暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん   作:幻滅旅団

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#77 ジョネン×ハ×カンリョウ

 ラミナは港で所長をさっさと倒して、アベンガネの分のチケットを手に入れる。

 

 アベンガネに街にある駅広場で待っているように伝えて、ラミナはゲームを始めた部屋に戻る。

 

 クロロは読書をしており、戻ってきたラミナに顔を向ける。

 

「……動きがあったか?」

 

「見つけたで。駅広場で待ち合わせしとる。準備せぇ」

 

「ふっ……。流石だな。分かった」

 

 クロロは本を閉じて立ち上がり、服を着替える。

 ラミナも服を着替えて、カツラを被って変装する。

 

「ああ、そうだ。またジンから振り込みがあったぞ。正式な報酬らしい」

 

「ほぉ……どらどら」

 

 ラミナは携帯で口座を確認する。

 

「……2兆か……。まぁ、こんなもんやな。これで除念の報酬もすぐに払えるでな」

 

「いくらだ?」

 

「500億。まだ幻影旅団っちゅうことは言ってへんから、口止め料がいるかもしれんけど」

 

「そうか」

 

 着替えを終えた2人は、アベンガネとの待ち合わせ場所に向かう。

 その道中、ゲームでの出来事を話す。

 

 キルアとゴン、レイザーのことまで話し終えると、クロロは楽しそうに笑う。

 

「くくくっ! とことん腐れ縁があるようだな。まぁ、婚約者と腐れ縁なのはいいことなのかもしれんがな」

 

「やめぇや。あいつらと組むと碌なことにならん」

 

 ラミナは顔を顰める。

 それにクロロは笑い、それ以上キルア達の話題を口にすることはなかった。

 

 ラミナは顔を顰めたまま駅広場へと到着し、素早く見渡してアベンガネを見つける。

 

「あいつや」

 

「ほぅ……」

 

 2人はアベンガネに歩み寄る。

 アベンガネは近寄ってくるラミナ達に視線を向けて警戒を強めるが、

 

「うちや、うち」

 

「……驚かさないでくれ」

 

「すまんすまん。で、こいつが病人や」

 

「よろしく頼む」

 

「なんでわざわざ変装を?」

 

「そらぁ、ちと厄介やからや」

 

「……まぁいいが……」

 

「それで場所を変えないかんよな?」

 

「ああ。森か林に行かなければならん」

 

「了解。車で行こか」

 

 その後、ラミナ達3人はタクシーに乗って、街外れの山へと向かう。

 山のふもとの森に足を進めていくと、ラミナが携帯を取り出してアベンガネに声をかける。

 

「先に報酬を払うわ。口座、教えてんか」

 

「ああ」

 

 口頭で伝えられた口座に、ラミナは携帯を操作して入金する。

 アベンガネも携帯を取りだして口座を確認し、確かに500億入金されていることを確認した。

 

「……確かに」

 

「悪いが、これは口止めも含む。納得いかんなら、まだ50億は出せるけど」

 

「……いや、十分だ。これ以上欲張って、また追い詰められたくはないからな」

 

 アベンガネは両手を上げて、首を横に振る。

 ゲームと思って手を出した結果がボマー騒動だったのだ。 

 なので、今もアベンガネはラミナやクロロの名前も素性も聞いていない。変装までしてきている時点で、お尋ね者であることも予想はついている。

 実力も念獣を殺された時の動きだけで、自分では勝てないことも理解している。

 

 だから、このまま依頼を果たして、さっさと別れるべきだろうと考えているのだ。

 

「じゃあ、頼むわ」

 

「ああ」

 

 アベンガネは木で人形を手早く作り、更に草を集めて束ねる。

 更に木の枝を集めて、火を点ける。

 

「そこに立ってくれ」

 

「分かった」

 

 クロロを火の傍に立たせると、木の人形を手に取ってオーラを出す。

 

「ミガームラ、サミンガードゥラ、インテラミンガ、ゼンペラルブラ。森の精霊よ。彼に憑りつきし、不浄の念を取り去り給え」

 

