ハイスクールD×D〜切札の赤龍帝〜 作:眼鏡熊@ヒロアカ完走
「変なオーラが気になって急いでみれば⋯随分苛つく事態になってますね⋯鳶雄さん。あの娘は任せてください」
どうにか5階に到着し、あの鬼の女の子を吹き飛ばした。
「わかった。ありがとう、琥太君」
その言葉と共に鳶雄さんは無数の刃で童門を斬り刻みにかかる。その時
「計久ッ!ここは引け!その実験体で足止めをするぞ!」
「姫島室長!」
その名前に気を取られた鳶雄さんは、少し行動が止まった。その隙に童門はフラッシュバンのようなものを発動させる。
「面白い。いずれまみえようーーーー『狗』よ」
そのまま、童門は転移した。
ーーーー少女を置いて。だ
「ーーーーーーそうかよ。クソッタレめ」
成程。ハナから回収するつもりは無かったようだ。足止めーーーーつまりは捨て駒。恐らくこの状態には何らかの不具合があるのだろう。
「鳶雄さん。みんな。ここは退いてください。ボクがこの娘を鎮めますので」
「なっ、そんな、君だけに任せる訳にはーーー」
「鳶雄さんの体力、もうほぼないでしょ?それに、気になる事もある筈だ。ここは僕にまかせてください。この娘も助けてみせます。それにーーーーー」
今からの僕の姿を、貴方達に見せたくない。
「ーーーわかったのです。行くのですよ。トビー」
「でも!」
「コータなら大丈夫なのです。コータを信じてあげてください」
「⋯わかった。琥太君、死なないでくれよ」
「絶対、無理しちゃダメよ!」
「⋯死ぬなよ」
その言葉に、僕はそっと、サムズアップで返した。
それを見て、みんなは駆け出していった。
「ーーーさて、行くぜ?」
『ガァアアアアア!!』
女の子は、超加速して俺に向かってきた。成程、これは雷の精霊の力だ。恐らく
「
右手の手刀を魔法の冷たい刃が覆う。
その剣で、相手の剣を受け止める。
『ガァアアアアッ!』
成程。獣の様だ。まるで、
いや、考えられてなどいないのだろう。これは言わば生体兵器を作る為の技術だ。
兵器に情など不要ず、自我など非ず、怯え等以ての外。
だからこそ、こうしたのだろう。
「巫山戯るなッ⋯!!!!どれだけ人の心を踏みにじれば気が済むんだッ!」
手刀を押し込み、弾く。
「
そうして、この身に雷を降ろす。
『ッ!ガァアアアアアア!!!!!』
女の子は、黒い雷を剣に宿して、鬼の気と烏天狗の気を放出させる。この状態がやばい。と察したのだろう。そうして、鬼の気と烏天狗の気を複合させて、精霊の雷と合わせる。そのまま、駆け出してきた。
「ーーーー『雷速瞬動』」
瞬間、身体が雷化して、雷の速度で駆け抜ける。
「
『ガァッ!?』
女の子に掌底を当てて、魔法を解放する。
とは言え、これではダメだ。救えない。外部でダメージを与えるのでなく、内部から。
「捕縛、封印か」
幸いな事に、戒めの風矢もストックしてある。ついでに結界魔法で封印しつつリンクを繋げよう。
腰のベルトから7つの杭を取り出し、雷速瞬動で定位置に配置、6つの杭の中心に最後の1つを置く。瞬間、杭に仕込まれた機能で、全ての杭がリンクし、魔方陣を作る。
『ガッ!?』
いきなり浮かびあがった魔方陣に警戒する女の子に雷速瞬動でまた近づく
『ガアッ!』
しかし、女の子は雷速瞬動に対応してカウンターを放とうとする。が。
「織り込み済み」
バックステップを行い、更に懐に潜る。そして女の子に掌を向けて、
「
そのまま、100の風が女の子を捉える。
「『
そうして封縛結界を貼り、万全を期す。
「『
そして、少女の精神内部まで侵入する。
ーーーーーーーー
そこは、濁流だった。
