暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん 作:幻滅旅団
ラミナ達は、とりあえず今日の仕事の打ち上げを始めた。
ノブナガは仕事に参加してないので、酒は無しだった。ゴンとキルアを無様に逃がしたことへの嫌がらせでもあるが。
「そういえば、あの2人どうやって逃げたんや?」
「あ? ……ふん」
床に座って木箱に背中を預けながら缶ビールを傾けるラミナは、ノブナガにゴン達がどうやって逃げ出したのかを訊ねる。
しかし、床に胡坐を組んで座っていたノブナガは不貞腐れたように顔を顰めてそっぽを向く。
それを見たフィンクスは揶揄う気満々の笑みを浮かべて、
「まさか気絶でもさせられたのか?」
「んなわけねぇだろ!! 左右の壁を蹴り破って飛び出したんだよ!!」
「ほぉ……」
「黒髪の方を追いかけたんだが、見失って【絶】で気配も消された。あいつら、『ブッ飛ばす』とか言っときながら逃げやがって……」
「追いかけなかたか?」
「【円】で待ち構えてたんだよ! ……それがフェイクだって気づいた時にはもう奴らはどこにもいなかったんだ」
ノブナガは再び不貞腐れる。
フィンクスやフェイタンはその様子に笑い、マチはため息を吐き、シャルナークやパクノダは肩を竦めて呆れる。
ラミナも呆れた表情を浮かべながら、
「お前なぁ……その前に散々実力差見せつけとるのに、2対1になったくらいで殴りかかってくるとでも思っとったんか。そこまでアホな奴らちゃうわ。家出中とはいえゾルディックの御曹司に、ガキとはいえあの歳でプロハンターやぞ」
「ぐ……!」
「まぁ、その前にお前らを尾行して捕まった大ポカしとるから、しゃあないかもしれんけど」
それでも子供2人にいいようにされたのは無様でしかないが。
「次会ったら絶対に逃がさねぇ……!」
「やめときぃ。言うたやろが。あの2人はクラピカ側や。捕まえたらクラピカとゾルディックが来るだけやし、クラピカを殺したら余計に仲間になんぞならんで? キルアも殺しを辞めたがっとるし、旅団には合わん。旅団に入るくらいやったら、ゾルディック家に帰るやろ」
「……情けない奴」
ラミナの隣で飲んでいたマチが、キルアの名前を聞いて顔を顰める。
ラミナは苦笑して、それ以上は何も言わなかった。
パクノダが話題を変えようと、ラミナに問いかける。
「そういえば、怪我はどんな感じなの?」
「左腕とアバラが数本折られたくらいや。左腕も力が入らんわけやないし、武器を軽く振るうくらいは出来るで」
ラミナは肩を竦めて、左手を持ち上げて離握手する。
そして、クロロに顔を向ける。
「クロロって治癒系の能力とか盗んどらんの?」
「いや、持ってないな」
「つまらんやっちゃな」
「酷いな」
「変な能力盗むくらいなら、治癒系1つくらい持っとけや」
「怪我する前に勝つからな」
「嫌味か」
「ああ」
クロロは不敵な笑みを浮かべて、ラミナは盛大に顔を顰める。
それにマチやシャルナーク達は笑い、和やかな雰囲気になる。
そして、日付が変わる頃まで宴は続き。
「あら」
「ん? どうした?」
パクノダがあることに気づき、ボノレノフが首を傾げる。
パクノダは穏やかな笑みを浮かべて、ある方向を指差す。
ボノレノフや声が聞こえていたフィンクス達も目を向ける。
そこにはラミナが頭をマチの肩に乗せて、スヤスヤと眠りについていた。
マチはもちろん文句を言わずにラミナを受け止めて、静かにビールを飲んでいる。
「相変わらず仲が良い姉妹ね」
「随分と無防備な顔だな」
「マチが隣にいるからだろ」
「成長したかと思ったが、この寝顔を見ると全然変わってねぇな」
「女の子の寝顔は何年経っても変わらないものよ」
「私、ラミナの寝顔初めて見たかも」
「僕も」
「シャルも言ってたが、マチがいるからだろうな」