 そう呪文を唱えると、束ねた草を人形の前で振り、更にクロロの身体を軽く叩いたと思ったら、今度はその草を紐状にしていき人形に巻き付けていく。

 そして、草の服を着させた人形を作り上げると、

 

「行くぞ」

 

「ああ」

 

 アベンガネは人形を火の中に放り投げる。

 すると、炎が爆発的に勢いを増して、大きく噴き上がる。

 

 数秒もすると、炎の中にバスケットボール大の卵のようなものが出現し、割れると中から顔が鋭く、アベンガネに纏わり付いていた念獣の3倍の大きさの念獣が誕生した。

 

「うげっ……!」

 

「ほぅ……」

 

「これは……なんと強力な念だ……! ここまでの大きさになったのは初めてだ。あのボマーの能力よりも数倍は強いということか……」

 

 ラミナは頬を引きつらせ、クロロは何やら楽し気に念獣を見つめる。

 アベンガネもその大きさに顔が引きつるのを感じる。

 正直、ラミナの能力がなければ、ボマー以上の絶望を感じていたかもしれない。

 

 念獣はバクのような体つきをしており、もはや象にも等しい。

 念獣はゆっくりとクロロの元へと歩み寄り、その鋭く長い口をクロロの胸に当てる。

 

 その口がクロロの胸の中に入り込んでいく。

 クロロは涼しい顔で立っており、ラミナはため息を吐きながらソードブレイカーを具現化する。

 

グジュグジュ、ジュルルル!

 

 どう見ても内臓ごと吸われているようにしか見えない光景と音。

 近くに一般人が通ったら、吸血鬼とでも間違われそうだなとラミナは馬鹿馬鹿しい事を考えて気を紛らわせる。

 

 1分ほどすると、念獣がクロロの胸から口を引き抜く。

 

「終わったのか?」

 

「……そのはずだ」

 

 クロロの問いに頷くアベンガネ。

 ラミナは素早く念獣に詰め寄って、その横っ腹にソードブレイカーを突き刺す。

 

「ギョアアアアアア!?」

 

 念獣が悲鳴を上げて暴れ、ラミナはソードブレイカーを引き抜きながら念獣の背中に跳び乗り、ソードブレイカーを逆手に持ち直して頭頂部に突き刺す。

 再び念獣が悲鳴を上げて、横に倒れる。

 ラミナはソードブレイカーから手を離して、念獣から飛び降りる。

 

 そして、念獣はガラスのように砕けて塵のように消え、ソードブレイカーだけが地面に転がる。

 

「ふぅ……」

 

「酷い奴だな。俺を助けてくれたのに」

 

「こうせな、あの念獣はそいつに付きまとって、念をかけた奴を殺すか、外す条件をクリアせんと消えんらしいからな。こうやって消した方がお互いに後腐れなくてええねん」

 

「ほぉ……なるほどな」

 

「で、ここからが本番やで。……【纏】、使うてみぃ」

 

「……ああ」

 

 ラミナとクロロの間に緊張が走る。

 クロロも流石に顔が僅かに強張っている。

 

 ラミナとアベンガネはこれ以上何も出来ない。

 アベンガネは間違いなく除念したので、ここでクロロが死んでも失敗と責めるのはお門違いだろうとラミナは理解している。

 他の団員達が納得してくれるかは不明だが。

 

 そして、クロロはゆっくりとオーラを纏うイメージをする。

 

 その直後、クロロの身体からオーラが発生し、何の問題もなく【纏】が発動する。

 

 クロロとラミナはそのまま1分ほど経過を見守り、何も変化が起こらないことで除念成功だと確信する。

 

「ふぅ~……。心臓に悪いわ」

 

「全くだな」

 

 クロロは苦笑して、アベンガネに顔を向ける。

 

「本当に助かった。礼を言う」

 

「依頼だからな。金を受け取った以上、礼を言われる事じゃない。それじゃあ、俺はここで失礼する。その方がいいんだろ?」

 

「ふっ。まぁ、俺達は問題ないが、俺達といるのがバレた時は面倒だろうな」

 

