暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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#120 ソコナシ×ノ×コウキシン

 幻影旅団団長ことクロロ・ルシルフルは、現在ヨルビアン大陸南方にある小国の山の中にいた。

 

 山の中の廃教会に蝋燭を乱立させ、長椅子に座って薄暗い中で読書に耽っていた。

 

 その近くには新聞を読んでいるパクノダと、柱にもたれ掛かって目を瞑っているフランクリンがいた。

 

 ノブナガは個人的な仕事で別行動をしており、シズク、コルトピはその手伝いに行っていた。

 もちろん、ラミナは未だにバルサ諸島に、マチ達は流星街にいる。

 

 ラミナとキメラアントのこと、更に団員がバラバラになっていることもあり、クロロはしばらく身を潜めて情勢を見つめることにしたのだ。

 

 もちろん最近活発に活動したことで少々目立ち過ぎたからというのもある。

 

 キメラアントに興味がない賞金首ハンターやハッカーハンターなどがクロロ達を見つけようと躍起になっているのだ。もちろん、ブールブ美術館の裏倉庫に機密を預けていた国々が雇ったハンター達である。他にも国が抱える暗部も動いている。

 

「……随分と派手に動き始めてるみたいね。キメラアント」

 

 パクノダの呟きにフランクリンは目を開ける。

 

「流星街にまで現れたらしいからな。流石にラミナでも虫けらの群れを殺すのは手が足りなかったみてぇだな……」

 

「そうね。どうやら警察じゃ手も足も出ないみたいね。まぁ、裏のNGL連中が壊滅したのだから当然と言えば当然だけど」

 

「ラミナに依頼してきたジンって奴の話じゃ、虫達は念を覚えたんだろ? そりゃあ警察程度が太刀打ちできるわけねぇよな」

 

「ラミナやマチ達ならそう簡単にやられることはないでしょうけど、ちょっと心配ね」

 

「どう思う? 団長」

 

 フランクリンはクロロに声をかけ、パクノダもクロロへと顔を向ける。

 もちろん、クロロは2人の話をしっかりと聞いていた。

 

「そうだな……。フェイタン達は問題ないだろう。流星街に現れた蟻共は所詮ラミナの殺し損ね……NGLで殺す必要がないとラミナが判断して見逃した連中だ。フェイタン達の心配をするならば、やられるよりわざと見逃す可能性の方だな」

 

「……確かにフェイタンやフィンクスは流星街から出て行くなら興味を無くしそうだな」

 

「まぁ、マチやシャルナークは余計な被害が出ないようにしっかり殲滅するでしょうから、見逃す心配はないと思うわよ」

 

「下手に見逃すと、ジジイ共がうるさそうだからな」

 

「問題はラミナの方だ。兵隊蟻が世界に散ったということは、女王蟻が死んだのだろう。だが、未だバルサ諸島から出ないということは王が生まれた可能性が高く、そっちの方が厄介なんだろうな。ハンター協会会長まで動いてるらしいからな」

 

 クロロが話しながら本から視線を外して、外へ繋がる扉へと目を向ける。

 

 パクノダも目を鋭くして銃を具現化し、フランクリンもいつでも動けるように立ち上がる。

 クロロは本を閉じて、ゆったりと立ち上がる。

 

「噂をすればって奴か?」

 

「確かにこの近くでも目撃されたらしいけど、わざわざこんなところに来るなんてね」

 

「餌場と巣は違う、ということなんだろう。さて……面白い奴だといいな」

 

 クロロはフランクリンとパクノダを従えて、廃教会から外に出る。

 

 廃教会の外は鬱蒼とした森で、廃教会の左手にはボロボロの墓地があった。

 ちなみにこの廃教会は俗に言う異教徒、それもテロを起こした犯罪結社の拠点の1つだった。もちろん、すでに軍やハンター達によって壊滅させられており、所属していた者達は捕縛されたか殺された。そのため、ここを訪れる者はもはや誰も存在しない。