パクノダが微笑ましそうに言い、ボノレノフはラミナの珍しい姿に驚き、シャルナークがビールを傾けながら言う。
フィンクスがラミナの寝顔を見ながら言い、パクノダが呆れたように言い返す。
そして、シズクとコルトピが珍しそうに見つめ、フランクリンも微笑みながら言う。
マチはもちろん話は聞こえていたが、ラミナを起こさないようにと思い、そっぽを向くことで羞恥を誤魔化す。
それに更にパクノダ達が笑う。
その間もラミナはマチにもたれかかったまま、寝顔を無防備に晒しながら眠り続けるのであった。
翌日、昼前までがっつり寝たラミナは寝ぼけ眼を擦りながら起きる。
「ふわぁ~……! ん~……!」
そして、思いっきり欠伸をして、伸びをする。
その様子をマチが呆れながら見つめる。
「ちょっと気ぃ抜きすぎじゃない?」
「いやぁ。今日で終わりやし、せめて体力と気力は回復させんとなぁ」
両肩を交互に回して、体の調子を確認しながら答えるラミナ。
そして、携帯の電源を入れる。
「ん?」
メールの着信が表示されていた。
(キルア?)
キルアからのメールに訝しみながら開封する。
『デイロード公園で待ってる。キルア・ゴン』
(……旅団の事はもう知っとるはず……。話を聞きたいってところか? クラピカとまだ連絡取れんのか? ……今は無視でええか。これからクラピカを殺す気やとバレたら、邪魔して来るやろうし)
今はクラピカを優先すべきだと考えるラミナは、『会える状況やない』と返信して電源を切る。
ゴンとキルアがクラピカに会わせようと考えていたなど、思いもせずに。
その時、クロロが全員に言い放った。
「今夜、仕事が終わったらそのまま引き上げる」
「……あ?」
ノブナガが顔を鋭くして、クロロに顔を向ける。
ラミナは立ち上がりながら、
「占いか?」
「ああ」
「どういうことだよ?」
「クロロの占いの2週目の詩に『菊が葉もろとも涸れ落ちて』ってあったやろ? それがパク姉、シズク、シャルが死ぬことを暗示しとる可能性があんねん」
「あ、やっぱりそうなんだ?」
シズクも占いを読んだ時に、何となくだがそんな気をしていたのだ。
納得が出来ないノブナガは顔を顰めて、クロロに訊ねる。
「なんで、その3人って分かるんだ?」
「占いではウボォーのことは霜月と表していた。だから、この占いでは団員番号のことを暦で表していると考えられる。菊は菊月で9月。葉は葉月で8月。涸れるは水無月を指していて、6月を表す。この場合は『落ちる』という言い方は死を意味する可能性が高い」
「……」
「今日は9月4日の土曜。今日中にここを離れれば、予言は回避できる」
「それは分からんと思うで?」
「……なに?」
ラミナがクロロに待ったをかける。
「確かにその占いは2週目のことやけど。具体的な時間は分からんのやろ?」
「……ああ」
「つまり、このまま仕事に行って、クラピカやヒソカが待ち構えとって、戦うやらなんやらして日曜に跨いだ瞬間のことかもしれんわけやな」
「……なるほどな」
「とりあえず全員、占ったらどうや? もしかしたら、うちらの時とは変わったかもしれんで? 鎖野郎が誰か判明して、ヒソカが出て行って、団長であるお前が占いの結果で引き上げを決めた状況下で占えば、な」
クロロは顎に手を当てて、少しの間考え込む。
(それにこの占いに関しては気になっとることもあるしな……)
ラミナが占いの説明と、今のクロロの判断からある疑問を覚えたのだ。
この占い能力は、使っていた本人も占いが念能力であることは知らなかった。さらに聞けばネオンは人の占い結果を見ないようにしていたらしい。
つまり、使っていたネオンも知らない能力の落とし穴や制約がある可能性があるのだ。
そこでラミナが思ったのが、占いの内容が『その者が占いの内容に従うことを見越した上での内容だとしたら?』というものだった。
つまり、クロロが今日引き上げると言うことも見通された上での、占い結果だとしたら?
