暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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大変長らくお待たせし、ご心配おかけしました(_ _)

私自身コロナには感染しなかったのですが、職場の同僚等数名が陽性となり、濃厚接触者として二週間ほど家に帰れずホテルに泊まって出勤。更に人が減った分、残業三昧。そして、取引先や利用者様も離れていき、トドメには退職者続出となりまして……。
コロナではなく、ストレスによる胃潰瘍で入院してしまいました(-_-;)

それで「こらもうあかん……」と思いまして、退院、退職、転職活動、引っ越しなど色々とありまして。
どうにもパソコンどころか、スマホすら触れる気力が湧かず……という、状態になっておりました。

まだ全盛期の執筆速度には戻っておりませんが、構想自体は続けておりましたので、まだ亀更新かもしれませんが、これからも頑張らせて頂きたいと思います(_ _)
絶対に完結はします! そして、ラミナとキルアの夫婦生活書きたいんです!

皆様もお気を付けくださいませ。


#123 センソウ×ノ×ハジマリ

 ラミナとキルアは東ゴルトー西側の街や集落を駆け回り、操られている国軍を次々と無効化していった。

 

 出来る限り、住民達を扇動して自分の手が回らない町や集落に向かわせるか、西ゴルトーへと向かわせた。

 

 ラミナとキルアは市名や位置だけをメールで送り合い、お互いの位置や次の目的地を共有し、効率よく作戦を進めていった。

 

 その動きに、もちろんネフェルピトーは気付いていた。

 

(今度は南東と北東……。人形の動きが封じられて、南は能力自体が解除された……早い。神出鬼没……両方とも動きを読まれないようにしてるニャ)

 

 ネフェルピトーは宮殿にある塔の天辺で【円】をしながら念人形の動きを感知していた。

 

(刺客……かニャ? 最低2人……。囮……にしても素早く人形を無効化してる……)

 

「う~……! うっとおしいニャー!! 始末したいニャー!!」

 

 ネフェルピトーは選別が的確に妨害されていることにイライラが溜まっていき、すぐに爆発した。

 王の不快を買わない程度の声で叫び、すぐさま頼りになる仲間の元へと相談に向かった。

 

「誘導作戦……それだけのこと。行ってはいけません」 

 

 シャウアプフはバイオリンを弾きながら、ネフェルピトーの問いに答える。

 

「やっぱり? でも動きが誘う感じじゃないんだよニャア。ボクに捕まらないように慎重に行動してるようにしか思えないのさ」

 

「つまり、おいちゃん達の力をある程度知ってる連中の動きってことかねぇ。残念なことに」

 

「となると……NGLにいたハンター、もしくはその仲間ということになりますね」

 

「まぁ、逃げ込んできた連中のことも考えれば、残念なことにハンター達はおいちゃん達の危険性を正確に把握してるのは不思議じゃないねぇ」

 

 アモンガキッドも胡坐を組んで一つ目念獣の上に座り、腕を組んで考えを述べていく。

 モントゥトゥユピーはこういう話にはついていけないので基本黙っている。もちろん、それに他の3人は一切文句は言わない。モントゥトゥユピーの役目は考えることではないと理解しているからだ。

 

「残念なことにハンター達だとしたら、連中の狙いは間違いなく王様だねぇ。となると、やっぱりおいちゃん達の誰かが出向くのは止めた方がいいと思うねぇ」

 

「えぇ~」

 

「この場合、出向くならおいちゃんかユピっちのどちらかでしょ? で、もし向かった先に何十人と待ち構えられてたら、流石に死んじゃうかもねぇ。残念ながら」

 

「そういうことです。敵が待ち構えているであろう場所に、わざわざこちらから出向く必要はありません」

 

「ンニャ~」

 

 ネフェルピトーは不服そうに顔を顰める。

 

「答えはシンプル。私達の使命は王の護衛です。それ以外のことは他の者に任せればいいだけのこと」

 

