CEOブラック鎮守府再建計画   作:のり塩ぽてち

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 ブラ鎮ダメ、ゼッタイ。




CEOが着任しました

 

 

 その日は12月の中頃で寒さも本格的に増してきた頃だった。

 

 

 大阪の港町にある街角で雪がちらほらと降っているのにもかかわらず、中学生いや、みようによっては小学生にも見える茶髪の女の子が道端にうずくまっていた。人通りがそれほどでもないといっても、街を歩く人々はまるで気味が悪そうに遠ざかりながら少女の脇を通り過ぎていく。

そんな少女の横に黒塗りの高級車が停まり、運転手が後方のドアを開けて20代中頃の男性がうずくまる少女に近付き膝を折る。

 

 

「大丈夫かい?どこか具合でも悪いのかい?」

 

 

 優しくかけられた低音の掛け声に流石に気が付いたのか、青ざめた顔を上げ小さく「・・・お腹がすいたのです。」とか細く答える少女。男性はすぐに後ろで待機していた運転手に近くで手軽に食べられるものを買ってくるように指示を出し、少女の膝裏から抱え上げ車の後部座席に座らせる。しばらくして運転手が食べ物と飲み物を持ってきて、それを少女に手渡す。受け取った少女は泣きながら「ごめんなさいなのです、ごめんなさいなのです・・・」とボソボソとパンを口元に運ぶ。

 

 

「落ち着いて食べなさい。ところでなんで『ごめんなさい』なんだい?」

 

 

 泣きじゃくっているので聞き取りづらいが、どうやら少女は仲間たちも同じ思いをしているのに自分だけ食べ物を分け与えてもらってしまっている。国のために仕事をしているのにそれを民間人に向けての脅しにつかわされていて、そんなことをしている自分はこんなに優しくしてもらう権利など無いと思っているようだ。それを聞いて男性と運転手は息を呑み、男性が運転手にアイコンタクトを送るとすぐさま運転手は車の外に出る。

 

 

「そうか、すまないが今の段階では私にはなにかしてやれることはあまりないだろう。君の仲間に食事をもたせてやることもできるがそれは可能かな?」

 

 

 少女は小さく首を振り、そんなことをしてしまっては上司に取り上げられて自分はひどい目にあってしまう。それに自分はやることがあるので本当に申し訳ないがすぐに帰らなくてはならない。と言い、「送っていこうか?」と言ってもすぐ近くだし、こんなところを見られたらそれはそれでまたひどい目にあわされるとのことなので、男性は財布から5万円程を抜き出し、少女に服の中にでもいいから隠し持っているようにと言い聞かし強引に少女に渡す。

 

 泣きながらこちらに謝り倒してくる少女をなだめた後、小走りで帰る後ろ姿を見送りながら男性はそれまでの温和な顔を切り替え車の中に戻る。

 

 

「CEO、やはりあの少女は近くにある元大阪警備府、現在の大阪鎮守府の艦娘のようです。あの状態から見るにあそこはおそらく”黒”ですね。さきほど情報端末にて確認したところ、彼女は『暁型 4番艦 駆逐艦 電』、大阪鎮守府は訓練施設や実験施設としての役割が主となっており、海域攻略などは近海警備が主となっているようです。情報部からの帳簿データなどを見たところ、約2年前の現提督がきてからのデータが怪しいですね。」

 

「なるほど、ちょうど海軍への軍事兵器などの部門は赤が出ていたな、のちほど軍事技術部門との会議を開く。あと警備部門から陸軍へ出向している人員に鎮守府常駐の一般憲兵を探らせろ。軍部の将官へは私の方から根回しをしておく。」

 

「わかりました、本社へは私から第一秘書へと連絡を入れます。おっと、ちょうど近辺のデータも届きました。どうやらあの少女の言っていたことは本当のようですね。ちなみにですがCEO、このあたりの地価が軒並み下がっておりますがいかがなさいましょう?」

 

「相変わらずだな、やはり君に関西を任せてよかったと思うよ。私のやろうとしていることを言わなくてもわかってくれている。

 

 うん、そうだな・・・

 

『買い占めろ、全てだ』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめんか!儂を誰だと思っている!提督様だ、提督様だぞ!!!この国を守っているのは誰だと思っている!!!」

 

 

 とあるところで男性と幸薄な少女との邂逅から約1ヶ月がたち、ここ大阪鎮守府の『金剛型 1番艦 戦艦 金剛』は急に押し入ってきた大量の憲兵達によって保護された。なんでもこの国初の女性憲兵隊をも招集し、この大阪鎮守府の一斉検挙に踏み切ったらしい。鎮守府入り口前に建てられた仮設テントの中からぼんやりした目であの憎き提督いや、豚を眺める。ここに配属されていた憲兵よりも一回りや二回りも大きい屈強な男たちによって囲まれながら護送車に乗せられていく。