必ずしも今日ヨークシンから離れることで、予知を回避出来ると言い切れなくなるのだ。
クロロやラミナ達は、今までネオンが占ってきたマフィア達の占い結果を知らないし、結果に従った者が全員生き延びているのかも分からない。
なので、判断材料が非常に少ないのだ。
(うちとクロロの占いには警告みたいな強い言い方はなかったしな)
なので、もしラミナの推測が正しかった場合、引き上げることが危険な可能性もあるのだ。
「そうだな。これから全員占う。シズク、シャル、パクはもちろん、他のメンバーも死を想像させる詩があれば言ってくれ」
クロロがペンと人数分の紙を用意しながら、説明する。
「それぞれ紙に名前、生年月日、血液型を書いてくれ」
「ワタシ生年月日知らないね」
「俺なんて血液型も知らねぇよ」
「僕も」
「げ」
フェイタン、フィンクス、コルトピが言い、クロロが素で固まる。
ラミナも天井を見上げて、片手で顔を覆う。
(……流星街の悪いところが……。まぁ、はっきりと言葉にされとるパク姉達が分かるだけマシか……)
流星街では赤子の時に捨てられる場合があったり、元々そんなことを調べる部族ではない者達が集まっていたりする。
なので、生年月日や血液型などは不明なままの者も多いのだ。
クロロもため息を吐きながら、他のメンバーからの紙を受け取る。
そして、能力を発動し、一気に書き始める。
それぞれ紙を受け取って、まずは自分だけで中身を読む。
マチは占い結果を見て、目を細める。
大切な暦が一部欠けて
遺された月達は盛大に葬うだろう
貴方は仲間と墓標に血をそえる
霜月が寂しくないようにと
菊が葉もろとも涸れ落ちて
血塗られた緋の眼の地に臥す傍らで
貴方は愛しき月の眼に祈りを捧げる
蜘蛛の牙が抜かれることになろうとも
愛しき月の眼の文を待つといい
仲間の遊戯を見守れば
貴方の糸は紡がれる
待ち焦がれることになろうとも
その後も占いは続いて行く。
なので、マチは死ぬことはない。
しかし、その内容は見逃せるものではなかった。
「ラミナ」
「ん?」
「あんたの占い見せて」
「へいへい」
ラミナはポケットから紙を取り出して、マチに渡す。
マチは見合わせながら、改めて自分の占いを見る。ラミナも横から覗き込む。
「……蜘蛛の牙が抜かれる、なぁ……」
「団員……って感じじゃなさそうだね。最初の文は団長と同じだし」
「うちの連絡を待つようなこと……。けど、そん時うちはクロロと一緒におる感じやけどなぁ」
「この感じだと団長とアタシ達は一緒にいない感じだね……」
「つまり、クロロについてマチ姉にわざわざ連絡するようなことが起きる……。パク姉達はどうやったんや?」
「……こんな感じよ。そっちも見せて」
パクノダが少し鋭い雰囲気で紙を渡してくる。
それにラミナとマチはやはり死の予言が出たのだと悟る。
紙を交換して、マチとラミナはパクノダの占いに目を通す。
大切な暦が一部欠けて
遺された月達は盛大に葬うだろう
貴方は仲間と墓標に血をそえる
霜月が寂しくないようにと
暗くて僅かに明るい日
貴方は狭い個室で2択を迫られる
誇りか裏切りかしか答えはないだろう
死神が貴方の傍に佇む限り
占いはこの2つで終わっていた。
「……これ……」
「時期がうちと同じやな……。しかも、これ……避けようがなくないか?」
『暗くて僅かに明るい日』『狭い個室』以外明確な情報はない。
これがヨークシンでのことなのか、他の場所での事なのかが分からない。