 そう言い終わるのと同時にバイオリンを弾き終え、更に扉が開いて複数の人影が入ってきた。

 

 現れたのはレオル、フラッタ、ヒリンことヒナの3人だった。

 

「出番ですね」

 

 レオルは自信に満ち溢れた顔で口を開いた。

 

「ハンターに追われ、深手を負った我々を快く受け入れ、能力指導まで御教授してくださった御恩……。このレオル! 今こそ御返しする機会(とき)!!」

 

 目を血走らせて気合に声を張り上げるレオル。

 だが、その本心は遂に手柄を上げて成り上がる機会が来たことに喜んでおり、本気で恩返しする気など更々ない。

 

 もちろん、護衛軍一同はそんなことはお見通しであり、レオルもそれを理解している。

 

 しかし、今はお互いに利用する価値があるために何もしないだけだ。

 

「ボクの人形を止めて回ってる奴らがいるんだ。殺っちゃってくれる?」

 

「二組いるらしいからねぇ。ビトルファン君の部下も連れて行くといいよ。彼には話を通してあるからね」

 

「ありがとうございます。お任せください」

 

「ケータイ持ってって。ボクらはテレパシー使えないから。連中の居場所は随時それで連絡するよ」

 

「はっ!」

 

 ネフェルピトーは携帯電話を投げ渡して、レオルはそれを受け取って頭を下げて部屋を後にする。

 

 レオル達が去って行った扉を見て、モントゥトゥユピーは首を傾げる。

 

「あんな連中、信用していいのか?」

 

「ん~ん、全然信じてないニャ」

 

 ネフェルピトーは肩を竦める。

 

「むしろ、あっちがボク達の信頼を得たいわけだから。言われた仕事は必死でやろうとするニャ」

 

「あわよくば寝首を掻こうと虎視眈々……。ふっ、それならば、それ相応に扱ってやればいいだけのこと」

 

「残念な頭してるよねぇ。あれで王になろうとか思ってるんだから、笑っちゃうよ。おいちゃん達に気に入られれば、王にも気に入られるとか思ってるんだからさ」

 

「だからこそ、扱いやすい駒となるのです。さて……ピトー、我々も少し動きましょう」

 

「ニャ?」

 

「あの総帥とやらの人形を使って、戒厳令を出しましょう。流石にこれ以上選別の母数を減らされれば、王の偉業にケチがついてしまいます」

 

「それに総帥が健在と教えてやれば、国民もそう簡単にハンター達の言葉なんて信用しないだろうしねぇ。まぁ、残念ながら人形を減らされるのは止まらないだろうけどねぇ」

 

「なるほど。了解」

 

 ネフェルピトー達もただ黙ってレオル達に任せ、ラミナ達の好きなようにさせるつもりはない。

 

 これはすでに戦争だ。

 ならば、たとえ小さなことでも嫌がらせをするべきだと考える。

 

 偉大なる王の完璧なる勝利のために。

 

 

 

 

 ラミナ、ティルガ、ブラールは森の中で一休みしていた。

 

「ふぅ……これで国境近くの街のほとんどは選別を止めれたか……」

 

「……そろそろ護衛軍も何かしらの手を打ってくる頃、ということか?」

 

「やろな。流石に国民が騒ぎ始めたんも耳に入っとる頃やろ。亡命を希望しとるっちゅう奴らも、まだ王達に従ったフリしとるはずやしな」

 

 ラミナは携帯を取り出して操作しながら、ティルガの問いに答える。

 

「……キルアも移動中か。(そろそろ一度キルアを休ませるべきやな……)」

 

 キルアは現在単独行動中だ。

 流石に戦闘から警戒、扇動全てを行うのはかなりの負担になっているはずだ。

 

 しかも、キルアは操られた軍人達を無効化する手段は殺すか捕縛するかのどちらかのみ。

 この場合、殺すと扇動するのが難しくなるので、まず捕縛を選んでいるはずだとラミナは考える。

 

(キルアなら問題はないやろうけど、国民が殺されんように注意しながらやと流石に少し手間取るやろな。そろそろ蟻共も出てくる可能性も考えとるやろうから、気を休めるタイミングも難しくなっとるはず……)

 

 地の利は敵にあり、流石にキメラアントまで出てくれば厳しいどころではなくなるだろう。

 

「夜明けを目途にキルアと一度合流すんで」

 

「わかった」

 

「……」

 

 キルアにも素早くメールを送り、移動を再開するラミナ達。

 

 すると、

 

 

ビー! ビー! ビー! ビー! 