「だろうな。それでは。もう会わないことを祈りたいものだ」

 

「ああ。達者でな」

 

 アベンガネは手を上げて、森を去っていく。

 それを見送ったラミナは、クロロに顔を向ける。

 

「ええんか? 除念能力とかレアやぞ?」

 

「確かにレアだが、この手順は面倒過ぎる。念獣というのも手間だな」

 

「まぁ、それもそうか」

 

「鎖野郎みたいな能力ならあいつの能力がいいが、他の能力ならばお前のその短剣の方がいい」

 

「そらどうも。さて、これでマチ姉達とも合流できるな」

 

「そうだな」

 

「とりあえず、街に戻ろか。家や車の処分もせなあかんし」

 

 ラミナとクロロは駆け足で街へと戻る。

 その間にシャルナークとマチにメールを送り、除念完了を伝えておく。 

 

 家に戻ったラミナとクロロは、必要な物だけ手早く荷物を纏める。

 そこに部屋のチャイムが鳴り、クロロが扉を開けると、そこにはカルト、マチ、シャルナーク、シズクが立っていた。

 

「久しぶりだな」

 

「ホントにね」

 

「無事で何よりです、団長」

 

「上手く行ったようで良かったよ」

 

 数年バラバラに活動することもあるので、そこまで感動はない一同だった。

 

 ラミナはクロロ達の軽い挨拶に苦笑しながら、顔を覗かしてカルトに声を掛ける。

 

「カルト、いる荷物だけ纏めぇ。シズク、片づけが終わり次第、【デメちゃん】でいらんもん全部吸い込んでくれん?」

 

「うん」

 

「いいよ」

 

「クロロとシャルは今後の予定立てるか、他の団員の所にでも行ってこいや。フィンクスとノブナガが待ちくたびれて喧嘩でも始めたら面倒やし」

 

「あははは! 確かに」

 

「ふっ」

 

「マチ姉はどうする? 片づけにちょっと時間かかりそうやけど」

 

「……団長といるよ。片づけとか面倒だし」

 

「了解」

 

「シャル、ついでに情報収集しといて。うちの情報と……ヒソカの情報」

 

「ヒソカ?」

 

「そろそろ、ここを突き止めそうやからな。あの変態」

 

「確かに。了解」

 

 クロロ、シャルナーク、マチは先に街に出る。

 1時間ほど片づけをした結果。カルトは結局着物だけ回収し、ラミナはずっと放置していた【アロンダイト】、そして機能停止しているジョイステを回収して、残った物はシズクが処分する。

 

「カルトの服は……キャンピングカーに置いて、ゾルディック家に車の処分ついでに回収してもらおか」

 

「分かった。連絡しとく」

 

 ということで、キャンピングカーにカルトの荷物を乗せて、後はゾルディック家に押し付ける。

 

 ラミナはバットケースとリュックを背負って、シズク達と共に団員達がいる場所に向かう。

 

「っちゅうか、どこに隠れとるんや?」

 

「港の廃倉庫」

 

「よう見つからんかったな」

 

「人は殺して、【デメちゃん】で隠したしね」

 

「なるほど」

 

 ラミナはシズクに苦笑する。

 20分ほど歩いて、港の端っこにある廃倉庫に到着する。

 

 中に入ると、フィンクス達が退屈気に座っていた。

 まだクロロ達はやって来ていないようだった。

 

「あ? おい、団長はどうした?」

 

「すまん。多分、シャル達と一緒に情報収集中。うちらは隠れ家の処分しとったでな」

 

「そうかよ。で、除念は?」

 

「完璧や。ちゃんと念も使えること確認したし、シャル達と話しても問題なかったで」

 

「そう。……よかったわ」

 

 パクノダは心の底からホッとする。

 自分が頷いたことで、クロロの念が封じられ、旅団から離されたことの責任をずっと感じていたのだ。

 

「まぁ、ようやくこれで旅団も完全復活だな」

 

「半年程度で除念出来たのは早い方だと思うけどね」

 

「全くやな」

 

