CEOブラック鎮守府再建計画   作:のり塩ぽてち

4 / 6


 友人は辛いものを食べすぎて痔になりました。




CEOと新たなるスタート

 

 

「今のままでは君たちは強くはなれない。」

 

 

 『妙高型 1番艦 重巡洋艦 妙高』は騒ぐ長門や『加賀型 1番艦 正規空母 加賀』の声を聞きながら冷静に新しくなった上司、CEOと呼ばれるこの男を眺めていた。

 長門が旗艦になった艦隊はこの鎮守府の中でも私を含む武闘派集団で、『球磨型 5番艦 軽巡洋艦 木曾』『川内型 2番艦 軽巡洋艦 神通』『陽炎型 2番艦 駆逐艦 不知火』といった編成となっている。木曾、神通、不知火は言葉こそ発さないが、鋭い眼光でCEOを睨みつけている。

 『5万円お兄さん』と呼ばれる彼は職員たちに聞くところによると、私達にとっての救世主といってもいい人間だろう。だが、元々軍に携わるものとしては一般からきた彼の意見は受け入れ難い。

 

 

「もちろん君たちの言わんとしていることはわかっているつもりだ。私は元々軍人でも何でも無いからね。だが軍事兵器などの取扱をするものとしては今の演習を見るといわば『非効率』、この一言に尽きるよ。

 そうだね、例えばの話をしよう。女の子にこんな話をするのもどうかと思うんだけど、これから『プロボクサーになってください』と言われて不知火ならまず何を始めるかな?」

 

「プロボクサーですか・・・やはり拳を使った格闘術とのことなので、ひとまずは体力づくりから始めるかと。」

 

「そうだね、『体力づくり』ここから始める人は多いだろう。これは君たち艦娘は日々訓練しているところから問題はないだろう。

 では神通、他に『プロボクサーになるためには』何が必要か思いつくものを全て言ってもらってもいいかな?」

 

「あ・・・びっくりしました。ええとですね、筋肉が必要になるので腕力や脚力などの各種トレーニングでしょうか?あと思いつくものとすればボクサーなら減量・・・とか?」

 

「うん、そう『トレーニング』ここが大事だよね。君たちも日々艦砲訓練や演習によって日々トレーニングをしていることだろう。付け加えるとこの『トレーニング』の中にはボクサーなら『スパーリング』というものが含まれる。艦娘でいうところの『演習』だね。ここが君たちには圧倒的に足りないと感じた。

 さて、私の隣のモニターを見てほしい、統計に寄るとこの鎮守府は警備任務を主としているため他の鎮守府に比べて圧倒的に『実戦』経験値が少ない。」

 

「ではCEO、『実戦』が出来るようにこちらにも任務を廻してもらうように手配をすればよいのだろうか?」

 

 

 長門の言葉に「ちょっと待ってくれ。」といい、後ろで控えていた技術スタッフに声をかけて指示を出し始める。その間に別のスタッフが端末を操作し、会議室のスクリーンに大きくさきほどまでの演習の光景が一人ひとり様々な別角度からの戦闘シーンを映し出し始める。これまでの雰囲気は一新し、それぞれが自分の戦闘風景を真剣な顔で見つめる。はたしてこの映像の中になにかヒントがあるのだろうか?

 

 

「映像を見てもらえればわかるとおり、君たちは射撃精度や艦隊行動についてはまず問題なく行えている、むしろさすがと言っていい。

 私が経験値が少ないと言ったのは例えばこのシーン、『木曾が敵艦隊による攻撃による着弾』ここに注目してもらいたい。木曾本人のダメージ・コントロールは問題なく行えているが、このときの艦隊全体の動きに大きなバラツキが見られる。特に高台から見ている私からすれば一目瞭然だったよ。これは旗艦が陸奥の艦隊にも言えることだね。

 ハッキリ言おう、君たち大阪鎮守府に所属する艦娘は『チームでの連携不足』と『打たれなれていない』んだ。」

 

「ここまでの話はわかった。だからってCEO、俺たちに本当の戦闘ってのを教えられるのか?」

 

 

 細部の映像まで持ち出され、ここまで的確に指摘されればあの木曾も文句を言うところもない。だがその疑問については尤もだった。

 そしてCEOに「ついてきてくれ。」と言われ、向かった先は本館横に新たに建設された体育館のようなかなり大きな施設へ案内されて、中に入ると真ん中に大きなコクーン型のが横並びに6台づつ、向かい合わせで合わせて計12台が並び、上空には大型のモニターが4方向に備え付けられている。2階席にはおそらくこの鎮守府の全艦娘が集められ、みんなこれから何が始まるのかと興味深げに見守っている。