 

 

 甲高い警報音が東ゴルトー中に響き渡る。

 

 ラミナ達は足を止めて、周囲を警戒する。

 

『これより、偉大なるディーゴ総帥様より緊急の発表があります!! 全国民が総帥様の玉言を拝聴できる様、各地区の伝令スピーカーの音量を最大まで上げてください!! 繰り返します!!』

 

 森の中でもはっきりと聞こえる程の音量で流れる放送。

 

「来よったでぇ」

 

「……護衛軍達か……」

 

 ティルガは目を細めて、放送に全力で耳を傾ける。

 

『こんばんは! 愛する同胞の諸君、ディーゴである!! たった今から東ゴルトー全域に戒厳令を発令する!! 不穏分子による叛逆行為が発覚し、これを取り締まるものである!! 同胞諸君は全員外出を控え、戸締まりを厳重に行うように!! 許可なく外出している者は叛逆分子と見做し、処分する!! 諸君はくれぐれも敵畜生の流言蜚語に踊らされることなく!! 私の指導に従うが良し!!』

 

『なお、誇り高き我がディーゴ精鋭軍が諸君らの家に行き、逆賊が隠れていないか調査する!! それ以外は決して家の扉を開けないように!!』

 

「これで外におるうちらは叛逆者っちゅうわけやな。しかも、堂々と軍人共が家に乗り込んで選別を出来るようになったわけや」 

 

「……隣の家から悲鳴がしても、それは逆賊が隠れていたから、と言う訳か……」

 

「そういうことやな。……やっぱ選別がバレても問題ないように対策を考えとったか……」

 

 ラミナは眉を顰めながら携帯を取り出して、キルアに連絡を取る。

 

 これでキメラアント達は堂々と軍を動かせて、暴れさせることが出来る。

 更に人目が無くなるのでキメラアント達も堂々と国内を移動することも可能となった。

 

「作戦変更や。扇動は諦める。今まで逃がした連中も多くは家に戻ってくるやろ。多分、うちやキルアのことも叛逆者とバレたやろなぁ」

 

 思いっきり目の前で軍人達を倒し、殺したのだから。

 どう考えても、東ゴルトー国民からすればラミナ達が犯罪者である。

 

 しかも、すでに人形とは言えディーゴ本人が放送しているのだ。

 一般人に偽物かどうかなど判断できるわけもなく、これで軍人が現れればそれはもう本物と変わらない。

 殺される可能性があるのであれば、偽物の言う通り家に閉じこもるのが吉となるのは当然の心理である。

 

「しかも、これで外国の人間も基本的に手出し出来んくなった。動けるんはハンターと犯罪者くらいなもんや」

 

「確かにな……」

 

「まぁ、逆に言えば、お前らも動きやすくなったでな。どうせ作戦当日には思いっきり国民連中の前で暴れるんや。ここで見られても大差ないやろ。うし……キルアと合流すんで。そこで今後の方針……兵隊蟻共への対応を考える」

 

「ああ」

 

「……」

 

 ティルガとブラールは頷いて、再び3人は移動を再開する。

 

 

 

 一方、同じ頃。

 

 首都ペイジンに滞在していたモラウとノヴもその放送を聞いていた。

 

「……おい、ノヴ。お前、この騒動について何か知ってんじゃねぇか?」

 

「ええ。知ってますよ」

 