 感慨深げに言うノブナガに、コルトピがツッコみ、ラミナが同意する。

 雪男より見つからないという除念師を、約半年で探し当てたのだから、これこそ一つ星の功績でもいいのではとラミナは思う。

 

 占いのキーワードとシャルナークからの情報だけで、ここまで来たのだから十分過ぎるだろう。

 時間がかかった感は確かにあるが、正直かなりの速さでやり終えたと自負している。

 

(ん? ……っちゅうことは、半年程度でカルト引き取って鍛えて、アラクネー倒して、剣とゲーム見つけて、ゲームで色々しながらアベンガネを見つけた? ……ホンマよぉ見つかったな)

 

 ラミナは思い直して、うんざりとした表情を浮かべる。

 半分以上はラミナの自業自得ではあるが。

 

 そこにクロロ達が現れる。

 

「お! 団長!」

 

「久しぶりだな。ノブナガ」

 

「ったく、面倒掛けやがって」

 

 フィンクスが腕を組んで、クロロに言うが他の全員がジト目を向ける。

 

「男のツンデレは受けへんぞ?」

 

「誰がだ!? 殺すぞ!!」

 

「お? 団員同士のマジ切れ御法度ちゃうんか? ん?」

 

「……てめぇ……!」

 

「やめなよ、フィンクス。ラミナは今回の一番の功労者なんだからな」

 

「ちぃ!」

 

 フィンクスは舌打ちして、そっぽを向く。

 シャルナークは苦笑して、ラミナに紙束を投げ渡す。

 

「ん?」

 

「調査資料だよ。それと、除念師に払った500億とゲームの50億。振り込んでおいたから」

 

「おお。おおきに」

 

 ラミナは礼を言いながら、資料に目を通すと、

 

「……懸賞金は変化なし、か」

 

「けど、シングルハンターになったことで警戒度は上がったみたいだぞ。ジン・フリークスって奴が推薦したのが一番の原因らしいけど」

 

「……やろうなぁって、ん? カルトも賞金首になっとんか。今までゾルディック家っちゅう括りで個人に懸けられとらんかったのに」

 

「え?」

 

「クモに入って、ラミナの弟子って情報が出たからだな。恐らくハンター協会の会長がジンとゼノ・ゾルディックから聞いて、そこから広まったんだろう。アラクネーを殺した時にも目撃されているしな」

 

 クロロの言葉にラミナは右手で顔を覆って、項垂れる。

 

「あ~……居場所は黙っとけ言うたけど……。カルトのこと黙っとけとは言うてないなぁ」

 

「まぁ、どうせ時間の問題やったろうし、ええか。んで、ヒソカの情報は?」

 

 ヒソカの事を聞くと、マチが腕を組んで忌々しそうに眉間に皺を寄せる。

 

「残念ながら大した情報は無いね。けど……」

 

「けど?」

 

「右腕は完全に治ってるらしいよ」

 

「……マジかい……」

 

 ラミナは顔を顰め、マチも同じく顔を顰めて頷く。

 シャルナークも眉間に皺を寄せて、

 

「マチほどの腕じゃないみたいだけど、治療系の能力者を見つけたらしい。最近まではその治療とリハビリって感じだったんだろうな」

 

「……」

 

 シャルナークの言葉にマチは少しだけ不機嫌に顔を歪める。

 その理由をラミナはすぐに理解した。

 

(確かにマチ姉の【念糸縫合】は超がつくほど優秀や。けど……数日経過した腕の縫合となると、筋肉と神経まで完全に繋げるのは難しなる。うちらがヨークシンを離れた時点で、ヒソカの右腕を斬り落として丸1日は経過しとった……。そこから治療系能力者を探し出したとしても、4,5日は経過しとるはず……。それを完全に回復させたっちゅうことになると、十分マチ姉に負けんレベルの能力者やな……)

 

「その治療した能力者は分かっとるんか?」

 

「……分かんなかった」

 

 マチは顔を顰めたまま、今にも舌打ちしそうな不機嫌さで答える。

 ラミナも僅かに眉間に皺を寄せる。

 

(これに関しては調査しとかんとな。今後ヒソカと戦り合った後に、また逃げ込まれたら面倒やし)

