暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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昨夜の新潟地震。被災地の皆様、ご無事でしょうか?

皆様の無事をお祈りしております。

ちなみに私は関西在住ですので無事です(どうでもいい)。



#23 シュギョウ×ノ×オワリ

 【発】の修行を始めて、1か月。

 キルアとゴンは修行の成果を見せる時が来た。

 

「ほな、見せてもらおか」

 

「「押忍!」」

 

 まずはゴンが水見式を行う。

 洗面器の中に置かれたグラスから勢いよく水が溢れ出す。

 

「おお、すっげぇ勢い!」

 

「ほぉ……」

 

「よし!」

 

「次はキルアやな」

 

 キルアはゴンと交代して、水見式を行う。

 変化系なので、グラスの水の見た目に一切変化はない。

 

「よし、いいぜ」

 

 キルアが【練】を止めて、ラミナとゴンが水を舐める。

 水はハチミツのように甘く感じた。

 

「……うん。これくらいで十分やろ」

 

「よし!」

 

「やったね!」

 

 キルアとゴンはハイタッチをして喜ぶ。

 

「これで基本の四大行は修めた。と言っても、これからも続けてもらわなあかんけどな」

 

「なぁ、ヒソカとカストロの試合の事なんだけどさ」

 

「なんや?」

 

「俺らでも似たようなこと出来んの?」

 

「出来るかもしれんし、出来んかもしれん。ほな、ビデオ見ながら説明しよか」

 

 ラミナは録画しておいたヒソカとカストロの試合を流し始める。

 

「あの試合。ヒソカの念はどこから見えたんや?」

 

「ん~っと……ヒソカがトランプの手品を言い始めたところから、かな?」

 

「ああ。そこからは【凝】で見てたけど、トランプをばら撒いた時は気づかなかった」

 

「まぁ、カストロよりは及第点やな」

 

「カストロは何で【凝】を使わなかったんだ? あんな凄い能力も使えたのに」

 

「そこまでは知らん。あいつの師匠が未熟やったんか、独学やったんかもしれんしな。ただ、カストロの失敗は【ダブル】を選んだことや」

 

「なんで?」

 

 ラミナは六性図を描いた紙を広げる。

 ゴンとキルアを座らせて、ラミナは話を続ける。

 

「カストロの虎咬拳はかなりの威力やった。そこから考えられるんは、カストロの系統は強化系っちゅうことや」

 

「確かにヒソカの腕を軽く引き千切ったもんね」

 

「まぁ、あれはヒソカが【練】を使うてなかったんも大きいけどな。まぁ、それでもヒソカの腕は引き千切れとった可能性は高い」

 

「けど、それが何の問題があんだよ?」

 

「【ダブル】の能力はな、3つの系統の能力がいるんや。自分を形作る『具現化系』、その次に具現化した分身を切り離す『放出系』、そして分身を操る『操作系』。この3つを()()()行うことで成り立つ能力や」

 

 キルアとゴンは目を見開く。

 そこまで高度な能力だとは思っていなかったのだ。

 

「この前話したな? 極められるんは生まれ持った系統だけやって」

 

「うん」

 

「カストロが強化系やった場合、放出系が最大80%、操作系と具現化系が最大60%。苦手な系統を2つも使えば、他の能力を身に着ける余裕はないやろな。ぶっちゃけ【ダブル】を作れただけでも大したもんや」

 

「じゃあ、俺達じゃ無理か……」

 

「やめた方がええやろな。そもそもお前ら、【ダブル】に思い入れやないやろ?」

 

「「ない」」

 

「ほんなら余計無理や。言うたやろ? 念は生まれ持った才能と育った環境に影響を受ける。思い入れがないもんに力を注いでも大した力にはならん」

 

 キルアとゴンは納得したように頷く。

 

「じゃあ、ヒソカは?」

 

「ヒソカの能力は変化系一択。恐らくヒソカは変化系能力者やな。つまりヒソカは自分の能力を十全に使えるっちゅうことや」

 

「粘着性のゴムみたいな能力だよな?」

 