 モラウの問いにあっけらかんと答えるノヴ。

 

 モラウは額に青筋を浮かべる。

 

「お前なぁ……!」

 

「不穏分子はラミナとキルアのことでしょう。少し前にラミナから選別の妨害について提言があり、それにキルアが参加すると返事してましたから」

 

「何で言わねぇんだよ!?」

 

「言えば貴方も参加したでしょう。彼女が派手に動く以上、我々は少しでも温存しておくべきだと判断しただけですよ」

 

「くっ……!」

 

 正論ではあるが、納得など出来るわけがないモラウ。

 

 ノヴは眼鏡を直しながら、

 

「ちなみに、ナックルとシュートも我慢したようですよ。気になるのは1人になったゴンのことですが……キルアの事ですから、連絡は取っているでしょう」

 

「ラミナの野郎……!」

 

「しかし、これで一般人が戦いに巻き込まれる危険性は格段に減りました。操られた軍人達を無効化するだけならば、まだ余裕があるでしょう。すでに国境方面の軍隊はほぼ無効化済みのはず……。選別を完遂するならば、連中は更に軍隊を分散せざるを得ない……」

 

「それが何だってんだ?」

 

「つまり、ペイジン周辺の戦力も減る、ということですよ」

 

「!!」

 

 ノヴの言葉にモラウは瞬時にその意味を理解して顔を引き締める。

 

「ここは宮殿の目と鼻の先……選別は間違いなく大会当日となるはず。王達にとって、ここに軍隊を余分に在駐させておく必要性はありません」

 

「だが逆に言やぁ、ここで足止めすれば国境側の選別は確実に妨害できるってわけだ」

 

「更に宮殿のすぐ傍に敵が現れたとなれば……」

 

「護衛軍は宮殿の防衛と敵の排除に集中せざるを得ないってわけだ!」 

 

 モラウはニヤッと不敵に笑う。

 それにノヴも小さく笑みを浮かべるが、すぐに顔を引き締める。

 

「しかし、我々もここで動くとなると、まず間違いなく作戦当日に戦う力は残らないでしょう。師団長クラスはもちろんのこと、下手をすれば護衛軍の誰かが出てくる可能性もあります」

 

「ああ。だが、やる価値は十分すぎるくれぇにある! 数万、数千でも助かるなら、俺の命を懸けるに不足はねぇ!!」

 

 モラウはドン!と右拳で胸を叩いて宣う。

 

 ノヴは笑みを浮かべて頷き、

 

「ならば、ラミナにも連絡を取り、作戦を練りましょう。恐らく彼女達の元にはすでに兵隊蟻が差し向けられているはずです。その動きに合わせて、こちらも動きましょう」

 

「おう!」

 

 モラウ達も本格的に参戦することを決めたのであった。

 

 

 

 数時間後。

 

 ラミナ達はキルアと合流することに成功していた。

 

「無事か?」

 

「問題ねぇよ。蟻にも出会わなかったしな」

 

「ゴンの方は?」

 

「それがゴンの方には蟻が出たらしい」

 

「何やと?」

 

「それも3匹。少し手こずったけど、勝ったらしいから多分兵隊長クラスだと思う」

 

 キルアも報告しながら眉間に皺を寄せ、ラミナは顎に手を当てて思考に耽る。

 

 偶々遭遇したにしては数が多すぎる。

 なのに動き回っていたラミナやキルアが1匹も遭遇しなかったのもおかしくなる。

 

 ラミナもキルアも気配すら感じ取れなかった。

 ブラールの能力でも影も形も捉えていない。

 

 なのに、ゴンの前には3匹も現れた。

 

「……なんか意図的なんは間違いないと思うんやけどなぁ」

 

「問題は何でゴンだけなのかってことだな」

 

「せやな。普通ならキルアの方を狙うはず。けど、こっちにゃ近づく気配もない」

 

「ゴンだけを狙う理由が分からないな……。敵のイメージが湧かない」

 

