裏拳を繰り出す。しかし、そこにラミナはおらず、頭上からスローイングナイフの雨が襲い掛かる。

 イルミは【堅】で弾きながら、後ろに下がる。

 

 その背後にラミナがゆらりと現れる。

 イルミは前に出ながら、両肩の関節を外して針を握った両腕を真後ろに鞭のように振るう。

 ラミナは攻撃を中止して、後ろに下がりながらスローイングナイフを再び投げ、イルミは体を捻じりながら両肩を嵌め治して、スローイングナイフを躱す。

 

「……流石親父と爺ちゃんから逃げ出したことはあるね」

 

「せやったら、もう帰りぃ。あと6日もあんのに疲れたぁないねん」

 

「大丈夫。もうすぐ疲れなんか感じなくなるからさ」

 

「ったく、たかだか針1本で仰々しいこっちゃ。キルアはあの針が無くなったくらいじゃ大して変わらんやろ。さっさとゾルディック家で念教えた方がむしろ安全な気ぃするで?」

 

「余計なお世話だよ」

 

 イルミが再びラミナに詰め寄りながら針を投げる。ラミナはブロードソードで切り落としながら後ろに下がり、背後にあった木に後ろ走りで登り、スローイングナイフを投げる。

 イルミは右に跳んで躱し、がら空きになった脇腹目掛けて針を投げようとしたが、突如ラミナの左手に大鎌が出現して横に振るう。

 

「っ!」

 

 イルミは後ろに跳びながら針を投げるも、ラミナも横に跳んで躱す。

 

「……一体いくつ具現化出来るんだい?」

 

「そりゃ、ぎょーさんや」

 

「けど、そんな大物よりナイフの方が良かったんじゃないの?」

 

「そうでもないわ。もうナイフは()()()()()()()でな。……『飛び交え』【執着する雀蜂(アーデント・ホーネット)】」

 

 ラミナが呟いた直後、周囲に散乱していた全てのスローイングナイフが突如独りでに浮かび上がり、イルミに一斉に襲い掛かる。

 

「!」

 

 イルミは全力で駆け出して躱そうとするが、スローイングナイフの群れは軌道を変えてイルミを追尾する。

 

 【執着する雀蜂(アーデント・ホーネット)】はキーワードを唱えると、ラミナが最後に目にした者を半永久的に追いかけ続ける。

 スローイングナイフを止めるには、砕くか、ナイフが入れない場所に逃げ込むか、ラミナに別人を見させるかである。

 

「鬱陶しいな」

 

「ふっ!」

 

 イルミが少し面倒になっていると、ラミナが大鎌を片手で回転させてイルミに向かって猛スピードで投げる。

 風を切りながら飛び迫る大鎌をイルミは躱して、蹴り飛ばす。

 イルミは針を投げて牽制しようとするが、ラミナの姿はすでにそこにはなく、それどころか周囲を見渡してもラミナの姿が見当たらなかった。

 

「……逃げた……? (いや、【隠】か!)」

 

「んなわけあるかい」

 

「!!」

 

 真横からラミナの声がして目を向けようとした瞬間、脇腹に衝撃が走り横に吹き飛ぶ。

 地面に両手をついて体勢を整えて、未だに襲い掛かってくるスローイングナイフの群れを再び躱す。

 ラミナに目を向けると、ラミナはスゥ……と音もさせず、闇と同化するかのように姿が消える。

 

「ちっ……。(まいったな。完璧な【隠】で気配どころか殺気も感じない……。一体どれだけ隠し持ってるんだ? 普通ここまでバラエティ豊かに具現化なんて出来ないと思うんだけどな)」

 

 イルミは舌打ちをしながら、ラミナの異常性を理解する。

 本来【具現化系】の能力で物を具現化する場合、長い間その物に触れ続けないといけない。そこに付与する能力の数も増える程、制限が多くなるものだ。しかし、ラミナはその制限が妙に少ないように思えたのだ。

 

 そんな事を考えていたことで僅かに集中が疎かになり、スローイングナイフの1本がイルミの左肩を掠って血が滲む。

 

「おっと……」

 

