暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん 作:幻滅旅団
鋭い殺気を放つラミナと、凶々しい殺気を放つヒソカ。
「クロロの依頼……でいいのかな?」
「そうやで」
「残念♠ 出来ればクロロに来てほしかったんだけど♣」
「クロロは今ゾルディックと遊んどるさかい。諦めぇや」
そう言いながらラミナは飛び出して、ヒソカがトランプを乱れ投げる。
【一瞬の鎌鼬】で全てのトランプを斬り落とし、ヒソカに詰め寄ろうとするが、オーラが飛んで来たのを見逃さなかった。左に跳んで、【伸縮自在の愛】を躱す。
そこを今度はヒソカが飛び込んできて、殴りかかる。
「『飛び交え』【
ヒソカの接近を確認したラミナは、キーワードを唱える。
直後、ラミナの後方から20本近くのスローイングナイフが飛んできて、ヒソカに襲い掛かる。
「!!」
ヒソカは背後に伸ばしておいた【伸縮自在の愛】を発動して、勢いよく後ろに跳ぶ。
スローイングナイフはもちろんヒソカを追い迫る。
(近づこうにも近づけないな……♠)
ヒソカは作戦を考えていると、ラミナのオーラが膨れ上がり【円】を発動し、ヒソカを【円】の内側へと閉じ込める。
(ここで【円】……?)
ヒソカは訝しむが、ラミナが離れているにも関わらずファルクスを振り被る。
それを見た瞬間、死の予感に襲われてヒソカは全力で【堅】を発動して、首を庇う。
「【
ラミナは能力を発動しながら、ファルクスを振るう。
直後、ヒソカの左肩と右前腕、左外大腿が斬り裂かれて血が流れる。
「ちっ!」
(思ったより傷も浅いし、斬られた場所も微妙なところだな……♦ 相手のオーラで威力が減退し、斬る場所はランダム……かな?)
ラミナの能力を推測しながら、襲い掛かってきたスローイングナイフの群れを素早く手刀で叩き落とす。
ラミナはファルクスとブロードソードを消して、レイピアとククリ刀を具現化する。
「!!」
「【
ラミナは連続で突きを繰り出す。
ヒソカはもちろん剣筋から体を外そうとするが、左上腕の皮膚が抉れ、右肩に小さな穴が空く。
そして、さらにラミナはククリ刀を投擲する。
「【
高速回転するククリ刀が炎を纏ってヒソカに襲い掛かる。
「へぇ……♥」
ヒソカは跳び上がって躱し、ククリ刀にオーラを飛ばしてみる。しかし、炎に弾かれてしまう。
ならばと、スローイングナイフに向かって左五指からオーラを伸ばす。
今度は問題なく【伸縮自在の愛】を貼り付けることに成功し、左腕をすぐさま振り回す。周りのスローイングナイフとククリ刀に叩きつける。
続けて、ラミナに向けて振ろうとしたが、
「!? いない……?」
ラミナの姿がなく、周囲を見回しても見当たらないし、気配もしない。
しかし、直後背中に怖気が走り、ヒソカは反射的に背後に向かって右肘を繰り出す。
【朧霞】で姿を消して背後から突き刺そうとしていたラミナは、突然のヒソカの反撃に目を見開く。
顔面に飛んでくる肘を、短刀を握る左腕を咄嗟に上げて受け止める。
ラミナは歯を食いしばりながら、攻撃を受け止めた衝撃をいなすように上半身を仰け反らし、無理矢理左脚を振り上げてヒソカの背中に蹴りを叩き込む。
ヒソカは前につんのめりながら、後ろ右回し蹴りを放ってラミナの右脇腹に叩き込む。
「づぅ……!」
ヒソカはさらに左腕を振って、スローイングナイフをラミナに叩きつけようとするが、ラミナはスローイングナイフを消して攻撃を無効化する。
ラミナとヒソカは互いに距離を取って、向かい合う。
「これは想像以上に楽しめそうだね……♥」
「ふん……」
ヒソカは仁王立ちして飄々と笑みを浮かべている。
ラミナは僅かに眉間に皺を寄せて、左腕と右脇腹の状態を確かめる。
(アバラ1,2本イっとるな……。やっぱ身体能力とオーラの強さは向こうが上やな)
遠距離系能力ではヒソカの動きについていけない。
ククリ刀ならば【伸縮自在の愛】の影響は受けない様だが、スローイングナイフのような高度な追尾能力はないし、何度も使えば見切られてしまうだろう。
オーラの練度はヒソカが上のようで【狂い咲く紅薔薇】は効果が薄く、【啄木鳥の啄ばみ】も簡単に見切られてしまった。
