暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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#59 アンサツイッカ×ト×マフィア

 ラミナとカルトは、グスヌシファミリービル裏にある建物の屋上でゴトー達と合流する。

 

「やっぱアラクネーは巣穴に潜っとんなぁ」

 

「手がかりは無いの?」

 

「ん~……一度拠点に戻ろか。確かパソコンあったやんな?」

 

「はい」

 

「あんま期待できんけど、情報屋サイト覗こか」

 

 ラミナは悩まし気に眉間に皺を寄せながら、方針を決める。

 それにカルト達は頷いて、拠点に戻るために走り始める。

 

 先ほど同様路地裏を走っていくが、

 

「奴らだ!! 見つけたぞ!!」

 

「撃て撃てぇ!!」

 

「「「「!!」」」」

 

 突如、サブマシンガンを構えた男達3人ほどが現れた。

 

ダダダダダダダダ!!

 

 男達は躊躇なく発砲を始める。

 ラミナ達はすぐさま路地裏や物陰に隠れる。

 

 しかし、弾丸が4人を追いかけるように曲がってきた。

 ラミナ達は目を見開いて、すぐに隠れていた場所から飛び出す。

 

「!? 念弾か!」

 

 ラミナは銃弾ではなく念弾であることを見抜き、さらに念弾が当たった壁が発火するのも見逃さなかった。

 

「カルト、ゴトー! 先に念弾に当てろや! アマネはカルトのフォロー!!」

 

 ラミナは両手にククリ刀を具現化して、指示を出す。

 ゴトーはラミナの指示を聞く前から、コインを弾いて念弾に当てていた。

 

 カルトは舌打ちし、紙吹雪を操って壁を作って念弾の防ぐ。しかし、紙なので発火した炎で紙吹雪は一気にその数を減らしてしまう。

 アマネは地面に転がる石や廃材、ゴトーのコインを投げて、念弾を防いでいく。

 

 ラミナは壁を蹴って素早く跳び回って念弾を躱しながら、二振りのククリ刀を投げる。

 ククリ刀は炎を纏って、念弾を弾きながら男達に迫る。

 

「なっ!? ぎゃ!?」

 

「ぐぇ!?」

 

「くそっ! がっ!?」

 

 2人はククリ刀で腰から上下に体を分かれ、もう1人はラミナにサブマシンガンを向けた所をゴトーのコインに頭を撃ち抜かれる。

 

「止まるな! 屋上まで上がって一気に走るで!」

 

 ラミナ達は一気にスピードを上げて、路地を駆け抜けながら建物の屋上に上がる。

 そして、建物の屋上を跳び移りながら、拠点を目指す。

 

「なりふり構わなくなったね」

 

「やっぱ部下の視覚を共有出来るみたいやな。うちらがグスヌシファミリーのところで暴れたんがバレたんやろ。多分、ゼノ爺や扇動中の執事連中もバレとるやろな」

 

「それにしても、あの銃と念弾は……」

 

「相互協力型の能力やな。あれがタラチュネラファミリーの部下に念使いが多い理由なんやろ。他の執事共は下げた方がええんちゃうか?」

 

「……そうですね。周囲の注意を引きながら、街を脱出するように指示を出します」

 

 その後も2回ほど襲撃を浴びるも、特に問題なく撃退する。

 ラミナ達は少し遠回りして、拠点へと戻る。

 

 拠点の中には数名の執事が傷の手当てをしていた。

 

「死んだ奴はいるか?」

 

「いえ、今の所はここにいるケガ人だけです。他の者は合流しながら、郊外を目指しています。ただし、大旦那様と共にいる者達は引き続き、大旦那様のサポートをしています」

 

 ゴトーは部下の報告に頷き、カルトは今のうちに紙の補充を行い、アマネはそれを手伝う。

 

 ラミナはパソコンの前に座り、情報屋サイトを見る。

 

「さて……どこにアラクネーがおるか、やけど……」

 

「分かるの?」

 

「まぁ、この街の情報屋はほとんどアラクネー側っちゅうか、グスヌシファミリーや闇組織と絡んどるから、嘘の情報が多いやろな」

 

「判別できるのですか?」

 

「ゴトー、この街の地図。ホワイトボードに貼っとるデカイ奴」

 

「はい」

 

 ゴトーと手の空いている執事はすぐさまホワイトボードを動かしてくる。

 ホワイトボードにはこの街の地図が貼られていた。

 

「これから言う場所にチェック付けてって」

 

「承知しました」

 