殺意と悪意に溢れた醜悪で悪辣な絶望と羨望に塗れた黒い流れが心を侵し、怒りと悲しみと妬みと嫉みと怨みに溢れた
「ッーーーーー」
思わず、愕然とする。この様なココロが、あっていいのか。虚蝉機関が、そのようにしたのか。あるいはーーー
いや。今はいい。今すべきは救出だ。詮索ではない。
黒い流れを進む、進む、進む。
心の中に、景色が浮かぶ。
ーーーーー
『忌み子め』
『死ね』
『里に不幸を運ぶな』
『生まれて来なければよかったのだ』
『人との間に生まれた半端者の上、忌み子であるとは業が深い。せめて安らかに殺してやろうか?』
ーーーーー
こんなものは断片だ。欠片だ。この子が受けてきた物の1部に過ぎない。
だというのに、涙があふれる。
このような物はただの同情に過ぎないし、安い偽善かもしれない。でも、俺はーーーーー
「この子を、助けたい」
どんどん、どんどんと進んでいく。その度に、悲しみが溢れていく。
この子のココロの根源まで行って、そしてーーーーー
小さな白い子に出会った。
絶望と悲しみによって顔から感情は消え失せ、その瞳には輝きすらも宿っていない。失望と諦観の澱みが宿るのみである。
ふと、目が合った。
「なんだ、お前は?」
「君を助けに来た者だ。」
そう言った瞬間、少女の目に溢れんばかりの怒りが生じた。
「嘘だッ!!お前と同じ事言った人は!私を実験台にした!優しくして、私を騙して!私の事をっ!お前もそうなんだ!私が
そう叫ぶ少女を抱きしめる。
「おい!何をする!やめろ!はなせ!私はっ私はっーーーー!!!」
声が歪む、泣いているのだろう。俺の肩には熱い液体がぽたぽたと落ちてきた。
「なんで、なんで誰も私をたすけてくれないんだっ!こんなに苦しいのに、悲しいのに!たすけてくれたひとだって、私をっ!私はっなんのために生きてるんだ!私は、わたしはなんのためにいきればいいんだっ!」
「だったら」
少女の叫びに、俺は答える。
「君が生きる理由を見つけられないなら!俺が一緒に探す!だから、俺と一緒に生きよう!俺は君を見捨てない!君がどこに行っても、何処に連れ去られても、俺が君を助けてみせる!救ってみせる!俺が君の味方になる!」
「会ったばかりのお前を信じろって言うのか?」
「馬鹿な事を言ってるって分かってる。それでも、信じてくれ」
「馬鹿だなあ。私なんて見捨てて殺してしまえばよかったのに」
「そんな事は、絶対にしない」
「お人好しめ。ーーーーーありがとう」
泣きながら笑顔を浮かべる少女はすごく綺麗で、なぜか、心がザワついた。
「俺は竜胆琥太。君は?」
「私はーーーーーいや、今までの名前は要らないな。頼むよ。琥太。君が私に名前をつけてくれ」
「え?」
「私を捨てた親は、私に名前なんて付けなかったし、虚蝉機関の奴らは、『壱壱漆號』とか、『星熊天狗』としか呼ばなかった。そんなの名前じゃあないからな。お前が着けてくれ。苗字は竜胆以外認めないぞ?」
と、悪戯に笑う少女は可愛らしくて、きっと、本当の少女はこうだったのだろう。と、思った。
「わかった。うーん、そうだな、怜。竜胆怜なんてどうだろう」
怜⋯清らかに澄んだ心。という意味だ。
「怜⋯れい。うん。いいな。私は竜胆怜。これからよろしく。琥太っ!」
ああ、やっぱり。いい笑顔だ。
助けた甲斐があったってモノだ。
プロフィール
竜胆怜
烏天狗と人間のハーフ。アルビ二ズムで、白髪と赤い眼を持つ。更には
『
雷の精霊ヴォルトが封じられた刀型神器。使用者の身体を雷で強化したり、刀身に雷を纏ったり等、雷を操る神器である。
呪器壱號機『
鬼の角型の人工神器で、装着者に植え付けることで効果を発揮。封じられているのは『星熊童子』で、五大宗家に封印されていた鬼の一人。