(本能的に殺気に気づいて、攻撃してくるとは……。厄介やなぁ……)
近接戦を仕掛けるのも、少し厳しい。しかも、近づけば近づくほど【伸縮自在の愛】から逃れにくくなる。
まだ【月の眼】は使いたくない。ラミナはサングラスの位置を直して、短刀を消す。
「面白い能力だね♣ 団長達が君を気にかけるのも納得だよ♥」
「とっとと死んでほしいねんけどなぁ。何個も使うと疲れんねん」
「そう言わずにもっと遊びたいなぁ♠」
左手に圏を具現化して体を強化するラミナ。
(【伸縮自在の愛】は基本両手から飛んでくる。あいつのことやから両足からも飛ばせると考えるべきやな。ヒソカの隙を突く攻撃やないと、いつオーラが付けられるか分からん……。ホンマ、嫌らしい能力やこって)
【凝】をサボるわけにはいかないのも厄介だ。
【不屈の要塞】や【脆く儚い夢物語】を使えば、少しは有利になるだろうが武器を狙われればストックが厳しくなってくる可能性もある。
恐らく【月の眼】はどこかで使わねばならない。なので、無駄撃ちは避けたい。
「はぁ~。ホンマ……」
ラミナはため息を吐いて、一瞬体から力を抜いた直後、音もなくヒソカの目の前に現れる。
「ムカつくわ」
ボヤきながら右アッパーを繰り出す。
もちろんヒソカは驚くことなく、腕で防ごうとする。
しかし、腕に当たる直前で右アッパーは止まり、左手に握っている圏をフックのように脇腹を狙って放つ。
ヒソカはそれにも反応して右肘を叩きつけようとするが、圏も直前で止まる。
ラミナは右膝の力を抜いて屈みながら、左フックを放つ勢いを利用して左足払いをヒソカの左脚に叩き込む。
しかし、ヒソカの足は僅かにズレるだけで、地面から離れることはなかった。
「っ!? バンジー!?」
「正解♥」
ヒソカの右脚が振り抜かれ、ラミナは両腕を交えてガードする。
ヒソカは左足を粘着させていたことで踏ん張りを強くして、威力を上げていた。
「ぐぅ!?」
ラミナは横に吹き飛ばされる。
「逃がさないよ♠」
「っ!!」
ラミナの眼には、ヒソカの右脚と自身の右腕と繋がっているオーラが見えた。
そのオーラが勢いよく引っ張られていくのを確認した瞬間、ラミナは左手の圏を消すと同時に右手にハルバードを具現化する。
「『起動せよ』!」
キーワードを唱えて、ラミナは【不屈の要塞】を発動し、全身に鎧を纏う。
その直後、ラミナの体に付いていたヒソカのオーラが弾かれるように千切れる。
「!!」
「おおお!!」
ヒソカは目を見開き、ラミナは勢いよくヒソカに詰め寄り、左拳をヒソカの鳩尾に突き刺した。
ヒソカはくの字に体を曲げ、ラミナは更に左脚をヒソカの右脇腹に叩き込む。ヒソカは【伸縮自在の愛】をラミナの体に付着しようとしたが、また弾かれてしまう。
(オーラを弾く!!)
鎧の特性に気づいた直後、ハルバードの石突がヒソカの左頬に叩き込まれる。
「っっ!!」
ヒソカは勢いに逆らわずに体を捻って、両手を地面について逆立ちしながら跳び上がり、ラミナから離れる。
しかし、その一瞬の隙にラミナの姿が再び消えていた。
体を起こして体勢を整えた直後、再び背後に怖気を感じた。
(発動!!)
逆立ちした際に、保険で右足から地面に貼り付けておいた【伸縮自在の愛】を発動して、勢いよく下に下りようとする。
しかし、直後背中に鋭い痛みが走る。
「っ!!」
下りながら背後に目を向けると、左手に短刀を握り、右手でブロードソードを振り下ろしているラミナの姿があった。
ブロードソードの刃には、4が刻まれたクモの絵が描かれた布が血で張り付いていた。
「ちっ」
ラミナは感触でまた傷が浅いことを理解し、舌打ちをする。
地面に下りたヒソカはそのまま勢いよく前に駆け出し、ビルの屋上から飛び出す。
ラミナは地面に下りて、ヒソカを追いかけながらブロードソードに付いた布を見る。
描かれているのは旅団の証である数字が刻まれたクモの刺青で、それは消えて血で汚れた白い布に変わっていった。
それを見た瞬間、ラミナは占いの言葉を思い出した。
(『偽りの数字を刃に血塗る』……! まさかヒソカを殺すっちゅうことやなくて……!?)