しかも『~してはいけない』ではなく、どちらかしか選べない状況に追い込まれることが確定されているような表現だ。
「その死神ってのが誰かってことなのよね」
「やなぁ……。雰囲気的にクラピカやなさそうやしなぁ」
パクノダは眉間に皺を寄せて、右手で前髪を掻き上げる。
そこにシャルナークやシズク達も近づいてくる。
「見せてくれないか?」
「もちろん」
マチとパクノダは3人分の紙を渡し、マチ達はシャルナークとシズクの占いを見る。
2人の占いは1つ目はマチやパクノダと同じだった。
問題は2つ目。
シャルナークの場合。
電話をかけてはいけない
一番大事な時に繋がらないから
電話に出るのも勧めない
3回に一度は死神に繋がるから
シズクの場合。
黒い商品ばかりの収納場で
貴方は永い眠りを強いられる
何よりも孤独を恐れなさい
2人きり程怖いものはないのだから
と、ここまでで終わっている。
「シャルナークもまた微妙ね……」
「けど、シャルナークは電話に出なければいいし、シズクは誰かと一緒にいればいいみたいだね」
「パクはどうすればいいんだろうね?」
「っちゅうかシズクの収納場ってどこや? 地下競売は今日までやろ? 2つ目の詩っちゅうことは明日からやから、地下競売のことやない? それともやっぱ今日の仕事でトラブルが起きる?」
「ちょっとラミナ、落ち着きな」
「ああ、すまんすまん」
シズクの占い内容に眉間に皺を寄せながら、呟きながら考え込む。
それをマチが声を掛けて止める。
「けど、確かに競売にしては日時が変だな」
「もしかして、ここ?」
「……なるほど。既に奪ったアジトのお宝のことかもしれないか……」
「しかも、私やシャルナークみたいに死神ってワードがないから、鎖野郎じゃないかもしれないわね……」
シャルナークが顎に手を当てて唸り、シズクが首を傾げながら言う。
それにシャルナークやパクノダが頷きながら、考え込む。
ラミナはノブナガ達に顔を向ける。
「ノブナガ達はどうや?」
「俺は5つ出てるな。ただ、ちょっと物騒な文がある」
「俺もだ」
「……」
フランクリンとボノレノフが答え、ノブナガは黙ったままだった。
「物騒?」
「2つ目での詩でな。途中までは団長と一緒なんだが、残りの2文がな」
「内容は?」
「『それでも蜘蛛は止まらない。遺る手足が半分になろうとも』だ」
「俺も同じだ」
「……俺もだ」
フランクリンの言葉に、ボノレノフとノブナガも同じだと言う。
それに全員が顔を見合わせる。
「流れで言えば、手足は団員のことか?」
「でしょうね」
「ウボォー、シャルナーク、パク、シズク。……それに裏切り者のヒソカも入れれば5人。ってことは……」
「占えてもらえてない俺か、フェイタンか、コルトピの誰かだな」
「すでにおらんウボォーとヒソカ以外は、全員後方支援タイプやな。そこから考えれば、コルトピの可能性が一番高そうやな」
「だね」
フィンクスが首を傾げ、パクノダが頷く。
マチが死んだ者、死の占いが出た者、抜けた者の名前を挙げていき、フィンクスが引き継ぐ。
そこにラミナが死の占いが出た者の旅団での役割からコルトピの名前を挙げて、コルトピ自身も頷く。
「厄介なのが、3人共鎖野郎に殺されるのかはっきりしないってことだな」
「どうするんや? クロロ。どの判断しても微妙やぞ。一番は今すぐここを離れる事みたいやけど」
「……そうだな……」
シャルナークが腕を組んで顔を顰め、ラミナがクロロに訊ねる。
クロロは顎に手を当てて考え込む。
(しもたな……。ヒソカを追い出したせいで、相手がはっきりせんようになってしもた……)
