暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん 作:幻滅旅団
結婚式で遠出してまして、ホテルででも執筆しようと思ってたのですが、意外と時間がとれなかったもので。
ラミナとカルトは翌朝には魔法都市【マサドラ】に到着していた。
「さぁて、まずは情報収集やな」
「何を調べるの?」
「呪文カードを売っとる店とかやな。後は宿とか飯屋に、島を出る方法も聞かんとなぁ」
そう言ってラミナとカルトは街を歩き回って、カードショップを見つけた。
中に入って店員に声を掛けると、
「1パック3枚入りで10000ジェニーだけど……。あいにく今品切れなの。ごめんなさいね」
と、言われてしまった。
「品切れってことは……」
「やっぱ限度枚数を超えるほど、プレイヤーがおるっちゅうことやな。これで呪文カードでの脱出はほぼ不可能っちゅうわけや」
恐らくは攻略組のプレイヤー達が買い占めているのだろうとラミナは推測する。
脱出したいだけのプレイヤーならば、すぐに使っているはずだからだ。なので、普通ならば1パックも買えない状況というのはありえないだろう。
ということは、攻略組が独占している可能性が非常に高い。
「まぁ、他にも脱出方法はあるやろ」
「でも、それならなんで他の人達もそれを使わないの?」
「そら、そっちも面倒な手段が必要なんやろ。金か実力か、それとも両方かは知らんけどな」
「数百万ジェニーか、あのモンスター達を倒せるくらいじゃないと厳しいってこと?」
「そう考えるのが妥当やろ。Cランクのモンスターはともかく、他のモンスターは倒せんと厳しいと言わざるを得ん。移動もまともに出来んやろうからな。せやから、ゲーム攻略そのものを諦める奴も出始めたっちゅうことやろ」
「なるほど……」
その後、ラミナ達は情報屋を見つけて、色々と情報を聞き出す。
やはりゲームの外に出るには呪文カードか、唯一の港で所長の無理難題に答えるか、裏金を払えば切符を貰えるらしいとのこと。
更にどの街にも宿は存在し、金さえ貯めれば一戸建ても購入可能らしい。
ついでに換金できることもわかり、岩石地帯で倒したモンスターカードを換金する。
貯金も出来るそうなので、5万ジェニー分のカードを残して、後は貯金することにした。
情報屋を出たラミナ達はとりあえず宿を押さえに行き、部屋を取ることが出来た。
「場所は分かったし、最低限の情報は手に入ったな」
「でも、どんなこと頼まれるか分からないんでしょ?」
「港で改めて情報収集すれば、なんかヒントあるやろ」
「じゃあ、この後はどうするの?」
「せっかくやし、お前の修行見よか。しばらく移動ばっかで本格的なん出来てないし」
ということで、ラミナは久々にカルトの特訓を見てやることにした。
ラミナ達は宿を出て、一度デパートに寄ることにした。
ラミナは色々と買い物をして、準備をしていく。
「何買ったの?」
「調理道具とかやな。知っとる食材もあったし、これで数日は野宿でも出来るで」
そして、2人は少し離れた森へと移動する。
早速修行を始めようと思ったのだが、またしても視線と気配を感じとった。
「はぁ……どんだけプレイヤー狩りが多いねん……」
「どうする? 今回は3人くらいいそうだけど」
「……一番近い奴だけ捕まえよか。他のは流石に遠いわ」
「分かった」
カルトが頷いた直後。2人揃って。音もなくその場から姿を消す。
突然ラミナ達の姿を見失ったことに、監視をしていた坊主の男は目を見開く。
嫌な予感がして、慌ててその場を離れようとしたが、両足にスローイングナイフが突き刺さって転んでしまう。
「がぁ!?」
「ブック。ゲイン」
ラミナは素早く本を取り出して、更に先ほど購入しておいたロープを物体化する。
そして、男の両腕を素早く縛り付けて、本を操作させないようにする。
「さぁて、ちょっとお話しよか」
「ぐっ……!」
坊主男を座らせて、ラミナが正面に立ち、カルトが背後に立つ。