「そうやな。【バンジーガム】って言うとったわ。ゴムとガムの性質を持つみたいやで。小難しい能力ちゃうから、オーラの消費も少ないし集中力もいらん。それで【隠】や【練】にも力を注ぐことが出来るし、カストロみたいにバレた所で能力が使い辛くなることもないでな」

 

「うわ~……」

 

 ゴンは自分が戦うことを想像して、顔を顰める。

 

「能力は出来る限り、自分の両隣を含めた3つを使って構成するのがベストや。単一だけでもええけど、ヒソカみたいな能力でもない限り応用力が無い能力になるで。ゴンなら放出系と変化系、キルアなら具現化系と強化系やな」

 

「「う~ん……」」

 

「ゆっくり考えや。それと他にも能力を強くする方法がある」

 

「他にも?」

 

「制約と誓約や」

 

 ラミナはメモ用紙に【制約】【誓約】と記す。

 

「念能力を使う時にルールを定めて、心に誓うんや。例えば『殴られれば殴られるほど、オーラが強くなる』『密閉空間で暗闇がある場所でしか使えない』とかな。クリアする条件が難しいほど、その力が跳ね上がる。ポーカーの役みたいなもんやな。難しい役ほど点数が高いやろ?」

 

「なるほど……」

 

「ただし、難しい制約を課せば課すほど、破ったときの反動はデカくなる。ひどい場合は二度と念が使えなくなったり、最悪命を落とす。しかも、制約を付ける以上、下手したら念が使いもんにならん場合もある。やから、制約を設ける能力と設けへん能力を作る必要もある」

 

「……難しいな」

 

「何度も言うけど、ゆっくりと考えや。焦って作ってもロクなモンやない可能性が高いで」

 

「そういえばラミナの能力はあの刀だけなの?」

 

 ゴンが訊ねた瞬間、ラミナは無表情になる。

 ゴンとキルアは背筋にゾクリと怖気が走る。

 

「忠告しとくわ。念能力者に【発】を聞いたらあかん。自分の能力がバレるんは、死に直結しかねん。やから、基本的に念能力者は親しい間柄でもバレてもええ能力やない限り、絶対に、話さへん。特にハンターや暗殺者とか命の危険が常にある者はな。やから、うちもお前らがどんな【発】にするんかは聞くつもりはないし、教える気もない」

 

 ゴンとキルアは冷や汗を流し、唾をのんで頷く。

 ラミナは威圧をやめて、いつも通りの雰囲気に戻る。

 

「っちゅうことで、後は四大行の応用技を何個か教えるで」

 

「……【隠】って奴?」

 

「【隠】はお前らの能力次第やから、わざわざ教えん。これから教えるんは【堅】と【円】っちゅう技や」

 

「それで全部?」

 

「いや? まだまだあるで。残りは頑張って自分で探すんやな」

 

 そう言った直後、ラミナは【練】を発動し、その状態を維持する。

 

「【練】と【纏】の応用技【堅】。【練】を長時間維持することで、防御力をあげる技や。最低でも30分が目標やな」

 

 そして、次に部屋を覆う様にオーラを球体状に広げる。

 

「「!!」」

 

「こっちが【練】と【纏】の高等応用技【円】。オーラを2m以上広げることで、範囲内の物や人の形や動きを肌で感じ取ることが出来る。この状態を最低1分維持すること。これは【絶】で隠れても意味ないから、オーラの範囲内から脱出するしかない。ただし、この範囲は人によってちゃうからな。1mも出来ん奴もおれば、数百mで出来る奴もおる」

 

 ラミナは【円】を解く。

 

「この2つが出来れば、そう簡単に負けたり奇襲も受けんやろ。ただし、【円】は目に見えるから気ぃ付けや」

 

 ゴンとキルアは頷く。

 

「これでうちの修行は全部終了や。ヒソカとやりたいんなら好きにしぃ。まぁ、その前に他の奴らと戦わんといかんけど」

 

「もう終わりか~」

 