ラミナは歯軋りをして、ブロードソードを消しながらスピードを上げる。
ヒソカを追って、【朧霞】を発動しながらビルから飛び出す。
すると、すぐ下にヒソカがビルの壁に両足だけでしっかりと仁王立ちしていた。
さらにヒソカからオーラが膨れ上がっており、そこにラミナは飛び込んでしまった。
(【伸縮自在の愛】で壁に張り付いて【円】……!?)
「くくっ♠ 見つけた♥」
「くそがっ!!」
ラミナは【朧霞】を解除して、短刀を消す。
ヒソカは素早く左手からオーラを伸ばして、ラミナの胸に貼り付ける。そして勢いよく左手を引き、壁からジャンプしながら右ストレートを振り下ろす。
ラミナは右腕に【流】でオーラを集中して、ヒソカの右ストレートを防ぐ。吹き飛んで右腕の骨が軋むのを感じながら、左手にハルバードを具現化する。
「『起動せよ』!」
【不屈の要塞】を発動して、【伸縮自在の愛】を弾く。
すぐに鎧を解除して、ベンズナイフを右手に具現化して地面に向かって投げる。指を鳴らして【妖精の悪戯】で入れ替わり、地面に下り立つ。
ベンズナイフを消して、今度はウルミを右手に具現化する。
(具現化するのは必ず両手♦ 武器を振るうか、キーワードを唱える事で発動する♣ 武器によって能力は全く違うみたいだけど、逆に言えば一度に使える武器は多くて3つくらいが限度か♦ それでも十分厄介だけど♥)
ヒソカはラミナの能力を纏めていく。
しかし、ラミナがウルミを鞭のようにうねらせ始めたのを見て、思考を中断する。
「【
ラミナが振り抜くと、剣先が地面に潜り込む。
そして、地面を抉りながら進み、ビルの壁すらもうねりながら登っていく。
「!!」
ヒソカは両足のオーラをガムのままにして、壁を横に走る。
ウルミも猛スピードで壁を抉りながら、ヒソカを追いかける。
ラミナはハルバードを消して、ククリ刀を具現化して投擲する。ククリ刀は炎の円盤となり、ヒソカに襲い掛かる。
ヒソカは能力を解除して、ビルの壁からジャンプする。
そして、ラミナに向かってトランプを10枚ほど乱れ投げる。
ラミナはウルミを消して、右手にブロードソードを具現化して高速で剣を振ってトランプを全て斬り落とす。
戻ってきたククリ刀をキャッチしたラミナは、再びヒソカを狙って投擲する。
(これはキャッチ出来ない!)
ヒソカは【伸縮自在の愛】を飛ばして、すぐ近くの樹が生い茂る公園の樹に貼り付けて、速度マックスで縮ませて公園に飛び込んでいく。
「ちっ!」
ラミナは舌打ちをして、ブロードソードとキャッチしたククリ刀を消しながら公園に入る。
(しもたな。ここまで樹が並ぶと【伸縮自在の愛】使いたい放題や。もう【朧霞】やと危険やな)
【円】を使えば居場所がわかる事もバレており、【伸縮自在の愛】を張り巡らせれば【朧霞】は簡単に移動を制限できることにも気づいているだろう。
ラミナはソードブレイカーと圏を具現化する。
(……気配が消えた。【不屈の要塞】は【凝】も使えんようになるから、この森では逆に使い辛い。それにヒソカが見えん状態やと【月の眼】も使えん。なら……!)
ラミナは【円】を発動する。
7mほど先の樹の上にヒソカが隠れているのを把握したラミナは、【凝】で罠を警戒しながら一気に詰め寄る。
ところどころ木々の間に【伸縮自在の愛】が張られており、ラミナは無理にソードブレイカーで壊さずに躱しながら進む。
そして、ヒソカがいる場所に迫ると、ヒソカが勢いよく飛び出した。
追いかけようとしたラミナだが、
(っ!! 速い!?)
木々の間をヒソカが猛スピードで飛び交う。
(あの【伸縮自在の愛】は罠だけやなくて、高速移動のためか!! やったら……!)