ラミナは自分の失敗を改めて悟った。
ヒソカがクロロと戦うのを諦めていないことで、ヒソカがクロロの敵意を自分に向けるために、団員を殺すかもしれない可能性が高まった。
なので、死神と言うのはヒソカの可能性も生まれてしまったのだ。
しかも、日時もはっきりしないので、ヨークシンでの事なのかはっきりしていない。
クラピカがマフィアを抜けて、ヒソカと共に追いかけてくる可能性もあるのだ。
少なくとも、ラミナとクロロはクラピカと敵対する。
そこにマチ、ノブナガ、フランクリン、ボノレノフも関わっているのは間違いない。
なので、死神であるのはクラピカである可能性は高い。
(……やっぱやらかしたなぁ……)
ラミナはため息を吐いた。
そこにマチがラミナの脇腹を突く。
「ごぇ!?」
「余計な事考えなくていいの。ヒソカに関しては、あんたのせいじゃない」
「マチ、ラミナはアバラが折れてるのだけど」
「ぐぅおおぉおぉぉお……!!」
「あ」
ラミナは脇腹を押さえて、蹲って痛みに耐える。
その姿にすっかり忘れていたマチは声を上げて、パクノダ達は苦笑するしかなかった。
「で、どうするか? 団長」
フェイタンがクロロに問いかける。
クロロはゆっくりと顔を上げて、
「……残ろう。そして……こちらから動く」
その言葉にノブナガが笑みを浮かべる。
「マフィアンコミュニティーはともかく、鎖野郎はヒソカから俺達の偽装の事を知らされていてもおかしくない。恐らく今日の競売も油断せずに待ち構えているだろう」
「確かにな」
「それでも奴がノストラードファミリーに属しているのは間違いない。なら組の拠点を襲って頭を殺せば、競売どころではなくなるはずだ」
「まぁ、娘が組を引き継ぐことは出来んやろうしな。派手に死体を晒せば、マフィアンコミュニティーは組として瓦解したと思うやろうな。競売にも参加できるか怪しいでな。金払えんやろうし」
ラミナはやや涙目で脇腹を擦りながら、クロロの作戦を後押しする。
「問題は鎖野郎の能力が未だはっきりしないことだ」
「わかってるのはウボォーを縛り付けた能力だけ。それでウボォーを殺せるとは思えない」
「まだ何かあるってことか。まぁ、そりゃ当然だろうけどよ」
「ラミナ、鎖野郎はどんな性格だ? どんな能力を考えそうな奴だ?」
クロロがラミナに訊ねる。
ラミナは眉間に皺を寄せながら、
「ん~……一度覚悟を決めれば、厄介な奴やな。やから、能力も復讐に適したモンにしとる可能性が高い。正直、制約や誓約も命懸けとっても驚かん」
「……なるほどな。そうなると……やはりラミナ、お前が鍵になりそうだ。」
「【月の眼】と【脆く儚い夢物語】、やな?」
「ああ。鎖を使う以上、具現化系か操作系だ。能力を無効化できるお前は、間違いなく鎖野郎の天敵となる」
クロロが断言し、ラミナは納得するように頷く。
そこにシャルナークが声を上げる。
「問題は奴らがどこにいるか、だね」
「……コルトピ」
「なに?」
クロロがコルトピに問いかける。
「競売品の中に【緋の眼】はあったか?」
「……あったよ。確かコピーした」
「確かお前のコピーは【円】の効果もあったな? 今、どこにあるか分かるか?」
「本物を触ればね」
「よし、全員で探すぞ」
クロロの命令で全員が木箱を開け始める。
「ノストラードが【緋の眼】競り落としたんか?」
「憶えてないわね」
「かなりの数があったしな」
「まぁ、クラピカなら意地でも競り落とすか?」
「ノストラードの娘は人体収集家でもある。奴がノストラードに近づいたのは、そのための筈だ」