 イルミは僅かな痛みで集中を戻すと、突如スローイングナイフ達の動きが変わる。イルミの右肩、正確に言えば血が滲んだ傷に向かって、蜜を塗られた蜂のように一斉に飛び掛かり始めたのだ。

 

「血に反応するのか」

 

「そういうこっちゃ」

 

 背後から声がして、直後に背中に鋭い痛みが走った。

 イルミは前に飛び出して、振り向きながら針を投げる。しかし、針は全て切り落とされて、地面に転がる。

 

「『止まれ』」

 

 ラミナの命令にスローイングナイフ達は動きを止めて、空中で静止する。

 ラミナはイルミと向かい合う様に立ち、イルミも特にダメージを気にする様子もなく立っている。

 イルミはラミナの左手に短刀が握られているのを確認する。

 

「あの斬撃を掠り傷程度で躱すんか……。やっぱ流石ゾルディックやな。ホンマ、疲れるわぁ」

 

「それはこっちのセリフだよ。ホントにどれだけ具現化できるんだか……」

 

「ここまでにせぇへんか? 別にうちはキルアを殺す気も、暗殺者になるんを邪魔する気もないねん」

 

「信じると思う?」

 

「思わへんなぁ。……しゃあない。ほな、本気で行くで?」

 

 ブロードソードを消し、更にはスローイングナイフも消す。

 それを内心訝しむイルミを横目にラミナはサングラスをかけ直す。

 

「そういえば、そのサングラスっておしゃれ? 夜なのにサングラスってあんまりカッコ良くないけど……」

 

「別におしゃれのつもりやないわ。コレしとかんと、ちょっと怖がらせてまうねん」

 

 そう答えたラミナのオーラの質が、ガラリと変わるのをイルミは感じ取った。

 ラミナは勢いよく飛び出したと思ったら、再び姿が闇に消える。

 暗殺者の勘が大きく警鐘を鳴らし、イルミは反射的に右横に向かって針を全力で投げる。

 

 そこには短刀を構えたラミナがいた。

 ラミナの左肩、胸、右太ももに針が突き刺さり、イルミが能力を発動しようとする。

 

 しかし、ラミナは何事もなかったかのように、右脚で突き刺すように蹴りを繰り出して、イルミの脇腹に突き刺さる。

 

 イルミは大きく吹き飛び、脇腹からゴキゴキ!と骨が砕けたような音がして、大砲でも打ち込まれたような衝撃が走る。

 

「っ!? (針が……発動しない? それに【堅】も簡単に貫かれた?)」

 

 イルミは何が起こったのか理解出来ず、ただただ痛みに耐えながら体勢を立て直す。

 その時、背中に怖気が走り、転がる様に前に飛び出る。

 直後、イルミがいた場所に大鎌の刃が突き刺さる。

 

「あれは……」

 

『オオオ……!』

 

 そこにいたのは黒いボロ布を纏った骸骨だった。

 カタカタと歯を鳴らしながら、ラミナが先ほど投げた大鎌を構える。

 それでこの骸骨もラミナの能力であることを理解する。

 

「また悪趣味な……」

 

「お前に言われたぁない」

 

「っ!!」

 

 ラミナが目の前に現れて、右ストレートを繰り出してきた。

 イルミは両腕を交えてガードするも、やはり物凄い衝撃が走ってボキゴキ!と骨が折れる音を響かせ、地面を滑りながら後ろに下がる。

 

「……オーラを増幅する能力か? それともオーラを無効化する能力?」

 

「さぁ? どないやろぉなぁ」

 

 イルミは一切顔を歪めることなく、針を抜くラミナを見つめる。

 

 すると、サングラスの下に黄色く輝く瞳のようなものが見えた気がした。

 

(……瞳が変わってる。もしかして、それで【特質系】に変わった? ということは、今の攻撃や針が効かないのはそのせいかな)

 

「変わった眼をしてるね」

 

「……よぉ、見えるもんやな。……はぁ。うちは【月の眼】って呼んどる。この眼になっとる間、うちは【特質系】に変わんねん」

 

「やっぱりね」

 

「ここまでにせんか? キルアの件については、何かしら埋め合わせはしたる。ただし、もちろんゾルディック家当主にやで? ゾルディック家の跡取りにちょっかい出してもうたからな」

 