ラミナは武器を消して、ハルバードを具現化する。
【不屈の要塞】を発動した直後、ハルバードを振り回して周囲の木々を切り倒していく。
全方位から数十枚のトランプが再び襲い掛かってきた。
ラミナはハルバードを振り回し続けて、トランプと木々を切り飛ばしながら、公園の森を切り拓いていく。
その時、ハルバードが物凄いパワーで引っ張られて、ラミナの両手から飛び出していく。
「!!」
「その鎧には【伸縮自在の愛】は効かないけど、その武器には効くのはその鎧に殴られた時に試してたんだよね♠ それと殴られた感触から、その鎧を着てる時は君も【練】や【凝】を使えないみたいだね♦」
「ちぃ!!」
「だ・か・ら♥」
直後、ラミナが薙ぎ倒した木々が弾かれたように跳び跳ね、ラミナを挟み込むように勢いよく飛んで来た。
「!?」
「別に殴らなくても、純粋な物量で圧し潰せばいい♠」
ラミナには見えていないが、ラミナに迫る木々を繋ぐようにオーラが貼られており、しかも用意周到にラミナの前後2か所に【伸縮自在の愛】を貼っていた。どちらか一方が消されても、もう一方で挟み込めるように。
ラミナは【不屈の要塞】を解除して、【堅】を発動しながら勢いよく跳び上がる。
ラミナは視線を巡らせてヒソカを探すが見当たらず、右手に圏を具現化して【意地を貫く拳】を発動して【堅】を強化する。
その直後、後方から風を切る音が耳に届く。
顔で振り向くと、顔目掛けてトランプが数枚飛び迫ってきていた。
「こんっの!!」
ラミナは全力で体を捻りながら仰け反って、圏を握る右手でトランプを叩き落とす。
しかし、1枚だけ突如軌道を変えて、ラミナの顔に向かって追撃してきた。
(鎧を解いたと同時に頭にガムを貼り付けた!?)
「ぐっ……!!」
ラミナは顔を背ける。
トランプはラミナの右頬を掠り、少量の血を噴かせながら通り過ぎる。そして、そのまま体を捻り、左手刀でトランプを叩き落とす。
しかし、空中でほぼ無防備なラミナを、ヒソカが見逃すはずはない。
「【
ヒソカが両手からゴムを伸ばし、パチンコ玉のように両足をラミナに向けて折り畳んだ姿勢で猛スピードで飛び出してきた。
そして、両足にオーラを集中させて、未だ体勢が乱れているラミナに向かって勢いよく両足を揃えて突き出す。
「っ!!」
ヒソカの姿を視界の端に捉えたラミナは、ヒソカの両脚が左脇腹に直撃する直前に、左腕を差し込んで【流】を発動してオーラを集中する。
ヒソカの両足を受け止めた左腕から鈍い音と痛みが走り、ラミナは真横に吹き飛ばされる。
(飛び出した勢いと両脚の脚力は、流石に受け止めきれなかったか……♣ それでも左腕とアバラ数本で耐えきるとは♦︎ ちょっとショックかな♠)
ほぼ完璧と思った一撃だったのに、最低限のダメージで済まされた。
おそらく勢いに逆らわなかったこともダメージが軽減した理由であろうが、それでも少し意外だった。
(あの武器の能力かな? ハンター試験や天空闘技場で見た時よりもオーラが強まった気がしたし……♦)
そんな事を考えていると、ラミナが吹き飛びながら大鎌を具現化して、ヒソカに投擲してきた。
ヒソカは【伸縮自在の愛】で方向転換して躱し、大鎌は地面に突き刺さって止まる。
ラミナはそのまま森の中に飛び込んでいき、ヒソカは一気に勝負を決めようと追いかける。
ラミナは圏を消して、体勢を立て直す。
そして、両腕を無造作に振るい、勢いよく胸の前で交差させる。
その動作にヒソカが訝しむと、
ラミナが空中で急にスピードを落として止まった。
「!?」
ヒソカは目を見開き、ラミナは右足だけで地面に着地したと思うと、そのまま片足で勢いよく踏み出してヒソカに迫る。
ヒソカは両手にトランプを1枚ずつ取り出して両腕を振り、ラミナに斬りかかる。
ラミナは紙一重でヒソカの斬撃を躱しながら連続で殴りかかり、ヒソカも紙一重で躱す。
(? 雰囲気が変わった……?)
