暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん 作:幻滅旅団
マサドラに到着したラミナは呪文カードショップに寄り、2パック程購入してみることにした。
「お!」
出たのは『窃盗』×2、『透視』『名簿』『念視』『磁力』。
「ラッキー。『磁力』出たんは助かるわ~」
ラミナはショップを出て、早速カードを使う。
「『磁力』オン! カルト!」
ラミナは空に浮かんで、ある場所に引き寄せられる。
飛んだのはどこかの森の中。
下り立った場所のすぐ傍にカルト達はいた。
「お。ラミナ」
「おう。戻ったでぇって……。カルトどうしたんや?」
「……」
カルトはノブナガに担がれて、ぐったりとしていた。
覗き込むとどうやら気絶しているようで、服も汚れていた。
「……随分と派手にやったんやなぁ。ノブナガか?」
「そ。ちょっと強く入っちゃってね」
「悪ぃ悪ぃ。ちぃと楽しくなって、力入っちまった」
「まぁ、別にええけど。で、状況は?」
「ソウフラビの後に別の街で探してたけど、見つからなかったわ。今は新しい街に向かってるところよ」
「【リーメイロ】って街だよ」
「了解。シャル達の方は?」
「一昨日連絡くれた時は38枚だったわ。今はもう少し増えてるでしょうけどね」
「団長は?」
「元気も元気。ただ早よせんと考古学者に目覚めそうやわ」
「相変わらずのようだな」
「ま、団長だしね」
互いの状況を報告し合い、移動を開始するラミナ達。
ラミナはマチに顔を向けて、
「実戦形式での修行か?」
「ああ。念については、あんたが教えた奴を自主的にやってるからね。だから、実戦経験の方を重視してるよ」
「本音はそっちの方が楽だからだろ?」
「うっさいよ、ボノ」
「まぁ、それで十分や。念はともかく戦闘訓練の方は、うちだけじゃ限界があったでな」
できる限り戦闘スタイルは変えているが、やはり自分の癖は消せない。どうやっても一定のパターンが出来てしまうのだ。
なので、マチ達が相手をしてくれるのは非常にありがたい。
マチ、ノブナガ、ボノレノフは系統も戦闘スタイルも全く違うので、カルトにはいい刺激になるはずである。
「【発】は?」
「アタシは時々使ってる。ノブナガ達は使ってないよ」
「俺のは手加減が難しいし、ボノのは目立つからな」
「そらそうか。で、感想は?」
「確かに筋はいいな。まだまだ動きは遅ぇし、予想外の動きをされると持ち直すのに時間がかかるがな」
「そうだね。まだまだ反射が遅い。急所を狙ったら、避けるわけでも守るわけでもなく固まっちゃうよ」
「あ~……そこはなぁ。癖になってしもとるみたいでなぁ」
「理由は分かってるのか?」
「多分、ゾルディック家での訓練やな。寸止めが多かったんやろ。仕事もそこまで難しい相手を任されとらんかったみたいやし」
「なるほどね。10歳だもの。しょうがない部分はあるわね」
「やから、そのまま容赦なく気絶させまくって。その方が体が覚えるやろ」
「だな」
「了解」
カルトが気絶している間に、更なる地獄が決まった瞬間だった。
その1時間後。
休憩しているとカルトが気絶から復帰した。カルトが身だしなみを整えていると、ラミナが声を掛ける。
「カルト」
「なに?」
「ほい」
「……え?」
突然カルトの背中の帯に棒が取りつけられる。
馬の鼻先に人参を吊るすかのように、カルトの頭の上や顔の前に計5個の輪っかがぶら下げられていた。
「……え?」
「念の修行。操作系の特訓」
「……どうするの?」
「紙手裏剣を操作して、この輪っかに全部通すこと。目標はどんな順番でも1秒以内で通過やな」
「……それくらいなら……」
「もちろん、移動中でもな。揺れる輪っかに正確に通すように。輪っかに触れたり、壊したらやり直しな」
「……」
カルトは輪っかを見つめて黙り込む。
輪っかは木のツルで出来ているので、非常に揺れやすそうだった。
「それと……」
「え゛」
「うちやマチ姉が時々小石投げるから、それをちっこい紙で撃ち抜いて壊すように。ちなみに小石には念を込めるからな。壊せんかったり、外したら、倒れるまで【練】。ただ、倒れてもうちらは手助けせんでな。まぁ、足は止めたるけど」
「……もちろん輪っかの訓練をやりながらだよね?」
「当然」
「……。(むしろ厳しくなっただけなんじゃ?)」