ラミナは右手にベンズナイフを具現化して、坊主男と目線を合わせるようにしゃがむ。
「逃げようとすなや? その時は殺すでな」
「……」
「さて、まずはお前の本出してもらおか」
「……大したカードは入ってね――」
「カルト、右人差し指の爪剥がせ」
「うん」
「!? ぎぃ!!」
坊主男が出し渋った瞬間、ラミナはカルトに躊躇いなく指示を出し、カルトは戸惑いなく実行する。
直後。坊主男の右手に激痛が走り、痛みに呻く。
「もう一度言うで? 本を出せ」
「だ、だから大し――」
「左手の指1本、砕け」
「じゃあ……ここ」
坊主男はまだ抵抗しようとするが、ラミナが再び指示を出し、カルトは楽しげに指を選んで、坊主男の中指の第2関節を扇子で砕く。
「っ!? がぁ……!」
「とっとと出せ」
「わ、分かった……。ブック」
一切感情の篭らぬ声でラミナは告げ、坊主男は観念して本を出す。
カルトは目の前に現れた本をラミナに渡し、ラミナは本を開く。
「………指定ポケットにもカードあるやないか。呪文カードもある。嘘つきよってからに。カルト、左親指切り落とせ」
「っ!?」
「うん♪」
「ぎゃあああ!!」
再び躊躇なく指を切り落とされて、悲鳴を上げる坊主男。
ラミナは本を見つめたまま、
「命令に逆らったり、嘘ついたら痛い目に遭うでぇ。指輪しとる指は切り落とせんけど、爪剥ぐんと骨砕くんは出来るでな」
「っ……!」
坊主男は目を見開いて、ラミナの顔を見る。
そのラミナの顔は無表情で、瞳にすらも感情を映していなかった。
「さぁて……あんたは何本、指残るんやろなぁ?」
ゾクリと男の背筋に怖気が走る。
「呪文カードは『同行』『防壁』『磁力』『複製』『贋作』『暗幕』『密着』『窃盗』か……。んで? なんでうちらを尾けて来たんや?」
「……お前達のことはスタート地点の時から見ていた。前の男を拷問した手際を見て、お前達はいずれ脅威になると判断した。だから、呪文カードが少ない今のうちに『密着』を仕掛けようと思ったんだ」
「っちゅうことは……少し離れたところからこっちを見とる連中はお前の仲間か」
「いや、違う」
坊主男は即座に否定したが、直後ラミナの右腕がブレて男の左耳が斬り飛ばされる。
「!?」
「!!? がああああ!!」
カルトは目を見開き、男は一瞬何が起こったのか理解出来ず、左側頭部に熱と激痛が走って悲鳴を上げて蹲る。
ラミナはベンズナイフに付いた血を振り払いながら、
「嘘つくな言うたやろ。否定するんが早すぎるわ」
もし仲間でないのであれば、何者かを考えてしまうので絶対に一瞬答えるのに間が出来る。
逆に即座に否定したということは、
ラミナは今までの経験から、そう判断していた。
「安心しぃ。右耳は残しといたる。話がし難くなるでな」
ラミナは坊主男のカードを自分の本に移動させながら言う。
しかし、坊主男は冷や汗を流し、恐怖と痛みで体の震えが止まらなかった。
「そういえば……お前の指輪をうちが着けたらどうなるんか知っとるか?」
「そ、その場合は、最後に嵌めた指輪のデータに上書きされるらしい……」
「ふぅん。そう上手くはいかんか。じゃあ、次。港の通行チケットについてやけど、なんか知っとるか?」
「……しょ、所長の無理難題は答えても意味はないってことくらいしか知らねぇ。本当だ!!」
「……まぁ、ええか。で、最後の質問や。……お前、除念師に心当たりあるか?」
「じょ、除念師? い、いや、ない。このゲーム内じゃ念での戦闘は、あくまで最終手段みたいな暗黙の了解になってる……。ただし、【ボマー】って呼ばれてる未だに正体不明のヤバイプレイヤーキラーもいる。ほとんどの連中は呪文カードや指定カードの独占で攻めてる。あ、後……う、噂じゃあ、どっかの70人くらいの集団が呪文カードを独占して一気に指定ポケットカードを集めきるつもりらしい。い、今はそいつらがゲーム内で一番多い集団だ。そ、そいつらの中にならいるかもしれない。ただ……アジトがどこにあるのかは知らない……!」
