やれやれ系幼なじみ   作:French

1 / 7
美咲ちゃんかわいい
あ、花咲川は共学設定です


まじめにやろう?

 俺は普通の男子高校生、苧巻紫園(おだまきしおん)。幼なじみで同級生の奥沢美咲とミッシェルランドに遊びに行って、 (どこかで見たことのある)黒服さんの怪しげな取り引き現場を目撃した。

 取り引きを見るのに夢中になっていた俺は、背後から近付いて来る、ミッシェルに気付かなかった。俺はミッシェルにナッツラテを飲まされ、目が覚めたら……

 

 

 

 ……授業中だった。

 

 

 

 

 なんだ今の夢。

 

 

 

 

 

「やっと起きたか」

 訳が全くわからない夢から覚め、顔を上げると授業担当の呆れたような、それでいて責めるような視線と言葉がこっちに飛んできた。

 三時間目の中盤辺りからの記憶がない。時計を見た感じ、すでに四時間目が始まって20分近く経っている。……いや、誰か起こしてくれても良くない?それとも起きなかったのかな? とりあえず弁明しておこう。

 

 

「違うんですよ先生。これは寝てたんじゃなくて、えっと……そう! 睡眠学習です。なんとか大学のなんとか教授が最近それらしいことを発表したとかしてないとか。それが本当なのか試していたところで……」

「いいから早く教科書とノートと筆記用具出しなさい」

「はい……」

 

 全く弁明の意味がなかったということで、諦めて形だけでも授業を受けようと思い、いつのかわからないプリントが大量に詰まった机をあさった。

 

「あれ? ない」

 

 授業を再開した教師の耳には届かなかったようだが、おかしい。俺はそもそも自宅で勉強や課題なんてやらないから教科書やノートは全て学校に置いている。必然的に忘れ物や課題はしないはずなんだが。

 ロッカーに入れた覚えはないけど一応見に行っておくか。

 

「ロッカー行ってきまーす」

 

 この約半年の間にかなり言いなれた言葉を教卓の前を通るときに言っておいた。返事も聞かずに廊下に出たが、俺は結構な頻度で授業中にロッカーに荷物を取りに行くので今更『休み時間に準備しとけ』なんて小言は言われないだろう。言われても軽く返事して終わるが。

 

 ロッカーの前まで行き、安いダイヤル式の南京錠の数字を一つずらしロックを解除してロッカーの扉を開いた。中に入っているのは数冊の教科書と定期考査前に数ページやって終わる各教科のワーク、それと捨てる未来しか見えないプリントの山。

 予想通り目当ての教科書はロッカーの中に無く、そこで昨日友人に教科書を貸したことを思い出した。

 

「貸してやったんだから自分で返しにこいよ」

 

 授業が始まるまで貸したことすら忘れていたことを棚にあげてそう呟き、後で飲み物でも奢らせようと決意した。

 これでただでさえ低い平常点がさらに下がった。この間の試験だって赤点多かったのに。

 まあ少しくらい下がっても誤差だろ。なんて思いながら再びロッカーを閉め、意味のない南京錠を付けてから教室に戻った。

 

 

 

「教科書無かったんで見せてもらいまーす」

 

 教室に戻って早々、そう宣言した俺に先生は深いため息を吐いた。どうしようもない生徒だと思われたんだろうか。お手数お掛けします。たしかこの人は学年主任だからこれからあと丸二年はお世話になります。面倒だからって留年させないでね。

 

「というわけで教科書見せて」

「はあ……」

 

 言いながらゴミのようなものが多く入ってる重たい机を、引きずるように移動してたら隣の席からもため息が聞こえてきた。おっと異性にそんなことされたら男子は傷つくから気を付けてね?

 

「気を付けてね?」

「なにが?」

 

 席につき、思ったことをそのまま口にしたら、心底意味がわからないという顔をされた。まったく男心がわかってないな……美咲は。

 

「ため息なんかつかれたら傷つくでしょ普通」

「あんたがそれくらいで傷つくわけないでしょ」

 

 言外に普通じゃないと言われているようだ。そんなことはない、俺は普通だ。……そう普通だ。

 

 こんな会話を小声でした後、授業中ということもあり俺たちは黙った。俺自身は退屈でしょうがないが、美咲は普通に授業を受けているのでそれを邪魔するようなことはしない。

 

 窓側の席の俺は十分くらい外を見ながら世界平和について考えていた。だが、さすがに飽きたので美咲の方を見ると美咲は黒板に書いてあることをノートに綺麗にまとめていた。俺はお互いの机の間に置かれた教科書を見る振りをして、美咲の指先に視線を向けた。

 

(いつも思うけど美咲のノートって綺麗で見やすいよな)

 彼女のノートはよく見せてもらっている。教師達から『遅れてもいいからノート出せ』『課題出さないんだったら平常点やれないぞ』『一年生からこの点数だと二、三年生でホントに苦労するぞ』とわかっていること何度も言われまくっている俺は、本当にヤバイそうな時は(遅れて)ちゃんと提出物を出している。そんなときにノートや課題を写させてくれているのが彼女だ。本当に頭が上がらない。

 

 視線を彼女の手元から横顔にスライドし、その整った顔を盗み見る。真面目に授業に取り組む真剣な表情、まっすぐ黒板を見る視線、難しい問題でもあったのか時折聞こえる『んー』という唸り声。その全てが綺麗に思えた。

 日々の授業もちゃんと受けて(たまに居眠りしたり作詞したりしているが)部活もやって、その上でバンドもがんばっている彼女を俺は尊敬した。俺にはそんなことできないから。

 

 

 そんな美咲に頼りきりも悪いだろうと思い俺は久しぶりにノートを自分でとることにした。幸い先日定期考査が終わったばかりで今からノートを書いていけば数日分の板書を(美咲に)写させてもらうだけで期限通りにノート提出出来るだろう。課題の方も授業を聞いていれば何となくは理解できるだろう。全く聞いてないのと少しでも聞いてるのは大きく違うだろうし。

 そう決意し、買ってから大して減っていないルーズリーフを1枚取り出した。

 

 

 

 

 

「あ、筆記用具忘れた」

「あんたホントに何しに学校来てるの」

 

 その日の残りの授業は机の下で小説を読んで終わった。




授業中から始めたせいで会話文が書けなかったアホ。

美咲ちゃんがかわいいので自給自足始めました。
今後ともよろしくお願いします。

評価や感想いただけると嬉しいです。
美咲ちゃんかわいい。

追記:アンケートにご協力していただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。