カルトは背筋が一瞬寒くなる。
そして、ラミナ達は移動を再開し、カルトは地獄度が増した修行を開始する。
森の中なので道は凸凹しており、5つの輪っかは大きく縦横無尽に動き回る。
それをカルトは必死に紙手裏剣を操って輪っかに通していくが、1周するのに4分もかかった。
「く……!」
「そろそろこっちも行くで~」
「え」
輪っかに集中していたところにラミナの声が聞こえてくる。
カルトが唖然とすると、ラミナがビー玉サイズの小石にオーラを籠めて、カルトの目の前に山なりに放り投げる。
「ちょっ……!?」
カルトは慌てて小さい紙切れを取り出して、オーラを籠めて小石に向けて飛ばす。
しかし、紙切れは小石に当たるも砕くことは出来ず、更に紙手裏剣の操作をミスり、輪っかの縁に当たって1つ壊してしまう。
「あ!」
「ほい、アウト~。ちょいと早すぎるから、【練】をしながら輪っか通し続けぇ。もちろん歩きながらな~」
「うぐ……!」
カルトは歯軋りして、【練】を始めて4つに減った輪っか通しを続ける。
しかし、案の定1時間経過した頃にガス欠で崩れ落ちる。
「流石に足は止めれんなぁ。ほれ、カルト。とりあえず、歩けや」
ラミナはカルトの背中から棒を抜いて言い放つ。
カルトは汗だくでフラつきながら立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
マチやノブナガ達はカルトの様子を苦笑しながら見つめていた。
「ラミナがただ優しいわけねぇのにな」
「合理的な分、時々アタシ達より無茶なこと言い出すからね」
「まぁ、ラミナがやらせてる以上、ある程度成長が見込めるってことだろ」
「あの子は地獄でしょうけどね」
ラミナは冷静に分析した結果、『このレベルで行ける』と思えば、それを容赦なく相手に課す癖がある。
それは仕事の時も同様で、サラッとクロロ並みに無茶苦茶な提案をするのだ。
そして、その提案は『きついけど、確かに出来ないわけではない』というギリギリのラインを攻めてくるのだ。
なので、今のカルトに課している修行も、『カルトならばすぐに出来る』と判断しているからこそのものだ。
やらされる本人は苦行でしかないが。
「ま、アタシ達の仲間になるなら、これくらいクリアしてもらわないとね」
「だな」
その後、移動を重視するということで、【練】と【絶】を交互に行わされることになった。
崩れ落ちては立ち上がり、回復したら【練】を始める。
それを街に着くまで繰り返させられる。
その間、一度も手助けはなく、1時間だけ休憩しただけだった。
そして、夜になった頃。
ラミナ達は【リーメイロ】に到着して、宿を取る。
カルトは晩ご飯を食べたら、そのまま気絶するようにベッドに倒れて眠りについたのだった。
ラミナ達はそれを横目に酒を飲んでいた。
「そういえば、あれから誰も襲っとらんのか?」
「いや、3人くらいカード奪って殺したな」
ボノレノフが答えてパクノダを見る。
パクノダは頷いて、本を取り出してラミナに見せる。
「………は? Sランクカード?」
指定ポケットに『No.9 豊作の樹』『No.16 妖精王の忠告』というSランクカードがあった。
『妖精王の忠告』に関してはカード化限度枚数は6枚とレア中のレアである。
他にも3枚ほど指定ポケットにカードがあった。
「ああ、それね。『宝籖』って呪文カードで出たらしいわ」
「ふぅん……。呪文カードでも手に入るんやなぁ。お、呪文カードは結構手に入ったんやな」
「ええ。と言っても、私達にはあまり必要ないカードばかりだけど」
「レアカード持ってた奴らは、もしもの取引のため。呪文カードはどこかの攻略組のメンバーだったみたいだよ」
「なるほどな。まぁ、いらん呪文カードはシャル達にでもやればええやろ。『交信』と『同行』が3枚、『離脱』が1枚か。これがあるだけでも助かるわ」
移動手段と連絡手段があるだけでも、非常に助かる。
なので、呪文カードはあればあるだけありがたい。
「それにしてもよ、全然見つからねぇな」
「そりゃあ、この島の中からたった1人を探し出すわけだからな」
「ヨークシンでのクラピカ探しより範囲広いんやで? しかも、情報ほぼなし。そりゃあ1か月程度じゃ見つからんやろ」
ノブナガのボヤキに、ボノレノフとラミナが呆れながら言う。