「ん~……なぁんか王達とは無関係な気ぃするなぁ」

 

 どうにも王や護衛軍達の意志とは、かけ離れた意図を感じるラミナ。

 

 それにキルアも同意するように頷く。

 

「一度ゴンの所に戻るか? 正直、軍の妨害は戒厳令が出た以上うちらだけでもええやろし」

 

「……いや、いい。本当にヤバいならゴンの方から連絡が来るだろうし、ここから先は俺達の方に兵隊蟻共が襲ってくるはずだしな」

 

「お前がええんやったらええけどな。ほな、作戦を詰めよか。モラウ達からも連絡来とるしな」

 

「モラウ達は何て?」

 

「あいつらも動く気らしいで。ペイジンを包囲して、ネフェルピトーの注意を引くつもりらしいわ」

 

「……」

 

 キルアは眉間に皺を寄せて考え込む。

 

「ティルガやコルトの話から考えれば、護衛軍は選別よりも王の守護に重きを置いとるはずや。やから、ペイジンで動けば間違いなくネフェルピトーは人形を集結させるやろな。恐らく選別に人形を動かす余裕はない」

 

「けど、ほぼ確実に師団長達もペイジンに来るぜ?」

 

「やろな。やから、こっちも暴れるしかないっちゅうこっちゃ。少しでもペイジンに向かう人形の数を減らし、兵隊蟻共もこっちに引き寄せる」

 

「そう上手くいくのか?」

 

「モラウ達が動くタイミングを少し遅らせる予定や。まずは大多数をこっちに呼ぶ。っちゅうても、恐らく師団長は多くても2匹くらいやろうから、うちらは兵隊長以下の蟻を仕留める。その後、うちは一気にペイジンに行くつもりや」

 

「……流石にその時は、俺はゴンと合流すべきだな」

 

「せやな。まぁ、明日一日は兵隊蟻と追いかけっこや。まずはそれに集中しよか」

 

「ああ」

 

 ラミナ達は森で収穫した果物を食べながら、作戦を練ることにした。

 

「恐らく敵……っちゅうか指揮官である師団長は、殺すことを第一としながらもうちらの能力を探ろうとするはずや。兵隊長クラスでは相手にならん可能性をNGLやここに逃げ込むまでに十分思い知ったやろうからな」

 

「つまり、出来る限り能力を使わずに倒せってことか?」

 

「お前とブラールは特にな。うちは武器を制限すればええし、ティルガも基本的には【虎咬拳】までで戦うようにすればええ」

 

「承知した」

 

「基本的にはキルアを囮にして、うちが姿を消してその横に着く。ブラールはうちらの後ろ、約1km距離を開けて付いて来ぃ。能力でうちらと上空、周囲を見ながらな。ティルガはその護衛」

 

「……」

 

「上空に敵を見つけたら、躊躇なく殺すんやぞ」

 

 ブラールは表情は変えないが、しっかりと頷く。

 

 ラミナはそれに頷き返し、

 

「問題は師団長やな。どいつが来るかで相手の動きも変わる可能性が高い」

 

「けど、まず師団長が誰がいるのか分からないだろ?」

 

「んなもん、残り全員おると考えるに決まっとるやろ。ティルガ、残った師団長がそれぞれ出てくるとしたら、どう動くと予想する?」

 

「残っているのはハギャ、ビトルファン、ブロヴーダ、ウェルフィン、ヂートゥ、メレオロンの6人。この中で部下を統制しながら動くであろう師団長はハギャとウェルフィンだろう」

 

「ハギャって【ネバスカ】に出た獅子男だよな?」

 

「ああ。奴は欲望に忠実だが、頭が悪いわけではない。状況判断と対応は早いはずだ」

 

「ふむ……」

 

「だが大物振ることがあり、基本的に絶対に仕留める自信がない限り、前に出てこない。そして、まず間違いなく他の師団長は信用しない。能力もギリギリまで使わない可能性が高い」

 