 

 そう決めたラミナは小さくため息を吐いて、資料を丸めてバットケースに仕舞う。

 ラミナはクロロに顔を向けて、

 

「で、今後の方針は? ()()

 

「ふっ……。お前にそう言われると、むずがゆいな」

 

 クロロは笑みを浮かべて、全員を見渡す。

 団員全員がクロロを見て、笑みを浮かべている。

 

 それにクロロは更に笑みを深めて、

 

「【クカンユ王国】にある『ブールブ美術館』は知ってるな?」

 

「そりゃあ、世界最大級の美術館だしね」

 

「数十万点以上の美術品や歴史的価値が高い品物が展示されているところでしょ?」

 

 シャルナークとパクノダの言葉にクロロは頷く。

 

「そこのお宝を狙うってことか? ヨークシンみてぇに全部か?」

 

「そりゃ流石に無理だ。数が多すぎる」

 

 ノブナガの疑問に、フランクリンが流石に無茶だとツッコむ。

 クロロはそれに頷く。

 

「そうだな。流石に全ては無理だ」

 

「じゃあ、その中のどれかってことか?」

 

「そうでもあるが、そこじゃない」

 

「あ?」

 

 クロロの言い方にフィンクスやノブナガ達は訝しむ。

 クロロは笑みを浮かべたまま、

 

「これは公然の秘密とされているが……ブールブ美術館には『裏倉庫』というものがある」

 

「裏倉庫ぉ?」

 

「国や歴史家とかが展示を止めとる品物を保管しとる倉庫の事やな。大抵は歴史がひっくり返ったり、国で反乱が起きかねん事実が秘められたモンらしいで? ブールブ美術館に【貧者の薔薇(ミニチュア・ローズ)】を落としてでも、隠し通したいもんがたんまりあるそうや」

 

 ラミナが知っている情報を話す。

 そして、呆れた表情をクロロに向ける。

 

「裏倉庫を狙う……っちゅうことか?」

 

「その通り」

 

 クロロは一瞬の逡巡もなく力強く頷く。

 それにフィンクス達は楽しみ気に笑みを浮かべる。ラミナは呆れた表情を浮かべたままで。

 

「マフィアンコミュニティーの次は、国に喧嘩売るたぁ……力取り戻したからってハイになり過ぎちゃうか?」

 

「そうか? 丁度いいと思うがな。どうせ表に出せないお宝だ。地下競売同様、派手に暴れた所で連中は表立って騒げないだろうからな」

 

「まぁ、そうやけど」

 

「それに今回はノストラードの娘の占いはない。さらに一日で仕事を終わらせる予定だ。ゾルディックのような手練れを呼び寄せる暇も与えるつもりはない」

 

「……元々手練れが揃えられとるっちゅうねん……」

 

 国立美術館。それも絶対に表に出せない品まであるのだから、配属している警備員はそこらへんの強盗では太刀打ちできないくらい強い。

 というより、プロハンターや同レベルの実力者、軍人崩れの傭兵ばかりである。つまり、念能力者ばかりなのだ。

 

「面白れぇじゃねぇか。ヨークシンじゃ雑魚ばっかりで、最後は暴れられなかったからな。それくらいの方がやりがいがあるぜ」

 

「だね。手応えある方が腕が鈍らないね」

 

「俺はそもそも暴れてねぇしな。ヨークシンでの鬱憤をぶつけてぇところだ」

 

 フィンクス、フェイタン、ノブナガが盛大にやる気を出している。

 そして、マチが、

 

「団長が決めたんだ。団長命令は絶対、だよ」

 

 と、トドメを刺してくる。

 それにラミナはため息を吐いて、

 

「いきなり大仕事はプレッシャーやねんけどなぁ……」

 

「驚いたな。ラミナがプレッシャーを感じる性格だったとは」

 

「全く似合わないな」

 

「うん、似合わないね」

 

 ボノレノフ、シャルナーク、コルトピがラミナを揶揄う様に言う。

 ラミナは肩を竦めて、

 