「…………いいだろう。親父と相談する。けど、それで殺せって言われたら、次はとことんやるから」

 

「へいへい。まぁ、出来れば穏便に済ませてくれると助かるわ。ああ、連絡先送っといたさかい。話がついたら、それで連絡してや」

 

「分かった。じゃあ、今回はここまでにしとこう。じゃ」

 

 イルミは相変わらずの無表情のまま、背を向けて去っていく。

 ラミナはそれを見送り、気配が遠ざかるのを確認して、大きくため息を吐く。

 

「はぁ~……! 疲れるわ~……」

 

 サングラスの下の瞳が茶色に戻る。

 それと同時に大鎌と短刀がバキン!と砕けるようにして消える。

 虚脱感に襲われるラミナはサングラスを外して、懐に仕舞う。

 

「大分、手の内晒してしもたなぁ。まぁ、慰謝料代わりとでも思て諦めるしかないか……」

 

 コキコキと首を鳴らし、両手を上げて伸びをする。

 

「……明日はのんびりしよか。この気疲れした状態でクラピカの相手はしたぁないわ」

 

 そう独り言を呟いて、ラミナは手頃な木の上に登って、体を休めることにした。

 

 波乱の四次試験初日が、ようやく終わった。

 

 

 

_______________________

●ラミナの新情報!

 

・【月の眼】:正式名称は不明。

 

 『夜、または視界の8割以上が暗い時』に感情が高ぶると、薄っすらと輝く金色に変わる。クルタ族とは違い、戦闘力は変わらない。

 

 【月の眼】発動中は【特質系】に変わり、能力は『自身のオーラを、目にした相手のオーラと全く同じものに変える』こと。訓練により任意のタイミングで変えることが出来る。

 それにより、相手のオーラと同化するため【練】【堅】【硬】をすり抜けることが出来る。すり抜けた直後にオーラの質を元に戻し、大ダメージを与える。具現化した武器までは、オーラの質を変えることはできない。下手をすれば、向こうの攻撃も同化して防御をすり抜けてしまうため注意が必要。

 オーラが同化できることで、相手の【発】を無効化することも出来る。ただし、相手の【発】を使うことはできない。

 

 使用後は強烈な虚脱感に襲われ、【刃で溢れる宝物庫(アルマセン・デ・エスパダ)】で具現化した武器に設定した10回分のストックが()()最低1回分減る。

 【月の眼】を長く使えば使うほど、減る回数分が増える。

 

 サングラスをしているのは、昼間でも使えるようにするため。夜にするのも電気や月明りで使い辛い時があるため。

 

 *クルタ族に近い血筋を持つ少数民族なのではないかと、クロロやシャルナークから聞かされているが、両親はすでに死んでおり、流星街で生きてきたので正確な出自は不明。ラミナの両親も流星街出身らしいので、かなり昔に滅んだ民族なのではと結論付けられている。

 

 

 

●ラミナの念能力

 

・【執着する雀蜂(アーデント・ホーネット)

 具現化したスローイングナイフに付与されている能力。

 『飛び交え』というキーワードを唱えることで起動。最後に見た対象をターゲットにし、飛翔して襲い掛かる。

 血が流れている傷を確認すると、その傷を執拗に狙う。

 複数の人間をターゲットには出来ないので、基本1対1でないと発動できない。

 

 

・【妖刀・朧霞(おぼろかすみ)

 具現化した短刀に付与されている能力。

 相手の視界から姿を隠すことができ、強制的に【隠】を発動して気配も消す。熟練者が【凝】を使えば、僅かに輪郭が見える。 

 声を出したり、他の武器を振るうと解ける。

 

 

・【暗闇で踊る骸骨(ナイトライダー)

 具現化した大鎌に付与されている能力。

 【月の眼】状態で、かつ暗闇や影がないと発動できない。

 ボロボロの黒衣を纏った骸骨の死神のような姿をしており、ラミナが指定した相手に自動で襲い掛かる。しかし、移動できるのは影の上だけなので、夜や洞窟、鬱蒼とした森、明かりがついていない部屋でしか使えない。

 

 対処方法は簡単。

 大鎌に強い光を当てると、影が維持できないので骸骨は消滅する。

 

 

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