 ラミナは次々と住所や地名、建物の名前を挙げていく。

 ゴトーや執事達は言われるがままにバツ印をつけていく。

 

 カルトは印がついた場所を見て、首を傾げる。

 

「この中にあるの?」

 

「グスヌシファミリーと闇組織の拠点は?」

 

「ここと……ここですね」

 

 ゴトーが色を変えてバツ印をつける。

 それを見たラミナは地図とパソコンを見比べながら、顎に手を当てて考え込む。

 

「グスヌシファミリーのビルは、うちらが暴れた。闇組織の方は情報無し。んで……執事達が暴れ回っとったところと、タラチュネラファミリーが暴れた情報……。それと……サブマシンガンを持っとる男達の目撃情報……」

 

 ラミナは立ち上がって、地図に3か所ほど丸を描く。

 

「これは?」

 

「多分、この中のどれかがアラクネーの拠点や」

 

「なんで?」

 

「情報屋連中はアラクネーの拠点をバラさんように忖度するはずや。やから、うちらや部下が暴れた情報ばっかを流して、アラクネーの拠点に近い情報は挙げんやろうな。けど、パスイダはうちがこのサイトを使っとることくらい調べとるやろ。やから、わざと拠点近くの偽情報を流すようにしとるはずや」

 

「……なるほど。だから、他の場所と比べて情報が少なく、ピンポイントに情報があるところが逆に怪しくなる……というわけですか」

 

「そういうこっちゃ。グスヌシファミリーと闇組織が潰れた今、パスイダは情報屋共を操作する権力はない。やから、情報の偏りを直す余裕はないやろ。後は……普通の情報サイトと警察へのハッキング……。あ、ここ捨てる用意しといてや」

 

「すでに完了しています」

 

「流石やなぁ……っと、よっしゃ。1か所、警察の情報にも挙がっとらん場所がある。後はその中のビルのどれかってことやなぁ……」

 

 流石にピンポイントで当てることは無理だ。

 後は現場でどうにかして探し当てるしかない。

 

「とりあえず、行こか。近づいて【円】でも使えば、分かるやろ」

 

「ここからは6kmほどですね」

 

「さっき同様建物の上から行こか」

 

「分かった」

 

「お前達は私達が出たら、すぐにここを脱出しろ」

 

「「はい」」

 

 ラミナ、カルト、ゴトー、アマネはビルの屋上から目的地へと向かう。

 残った執事達は素早く痕跡を消して、車で脱出を始めるのであった。

 

 

 

 パスイダ達も撤退の準備を整えていた。

 

「……完全に見失ったネ。やっぱり部下達じゃ手も足も出ないネ。それにスーツを着た連中も街から逃げ始めたネ」

 

「ということは、ゾルディックはグスヌシファミリーと黒狗が標的だったと?」

 

「……その可能性はあるネ。けど、リッパーはまだ油断できないネ」

 

 パスイダは街に散らばっている部下達の記憶を必死に探るが、ラミナの姿は見つからない。

 一緒にいたカルトの姿も見当たらない。

 パスイダも完全にラミナ達を見失っていた。

 

「……マズいネ。情報屋達からは何か連絡は?」

 

「特に何も……。というよりは……」

 

「足元を見られ始めたネ?」

 

「……はい。グスヌシファミリーと黒狗の頭が殺されたことに気づかれたようです」

 

「はぁ……。仕方ないネ。流石にアタイ達だけで連中を牛耳る時間はなかったしネ。撤退するネ」

 

「「はっ」」

 

「りょ~かい」

 

 パスイダは目を開けて、脱出を決意する。

 立ち上がって、移動を始めようとした時、

 

 パスイダ達がいる場所をオーラが駆け巡った。

 

『!!?』

 

「バレたネ!! 備えるネ!!」

 

 パスイダはチェイツォンから一振りの両刃の剣を受け取り、左手にサブマシンガンを具現化する。

 チェイツォンとラニョスもサブマシンガンを両手に具現化して、周囲を警戒する。

 

 その時、ビルの壁から炎の円盤が飛び出してきた。

 

 パスイダ達はそれを躱し、飛んで来た側の壁に銃口を向ける。

 直後、左側の壁を突き破って、何やら銃弾のようなものが大量に撃ち込まれてきた。

 

「ぐっ!」

 

「おのれ……!?」

 

 パスイダ達は何とか銃弾であるコインを躱す。

 

「3方発砲!! このまま正面に出るネ!!」

 

「「「はっ!!」」」

 