ラミナの気配が妙に変わったことを感じ取って、ヒソカは距離を取ろうと後ろに跳び下がった瞬間、
ラミナの口が三日月に歪む。
「かかったね」
ラミナが持ち上げた両手を、力強く握り締めながら交える。
直後、ヒソカの
ヒソカは【凝】を使い、目にした光景に目を見開く。
自分の四肢に
その糸は周囲の木々を介して、ラミナの両手に繋がっていた。
ラミナの両手にはグローブ型の鈎爪が嵌められており、両手指の鈎爪からオーラの糸が伸びていた。
「これは……マチの……!!」
「あんたさ、
「っ!!」
「【
この世で一番愛する姉の能力。
ラミナが最も信頼する武器にして、ここぞという時にのみ使う最愛の切り札である。マチほど精密に念糸を操れないし、切れ味が高いわけでもないが、それでもこの武器が一番だと思っている。
思い入れの強さ故に『能力使用時はマチの口調になり』『他の武器は握れない』。
それ故に、この能力を使う時は、
『オオオォ……!』
ヒソカの背後から不気味な声が聞こえてきた。
顔だけで振り返ると、ヒソカの背後に大鎌を抱えたボロボロの黒衣を纏った骸骨【
「……死神のつもりかい?」
「そんな大層なもんじゃないよ。アタシの代わりに、捕えた獲物の首を斬り落として処理してくれる働き者さ。便利だろ? 血で汚れないし、疲れないしさ」
ラミナはサングラスの下で両眼を金色に輝かして、妖艶な笑みを浮かべながらヒソカを見据える。
「ふぅん……♣ あの大鎌を味わってみてもいいけど……それよりも彼は君を守ってくれるのかな?」
ヒソカは右人差し指を振って、ラミナに【伸縮自在の愛】を伸ばして貼り付ける。
続けて、素早く再度人指し指を振り、横にある樹の幹に貼り付ける。
そして、笑みを浮かべながら、
「【伸縮自在の愛】♥ 縮め♥」
能力を発動する……が、ラミナは吹き飛ぶどころか、その場から動くことなく立ち続けていた。
「……?」
「もうアタシにあんたの能力は効かない。だから……さっさと死にな」
『オオオオ!!』
「っ!!」
骸骨が大鎌を振り被り、ヒソカに斬りかかる。
ヒソカは左人差し指からオーラを飛ばして、大鎌の刃に貼り付ける。
ラミナはすかさず念糸を引き絞るも、ヒソカは手首と指だけを動かしてオーラの反対側を自分の右前腕に貼り付ける。
(縮め!!)
【伸縮自在の愛】を発動して、大鎌の刃を右腕へと向けさせる。
そして、ヒソカの右腕が斬り飛ばされた。
「っ!! (【伸縮自在の愛】!!)」
ヒソカは痛みなど気にせずに自由になった右腕を振り、左側の念糸を支えている樹の根元にオーラを飛ばす。
そして、右腕を引き上げながら【伸縮自在の愛】を縮ませて、樹を根元から引き抜いた。
「なっ!?」
「油断大敵♠」
念糸が緩んだ瞬間、ヒソカは左手でトランプを投擲してラミナと右側の樹を狙う。
ラミナは躱しながら念糸を引き絞ろうとするが、突如ヒソカがしゃがみ込み、その真上を樹が飛び越えてラミナに迫ってきた。
「!!」
「ここに来る前に【伸縮自在の愛】をセットしておいたのさ♥」
「ちぃ!!」
ラミナは横に跳んで躱す。
その隙にヒソカは【暗闇で踊る骸骨】を左腕だけで掴んで一本背負いを放ち、地面に叩きつける。そして、大鎌を掴んで掬い上げるように振り、念糸を纏めて斬り飛ばそうとする。
しかし、念糸は切れなかった。
(強度も似てるのか!)