 

 女性の医療スタッフに背中を撫でられながら手渡された紙コップに入った紅茶をゆっくりと飲み込む。『あぁ、もしかしたら今この状況は夢か、もしくはワタシは死んでしまったのかもしれない。』と思いながらも徐々に現実に引き戻されていき、自然と涙が溢れ出す。近くにいた同型の艦娘たちからも小さく嗚咽を漏らす音がテントの中に響き渡る。

 

 

 

 

 その後、金剛は都市部にある病院に搬送され、スタッフは全て女性という徹底した環境の中、約1ヶ月リハビリ生活を過ごして再びあの忌まわしき大阪鎮守府に戻ってきた。4台もの大型バスの1号車の先頭の中からふと窓の外を見ると、そこは1ヶ月前とは様変わりした鎮守府が見えた。まだ工事中のところもあるのか、ところどころに足場のメッシュシートに囲われた建物が立ち並び、まるで監獄のような門は取り払われ、そこよりももっと前の位置にゲートが取り付けられた検問所が設置されていた。

 

 

「ここはもう違うところネー。」

 

「金剛お姉さま、榛名お姉さまの荷物は運び終わりました。職員の方の話によるとこの後、個別での面談が行われるようです。同伴も認められておりますのでよければ金剛お姉さまと比叡お姉さまと共に向かわせていただきたいのですがいかがでしょうか?」

 

 

 あの牢獄のような部屋が全て取り壊され、向かった先には大きな部屋が用意されていた。以前とは違い、清潔感溢れる部屋は風呂場とトイレも部屋ごとに完備され、簡易キッチンまで用意されている。これは夢かと思い呟きつつも、『金剛型 4番艦 戦艦 霧島』の言葉に従い『金剛型 2番艦 戦艦 比叡』と共にまだ改装中の本館へと向かい、以前執務室があった場所へと足を進める。霧島によるとこれから合うのは男性とのことで、あれから極端に口数が少なくなってしまった少し震える比叡を横目に小さな覚悟を決める。

 

 

(多分これから合うのは新しい提督、この状況を見るに前よりひどいことにはならないと思うデスが、気を引き締めていかないといけないネ。ワタシは『お姉ちゃん』なんデスから。)

 

 

 忌まわしき茶色の扉から高級感あふれる黒の扉になった執務室の扉をノックすると、中から「どうぞなのです。」と返事が返ってきて、あれは一ヶ月前にどこから貰ってきたのか5万円を握りしめて、『こっそり外に出たときにみんなに食事を買えるように』とこちらに渡してきた心優しき小さな駆逐艦の声だとハッとする。

 

 中に入ると右側にお盆を持ってニコニコした電と左側に書類を抱える雷の姿があり、その横には8面ものモニターの背面が見える近代的なデスクが設置されていた。せわしなくキーボードの音が聞こえ、低音の声で「すぐに片付けるから電はお茶を入れて待っていてもらってくれ、電はその資料を金剛たちに渡して教えたとおりに軽く説明を、暁と響が戻ってきたら4人で休憩な。」とテキパキと指示を出している。若干困惑しながらも、4人掛けができる大きなソファーに3人で座らされ、対面に雷が座り今後の鎮守府の運営方針を説明され『雇用契約書』と書かれた書類を渡される。

 

 一通り説明されてその内容に驚愕していると、モニターのせいで姿が見えなかった男性が近づいてきた。その男性は提督服ではなく、見るからにわかる高級なスーツに身を包み雷と電の間に座った。年齢は20代後半ぐらいか、その顔立ちはなかなかの美丈夫に見え、街を歩けば女性だけではなく男性にだって見惚れられることだろうというちょっとした色気がある。金剛達三姉妹はこれまでの混乱も忘れ、その男性を見てつい惚けてしまう。

 

 

「気付くのが遅くなってすまなかった、私がこれから君たちの上司になる提督もといCEOだ。君たちを含めこの大阪鎮守府は全て私が買い取った。共に暁の水平線に勝利を刻んでほしい。」

 

「CEOが大阪鎮守府に着任したのです。これより艦隊の指揮に入るのです!」

 

 

 






 長年抱えた悩みがあります。

 カップ麺が食べれないのです。

 食事という意味ではいけるんですが、食べた後にほぼ100%で気分が悪くなるという謎仕様。
 最近デバフ『金欠』を患っておりまして、節約のためにカップ麺を買ったのですがあとがき書きながら涙目になっている次第であります。
 袋麺ならいけるんだけどなー、引越し先がIHでまだ対応した鍋買ってないから作れないんだよなー。

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