 チェイツォン達は左右と正面に連射する。壁は勢いよく炎が上がり、穴が空く。

 そのまま正面に走り出し、シュピネスを先頭に外へと飛び出す。

 

 飛び出したのはビルの2階。

 地面に下り立ったパスイダ達の真上から、紙吹雪が襲い掛かってきた。

 

「ラニョス!」

 

「あいさぁ!!」

 

 パスイダが素早く指示を出し、ラニョスが紙吹雪を銃撃する。

 紙吹雪は一気に燃え広がり、攻撃は不発に終わる。

 

 パスイダ達はすぐさま移動を始めようとするが、パスイダは背後に怖気が走り、反射的にサブマシンガンを背後に向けて発砲する。

 

「おっとぉ!!」

 

 背後にはハルバードを構えて、全身鎧を身に着けた騎士がいた。

 念弾は全て鎧に弾かれて、発火することなく霧散する。

 

「なっ!?」

 

「しっかりと顔を合わすんは初めてやなぁ、アラクネー」

 

「リッパー……!?」

 

「死ね」

 

 ラミナはハルバードを振り下ろす。

 パスイダは横に跳んで躱し、右手の剣を振る。ラミナは僅かに仰け反って躱し、ハルバードを横振りする。

 それを跳び上がって躱したパスイダは、駆けつけたシュピネスと共にサブマシンガンを乱射する。

 

 しかし、念弾は全て鎧に弾かれて霧散する。

 

「念弾が効かない……!?」

 

「なんと……!」

 

「ゴトー! 1人任せる! カルトとアマネはペアで1人殺れや!!」

 

 ラミナは指示を出して、ハルバードを振り回す。

 ゴトーは隣のビルから飛び降りながら、右手でコインを連射する。

 カルトとアマネはラニョスを挟み込むように下り立ち、カルトは扇子を振って再び紙吹雪を真上から襲わせる。

 チェイツォンとラニョスは舌打ちをして、サブマシンガンを構えてコインと紙吹雪に向けて発砲する。

 

 ラミナはパスイダとシュピネスを同時に相手取る。

 サブマシンガンが効かないことに歯噛みをするシュピネスは蹴りを多用しながら牽制し、パスイダはシュピネスの攻撃の隙を狙って剣で攻撃する。

 ラミナはパスイダの剣はハルバードで受け流し、シュピネスの蹴りは躱していく。

 

(ふむ。決め手に欠けとるな。向こうもみたいやけど)

 

 【不屈の要塞】を使用中は他の武器や【練】【堅】も使えない。

 念弾を弾けるだけでもありがたいが、今の状況を打開するには少し厳しい。

 

(それにもう少し離れ離れにせんと、連携されたら厄介や。手下共も集まってくるやろうし……。どうしたもんか……)

 

 ラミナがパスイダ達を引き連れて行く方法を考えていると、

 

 突如、上空に3匹の龍が現れる。

 

『!!』 

 

 ラミナはもちろんパスイダ達も動きを止める。

 3匹の龍は大きくうねりながら、ラミナ達に迫る。

 

「っ!」

 

 ラミナは後ろに跳び下がる。

 すると、3匹の龍は突如スピードを上げて、チェイツォン、ラニョス、シュピネスを咥えて空へと舞い上がった。

 

「「「「なっ!?」」」」

 

「おぉ」

 

「ラミナ様! あれは大旦那様の能力です! 警戒は必要ありません!」

 

「なぁる。ほな、そのままついて行きぃ」

 

 ラミナはゴトーの言葉に頷いて、指示を出す。

 カルト達は頷いて、龍に飛び乗る。

 

 龍を見送ったラミナは鎧を解除して、パスイダを見据える。

 パスイダは歯軋りをして、空を見上げていた。

 

「残念やったなぁ。まぁ、頑張って生き残ることを祈りや」

 

「くっ!」

 

「じゃあ、本番行こか」

 

 ラミナはハルバードを消して、ブロードソードとソードブレイカーを具現化する。

 そして、パスイダに斬りかかり、パスイダも構えて戦いを再開するのだった。

 

 

 

 龍に攫われたシュピネスは必死にもがき、龍を銃撃していた。

 しかし、龍は全く堪える様子はない。

 

「ぐっ!! 早くお嬢様の下へ戻らなければ……!!」

 

 すると、龍が突如消え、シュピネスは高層ビルの屋上に放り出される。

 シュピネスはすぐに屋上の端まで行くが、流石に高すぎて飛び降りるのは厳しかった。

 