 そして、地元の人間からすれば、ここはまさに禁忌の地でもある。故に滅多に人は訪れない。

 

 隠れ家としてはもってこいの場所だった。

 

 犯罪者にとっても、異端な存在にとっても。

 

「出て来いよ。俺達に用があるんだろ?」

 

 クロロはコートのポケットに両手を入れ、不敵な笑みを浮かべたまま森に声をかける。

 

 ガサガサと茂みが揺れ、異端な存在が姿を現す。

 

 現れたのは額に触角が生え、両前腕から鎌が伸びている異形の人型。

 元師団長のカマキリ型のキメラアント―マンディスだった。

 

「クキキキキ! 人間の臭いがしたからよぉ。来てみたらよぉ。レアモノたぁツイてるじゃねぇかよぉ」

 

 マンディスが嫌な笑みを浮かべながら、クロロ達を見つめる。

 その後ろから更に10体ほどのキメラアントが姿を現し、マンディス同様ニヤニヤしながらクロロ達を囲い込む。

 

 これまでマンディス達を見た人間達は例外なく驚愕と恐怖の表情に染まっていた。

 

 だが今回の人間、クロロ達は驚くどころか、

 

「ふむ……確かに人間と混ざった虫だな」

 

「けど、それだけね。品性も知性も欠片もないわ」

 

「人と混ざっただけなんだろ? 品性や知性は別モンじゃねぇか?」

 

「念に目覚めたと言っていたが、それだけのようだな。自然に目覚めたようにも見えないし、使いこなしているようにも見えない」

 

「流石に念を鍛えるには知性があっても、知識がないと無理じゃないかしら?」

 

「……それもそうか」

 

 と、呑気に会話していた。

 それも思いっきり自分達を貶してきた。

 

「……クケケ。レアモノだからって舐めんじゃねぇよぉ。念を使おうが人間の身体は脆いんだからよぉ」

 

 マンディスは嗤っているが、明らかに苛立ちが込められていた。

 部下のキメラアント達も怒りを隠さずに、クロロ達を睨みつけている。

 

「ふむ……少し遊んでみるか。フランクリン、余りモノは任せる。パク、周囲を警戒しろ。邪魔が入らないようにな」

 

「しゃあねぇな」

 

「分かったわ」

 

 フランクリンとパクノダに指示を出したクロロは右手に本を具現化した。

 

 それにマンディス達は僅かに目を丸くする。

 

「本? どこから出したんだぁ」

 

 訝しむマンディスを余所にクロロは本を開いて、あるページで止める。

 

 その直後、クロロとマンディス、マンディスのすぐ傍にいたキメラアント2体の姿がその場から消えた。

 

『!!』

 

 フランクリン達とキメラアント達は突然消えたクロロ達に驚く。

 だが、フランクリンとパクノダはすぐに目を墓地の方へと向ける。

 

 消えたはずのクロロ達は墓地にいた。

 

 マンディス達は目を丸くして慌てて周囲を見渡し、仲間達と先ほどまで自分達がいた場所を見つける。

 

「……どうなってんだよぉ……」

 

 念をまともに知らないマンディスは戸惑いを浮かべる。

 クロロは本を閉じて消す。

 

「大したことじゃない。邪魔が入らないように少しだけ移動しただけさ。あまり遠くに行けないのがあの能力の残念なとこだが、面倒な制約がなくて使い勝手がいいのでな」

 

「……お前1人でやるってのかよぉ」

 

「それがどうした?」

 

「舐めてんじゃ――」

 

 マンディスが顔を顰めて吠えようとした瞬間、クロロが目の前に現れてマンディスの顔面に拳を叩き込んだ。

 

 マンディスは後ろに仰向けに倒れて、傍にいたキメラアント2体は目を見開いて固まる。

 その次の瞬間、クロロは跳び上がって右脚を高速で2回振り、2体のキメラアントは顔に衝撃を感じて後ろへと吹き飛んだ。

 

 クロロはゆっくりと着地して、軽やかに後ろに跳んで最初の位置に戻る。

 