 

 飛び回る技術妖精さんと研究妖精さんに案内され、長門と陸奥の艦隊がそれぞれ指定されたコクーンに乗り込み、自動でハッチが閉じるとインプットされている『工作艦 明石』の声で指示に従ってシステムを起動させていく。すると、視覚と聴覚にはまるで海面へと立っているかのようなリアルな情景が映し出される。隣を見れば、一緒に入った艦隊のメンバーの姿も若干ホログラム調だが見えるようになっている。

 

 

 

 

 

 コクーンの外では大きなどよめきが起こり、上空のモニターにはそれぞれの艦隊の様子が映し出され、それに合わせて明石から『疑似演習システム 艦娘の絆』の説明が始まる。

 これは従来の演習をより簡易的に行えるようにするためにするシステムで、『天候に左右されない』『砲弾にかかるランニングコストを削減』『準備や終了後の入渠にかかる時間の廃止』『事故などによる怪我の防止』といった現実ではどうしようもないところを改善するために生み出された我が社と妖精さんによる肝いりの最新システムである。

 バックアップ、データ蓄積、データリンク機能も完備し、今後は横須賀鎮守府にも設置予定の大規模システムが構築されている。これによりデータが入力された艦娘は自前の情報端末で個別で検証したり、戦績や被弾箇所の確認などが簡単に行なえて今後さらにデータが蓄積すればゴーストによる無人対戦機能も拡張予定となっている。

 

 

 

 

 

 

「すごいですね、これは・・・艦装を動かす感覚もほぼ現実の感覚と相違ありません。」

 

「どうだい妙高?実は私は元々IT専門のエンジニアでね。軍事部門からのデータを使ってずっと以前からこのシステムの構築を個人的に進めていたんだ。まぁソフトウェアはともかくハードの部分はここにいる明石や技術妖精さんと研究妖精さんが大いに頑張ってくれてね。まさかここまで鮮明でクリアな映像が映し出せるとは思っていなかったよ。これは最低でもあと3年は後に出てくるようなシステムだったんだけど君たちの目を見て気が変わったんだ。

 その目に宿る君たちの高潔な魂は一点の曇も無い。そのお国を守るという気高き魂を私は本当に尊敬するよ。だから存分にこれを使って腕を上げてほしい。」

 

 

 前面に映し出されたCEOに向かって艦隊のメンバーたちとアイコンタクトを交わして全員でうなずく。返事はいらない。今はただただこの震え上がるような身を焦がす闘志が燃え上がり、これから始まる戦闘へと意識を切り替えていく。

 

 

「妙高型 1番艦 妙高、参ります!」

 

 

 妙高を筆頭に次々と艦娘達が名乗りを上げて発艦していく。後ろにホログラムの水しぶきを上げながら海面を疾走していき、今まさに対峙する相手へと向かい合う。

 

 

 

 

 

 専用のモニターにて映し出されるのはかつて護国のために戦った戦乙女達。先程の演習はまるで肩慣らしかの如く、それまでとは一線を画するようなギリギリの戦い。その輝きを一瞬たりとも見逃すこと無くCEOは画面を見つめて自然と口角を上げ、まるでこれまで一番欲しかったものが見つかったような感覚に陥る。この日のちに『英雄』と呼ばれることになる一人の提督が本当の意味で目覚めた瞬間だった。

 

 ここにいる大勢の艦娘や妖精さん、スタッフたちはただただ上部にある大型モニターを見つめ誰もが目を輝かせていた。

 

 最後は長門と陸奥の一騎打ちになり、陸奥が放った砲弾が長門の側面を掠め、身を捩りながらカウンターで放った砲弾が陸奥に命中して轟沈判定のブザーが鳴った瞬間に、それまで静まり返っていた空間が一斉に歓声に包まれる。そしてその日はどこか活気のなかったこの大阪鎮守府が再び活気を取り戻し、新たなスタートラインにたった記念すべき日になった。

 

 






 「認めたくないものだな、自分自身の、若さ故の過ちというものを」

 宇宙パイロット向けのシュミレーターは可愛くない。

 VRゲームみたいなのはなんかちょっとSFすぎる。

 そして思い浮かんだのはゲームセンターにあった某卵型シュミレーションゲーム。

 ついアレが思い浮かんだ自分は悪くないと思う。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。