「っ!! おのれ……! この高さでは……!」

 

「やれやれ……。これではタダ働きなんじゃがの……」

 

「!!?」

 

 シュピネスは聞こえてきた声に弾かれるように振り返る。

 

 その視線の先には、気だるそうに腕を後ろに回したゼノが立っていた。

 

「……お前は……まさか……!?」

 

「まぁ、孫のことで面倒をかけとるしのぉ……。これも仕事の延長と考えてやるとするか」

 

 ゼノはシュピネスのことなど、全く気にもかけずに独り言を呟く。

 シュピネスはパスイダが調べさせた資料を見ていたので、ゼノの顔を覚えていた。

 

「おのれぇ!!」

 

 シュピネスが叫びながら、サブマシンガンをゼノに向ける。

 それにようやくゼノは、シュピネスに意識を向ける。

 

「やれやれ……」

 

 そう呟いた直後、ゼノの姿が消える。

 

「っ!?」

 

 引き金を引こうとしていたシュピネスは目を見開いて固まり、周囲を見渡そうとした直後、胸と背中から血が噴き出す。

 

「がふっ!! ……な……にが……!?」

 

「なんじゃ、未熟者じゃったか。これなら手助けせんでも良かったかもしれんな」

 

 シュピネスの背後にいつの間にやら移動していたゼノが、つまらなげに言う。

 シュピネスは口からも血が溢れ出し、両膝を地面につく。しかし、それでも左腕を震わせながらサブマシンガンをゼノに向けようとする。

 

「こ……こで……死ぬ……わ…け……」

 

「その気概は褒めてやらんでもないが、心臓を潰された以上、お主は死ぬ定めじゃよ」

 

 ゼノはシュピネスに背中を向けたまま言い放つ。

 その言葉を無視して、シュピネスは歯を食いしばって引き金を引く。

 

 直後、左腕が千切れて、念弾を放ちながら宙を舞う。

 その念弾の数発がシュピネスの体に直撃する。

 

「っ!!! が……ぁ……!!」

 

 シュピネスは背中から倒れて、地面に大きく血の池を作りだす。

 

「拳銃程度が儂に届くわけないじゃろうに。舐められたもんじゃ」

 

「……お…じょ……ま……もう……わ……」

 

 ゼノは呆れた顔をシュピネスに向け、すぐに顔を逸らして歩き出す。

 シュピネスは既にゼノの声など聞こえておらず、パスイダに謝罪しながら息絶えるのだった。

 

 

 

 ゴトーとチェイツォンは、ビルの屋上で向かい合っていた。

 

 互いにすぐに撃ち出せる構えで、睨み合っている。

 

「……いくら貴様のコインが銃弾のように撃ち出せようが、我らの能力に勝てると思っているのか?」

 

「ああ、余裕だな」

 

「……ゾルディックの人間だろうが、いい気になるなよ……」

 

「たかがマフィアがいい気になるなよ」

 

「っ!! キッサマァ!!!」

 

 チェイツォンは簡単に挑発に乗り、引き金を引く。

 両腕のサブマシンガンから念弾が放たれる。

 

 ゴトーは横に跳び出しながら、コインを連射する。

 念弾とコインがぶつかり、炎が舞い上がる。撃ち落とせなかった念弾はゴトーを追尾してくる。

 ゴトーは念弾の軌道を素早く予測し、回転を強めにかけてコインを発射する。

 

「いつまでも逃げ回れると思うなよぉ!!」

 

 チェイツォンが強気に言い放った。

 その直後、

 

キイィン! キイィン!

 

 鋭い金属音のような音が響き渡り、チェイツォンの両肩に鋭い痛みが走る。

 

「がああ!?」

 

 チェイツォンは両肩から切り裂かれたように血を噴き出し、叫びを上げながら後退る。

 両腕から力が抜けて、サブマシンガンを手放してしまう。

 

「言ったろうが。いい気になるなってよ」

 

 ゴトーは右手で眼鏡を直しながら、チェイツォンに言う。

 

「……な、何をした……!?」

 

「コインを縦にして、全力で撃ち出しただけだよ。速度に全振りしてるからな。直撃すれば丸鋸のように切れる。連射が出来ねぇのがクソなところだがな」

 

 ゴトーはチェイツォンを見据える。

 地面に落ちたサブマシンガンは消滅し、チェイツォンは額に大汗を流しながら後退る。

 

「ぐ……!」

 

「どうした? もう腕が動かねぇのか? じゃあ、銃はもう使えねぇな。他に能力は持ってねぇのか?」

 

「……」

 

「なるほどな。その銃と念弾はテメェらの相互協力型能力ってわけだ」

 

「っ!」

 

「じゃあ、もう用はねぇ。死ね」

 

ドゥドゥドゥドゥン!