「……確かに少し硬いな」

 

「っ! テメェよぉ!!」

 

 マンディスが起き上がりざまに跳び上がって、鎌を振り上げてクロロに斬りかかる。

 

「ほぉ……」

 

 感心するクロロ。

 だが、視界の両端に動く影があったのをクロロは見逃さなかった。

 

「キシャア!!」

 

「ビョハァ!!」

 

 右から猫顔にラッパーのような恰好をした兵隊蟻が鋭い爪を振るい、左からは兎顔にボクサーの服装を来た兵隊蟻が棘の生えた脚を鋭く突き出してきた。

 

 クロロは一切表情を変えずに2歩下がって攻撃を躱す。

 

「なるほど……身体の使い方は熟知している。それに身体能力も確かに高いな」

 

「余裕ぶってんじゃねぇよぉ!!」

 

「にゃめんじゃねぇにゃ!!」

 

「ビョシュシュ!!」

 

 ボクサー兎が鋭く虫の腕を振って、ジャブを放つ。

 手首の付け根に棘が生えていることに気づいたクロロは受け止めずに、余裕をもって躱す。

 

「毒針か……。餌の調達に使うのか? なら神経毒の可能性が高いな」

 

「ニャシャア!!」

 

 ラッパー猫が口を開くと舌が鞭のように伸びて、クロロに迫る。

 

 それもクロロはポケットに両手を入れたまま紙一重で躱す。

 

「混ざる生き物は1種類じゃない、か。本当に面白い生き物だな……」

 

「このっ……! ちょこまかと……!」

 

「どけよぉ!」

 

「「っ!」」

 

「クケケェ!!」

 

 マンディスが鎌にオーラを込めて斬りかかる。

 クロロはまた紙一重で躱そうとしたが、オーラが僅かに伸びたのを見逃さずに後ろに跳び下がった。

 

「ちぃ……!」

 

「……【発】の使い方を見出しているのか。まだまだ未熟ではあるが……(それとも、()()()()()()のか……)」

 

 本当に面白い生き物だ。

 

 クロロはそう思いながら、マンディス達の観察をしていた。

 

(瞬間的なスピードは兎、しなやかさは猫の方が上。カマキリは突出したものはないが、全体的に能力が高い。だが、そこまで他の蟻より高いわけじゃない。一番差があるのは……オーラ量)

 

 明らかにマンディスのオーラは他のキメラアントより多い。拙さは同じくらいだが。

 

(だが、あの拙さであのオーラ量は異常と言わざるを得ない……。キメラアント故、か。恐らくあのカマキリは師団長クラスの兵隊蟻)

 

 まともに鍛えていない状態で中堅レベル以上のオーラ。

 

(ハンター達や流星街、それにラミナが対応に苦慮するのも頷ける。兵隊蟻でこれだ。女王や王、護衛軍とやらはもっと化け物なのだろうな)

 

 クロロは眉を顰めているラミナの顔を思い浮かべて、小さく口角を上げる。

 

 そして、再び右手に本を具現化する。

 

「っ……! またその本かよぉ」

 

 マンディスは最初の瞬間移動を思い出して、二の足を踏む。

 

 他の2体も警戒して動きを止める。

 

「【盗賊の極意(スキルハンター)】。俺の能力だ」

 

「それも念能力なのかよぉ?」

 

「ああ。これも念能力だ」

 

 本を開いて、あるページで止める。

 

「念能力はその使い手の願いやコンプレックスが大きく反映される。俺はそれを知り、馳せ、全て俺のモノにする。さぁ、人間と混ざったお前達はどんな『心』を持っている? どんな『闇』を持っている? どんな『願い』を持っている? どんな『お宝』を持っている? どんな『お宝』を生み出せる?」

 

 ゾクリとマンディス達の背筋に怖気が走る。

 