「前任者が偉大やったからな。番号負けせんように気合を入れんといかんでな」

 

「なるほど。確かに、そりゃ大変だ」

 

「ノブナガとコンビ組むんですか?」

 

「まぁ、ラミナは基本的に誰とでも組めるからな。作戦次第ってとこだな」

 

 フランクリンが微笑ましく笑みを浮かべ、シズクがウボォーギンの事を考えて首を傾げる。

 それにシャルナーク顎に手を当てながら言う。

 ラミナはクロロに顔を向けて、

 

「言うとくけど、ヨークシンの時から何個かはストックが切れて使えんようになった武器があるで? 後、1回壊れたらアウトなんもある。必要な武器があるなら、先に言いや」

 

「分かった」

 

「それと、先に一度家に戻らせてもらうで。これ、家に保管したいでな」

 

「ああ、構わんぞ。お前に任せたいと思ってる仕事は、メールで送っておく」

 

「頼むわ。で、ゲームはどうする? 移動に使うか?」

 

 ラミナはそう言って、ジョイステが入った鞄を示す。

 クロロは顎に手を当てて、

 

「……そうだな。せっかくだから、一度ゲームに入ってみるか」

 

「ほな、マチ姉。うちの指輪、クロロにやって。うちは飛行船で家に向かうわ」

 

「はいはい」

 

 マチは胸元から指輪を取り出して、クロロに投げ渡す。

 クロロは受け取って、しげしげと観察する。

 

「団長、アタシもラミナと行くから」

 

「ん? ああ、わかった」

 

 マチの言葉にクロロは疑問を感じる事なく頷き、他の団員達はマチがそう言った理由を理解して微笑む者とニヤニヤする者と二通りの反応を示す。

 カルトは視線だけでクロロとラミナで往復し、悩まし気に小さく眉を顰める。

 

 もちろんラミナとクロロはその視線に気づき、

 

「カルトは今回クロロの方な。フェイ、シャル」

 

「ん?」

 

「なにか?」

 

「暗殺術と拷問、後は操作系の指導してやってくれん? うちが合流するまででええから」

 

「構わないよ」

 

「いいよ。ゾルディック家の暗殺術や拷問の話も聞いてみたいしね」

 

「っちゅうことで、合流したら確認するでな。しっかり教わりや」

 

「……分かった」 

 

 カルトは少し不満げに頷く。

 そこでラミナはあることを思いつく。

 

「あぁ……せっかくやから、クロロとも戦ってみぃ。団長との差を知っておくんもええ経験やろ。クロロもリハビリがいるやろうしな」

 

「ふむ。確かにな」

 

「じゃ、さっさと行ってこいや。クロロの荷物もうちの家に置いとくから」

 

「頼んだ」

 

 クロロ達は順番にゲームの中へと入っていく。

 最後にコルトピが入ったのを確認したラミナは、ジョイステを鞄に仕舞ってクロロの荷物も持つ。

 

「ほな、行こか」

 

「ああ」

 

 ラミナとマチは、久しぶりに2人っきりの時間を過ごしながら、家へと向かうのだった。

 

 

 

 そして、ノストラード家屋敷。

 

「!!!」

 

 センリツ、バショウ、リンセンと廊下を歩きながら、報告や相談をしていたクラピカが突然目を大きく見開いて止まる。

 

「どうしたの?」

 

「なんか思い出したのか?」

 

 センリツ達は首を傾げながら振り返ると、クラピカの両眼が『緋の眼』に変わっていることに気づく。

 それにただ事ではないと悟ったセンリツ達は顔を鋭くする。

 

「おい、クラピカ」

 

「まさか……旅団が?」

 

「……ああ」

 

 無意識に鎖を具現化しながら、右手を見下ろす。

 そして、歯を食いしばって、右手を握り締める。

 

「団長に刺した鎖が……外れた……!」

 

 

 幻影旅団を縛っていた唯一の鎖が、解き放たれた。

 

 




幻影旅団完全復活感は、もう少し後で!ということにさせてください。

なんとなく、盗みを働く時の方がふさわしいきがするのですよ。 
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