「なるほど。なんだかんだで佳境には入ってきとるんか。で、お前らはどこのチームにも入れてもらえんかったから、初心者プレイヤーを狙ったと」
「お、俺達は報奨500億をこれ以上分配で減らしたくなかっただけだ……!」
「ああ、お前らもバッテラ組なんか……。ま、もう諦めときぃ。もうお前は、ここでゲームオーバーや」
「え?」
「カルト」
「うん」
カルトが扇子を振り、男の首を斬り飛ばす。
男は唖然とした顔のまま、頭は地面に転がっていき、体ごと消滅した。
そして、残ったのは血の跡とロープだけとなった。
「全く……やっぱこの程度の連中やと微妙な情報ばっかりやな」
「ねぇ、耳の次はどうする気だったの? その次は?」
「ん? ……まぁ、手か足の指。後は……ん~……片目を刺す、上の前歯を全部折る、鼻を削ぐ、腕か脚の骨を砕く……のどれかやろなぁ~」
「なんで目や耳は片方なの?」
「そらぁ視覚や聴覚が無くなると話し辛いからに決まっとるやろ」
「でも、五感のどれかが無くなった方が怖がらない?」
「その前に『目が見えなくなるか、耳が聞こえなくなる』っちゅう恐怖を与えた方がええやろ?」
「なるほど……!!」
カルトは目をキラキラさせて頷いている。
それを見たラミナは失敗を悟った。
(しもた……。さらに拷問好きを強めただけやった……)
別に拷問をするのは構わないが、時と場合を考えない傾向にあるカルトにはまだ早かったかもしれない。
ラミナは小さくため息を吐いて、話を戻す。
「さて、出る方法はともかく、除念師探しは難航しそうやな」
「話に出てた集団のところに行く?」
「居場所も知らんし、名前が分かっても探せんしなぁ」
「……僕の能力を使えば見つかるかもしれない……」
「あ? お前、そんな能力持っとったんか?」
「あんまり正確じゃないから、期待は出来ない。占いに近いかもしれない」
「なるほどな。まぁ、まずは修行しよか。他にも獲物が来るかもしれんし」
「分かった」
こうして、ラミナ達は修行を始める。
ちなみに坊主男の仲間達は、子供だと思っていたカルトが躊躇なく仲間を殺したのを見て、完全に怖気づいて呪文カードでその場から逃げ出したのであった。
そして、1週間ほどが経過して、年の暮れ。
ラミナとカルトは修行をしながら、マサドラで除念師探しをしていた。
「まぁ、そう簡単にはいかんわな」
「……」
カルトは顔を顰めて、道を行き交っている人達を睨みつける。
今、2人はマサドラの呪文カードショップ近くの路地裏にいた。
カルトの様子にラミナは苦笑して、
「お前の能力は人探しがメインちゃうんは分かっとるから、拗ねんでええ」
「……拗ねてない」
「むしろ、違う連中が分かっとるんやから、前進しとるやろ」
カルトが言っていた探索方法は、カルトの紙切れを対象の体に貼り付け、カルトが持っている人形の紙に対象の会話を聞き出し、状態を確認出来ると言う能力だ。
これは本来追跡・諜報能力が主体なので、今回のように人探しにはやや不向きなのである。
「例の集団のメンバーとやらも引っかからんし、のんびり行こか」
「……うん。そういえば……教えてもらった『交信』の使い方、試したの?」
「あぁ……そういやぁ、忘れとったわ」
少し前に再びプレイヤー狩りをしていた愚か者と『お話』して聞き出した情報があったのだ。
『交信』を使う時の裏技で、カードを消費せずにプレイヤーリストを確認出来るというものだ。
早速ラミナは本を取り出して、『交信』を窪みに嵌める。
すると、すぐ上のモニターに大量の名前が表示される。
「お~……結構すれ違っとるなぁ~…………あ?」
「どうしたの?」
カルトが首を傾げて訊ねると、ラミナは盛大に顔を顰める。
「……ゴンの名前がある……」
「え?」
「っちゅうことはキルアもおるんか? ………ん? キルアはおらんな」
しかし、キルアの名前がないことに訝しむ。
ゴンがいるならキルアもいるはずなのだが、表示されているリストに名前はない。
(別行動しとるってことか……。まぁ、それならそれで……よぉないわ!!)