「お前達は人間だった記憶はあるのか? 食われた時の記憶はあるのか? 人間を食べたことはあるのか? どんな気持ちだった? どんな味だった? 女王蟻が死んだ時どう思った? 何故王に付いて行かなかった? 巣を出た時何を考えた? 何を思ってこの大陸に来た? その身体はどうだ? 周りと違う身体をどう思っている? 性欲はあるのか? 好みの女はいるのか? 人間でなくてもいいのか? 生まれた子供に愛情は持てそうか?」

 

 クロロは尽きない疑問を口にする。

 

 クロロを突き動かすのは底なしの好奇心。

 

 特に惹かれるのが『人』。そして『人』が生み出したり、大切にしている『モノ』だ。

 

 故に人と混ざり、言葉を話し、念を使えるキメラアントなど最高の観察対象である。

 

 キメラアントの食欲に匹敵する、それ以上の貪欲な好奇心を本能的に感じ取ったマンディス達は今すぐ逃げ出したい衝動に襲われていた。

 だが、下等な人間を前にして逃げるのもプライドが許さない。

 

 故にマンディスは、

 

 

「クケエエエエエエ!!!」

 

 

 雄叫びを上げて恐怖を押し退けながら、両腕の鎌を振り上げてクロロに襲い掛かる。

 

「気を付けろ。『お前の身体は炎に包まれる』ぞ」

 

 クロロが告げた直後、マンディスの全身が炎に包まれた。

 

「グギャアアアア!?」

 

 マンディスは悲鳴を上げながら地面に倒れる。

 

 クロロは不敵な笑みを浮かべたまま、のたうち回るマンディスを見下ろす。

 

「『その炎は消えない。お前の命がある限り、その炎は燃え続ける。お前の命が薪なのだから。さぁ、転がる度に熱くなるぞ。動く度に熱くなるぞ。息する度に熱くなるぞ。鼓動する度に熱くなるぞ』」

 

「ギィイイイィイィイイ!!」

 

 クロロが言葉を紡げば紡ぐほどに、本当に己の身を燃やす炎が熱くなっていく。

 マンディスは耐えられるわけがなく、自殺出来るわけがなく、ただただのたうち回ることしか出来ない。

 

「お、おい……マンディス?」

 

「一体どうしたんだにゃ?」

 

 しかし、他の2体はマンディスを見て、困惑していた。

 

 何故なら2体の目には、ただのたうち回って悲鳴を上げているだけだったからだ。

 だが、マンディスの身体が焦げていくのを目にして、2体は助けることも出来ずに後退る。

 

「『命を燃やせ。オーラを燃やせ。身体を燃やせ。すでに炎はお前そのものだ。そら、お前の腕が炎になっていくぞ』」

 

 マンディスが血走らせて見開いている目を腕に向けると、鎌先から炎になっていくのが映った。

 

「ギィアアアア!? 腕ぇ! 俺の腕がアアア!?」

 

 マンディスが悲鳴を上げると、2体の目に更にボロボロに焦げていくマンディスの腕が映る。

 

「な、なんだよ……!? これは……!?」

 

「こ……このヤロー!!」

 

 ラッパー猫がクロロに飛び掛かるも、クロロは軽やかに躱して言葉を紡ぎ続ける。

 

「『髪が、足が、身体が炎に変わる度に熱は上がる。炎は勢いを増す。もう誰にも止められない』」

 

「イギィ……!! ガアアアア!! ギギギ、ギシャアアアア!!」

 

 のたうち回っていたマンディスが突如雄たけびを上げながら、炎になったはずの腕を振り被ってクロロに飛び掛かる。

 

「ほぉ……」

 

 クロロは言葉を止めて、マンディスから距離を取る。

 すると、マンディスは全身を覆っていた炎が消えて、炎に変わっていた腕や身体が元に戻ったのを目にする。

 

 ただし、未だに身体は熱く、両腕が火傷を越えて完全に焦げ付いていたが。

 

「ハァ! ハァ! ハァ! ハァ! ……な、何しやがったぁ……」

 

「特に何もしてないさ。お前が勝手に俺の言葉から想像しただけだ。その想像が真実だと思い込んで、現実のように感じた。それだけのことだ」

 