ただでさえ広いのにネット環境はなく、島を出る手段が複数あってどれも確認することが出来ない。しかも、出た先を調べる事も出来ず、いつ戻ってくるかも分からない。
電話さえ通じないので、連絡を取るのも一苦労。さらに、島内の移動は歩きか、呪文カード。これまた探すのが一苦労な要因である。
「街におるかどうかも結構賭けなんやで? 森や山に引きこもっとったら、もうお手上げに近いわな」
「ちっ……。ゲームの外でも探した方がいいんじゃねぇか?」
「ここで人手を割くのは悪手よ。それこそ見落とす可能性が更に高くなるわ」
「っちゅうことやな」
ただでさえ二手に分かれている。
これ以上人手を減らすのは悪手でしかない。
パクノダとカルトの能力だけが頼みの状況なのだ。ラミナ達のようにプレイヤー狩りをしている者が他にもいる状況では、ノブナガとボノレノフの戦力は必要不可欠である。
この前襲われたゲンスルー達にパクノダとカルトが襲われれば、もしもの可能性があるのだ。なので、1人になるような状況は避けたい。
「時間がまだかかりそうやったら、一度今クロロがおる拠点を変える。そろそろヒソカとか賞金首ハンターが何かしら情報を掴んでもおかしないでな」
「……そういえばヒソカの奴がいたね」
「ゾルディック家には口止めしとるけど……。イルミの奴はヒソカとも親交があるでなぁ。無理矢理執事から情報を引き出して、ヒソカに売り渡すかもしれん」
ラミナは僅かに眉間に皺を寄せる。
ゾルディック家の中でも、イルミはやや特殊な立ち位置にいる。
当主であるシルバや祖父のゼノの完全な支配下におらず、ある程度自由を認められているようなので、ヒソカに情報を売る可能性を否定できないのだ。
かなり狡猾な性格であるのは理解しているので、イルミに利益があれば迷いなくヒソカに情報を売るだろう。
それが今、一番の懸念材料でもある。
ヒソカがクロロの前に現れても殺すことはないだろうが、ここでヒソカがこのゲームに参加されても面倒でしかない。
ぶっちゃけ、ヒソカと手を組む利点はほぼない。
人手が増えるのはありがたいと言えばありがたいが、信用できないし除念した瞬間にクロロに戦いを挑まれても面倒である。
「マサドラ辺りで待ち構えられたら、誰かは見つかるやろうな」
「それならそれで殺しゃいいだけだろうが」
「まぁな」
ノブナガの言葉にボノレノフが頷き、ラミナとパクノダが苦笑する。
マチはふん!と不機嫌に鼻を鳴らし、酒を傾ける。
そして、ラミナ達も休んで、除念師探しに備えるのだった。
数日後。
やはり除念師探しは依然と前に進んでいなかった。
カルトは見つからない状況と、厳しさを増した修行の疲れでゲッソリとしていた。
「まぁ、除念師が見つからんのはどうしょうもないな。何度も言うとるけど、手掛かりが1つもないし」
「……うん」
ラミナは苦笑しながらカルトの頭を撫でる。
疲れ切っているカルトはその手を振り払う元気もなかった。
「けど、確かに何かしらきっかけが欲しいわよね」
マチも眉間に皺を寄せ、腕を組んで悩まし気に言う。
ラミナもそれに頷き、何か策はないか考えるが名案などそう簡単に思い浮かぶわけはない。
昼時となり、パクノダ達と合流して昼飯となった。
そこでパクノダが、
「少し面白い話を聞けたわ」
「なに?」
「ラミナが言ってた全滅した呪文カードを集めた連中。生き残りがいるかもしれないらしいわよ?」
「……なんやて?」
「バッテラに雇われた連中で、一番最近ゲームに参加したプレイヤーと会ったの。そいつがね、例の集団の誘いを断った時に参加したメンバーを聞いてたらしくてね。他のメンバー全員がボマーにやられたのに、そいつだけ未だにゲームに参加状態になってるらしいわ」
「……ほぉ~」
「ちなみにボマーの名前も分かったわよ。ゲンスルー。その全滅させたグループの創立メンバーだったらしいわよ?」
「あ? ゲンスルー?」
「なに? 知ってるの?」
ラミナの反応にマチが訊ねる。
「クロロの所から帰ってきた時に襲ってきた連中や」
「は? 襲われたのかよ?」
「ああ。返り討ちにしたけど、逃げられてしもてな。うちも呪文カードで変な場所に飛ばされてしもたし」
ラミナはマチ達と合流した後、『念視』の呪文カードでプレイヤーリストを確認していたのだ。
サブとバラという名前は憶えていたので、その前に表示されていたゲンスルーという名前を確認していた。