「うちのリストに名前が出とるってことは、ゴンのリストにもうちの名前出るやないか!!」
「あ」
「お前も出るで!! キルアと一緒に確認されたらアウトやないか!!」
「え゛」
「ゴンとキルアがうちとカルトが一緒におることを知っとるわけないし……。絶対これが分かったら探ってくるわ」
ラミナは右手で顔を覆う。カルトもまさかのキルアとの遭遇の可能性に頬を引きつかせる。
ラミナはカードを外して、『交信』をフリーポケットに戻す。
「……一度クロロの所に戻るか?」
「……でも、兄さん達がここからすぐにいなくなるとは思えないけど……」
「まぁ、奴らがここに来た理由はゲームクリアやろうしな……。って、そうか……。ゴンはこのゲームがジンが作った奴やって知っとるんか」
「あぁ……」
2人はジンの事を思い出して、更に頭を抱える。
流石にこのタイミングで会うのは避けたい。
ゴンはともかく、キルアが単純にゲームを楽しんでいるなんて信じるわけがない。
「……旅団と一緒におるところだけは見つかったらあかんなぁ」
「どうするの?」
「……まぁ、合流してから考えよか」
『交信』と『同行』などを止める手段はない。
ゴンが『交信』をしばらく使わないことを祈るのみである。
「そういえば、旅団はまだ来ないの?」
「流石にシャルならもう調べ上げて、ここに来とると思うんやけどな……」
すでに年の暮れだ。
流石に3か月はかかり過ぎな気がする。
「……もしかしたら、船とかじゃ近づけんのかもな」
ジンが侵入を許すようなシステムを作るとは思えない。
なので、もしかしたら船が近づくと迎撃されるようなシステムでもあるのかもしれない。
「そろそろゲームに戻って来とるとも思うんやけどなぁ。まぁ、一度島を出るとフリーポケットのデータ消えてまうから、呪文カードがないやろうし。誰かから盗むまでは、そう簡単に来られへんかもな~」
ラミナが腕を組みながら、そう言った直後、
「もう来てるよ」
と、背後から声が聞こえてきた。
ラミナとカルトは弾かれたように後ろを振り返る。
そこには腕を組み、ジト目で2人を見つめているマチがいた。
「……【絶】で忍び寄るんやめてんか?」
「気ぃ抜いてたアンタが悪い。で? そっちのがゾルディック家の?」
「ああ、カルトや。そっちこそ他の連中は?」
「シャルはすぐそこ。残りは少し離れた森の方にいるよ。シャル、もういいよ」
「ああ、久しぶりだな」
マチが背後の建物の方に顔を向けて、声をかける。
そこからシャルナークが現れて、ラミナに挨拶する。
「そんなところで何しとってん?」
「ここに来るまでに奪ったカードの整理。後は除念師の情報を集めてた」
「成果は?」
「流石に無理だよ。とりあえず、そっちの情報も教えてほしいし、新入りの話も聞きたいし、皆のところに行こう。『同行』を使うぞ」
「おう」
「『同行』オン! フィンクス!」
シャルナークが呪文カードを使用すると、ラミナとカルトは浮遊感を感じる。
一瞬空に浮かび上がったかと思うと、すぐに森に向かって勢いよく落下していく。
そして、着地したかと思うと、ラミナとカルトの目の前にはフィンクス達幻影旅団のメンバー全員が揃っていた。
「お。来やがったか」
「なんや。全員で来たんか?」
「ったりめぇだろ。団長の除念がかかってんだからよ」
ノブナガが腕を組んで、呆れた顔を浮かべて言う。
フィンクスがラミナを睨みつけ、
「随分と派手に動き回ってたらしいじゃねぇかよ。団長は無事なんだろうな?」
「無事やで。今頃、酒飲みながら読書でもしとるやろ」
「なら、よかったわ。それで? 除念師探しはどうなの?」
「その前に、そっちのガキの自己紹介が先じゃねぇか? 新入りなんだろ?」
ラミナが肩を竦めて答える。それにパクノダがホッとするも、すぐに顔を引き締めて本題に入ろうとする。
それをフランクリンがカルトを指差しながら提案し、全員がカルトに視線を向ける。
カルトは怖じ気づくことはなかったが、内心はドキドキしていた。
