暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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#63 ゲーム×ノ×ハジマリ

 12月中旬。

 

 ラミナ達はアカルル王国南側の港町にアパートを借りていた。

 先にジンへの依頼を終わらせようと、ラミナはず~っとパソコンの前に陣取り、思い出せる限りの記憶を記述していた。

 

 それが終わったのが昨日の事である。

 エクスカリバー、クラレント、アロンダイトの記憶を合わせて、A4用紙3000ページを超える超大作となったのだ。

 

「……あのクソ……」

 

 ラミナはベッドに倒れ込んで、両目の下に隈を作ってジンへと恨み言を呟く。

 クロロはすでに酒を傾けながら、ラミナが書き上げた記憶を読み始めており、その周囲にはアルサー王伝説関係の書籍が積み重ねられている。

 カルトはクロロの様子に呆れながら、羊羹を食べている。

 

「報酬は貰えたの?」

 

「……メール送った直後に指定した口座に300億振り込まれたわ」

 

「さっ……!?」

 

「阿呆。1つの記憶に100億やぞ? むしろ安すぎるわ。多分今回の振り込みは前金や」

 

「……それで前金なの?」

 

「今はクロロが積み重ねとる本とかに書かれとる事実との確認作業を行っとるんやろ。やから、もうしばらくして、ジンが言っとったように発表された時の反応で正確な報酬が決まるやろうな」

 

「……」

 

 カルトはどれだけ報酬が膨れ上がるのか想像が出来ずに呆然とする。

 ラミナはそれに苦笑して、

 

「まぁ、しばらく先の話や。んで、明日から早速グリードアイランド始めるで」

 

「分かった」

 

「とりあえず、一度お試しで入ってみよか。シャル達が戻って来とるんやったら、うちらでもすぐに戻れるやろ」

 

「旅団との合流はそれからってこと?」

 

「いや、連絡は入れるで。向こうから来るんやったら、それでよし。来んかったら、来んかったで一度戻ればええ。まずは情報収集と除念師を探すんにどれだけ時間がかかるんかを確認して、クロロに報告するのが最優先な」

 

「うん」

 

「じゃ、今日はもう飯食って休もか」

 

 ラミナとカルトは、明日に備えて休むことにした。

 そして、クロロはそのままパソコンの画面を見つめ続けていたのだった。

 

 

 

 翌日。

 流石のクロロも資料から目を放して、ジョイステーションの準備を見つめていた。

 

「メモリーカードは?」

 

「1人1枚使い切るんやと。まぁ、別に攻略が目標ちゃうし、うちだけでええやろ」

 

「それでいいよ」

 

「時間の流れはもちろん現実と一緒。やから、クロロ。流石に1,2週間は帰れんと思うから、無茶すんなや」

 

「分かってるさ」

 

「じゃ、行くで」

 

「うん」

 

 ラミナはジョイステを挟むよう両手をかざして、【練】を行う。

 すると、クロロとカルトの目の前から、ラミナの体が消える。

 

「ほぉ……」

 

「ホントに消えたね」

 

「確かにこれを見るだけでは、ゲーム内に消えたように感じるかもな」

 

「じゃ、ボクも行ってくる」

 

「ああ」

 

 そして、カルトも手をかざして【練】を行い、グリードアイランドへと飛んだ。

 

 

 

 ラミナは気づいたら、不思議な空間に立っていた。

 

「ほぉ~、一瞬でか。この周りの紋様になんかあるんか?」

 

 不思議な紋様が刻まれた壁や床を見渡す。

 しかし、ここにいてもしょうがないので、目の前の扉へと足を進める。

 そして、扉を出て廊下を進み、奥の部屋へと入る。

 

 部屋の中心には浮かんでいる椅子があり、頭に巨大なヘッドセットを被っている女が座っていた。

 そのすぐ近くには螺旋階段があった。

 

「ようこそ、グリードアイランドへ。新規プレイヤーの方ですね?」

 

「おう」

 

「それでは、まずはプレイヤーネームをご登録させていただきます。どのようなお名前がよろしいですか?」

 

「ん? 自由に変えられるんか?」

 

「はい」

 

「ん~……いや、ラミナでええわ」

 

「承知しました。プレイヤーネーム『ラミナ』様で登録致します」

 