「あ、あれが……想像だと……!? じゃあ、この焼けた身体はなんだよぉ!?」

 

「真に迫る想像は現実に影響を与える事象は観測されている。『病は気から』という諺もあるほどだ。思い込みを馬鹿にするものじゃあない」

 

 マンディスはクロロの言葉に唖然と固まるしかなかった。

 

 あれがただの思い込みなど信じれるわけがない。

 

「もっとも……今のは俺の能力によるものだがな。【詐欺師の語り(ライアーテイル)】。俺の言葉を聞き、その内容を具体的に想像すれば、それは本人にとって現実となる」

 

 【詐欺師の語り(ライアーテイル)】。

 『対象にオーラを込めた攻撃を加えること』を発動条件とし、その対象に『想像させたい内容を聴かせ続けること』で、『聴かせている間、対象が想像した通りに現実と誤認させること』が出来る。

 想像が具体的であればあるほど、対象に及ぼす影響は大きくなり、痛みを与える内容ならば想像と現実の差はなくなる。

 場合によっては、ショック死してしまうほどに。

 

 ただし、一度解除されてしまうと、再び発動条件を満たすことからやり直す必要がある。

 

「想像から抜け出せないように、蟻でも分かりやすい内容にしたつもりだったが……。無理矢理振り払うとはな。キメラアントのポテンシャルと混ざった人間の知能を合わせた故の火事場の馬鹿力、か?」

 

 クロロは笑みを深めて本を閉じて消し、マンディス達を見据える。

 

「放っておけば面白い能力を身に付けそうだが……。それよりもお前達の王とやらの方に興味が湧いた。お前達からは奪うものはもうなさそうだしな」

 

 そう呟いたクロロの姿が霞む。

 

 マンディス達が目を見開いた瞬間、首に鋭い衝撃を感じ、突如視界が()()()

 

 首を斬り落とされたと気づいたのは、顔面に衝撃を感じた直後だった。

 

 一瞬でマンディス達の背後に移動したクロロは、マンディス達の身体が動きを止めたのを確認してフランクリンとパクノダの方に目を向ける。

 

 フランクリン達と共に残されたキメラアント達はとっくに殲滅されており、ほとんどが原型を留めていなかった。

 

「終わったか? 団長」

 

「ああ。そっちはどうだ?」

 

「見ての通りよ。フランクリンの銃撃であっという間。能力を使わせる暇もなかったわ」

 

「まぁ、【堅】どころか【練】すらも使う様子がなかったから、【発】が使えたかどうかも怪しかったけどな」

 

「そうか。まぁ、それならそれでいい」

 

「そっちは当然、問題なかったみたいだけど……。まだ生きてるわよ?」

 

 マンディス、ラッパー猫、ボクサー兎の頭はまだ生きていた。

 視線だけで殺せそうな程の殺気を込めて、クロロを睨んでいた。

 

「ああ、生かしているんだ。パクノダに記憶を見てもらいたくてな」

 

「記憶を?」

 

「人間の記憶を持っているのかとか、生まれた王の情報とかが知りたくてな」

 

「……ラミナのところに行くつもり?」

 

「それを決めるためでもある」

 

「王の能力を盗むつもりか? けど、討伐されちまうんだろ?」

 

「別に能力だけを盗む必要はないさ。()()()()()()()()

 

 クロロの言葉にパクノダとフランクリンは一瞬目を見開くも、すぐに呆れへと変わる。

 

「……流石にラミナが怒るんじゃねぇか?」

 

「そうねぇ」

 

「その時は誠心誠意謝るさ。それに、恐らくだがこいつらは王の能力を知らない。流石に何も知らないで、乗り込むほど冒険するつもりはない」

 

 クロロは苦笑して、マンディスの頭へと歩み寄る。

 

 

「今はこいつの記憶で満足するとしよう」

 

 

 空腹の好奇心を少しでも満たすために。

 

 

 強欲にして暴食の蜘蛛が、その食指を伸ばす。

 

 

 

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