「なるほど……」

 

「そして、ウェルフィンは絶対的な懐疑主義者だ。ハギャ以上に他人を信用できず、常に最悪を考えて動く。だが、それは慎重というより臆病だからだろうな。恐らくラミナ達の実力を把握すれば、逃げるか降伏する可能性が高い」

 

「また卑屈なやっちゃなぁ……」

 

「もし2人のどちらかならば、まずハギャが来るはずだ」

 

「今の話を聞く限りだと、まず2人が組む可能性は低そうだな……」

 

「ああ。まず間違いなく、ウェルフィンはハギャが追い込まれない限り手を貸そうとはしないはずだ。そして、ハギャもギリギリまで他の師団長の手は借りないはずだ。少なくとも、自分の手柄に出来る状況を作れない限りはな。ただし、これは護衛軍が口出しをしなければ、だが」

 

「まぁ、せやろな」

 

 ラミナは肩を竦めて、果物を齧る。

 

「ブロヴーダも馬鹿ではないし、突っ込む性格でもないが、まず緻密な作戦は練れない。NGLと変わらず小隊編成で動き、場当たり的な対応で動くだろう。ビトルファン、ヂートゥは語るに及ばず。全兵力でただ突っ込んでくるだけだろうな」

 

「問題はメレオロン、か……」

 

 キルアの言葉にティルガは頷く。

 

「元々メレオロンは師団長なのが不思議なくらい弱い。姿を消せる。この能力だけでその座に座っていたと言っても過言ではない」

 

「でも、今は【円】があるだろ?」

 

「ああ。だが、だからこそ対策している可能性が高い。これから来るであろう師団長の中で、最も警戒すべきなのはメレオロンだと我は考えている」

 

「……ブラールと同じように【円】でも感じ取れん能力にしとる可能性は高い、か……」

 

「残った6人の中で知将に最も向いているのはメレオロンだろう。戦闘力が無いが故に、慎重で、狡猾で、知恵が回る。恐らく奴の存在を探る隙を作らせないような陣形を展開するはずだ」

 

「……けど、そんな奴がいきなり出てくるか?」

 

「せやなぁ……。護衛軍が命令を出すんやったら、まずハギャやな。次点でブロヴーダ、大穴でメレオロン」

 

「が、妥当だな」

 

「ハギャが来るならば、まず間違いなく斥候にフラッタが出てくるはずだ」

 

「フラッタ?」

 

「奴の側近の兵隊長だ。空を飛ぶことが出来る」

 

「決まりやな。ハギャを第一候補として動くで」

 

 ラミナは残った果物を放り捨てて、立ち上がる。

 

 それにキルアやティルガ達も続いて立ち上がる。

 

「ええか? ここから先は躊躇したら死ぬだけや。敵対した奴は、確実に殺せ」

 

 ラミナが表情を消して告げる。

 

 それにキルアとブラールは一切表情を変えず、ティルガは僅かに顔を強張らせて頷く。

 

「ここでどれだけ殺せるかで、今後が決まるっちゅうても過言やない。ゴン、ナックル、シュートは殺せる連中ちゃうし、モラウとノヴは場所的に自分の命を守りながら翻弄するんで手一杯やろうし、作戦当日に向けて準備してもらわなあかん。……うちらが殺さなあかんねん」

 

 消去法でこの面子しかいないのだ。

 

 更にここでキメラアントの絶対数を減らしておかなければ、王や護衛軍を殺した後にまた世界中に散っていくのは間違いない。

 そうなれば、またどこかでキメラアントの被害者が出て、その責任はネテロやモラウ達、そしてラミナやキルア達に向けられる。

 

 今後の面倒を減らすためにも、ここで殺しておかなければならないのだ。

 

 

「行くで。――戦争開始や」

 

 

 命の喰らい合いが始まる。

 

 




ようやく? ラミナとキルアの共同作業ですね。
2人のコンビネーションが映えるように頑張りたいと思います!
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