「ああ、そうや。先にウイングの所に顔出してきぃ。うちからの修行が終わったこと伝えといて」

 

「え? なんで?」

 

「まぁ、行ったら分かるわ」

 

 ゴンとキルアは首を傾げながらも、部屋を後にする。

 それを見送ったラミナは、ヒソカとシルバにメールを送り、2人の念の指導を終えたことを伝える。

 シルバには教えた内容を伝えて、【発】に関しては自主性を重視させたことも伝える。

 

 まだ【硬】や【周】などが残っているが、ヒントは与えているし、自分で考えなければ成長が出来ない。

 特にゴンの場合は応用技がそのまま決め技になる場合があるので、変にイメージを固めさせないようにしないといけない。

 

「ゴンが強化系で良かったわ。強化系なら、今でもヒソカに1発入れられるやろ。変化系はイメージとインスピレーションが重要やからなぁ。うちが説明したところで役に立たんやろうし」

 

 猛スピードではあったが、伝えるべきことは伝え、教える技は教えた。

 ここからは2人の努力次第である。

 

「まぁ、2か月で終わったんやから十分やろ。ヒソカの試合くらい見届けたら、おさらばしよか」

 

 

 

 

 

 ゴンとキルアは、ウイングとズシの家を訪れていた。

 

「おや、2人とも。どうしましたか?」

 

「ラミナがウイングさんに『修行が終わったから顔出して来い』って」

 

「なんかあんの?」

 

「……そうですか。どうぞ中へ」

 

 室内に招いたウイングは、未だ不思議そうにしているゴンとキルアに振り返る。

 

「すいませんが、お2人の【発】を見せて頂けますか?」

 

「え? うん」

 

「いいけど……」

 

 ウイングが水見式の準備をして、ゴンとキルアはラミナに見せたように【練】を行う。

 その結果を確認したウイングとズシは目を見開く。

 

「……確かに。本当に2か月でここまで修めるとは……」

 

「すごいっす!」

 

「ラミナの教え方が良かったからだよ」

 

「それもあるでしょうが。間違いなく2人の才能が素晴らしいからですよ。ラミナさんは少し早いくらいだと言っていましたが、正直かなり早い部類ですよ」

 

「そうなの?」

 

「ええ。ラミナさんも驚いたことでしょうね」

 

 ウイングは苦笑しながら言う。

 正直、これで少しと思われたらズシが可哀想だ。ズシでさえ才能がある方だと言うのに。

 

 ウイングは顔を鋭くして、ゴンを見る。

 

「?」

 

「ゴン君。裏ハンター試験、合格です」

 

「「え?」」

 

 ウイングの言葉に、ポカンとするゴン、キルア、ズシの3人。

 ウイングは少しだけ表情を柔らかくして、

 

「念の修得はハンターになるための最低条件。プロハンターには相応の実力が求められるからです。犯罪者を捕らえることは、ハンターの基本活動。犯罪抑止力としての強さが必要になります。しかし、悪人が使えば恐ろしい被害を出しかねないこの力を、公に試験の条件とするのは危険です。それ故に表の試験を合格した者だけに課します」

 

「じゃあ、もし俺達がラミナに教わらなかったらウイングさんが?」

 

「そのつもりでした。君達が私でいいのならば、ですが」

 

「どうやってゴンの事を?」

 

「心源流拳法の師範はネテロ会長なんですよ。君達やラミナさんのことは師範から色々聞きましたよ」

 

 キルアとゴンはネテロの顔が頭に浮かぶ。

 どこか嵌められた気分になり、2人はどうにも喜び辛い。

 

「キルア君」

 

「ん?」

 

「ぜひ、もう一度試験を受けてください。今の君なら十分資格があると思いますよ」

 

「……ま、気が向いたらね」

 

 キルアは少し照れ臭そうに答える。

 すると、ゴンが思い出したように顔を上げて、ウイングに訊ねる。

 

「ねぇ、ウイングさん。他の人達がどうなってるか聞いてる?」

 