 案内役の女性はパソコンを操作する。

 

「登録完了しました。では、こちらをお受け取りください」

 

 ラミナは女性から指輪を受け取った。

 

「指輪? ……神字か」

 

 ラミナは指輪の内側に神字を彫られているのを見つける。

 

「そちらはこのゲームには欠かせないアイテムとなっております。まずはそれを指に嵌めて、『ブック』と唱えてみてください」

 

「……ブック」

 

 ラミナは右手人差し指に指輪を嵌めて、唱える。

 すると、指輪から一冊の本が出現する。

 

「ほぉ」

 

「このゲームでは入手したアイテムを全てカード化することが出来ます。これはそのカードを納める本となります。このゲームの目的は、その本を完成させることです!」

 

 その後もラミナは説明を聞く。

 指定ポケット、フリーポケット、『ゲイン』とその注意点、カード限度枚数、簡単な注意点などを聞いた。

 

「それではご健闘をお祈りしております。そちらの階段からどうぞ」

 

「おおきに」

 

 女性に示された螺旋階段を下りる。

 

 すると、そこは広大な草原のど真ん中だった。

 

「お~……なぁんもないなぁ」

 

 ラミナは周囲を見渡すも、人影や建物、道などは一切見えない。

 しかし、

 

(……全く視線が隠せてへんなぁ……)

 

 2方向から複数の視線を感じて呆れてしまう。

 敵意を隠す事も出来ていない。これでは隠れて見ている意味はないに等しいだろう。

 

(ま、逆に言えば、それでも問題ないっちゅうことか? 何やら実力差関係なく戦える方法がある、か……)

 

 カルトの到着を待ちながら、推測する。

 そして、地面に落ちている石を拾う。

 すると、ボン!と音がして、石がカードへと変わった。

 

「なるほど。この島にあるもんは基本的に、何でもカードに出来るんか」

 

 カードには『21449』『H―∞』と書かれていた。

 

「ん~……数字がカード番号。Hがカードランクで、∞がカード化限度枚数ってとこか? まぁ、石が重要アイテムなわけないやろうから、Hが最低ランクと考えるべきか。……ゲイン」

 

 呪文を唱えると、カードが石へと戻り、手のひらに落ちる。

 今度はカード化することはなかった。

 それを確認したラミナは石を捨てて、階段へと目を向ける。 

  

 丁度カルトが下りてきたところだった。

 

「思たより時間かかったな」

 

「扉が開かなかったの。1人ずつじゃないと説明聞けないみたい」

 

「あぁ……なるほどな」

 

「で、どうするの? 見てる奴らから情報聞き出す?」

 

「まずは街を目指そか。視線がある方向に行けばあるやろ。その近くまで尾いてきたら、()()しよか」

 

「分かった」

 

 ラミナとカルトは視線を感じる方向へと歩き出す。

 

「けど、なんでスタート地点なんて見張ってるんだろ?」

 

「まぁ、新規プレイヤーがどんな奴か探るためか、有名プレイヤーで一時期島外に出とった奴が戻ってくるんを狙っとるんか、やろな。まぁ、前者の方が可能性ありそうやけど」

 

「こんな簡単にバレてるのに?」

 

「細かいところまでは知らん。バレても問題ないと思わせる理由があるんやろ。ゲーム言う以上、何かしらの独自の戦闘ルールがあってもおかしないでな」

 

「戦闘ルール?」

 

「ああ。ブック」

 

 ラミナは右手を出して、本を取り出す。

 

「この本にアイテムを集めるだけやったら、とっくに誰か攻略しとるやろ。けど、まだ誰も出来てへんっちゅうことは、それだけ厄介な何かがあるんやろうな。最低限の説明の中になんもないっちゅうことは、カードを使って呪文みたいなんがあると考えるべきや」

 

「なるほど……」

 

 ラミナの考察にカルトは頷いて納得する。

 

 そして、2人は森へと足を踏み入れて歩き続ける。

 相変わらず視線は消えず、2人を追い続けている。

 

「一番近い距離、分かるか?」

 

「……20mくらい」

 

「数は?」

 

「……1つ。後は80m以上離れてる」

 

「よし、お話聞いてみよか。行ってみぃ」

 

「分かった」 

 