ヒソカはすぐさま大鎌を捨て、すぐ横に倒れている樹に【伸縮自在の愛】を伸ばして、縮めながら全力で片腕だけで振り上げて、またラミナに投げ飛ばす。
ラミナは舌打ちをしながら樹を躱そうとするが、樹の陰からヒソカが飛び込んできて、鋭い蹴りをラミナの鳩尾に突き刺した。
「ごぉ……!! っつぅ!」
一瞬呼吸が止まるが、ラミナは右手を振って新たな念糸をヒソカの脚に巻きつけようとした。
しかし、ヒソカは再び【伸縮自在の愛】で勢いよく後ろに下がって躱した。
「げほっ! ごほっ! (っとに厄介な!!)」
その時、念糸に感じていた重みが消えた。
「!? しまった!」
ヒソカに念糸を切られたことを悟り、目を見開くラミナ。
ヒソカはラミナが痛みに呻いて力が緩んだ瞬間に、【硬】で強化したトランプで切ったのだ。
ラミナは見渡すが、すでにヒソカの姿は見当たらなかった。
「くそっ!!」
「くくくっ……♣ 残念だけど、ここは退かせてもらうよ♠ 今の僕の狙いはあくまで団長だからね♦」
ヒソカの声だけが響いてきた。
「ざけんなっ!! テメェはここで殺す!!」
「怖い怖い♥ じゃあね♦」
「待ちやがれ!!」
ラミナは【円】を発動するが、一瞬感じ取ったヒソカの気配はすぐにラミナの【円】の範囲から消えてしまう。
すでに追いかけられる距離ではないと悟ったラミナは、歯軋りをして思いっきり叫ぶ。
「くっっそがあああああ!!!」
荒く息を吐いて、必死に怒りを抑え込む。
ラミナは武器を消して、【月の眼】を解除する。
「あんのっクソ奇術師が……! っ! ごほっ! ゲホゲホッ!! ぐっ……!」
ラミナは悪態をついた直後、咳き込んで強烈な虚脱感に襲われて片膝をつく。
(あんだけ武器を費やして……この体たらく……! 【敬愛する兄の剛腕】は使わんで正解やったか……)
【敬愛する兄の剛腕】と【敬愛する兄の咆哮】は威力が高いが隙が大きく、オーラの消費量が激し過ぎる。なので、ヒソカとの相性は悪いと考えて、使用は控えていた。
(……左腕は完全に折れとるな。アバラも5,6本……。これだけで済んだ……と思うべきか……)
ため息を吐きながら、頬を流れる血を拭う。
(向こうは右腕1本と右肩に風穴……くらいか。それでどれだけ動きを封じられるか……)
それでもあれだけの動きを見せたのだから、止血さえ終えればすぐにクロロを狙ってくる可能性がある。
やはりここで仕留め切れなかったことが悔やまれる。
ラミナは歯を食いしばって、ひとまずこの場を離れることにする。
短刀で姿を消して、公園から離れて路地裏に入り込む。
そして、携帯を取り出してクロロに電話を掛ける。
『……ラミナか。今どこだ?』
「ビルの近く。そっちはどうや?」
『何とか無事だ。既に競売を始めていて、コルトピがコピーしたモノを売りさばいている。俺やマチ達手配書に載ってるメンバーの死体も作ったから、少し調べれば俺達が流星街出身であることが分かるだろうさ』
「そら、よかった。ほな、うちはビルに寄らずにアジトにこのまま向かう」
『ああ。そっちはどうだったんだ?』
「……はぁ~~、悪い。依頼は失敗。取り逃がしてしもた。右腕はもろたけど、アレはまだまだ動けると思う」
『そうか……』
「まだ諦めん言うとったから、団員達にはしばらく1人で動かんように伝えといて。特にシズクやコルトピ、パク姉とかには」
『それがよさそうだな』
「ほな、これからゆっくりアジトに向かうわ」
『ああ、気をつけてな』
「そっちも、な」
通話を終えたラミナは再びため息を吐いて、路地裏の地面に仰向けに倒れ込む。
未だ煙が立ち上る夜空を見上げ、そして思い浮かんだ言葉を口にする。
「……しんどー」
_________________________
ラミナの新武器
・【
具現化したウルミに付与された能力。
地面や壁を掘り進んで、地中から襲い掛かる。
最大で50mまで伸びるが、ターゲットを視認していなければならない。
途切れた場所は乗り越えることは出来ない。なので、ビルとビルの間は越えられない。
土やコンクリートならば時速4kmで掘り進むが、鉄などはややスピードが落ちる。
・【
具現化されたグローブ型鈎爪に付与された能力。
ラミナが最も信頼している奥の手。
マチの【念糸】を参考にした能力。
指先の鈎爪部分からオーラを糸状にして伸ばすことが出来る。
伸ばせる長さ、念糸の強度はマチの念糸の半分程度。
念糸の先を小さな鈎状に出来、引っかけることが出来る。また、対象との距離が1m以内であれば念糸の切れ味も上げることが出来る。
『マチが使う能力』ではなく、『マチ』への思い入れから生まれた能力である。
そのため、制約が一部特殊。
『使用時はマチの口調になる』『両手で発動しなければならない』『他の武器は握れない』『手元から念糸を離すと、念糸は消えてしまう』が制約。
明日はお休みです(_ _)