「ええ。クラピカ、ハンゾーは別の師範代の下、先日念を会得しました。ヒソカ、イルミ、ラミナさんの3人は最初から条件を満たしています。ポックル、ボドロは【練】の修得に手間取っており、レオリオは医大受験後に修行を始めるそうです」

 

「皆、頑張ってるんだね!」

 

「だな」

 

「さて……お2人は修行を終えた以上、これから試合を行っていくつもりなのでしょう?」

 

 ウイングの言葉に、ゴンとキルアは頷く。

 ウイングは真剣な顔で2人に告げる。

 

「ラミナさんからも聞いているとは思いますが、君達が修めた念はまだスタート地点から走り出したばかりです。先日のヒソカとカストロ以上の戦いが、これから君達を待っているでしょう。それだけ念はまだまだ奥が深い。200階クラスでの戦いは十分に注意してください。無理だけはしないように」

 

「「押忍!!」」

 

「それでは、これからも頑張ってください」

 

 ゴンとキルアはウイングの家を後にして、天空闘技場に戻る。

 キルアはメールが届いていることに気づいた。 

 

「ん? ラミナからだ」

 

「なんて?」

 

「『今後は自分達で修行して、試合する日を決めるように』だと。ヒソカとの試合が終わるまでは、ここにいてくれるらしいぜ」

 

「そっか~。ん~……能力とかについて聞きたかったんだけどな~」

 

「言ってただろ? 能力は俺達の思い入れや環境で決まるって。それに自分の能力の事も簡単に人に教えるなってさ」

 

「そうだけど……」

 

「……お前、忘れてるかもしれないけどさ。あいつの本業は殺し屋だぜ? いつかハンターとして、あいつを捕まえるために戦わないといけないかもしれないんだぞ?」

 

「ラミナとはそんなことにならない気がするけど……」

 

「甘い! あいつは親父達でさえ認めたプロだぜ? 普段の時と仕事の時は違うはずだ。殺されはしないかもしれないけど、手足の1、2本は覚悟しとくべきだ」

 

「う~ん……」

 

 ゴンはキルアの言葉に眉間に皺を寄せる。

 

 ゴンはこれまでラミナが暗殺者としての姿を見たことがないので、ピンと来ないのだ。

 ラミナとヒソカとの戦いも、結局ゴンは一度も見たことがない。ぶっちゃけキルアの方がまだ殺し屋らしいとすら思っている。

 なんだかんだでラミナは優しく丁寧に色々なことを教えてくれた。そもそもゴンはキルアのついでだったはずなのに。

 

 そのせいかゴンはラミナのことを強く信頼していた。

 今のメールとて、全くラミナとは関係ないヒソカとの戦いまでここにいてくれるとも言っていた。

 そこまで付き合ってくれているラミナが、キルアが危惧するほど変わるのか想像できなかった。

 

「まぁ……お前はそれでいいか……」

 

 キルアは納得していないゴンを見て、ため息を吐く。

 ゴンが知り合いを無闇に疑うようになったら、それはそれで大問題だ。

 

 そう言う部分は自分の役目か、とキルアは自分に言い聞かせる。

 

「けど、キルアだってラミナが俺達に問答無用で殺しにくるなんて思ってないでしょ?」

 

「……まぁな」

 

「そもそもラミナに俺達……っていうかキルアに念を教えるように言ったのは、キルアのお父さんなんでしょ? 一度は殺されかけた相手の頼みを聞くなんて殺し屋でありえるの? 別にこれに報酬とかないんでしょ?」

 

「……多分」

 

 キルアは思わず顔を顰める。

 正直キルアは、確かにいくらシルバに頼まれたとはいえ、ラミナがここまで丁寧に念を教えてくれるとは思っていなかった。

 本当にキルアを暗殺者にする気などなく、様々な可能性があることを教えてくれた。

 婚約者という面倒な立場に関しても、ククルーマウンテンを出てからは一度も嫌味や文句を言ってきたことはない。

 と言っても、文句を言われても困るが。恐らくラミナも婚約者の事は考えないようにしているのだろうと、キルアは考える。

 

 キルアもラミナの事は婚約者の事がなければ、好ましく思っているし信頼もしている。

 しかし、それと同じくらいラミナの暗殺者としてのプロ意識も理解出来ている。

 なので、もし敵対すれば、きっとラミナは手を抜かないだろうと確信している。

 

(まぁ、プロなり立てとアマチュアのハンターにそんな依頼来ないと思うけどな)

 

 それでも注意はしておくべきだろうとキルアは心の中で考える。

 

(……あいつとゴンがもし敵対したら……。俺は……どうする?)