 カルトは目を鋭くして、ラミナの横から音もなく姿が消える。

 それに視線の主は動揺する気配を感じ取ったが、ラミナは本を消してまっすぐ視線の主を目指して走り出す。

 

 視線の主は慌てて逃げようとするが、

 

「遅いよ」

 

「!?」

 

 すでに背後にカルトが立っていた。

 隠れて見張っていた男は目を見開いて固まる。

 カルトは扇子を広げて振り、男の右足と左腕を斬りつける。

 

「ぎあ……!?」

 

 男は悲鳴を上げて後ろに倒れ込む。

 

「ひぃ……ブ、ブック!!」

 

 男は本を出して、何かをしようとしたが、男の左腕にスローイングナイフが突き刺さり、右手首を踏みつけられて骨を砕かれる。

 

「ぎゃあああ!?」

 

「ちょ~っと失礼するでぇ。カルト、左腕押さえとけ」

 

「分かった」

 

 カルトは男の左腕を踏みつけて押さえ込む。

 ラミナはスローイングナイフを消して、男が出した本を開いて中を見る。

 

「………ほぉ~、結構色んなカードがあるみたいやなぁ。……お、やっぱ呪文カードがあったわ」

 

 男のフリーポケットにあったのは、『窃盗』『盗視』『再来』『交信』『名簿』×2の計6枚。

 他にはモンスターカードに動物や昆虫カード、食料のカードに金のカードまであった。

 

「金までカードなんかい……。まぁ、ええか。さぁ、兄さん。ちょっと色々聞かせてんか? ちゃんと話してくれたら、解放したるから安心しぃ」

 

「……わ、分かった……。だから、殺さないでくれぇ……!」

 

(……こんなんでよぉこのゲームに挑みよったな……)

 

 このゲームにいる以上、念使いの筈なのだが下手したら一般人にも負けそうな気配である。

 体も鈍りきっており、もはや念を使えるのかも怪しく見える。

 

(指定ポケットも0。……なるほど。何年経ってもクリアどころか、指定ポケットカードを1枚も集められず、ゲームから出る事すら出来んかったんか……。そんで新規プレイヤーを尾行して、指定ポケットカードを手に入れた所を狙うと……)

 

 ラミナは男の状況を理解し、そしてゲーム内の現状も何となく理解した。

 

(こんな連中で溢れとるんやろうな。そして、攻略出来とる連中はそれぞれのグループでいがみ合っとると。限度枚数を超えたカードの取り合いも起こっとるんやろうなぁ)

 

 ラミナは小さくため息を吐いて、怯えている男を見下ろす。

 

「まずは……呪文カードについてやな。知っとる事全部教えてんか?」

 

「わ、分かった……」

 

「ちなみに嘘ついたら……カルト」

 

「うん」

 

 ラミナに声を掛けられた瞬間、カルトは男の左手を前腕半ばから斬り落とした。

 

「いぎゃああああ!?」

 

「……阿呆。せめてまずは指にせぇや」

 

「え?」

 

「はぁ~。まぁ、残り3本、どれかが飛ぶで? けど、仏の顔も三度まで……やからな?」

 

「いぎぃ……! あ…あが……」

 

「……おい、聞いとったか?」

 

「ひぃ!? は、はい!!」

 

「ほな、早よ話せ」

 

 ラミナから殺気を飛ばされて、男は痛みを一瞬忘れて返事をする。

 そして、男は痛みと恐怖に耐えながら、話し始める。

 

 呪文カードは全40種類。

 相手を傷つけたり、命を奪う呪文カードはなく、あくまでカードを奪うことを目的としている。

 そして、それを防ぐ呪文、監視する呪文、調べる呪文、連絡や移動をする呪文がある。

 

 近距離呪文は使用者の半径20m以内が効果範囲。

 遠距離呪文は島全体。

 そして、この20mというのは『遭遇判定』にも用いられている。

 

 攻撃呪文を受けた場合、本を出し、かつ防御呪文を所持していれば、攻撃呪文は最大15秒間待機状態となる。その間に防御呪文を使うかどうかを判断出来る。

 なので、敵プレイヤーが現れた場合、最初に本を出すのが重要である。

 

「なるほど……。じゃあ次、金がカードになっとるんは?」

 

「こ、このゲームでは現金は使えない……。だから、ア、アイテムを換金するんだ……」

 