実はラミナ、カルト、マチは、それより前に依然ゲンスルーの名前を聞いていたのだが、全く覚えていなかった。
「あいつがボマーやったんか」
「強いの?」
「パク姉とカルトは厳しいかもな。仲間が2人おって、そいつらもそこそこ動ける。まぁ、うちらやったら問題ないわ」
「なんでぇ。その程度かよ」
「ただ、60人近い連中を一気に全滅させたんや。能力はそれなりに強力なんやろうな。その分、制約は面倒なはずや。パク姉、うちの記憶読んでマチ姉達に撃ち込んで」
「了解」
食事を終えたラミナ達は、街の外の森へと移動する。
パクノダがラミナに触れて、記憶を吸いだし、拳銃と【記憶弾】を具現化する。
「行くわよ」
そして、マチ、カルト、ノブナガ、ボノレノフの額に撃ち込む。
4人の頭の中にラミナが戦ったゲンスルー達の姿が流れ込んでくる。
「……へぇ、面白い能力だね」
「こんなこと出来たのか」
「まぁね」
マチとボノレノフは感心し、カルトは未だに流れ込んでくる記憶に唖然としていた。
パクノダは肩を竦める。
「戦った感じからすると、触ることが発動条件っぽいな。多分、集団を全滅させた能力とは別に戦闘に特化した能力もあるはずやな」
「残りの2人はよく分からないね」
「能力を使う雰囲気もねぇな」
マチとノブナガが、サブとバラの方に注目して腕を組む。
「まぁ、1人はそれなりの深手を負わせたでな。カードで傷を癒すもんが無い限り、すぐには戦えんはずや。パク姉とカルトも1人にならんようにすれば、いきなり殺されることはないやろ」
「まぁ、顔が分かってんだから、こっちから近づかなけりゃいいだろ」
「そうね」
「そういえば、生き残った奴の名前は分かっとるんか?」
ラミナはパクノダに話の続きを訊ねる。
パクノダは腕を組んで、
「アベンガネっていう黒人の男よ」
「アベンガネ……」
ラミナは本を具現化して、『念視』のカードを嵌める。
プレイヤーリストが表示され、ラミナはアベンガネの名前がないか探す。
「……うちは会っとらんな。全員、一度確認してんか?」
「了解」
カードを外して、ラミナはマチに渡す。
順番に確認するが、残念ながら誰もすれ違っていなかった。
「シャル達の方も聞いてみたら?」
「せやな。ちょいと聞きたいこともあるし」
「聞きたいこと?」
「ちょいとカルトのことでな」
「ボク?」
カルトは首を傾げる。
ラミナは面倒気な表情を浮かべて、
「クロロの所に戻るときに、ゴンと会ってしもてな。キルアはなんやハンター試験受けとるらしくておらんかったけどな。けど、戻ってきたらゴンが話さんわけないし。そうなれば『念視』や『交信』を使われれば、お前の名前が出る。そうなれば、キルアは間違いなくお前に接触を図るやろうな」
「え……」
「今はまだ会いたぁないんやろ?」
「……うん」
「それでちょっと思いついたことがあってな。シャル達に聞きたいねん。っちゅうわけで、『交信』オン! シャルナーク!」
ラミナは呪文を発動し、シャルナークに通信する。
「シャル、今ええか?」
『ラミナ? どうした?』
「報告が1つ。除念師かもしれん奴が見つかった。アベンガネっちゅうプレイヤーや。うちらは誰もすれ違っとらん。そっちも確認しとって」
『了解』
「それともう1個。シズクやコルってメモリーカード使っとるん? 前に入った時やけど」
『いや、使ってないよ』
「じゃあ、一度ゲームを出た場合、データはセーブ出来んやんな? 今回入った時、もう1回プレイヤー名を登録し直したんか?」
『ああ。そのはずだ』
「なるほどな。おおきに。じゃ、そっちも頼んだで」
『ああ』
通信を終えて、ラミナはカルトに顔を向ける。
「カルト。『離脱』で一度ゲームを出ろ。んで、また入り直して、プレイヤー名変えてこいや。アナグラムとかやめとけや」
「いいけど……。ここまで、また戻ってくるの?」
「うちがスタート地点まで迎えに行くわ。ああ、それとクロロにマチ姉達の事は話すなや。お前が旅団に受け入れられたこともな」
「分かった」
「『離脱』オン! カルト!」
呪文カードを使用して、カルトをゲームの外に飛ばす。
飛んでいくのを見送ったラミナは、マチ達に顔を向ける。
「じゃあ、うちも行ってくるわ。すぐ戻ってくるから、街で待っとって」
「いいけどさ。なんで団長に話すななんて言ったの?」
「そら、クロロに刺さっとる念の鎖が反応したら困るやろ?」