 

 いつか来るかもしれない未来に、キルアは一抹の不安を感じたのだった。

 

 

 

 天空闘技場に戻り、エレベーターを降りた所で2人の前を塞ぐ影があった。

 以前200階に来た時に見たサダソ以外の2人だ。

 

「何か用?」

 

「くっくっくっ。そろそろ俺達と戦わないか? まだ200階に来て一度も戦ってないだろ?」

 

「げっげっげっ。俺達もそろそろ〆切が近くてな。どうだ?」

 

 ゴンとキルアは顔を見合わせて頷く。

 

「いいぜ。師匠からも許可出たしな」

 

「どっちからやる?」

 

「……強気だな。じゃあ、俺がお前とやろう」

 

 義足の男がゴンを指差し、車椅子の男がキルアと戦うことになった。

 その後、4人は受付で試合の申し込みをして別れる。

 

「勝てるかな?」

 

「雰囲気的にラミナやヒソカ、カストロの足元にも及ばない。だから念能力にさえ注意しとけば一方的に負けることはないだろ。とりあえず、教えてもらった【堅】を一度練習してみようぜ」

 

「うん」

 

 部屋に戻ったゴンとキルアは、さっそく【堅】を練習することにした。

 

「えっと……【練】を最低30分だっけ?」

 

「ああ。【練】を維持するだけだし、余裕だろ」

 

 2人は【練】を発動して、30分維持しようとする。

 しかし、

 

「「はぁ……はぁ……はぁ……」」

 

 1分足らずで【堅】どころか【纏】も解けてしまい、大量の汗を流して四つん這いになる。

 

「はぁ……はぁ……【練】を維持するだけが、ここまできつかったなんて……」

 

「……なるほどな。応用技として名前がつくだけの違いがあったってことか……。この感じじゃ【円】もまだ俺達じゃ厳しそうだな」

 

 キルアの推測通り【円】に関しては、オーラを広げるどころか球状にすることすら出来ず、形に拘らず広げようとしても1mも広がらなかった。

 そして、【堅】同様【練】の維持が出来ずに、すぐにオーラが途切れてしまう。

 

「くっそ……! これじゃあ【練】をしてるだけと変わらねぇ……!」

 

「あいつらとの試合には間に合いそうにないね」

 

「ああ……。ん?」

 

 キルアはテレビに顔を向ける。

 画面には試合決定のアナウンスが表示されていた。

 

「4月20日。明後日か……」

 

「キルアも決まったんじゃないの?」

 

「そうだな。ちょっと見てくる」

 

 キルアは駆け足で自室に戻り、試合の連絡が来てないか確認する。

 表示された日はゴンと同じく4月20日だった。

 

 キルアは駆け足でゴンの部屋に戻りながら、ラミナにメールを入れる。

 

「ただいま。俺も明後日だった。ゴンが午前で、俺は午後だな」

 

「そっか」

 

「ラミナにはメールいれといた。とりあえず、今は【堅】とかよりも四大行と【凝】に力入れようぜ。後、明日軽く組み手もしてみるか」

 

「うん!」

 

 修行も終わり、ようやく初戦を迎える2人は、早く試してみたいとばかりに胸を躍らせるのだった。

 

 

 

 

 その頃、ラミナは。

 

 

「見っけたってんだよゴラァ!! 俺っちと戦えってんだよゴラァ!!」

 

 

「…………なんやねん」

 

  

 ケンカを売られていた。

 

 


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