「なるほどな」
クロロの言葉にラミナは納得して、開封を手伝う。
30分ほど探し、シズクが【緋の眼】を見つけた。
(これがクラピカの仲間のなれの果て、か……。哀れなもんやな)
同じ変色する眼を持つ者としては、僅かに同情の念を覚える。しかし、それでも弱かったのが悪いのも事実なので、すぐにその思いも消える。
コルトピが【緋の眼】に触れて、コピーの位置を探る。
「同じ形の物は……あっちの方角。大体2500m」
「地図をくれ」
「ほい」
フィンクスがクロロに地図を渡す。
そして、確認したクロロが口にした場所は、
「……ホテル・ベーチタクル」
「あ?」
その名前にラミナが思わず声を上げる。
「ベーチタクルやと? ……ちっ! 別名義で部屋を変えたんか……!」
すぐにクラピカ達が取った方法に気づき、盛大に顔を顰める。
「シャル。パソコンどこ?」
「あっち」
「借りるで。もう一度ノストラードとクラピカの情報を探す」
「ああ」
「クロロ。その間に動き、決めといて」
「分かった」
ラミナはすぐさまパソコンの前に移動して、ハンターサイトでノストラードファミリーの情報を浚う。
しかし、まだクラピカの情報もなく、構成員リストも変化していない。
「ちっ」
そして、やはりベーチタクルの宿泊名義にクラピカの名前はなかった。
「いや……9月2日で、クラピカがヒソカと会った後の時間で、同じクラスの部屋を借りた奴がおれば……」
すぐに機転を利かせて、9月2日の宿泊名簿を照会する。
「……センリツ。こいつやな。ノストラードの名簿にも無し。くっそ……! どんだけ運が悪いねん、うちら」
すぐにセンリツについてハンターサイトで検索してみる。
「プロハンターか。写真は無しって、あぁ! くそ!」
どうやらあまり目立った活動や能力を持っていないようだった。
それではハンターサイトでも大した情報は載らない。
「クラピカといい……! 欲しい情報が全っ然手に入らん……!」
ラミナは愚痴りながら、クロロ達の元に戻る。
「どうだった?」
「センリツって名前の名義で部屋を借りとるんは分かったけど、センリツの情報はプロハンターっちゅうこと以外、特になし。クラピカも情報に載ってへん。ハンターサイトはしばらく期待薄や」
「そうか……」
「で? どう動くんや?」
「俺、ノブナガ、コルトピ、シズク、マチ、パクでホテルに向かう。残りはここで待機。連絡役はフィンクスだ。シャルに電話しても出ないから注意しろ」
「まぁ、占いからすればそうやろな。うちは?」
「もちろん、俺達と一緒だ。ただし、先んじてリパ駅に向かってくれ。俺達は電車で向かう。その後は俺を離れた所から監視しろ」
「ええんか?」
「構わん。俺達とお前は別行動と連中に印象付ける。鎖野郎がこっちに気を取られた隙を狙え」
「了解や」
「ヒソカに注意しろ」
「もち。ほな」
ラミナは短刀を具現化して、姿を消す。
それを見送ったクロロは、コルトピに顔を向ける。
「コルトピ、あと10棟。アジトのコピー増やせるか?」
「あと50はいける」
「頼む」
コルトピはすぐに作業に入る。
クロロはフランクリンとボノレノフを護衛に付ける。
「コルトピが戻り次第、行動開始だ」
クロロの言葉に、出動組が頷く。
いよいよ蜘蛛もクラピカ排除に動き出した。
多くの方が公園でのクラピカ対ラミナをお望みだったかと思います(-_-;)
すいません。どうしても、この占い合戦をやらせたかったんです(__)
マチの占いを書きたかったんです。