シズクは首を傾げて、
「この子がゾルディックな」
「あんまり強そうじゃないな」
「本気で団長は入団させる気なの?」
ボノレノフとパクノダの言葉に、マチ達も頷く。
カルトは眉間に皺を寄せ、ラミナは苦笑しながらカルトの頭をポンポンと軽く叩く。
「クロロはそのつもりみたいやで。実力に関しては、まぁ、まだまだ要修行やけどな。ゾルディックだけあって、そこらへんの奴らよりは将来有望やと思うで」
「ラミナが鍛えてるか?」
「今はな。まぁ、これからはお前らも気が向いたら教えたって」
「……カルト・ゾルディック。よろしく」
「団員ナンバーは『4』な。で、うちが『11』」
「……はぁ。まぁ、いいけどさ……」
マチがため息を吐いて頷く。
しかし、ヨークシンでゾルディック家の面々と会ったことがあるパクノダは僅かに顔を顰めて、
「けど、その子が死んだら、またゾルディック家に何か言われないかしら?」
「そこは当主の言質貰とるから安心しぃ。入団した以上、立派な仕事っちゅうことらしいで」
「なら、俺達は団長の決定に従うだけだな」
シャルナークがカルトの入団を受け入れ、他の面々も頷く。
そこにラミナがあることを思い出す。
「あぁ……そういえば、こいつ。男やからな」
「「「は?」」」
フィンクス、フェイタン、ノブナガが目を見開いて、カルトを凝視する。
カルトは僅かに眉間に皺を寄せるが、よく言われることなので何も言うことはなかった。
シャルナークやマチ達は以前ラミナの情報を見た時にカルトの顔写真も見ており、『五男』という情報から女装である可能性は高いと考えてはいた。本当に男だったとは思わなかったが。
「まぁ、そこはええとして。本題の除念師探しやけど」
「見つかってなさそうだな」
「全くやな。情報は一切なし。そもそも、まだ可能性の段階から抜け出せてもないわ」
「あぁん? じゃあ、どうやって探すんだよ」
ノブナガが訝しみ、ラミナはそれに肩を竦める。
「地道に探すしかないやろな。やから、カルトの能力で探しとったんやけど、いくら何でも数が多すぎるんよなぁ。ここにおるんは全員念使いやし」
「見た目じゃ能力までは分からないもんね」
「除念なんて、滅多に使う能力でもないしな」
「それにゲームを攻略するのに、除念なんて必要ないしな」
ラミナの言葉にシズク、ボノレノフ、シャルナークが納得するように頷く。
確かめるために念をかけるわけにもいかない。敵対するわけにはいかないのだから。
「じゃあ、どうするんだよ?」
フィンクスがしかめっ面で腕を組む。
ラミナはシャルナークと顔を合わせる。
「全員で動いたところで悪目立ちするだけや」
「だな。除念師と判別できる手段を持ってる奴も少ないし」
「それと取引材料も集めとかんとな」
「取引材料?」
「今、このゲームにおるプレイヤーは3タイプに別れる。バッテラに雇われた者、純粋にゲームクリアを目指す者、逃げ出したくても逃げ出せない者やな。最後の奴なら問題ないけどな。残りの2つやった場合、それなりの報酬を用意せんとあかん」
「なるほど」
コルトピが頷き、マチが首を傾げて訊ねる。
「バッテラが出す報酬って?」
「聞き出した話やと、500億ジェニーや。まぁ、金に関しては用意出来るやろ。うちやクロロも金出すし」
「ああ。ホームに保管してあるお宝を売れば、500億は楽に行くはずだ」
「じゃあ、問題はゲームクリアを目指してる場合ね……」
「そうやな。その場合、うちらも指定ポケットカード集めを手伝う必要がある」
そうなれば、かなりの時間を要することになる。
更にまだ話してはいないが、ゴンやキルアとも顔を合わせるリスクが非常に高まる。
しかも、今の状況からすれば他の攻略プレイヤー達とも争うことになる。それは非常に面倒である。
「やから、今のうちに集められるカードは集めとくべきやな」
「つまり、2手に分かれるってことか?」
「それが無難だな。じゃあ、チーム分けをしよう」
フランクリンの言葉にラミナとシャルナークが頷き、シャルナークがチーム分けを提案する。