「まぁ、ゲーム通貨は当然か。次、地図は持っとるか?」

 

「……ズ、ズボンのポケットに……」

 

「カルト」

 

「うん」

 

 カルトは男のポケットを探って、巻物状の地図を取り出す。

 

「呪文カードが手に入る街は?」

 

「ま、魔法都市【マサドラ】だ……」

 

「地図にも載ってるよ」

 

「オッケー。じゃあ、最後……今の話、嘘ちゃうよな?」

 

 ラミナは男の右腕に乗せた足に、更に力を籠める。

 

「ひぃっ!? う、嘘じゃねぇ!! し、信じてくれ! 信じてくださいぃ!!」

 

 男は涙と鼻水を流して叫ぶ。

 ラミナはもうこれ以上は大した情報は無さそうだと判断する。

 

「ブック」

 

 ラミナは本を出して、呪文カードと食料カード、金カードを奪う。

 それを男は絶望の表情を浮かべて見つめるも、もはや何も出来なかった。

 

 本を消したラミナは、男の右手から足を退ける。

 そして、右手にブロードソードを具現化する。

 

「……右手は折れて左手も斬り落とされて、ゲームの外に出る事も出来へん。体も念も鈍って攻略も無理。もうどうしょうもないやろ?」

 

「……え?」

 

「さいなら」

 

 ラミナは男の背後に回り込みながらブロードソードを振り、男の首を斬り落とす。

 男の本は消えて、更に体も輝いたかと思った直後、消滅する。

 

「消えた?」

 

「多分、ゲームを始めた場所に戻ったんやろ。死体の後始末せんでええんは楽やな」

 

「どうする? マサドラに行くの?」

 

「まぁ、そこが一番人が多そうやしな」

 

 ということで、ラミナ達はマサドラを目指すことに決めて歩き始める。

 

 周囲の気配は更に遠くなり、視線もかなり減った。

 今の拷問を見て、雑魚連中は逃げ出したようだった。

 

 感じる気配は位置を悟らせないので、こっちはそれなりの実力者のようだった。

 

「ふむ……。残った連中は新参狩り的な奴らかもな」

 

「なんでそんなことするの?」

 

「そらぁ、これ以上邪魔者に来て欲しないからやろ。多分、指定ポケットのほとんどはもう限度枚数超えとるんやろな」

 

 すでにゲットしてる者から奪うのも難しいのだろう。

 呪文カードにも限度枚数がある。それすらも回り切らないほどにプレイヤーが蔓延っているのだ。

 

「このゲームはセーブデータを気にせんかったら、何人でも入ってこられるでな。遊び半分で入って、想像以上に過酷で出るに出れんくなった未熟モンが多いんやろ」

 

「出る手段が限られてるってこと?」

 

「それもあるやろうけど、モンスターとかに殺されるんとちゃうか? さっきの奴とか、一番強かった時でも今のクロロに負けそうやったし」

 

 ラミナは地図を広げて、街の位置を確認する。

 それぞれの街の距離は、60km以上は離れていそうだった。

 

「移動しながらモンスターと戦うとなると、さっきの奴じゃ厳しいかもしれんなぁ。途中で宿みたいなんがあればええけど、他のプレイヤーがおったらと思うと泊まりにくいんやろうな」

 

「ふぅん」

 

「まぁ、モンスターがどれくらいか知らんけど」

 

 ラミナは肩を竦めて、歩き続ける。

 カルトはそれに続きながら、周囲の気配を探り続ける。

 

「ところで、カルト。お前、さっきの拷問」

 

「?」

 

「いきなり手首落とすなや。脅しはあくまで脅し。『これからどれだけ、どんな目に遭うのか?』っちゅう恐怖を植え付けるためのもんやぞ。理想は爪を剥ぐ。次点に指を折る。最悪で指を斬り落とす。最初に手を斬り落とすは論外や。あいつはそれでも良かったけど、少しでも修羅場経験しとる奴やったら、耐える覚悟決めさせる可能性が高いで」

 

「……」

 

 カルトは扇子を口元に当てて、考え込む。

 その後は特に何事もなく、移動する。

 

 そして、森を通り抜けると岩石地帯が広がっていた。

 

「お~……また大きく変わりよったな」

 