「……そういうことね」
ラミナの懸念を理解したマチは頷く。
ノブナガ達も納得するように頷き、ラミナは『同行』でルビキュータに飛ぶ。
ルビキュータに到着したラミナは、駆け足でスタート地点に向かう。
30分ほどで到着すると、すでにカルトが到着していた。
「早やかったな」
「誰もいなかったから、さっさと戻ってきた」
「クロロの奴、出かけとったんか」
「うん」
「で、なんて名前にしたんや?」
「単純に『アイン』にした」
「まぁ、それならよぉある名前やし。大丈夫やろ」
ラミナは頷きながら『念視』を本に嵌める。
カルトの名前の横にあるライトは暗くなっており、アインの方が明るくなっていた。
「よし、上手く行っとるな。じゃ、戻ろか」
「うん」
「『同行』オン! リーメイロ!」
ラミナとカルトは再びマチ達と合流する。
その数日後。
キルアがグリードアイランドに戻って来た。
そろそろ戻ってくるかと思っていたゴンとビスケは、スタート地点近くで待っており、キルアの姿が見えたので駆け寄る。
「おかえり、キルア!」
「おう」
「試験どうだった?」
「もちろんソッコー合格!! むしろ帰ってくるのに時間かかって、しんどかった」
「流石だね!」
ゴンとキルアはハイタッチして喜び合う。
そこにビスケが声を掛ける。
「喜んでいるところ悪いけどさ。呪文カード見て頂戴な。それに伝えときたいこともあるし」
「伝えたいこと?」
「とりあえず、場所を変えましょ」
「ああ」
「うん」
ゴン達は修行していた岩石地帯に移動して、話し合いを始める。
もちろん話題は、
「ラミナがここに?」
「うん」
「理由は聞けたか?」
「偶然このゲームを見つけて、お宝がないか下見だって言ってた」
「……ふぅん」
「クロロはまだクラピカの鎖を外せてないみたいだったけど……。他の団員はここに呼ぶかもみたいなことも言ってた」
「まぁ、奪われた1個目のジョイステはあいつらの仕業だろうからな。メモリーカードは1人か2人くらいにしておけば、1つのジョイステでも旅団全員がゲームに入ること自体は出来る」
「そっか……」
「ところで、ラミナは1人だったのか?」
「1人だったけど……。どうして?」
「ハンター試験受けるまで案内人の家で待ってる時に、ちょっと兄貴から聞いたんだけど……。今、俺の弟がラミナと一緒にいて、旅団に入団したらしい」
「え!?」
「あんたの弟ってことは、ゾルディックってことだわよね?」
「当然だろ。しかも、ラミナの奴、A級首になって懸賞金も20億まで跳ね上がったらしいぜ」
「ええ!?」
「まぁ、幻影旅団とゾルディック家と繋がりがあるんだったら、それくらいは当然だわね。むしろまだ安いくらいだわさ」
「ああ」
キルアの言葉にゴンは驚くが、ビスケはむしろ当然とばかりに頷きながら言う。
それにキルアも同意する。
「けど、ちょっと違和感があるな」
「違和感って?」
「ラミナがクロロの除念よりも、こんなゲームを優先したことさ。別にあいつらはバッテラに雇われてるわけはないし、ぶっちゃけこのゲームのアイテムにそこまで価値があるとは思えない」
「だから、それを下見に来たんじゃないの?」
「どうやって判断するんだよ? 指定ポケットカードすら全部判明してないし、そもそもどんなアイテムかまでは分かんないんだぜ?」
「あ、そっか」
情報屋や呪文カードで調べられるのは、あくまで名前と手に入れられる場所、良くて入手手段である。
それがどんなカードで、どんな効果を持っているかは手に入れた者しか分からない。
なので、このゲームにお宝があるかどうかを判断するには全てのカードを手に入れなければ判断しきれないはずなのだ。
「手間だからじゃないの? 盗賊が大真面目にカードを集めるなんてしないだろうし、お宝を手に入れるにしても時間がかかり過ぎると判断するには十分だわさ」
「まぁ……そうだな」
「それに私達が会った時はゲームを出る気だったみたいだし、もういないかもしれないわ。だから、今は自分達のことに集中しましょ」
「……だな。よし! 呪文カードだっけ? 見せてくれよ」
「うん。ブック!」
キルア達は気持ちを切り替えて、呪文カードを確認することにした。
しかし、その後試した『交信』で、ラミナがまだゲームにいる事とカルトの名前があった事に再び頭を悩ませることになるのだった。