「カード集めはフィンクス、フェイタン、俺、シズク、コルトピ、フランクリン。除念師探しはラミナ、マチ、パクノダ、ボノレノフ、ノブナガ、新入りで行こう」
「まぁ、俺やフェイタンは元々ゲームクリア目指してたしな」
「ワタシは構わないね」
「俺やシズク、コルトピは人探しには向いてねぇしな」
「俺とボノだって向いてねぇよ」
「2人はパクノダと新入りの護衛だな。マチとラミナはパクノダ達のサポート。新入りはまだラミナといる方がいいだろうしな」
「分かった」
「へいへい。……で、もう1個あるんやけど……」
全員がラミナに顔を向ける。
ラミナは盛大に顔を顰めながら、カルトの頭に手を乗せる。
「……ゴンとキルアもここにおる」
「……あいつらが?」
マチの目つきが一瞬で鋭くなる。
カルトの背筋に寒気が走り、無意識に一歩後ずさる。
ラミナは苦笑して、安心させるように頭を撫でる。
しかし、フィンクスとフェイタンはオークション会場で見かけたことを思い出す。
「あぁ……そういやぁ、バッテラになんか売り込んでたな」
「いたね」
「まぁ、あいつらは純粋にゲームクリアを目指しとるだけやろうけど。うちらの事を知れば、首を突っ込んでくるかもしれん」
「見かけたのか?」
「いや、『交信』のリストの中にゴンの名前が出たんや。っちゅうことは、向こうにもうちとカルトの名前が登録されとるはずやからな。下手したら、接触してくる可能性がある」
「なるほどな」
「カルトもおるしな。バッテラの選考でゲームを始めたんなら、うちとカルトが一緒におることは知らんやろうから、確認に来てもおかしない。……まぁ、情報料払えるんかどうかは知らんけど」
「その時は俺達もゲームクリアを目指してるとでも言えばいい。実際俺達のチームがカード集めしてるしな。そっちはパクノダがいるから、情報集めって言えば説得力は出る」
「キルアに関してはゾルディック当主も黙っとらんやろうから、うちと弟のカルトで対応する。やから殺さんとってな、マチ姉。クロロの居場所はゾルディック家も知っとるから」
「……仕方ないね」
マチは顔を顰めて、そっぽを向く。
カルトは小さくため息を吐いて、ホッとする。
「じゃあ、1か月後に【ルビキュータ】で集まろう。マサドラじゃあ、奴らに会う可能性が高いからな」
シャルナークの言葉に全員が頷く。
「あっとぉ……呪文カードやけど、今は売り切れ中や。なんや、買い占めとる集団がおるみたいやで」
「『同行』と『交信』があればいいから。どれか1枚くらいなら、奪えばいいさ」
「まぁな。それとうちが盗んだ指定ポケットカード渡しとくわ。No.4『美肌温泉』、No.11『黄金天秤』、No.32『ウグイスキャンディー』、No.60『失くし物宅配便』の4枚。後、『防壁』『複製』『贋作』『暗幕』『密着』『窃盗』も渡しとくわ」
「サンキュ」
ラミナはシャルナークに必要なカードを渡す。
そして、それぞれのグループに分かれる。
「さて、なんだかんだで団員12人揃ったわけだ」
「そういえば、そうだね」
「その初仕事が『団長の除念』とはね。またく締まらないね」
「けど、これを終えれば、クモは完全復活よ。その時こそ、楽しい初仕事を団長に決めてもらいましょ」
「だね」
シャルナークの言葉にシズクが頷き、フェイタンが少し呆れ気味に言い、それにパクノダが微笑みながら答え、コルトピが頷く。
ボノレノフがカルトに目を向けて、
「新入りの指導係はラミナのままでいいのか?」
「うちも新入りなんやけどな」
「じゃあ、サポートでマチも付ければいいだろ。姉妹で面倒見てやれよ」
「……まぁ、たまになら良いけどさ」
ラミナが肩を竦めながら言い、それにフランクリンが提案して、マチは渋々と言った感じで了承する。
マチの様子にノブナガやフィンクスが笑い、マチが睨みつける。
「じゃあ、行動開始だ」
遂に幻影旅団はラミナとカルトを迎え、完全復活のカウントダウンが始まったのであった。