「後ろの気配も消えたね」

 

「まぁ、隠れる場所が少なぁなるしな。まぁ、他にも理由がありそうやけど」

 

 そう言いながら、2人は岩石地帯に下り立った直後、

 

 目の前に一つ目の巨人の集団が現れた。

 

「おお」

 

「大きい……!」

 

 一つ目巨人が棍棒を振り上げて突っ込んでくる。

 ラミナはスローイングナイフを具現化する。

 

「どこ狙うんや?」

 

「目」

 

「理由」

 

「そこだけオーラが揺らいでる」

 

「正解」

 

 カルトは紙手裏剣を、ラミナはスローイングナイフを、一つ目巨人達の眼玉を突き刺す。

 一つ目巨人の群れが一瞬でカードに変わる。

 

 ラミナはカードを拾い上げる。

 

「今のでGランクか……。こりゃあ移動も命がけの奴も多いやろな」

 

「ボク達でも直撃すればマズかったかもね」

 

「かった、やなくてマズイ。うちらは強化系攻撃は苦手。あの巨体には効果はほぼないやろうな。デカいっちゅうんはそれだけ頑丈や。岩や鉄の方がまだ砕けやすい。やのに、人の体みたいに肉と骨……柔らかさと硬さの両方を持っとる方が厄介やわな」

 

 筋肉で衝撃が少なからず減退し、威力が下がる。

 あの巨体を支えるだけの筋肉と骨だ。普通の人間と同じダメージだと思う方が無茶である。

 

「気ぃ抜けんなぁ、ここ。【凝】怠るなや」

 

「分かってる」

 

 その後も巨大蜥蜴や高速で動く毛玉、紅白の泡を出す馬などが現れるが、見事に撃破していく2人。

 

 それでもランクが最高でCまでであること。さらに撃破するには四大行や【凝】を的確に使っていかなければならないことに、ラミナは改めてクリア者が今まで出ず、ゲーム内で数年閉じこもっている者達が続出していることに納得した。

 

「こりゃ挫折する連中多いわけやな。遊び感覚で来るんやったら、今のカルトレベルの実力がないと厳しいわ」

 

「……9月くらいのボクだったら?」

 

「死にはせんやろうけど、何匹かは苦労するんちゃうか? うちやったら、ここで修行……レベルアップさせとるわ」

 

「……」

 

「ハンター専用ゲームっちゅうだけはある。このゲームをクリア直前まで行けば、間違いなく身体能力に四大行とその応用技、そしてハンターとして必要な考え方に動き方とかに関してはかなり鍛えられるでな」

 

「……ってことは、このゲームは……」

 

「『プロハンターを育て上げるための箱庭』、やな。多分、指定ポケットはうちらだけじゃクリア出来ん条件のもんがあると思うで? 例えば一定数以上の人とチームを組んだり、期間限定とか、限度枚数を考えたら他プレイヤーとのトレード交渉に、強奪。良くも悪くもハンターとして活動するなら、求められるもんやな」

 

「なるほど……」

 

「そこにバッテラっちゅう大富豪が賞金なんぞ懸けたから、ややこしい事になっとるんやろな。まぁ、そのおかげで今この島は『念使いの宝庫』とも言える。……それとも『牧場』っちゅうた方がええかもしれんけど」

 

「確かに一か所に念使いが大量に集まってる場所なんて、ここだけかもね」

 

「しかも、ここは治外法権地帯とも言える。うちらみたいなアウトローな連中や、表立って動きたくない奴にとっては隠れ家に持ってこいやな」

 

「人を殺しても死体は残らないし、金にも困りにくいもんね」

 

「まぁ、その分実力はいるけどな」

 

 駆け足で岩石地帯を移動しながら話す2人。

 

 2人は夜通し移動を続けた。

 途中で無人の村を見つけたので、そこで休むことにし、奪った食料をカードから戻して食べる。

 

「後、半分くらいやな。明日の朝に着くようにしよか。物価も知りたいし、集めたモンスターカードを換金できるんかも知りたいしな」

 

「宿とかあるのかな?」

 

「あるんちゃうか? 泊まれる部屋の数があるかどうかは知らんけど」

 

 方針を決めながら、ラミナとカルトはグリードアイランドで初めての夜を過ごすのであった。 

 

 

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