 

「がぅっ!?」

 

 チェイツォンは額や体に風穴を空けて、仰向けに倒れて息絶える。

 

「……ゾルディック家の執事を舐めんじゃねぇよ」

 

 ゴトーはすぐに駆け出して、カルト達の元へと向かうのだった。

 

 

 

 その頃、カルトとアマネは、

 

「ぐ……!」

 

「どうしたの? ボクはまだピンピンしてるよ?」

 

 ラニョスを追い込んでいた。

 

 カルト達は路地裏で戦っていた。

 路地裏にある廃材や砕いた瓦礫を利用して念弾を防ぎ、隙を見ては紙手裏剣や石礫を投擲してラニョスを攻撃していた。

 

「こ、このクソガキ……!」

 

「そのクソガキに負けてるのは誰だろうね?」

 

(どうしよう……。カルト様。また嬲り癖が出てきてる……)

 

 アマネは物陰に隠れており、カルトの様子を見て眉尻を下げる。

 ラミナがいれば「さっさと殺せ言うたやろ」と注意するのだろうが、アマネではそう簡単に注意出来る立場ではない。

 厄介なのは、このままでも確かにラニョスを殺すことは出来るからだ。

 

 念弾は厄介であり、ラニョスの身体能力もそこそこ高いが、それでもカルトやアマネより下である。

 鍛えられた成果か、カルトもまだまだ体力的に余裕があるようで、それで久々の仕事でテンションが上がり過ぎたらしい。

 

 アマネがどうしたものか悩んでいると、ラニョスのサブマシンガンが突如消滅した。

 

「なっ!!?」

 

「あれ? 諦めたの?」

 

「んなわけ……!! っ! で、出ねぇ……!?」

 

 ラニョスはサブマシンガンが具現化できないことに目を見開いて、震える両手を見つめる。

 

「まさか……チェイツォンが……!?」

 

「……あぁ、そっか。その銃と念弾って相互協力型能力だっけ……。もしかして、お前達が作ってたの?」

 

「っ……!」

 

「まぁ、お爺様とゴトー相手じゃ当然か……。ねぇ、もしかしてもう能力ないの?」

 

 カルトは扇子を口に当てて、少しずつ興奮が冷めて行くのを感じていた。

 

(こいつじゃ、どれだけ強くなったか。分かり辛いや。もう戦えないみたいだし)

 

 カルトは小さくため息を吐いて、袖から紙吹雪を取り出す。

 

「もういいや」

 

「!」

 

「風ッ!!」

 

 カルトは扇子を振り抜いて、紙吹雪を舞い上がらせる。

 紙吹雪はラニョスを囲い、ラニョスは【練】をした状態で左右を見渡して右往左往する。

 

 ラニョスの背後にカルトは音もなく移動し、扇子を素早く振る。

 ラニョスは背中に激痛を感じて、思わずそのままに前に飛び出し紙吹雪を突き破る。

 

「アマネ、殺しちゃって」

 

「はい」

 

「っ!?」

 

 カルトは追撃せず、扇子を畳んで退屈そうに言う。

 アマネは右拳に【硬】を発動して、ラニョスの真上に現れ右拳を振り抜く。

 

 ラニョスは目を見開いて、真上から迫る拳を見つめる事しか出来なかった。

 

「ふっ!!」

 

「!!?」

 

 アマネの拳はラニョスの顔面に突き刺さり、ラニョスは顔面を陥没させながら後頭部を地面に打ち付ける。そのまま頭が破裂して、血と肉片が地面に広がる。

 

「お疲れ様です、カルト様。お見事でした」

 

「こいつじゃ全然強くなった気がしないや。あの女の方が欲しかったなぁ……。あれがアラクネーなんでしょ?」

 

「恐らくは」

 

「……まだ戦ってるかな? けど、戦っててもラミナ相手じゃ、もう無傷じゃないか……。そんな相手を横取りしてもな……」

 

 カルトは扇子を口に当てて、独り言を呟く。

 アマネはそんなカルトを見て、小さくため息を吐く。

 

 その数分後にゴトーもやって来て、ラミナの下へ移動することにするのだった。

 

 




アマネは強化系だと思うんですよね。
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