一行はフラーワの船を沈めた後は、意外にも普通に走り、南の港へ着いた。しかしそこはとても荒れ果てており、海のほうが平和ともとられた。
壊れかけの看板には《センニブル》と書いてあった。
「センニブル市....僕は昔行ったことがあるけど、ずいぶんと荒れ果てたなぁ。」
ミラは転がってる石を拾いながら言う。
「まさに激戦区、といったところだね。王子が言うにはこの辺に私たちの宿舎があるらしいが...」
ジャンヌは地図を見て、廃墟を指さす。
「ジャンヌ、まさかここじゃないよね?」
レグルスは嫌がるが、ジャンヌは首を横に振って入っていく。あとから彼らもついていくが、その中にはぎりぎりベッドと呼べるかどうかのものとラジオが人数分あるだけだった。
「とりあえず荷物おいて休もう。」
薔薇はベッドに荷物を置き、疲れた体を癒すために果物を食べる。それは敵の船にあったもので、案外とてもおいしかったのだ。
「ミラ、一回この国の情報を整理してよ。」
薔薇はミラにみかんを渡す。
「わかったよ。まずこの世界は薔薇がいた地球より発展が遅れてる。ただたまに地球に留学に行ったりしてるからめちゃくちゃ発展してるものもあるんだけど、基本的には遅れてる。」
「うん。」
「今回僕らの国、ムウェンが戦争状態に陥ってるのは隣国、《ランダン》からのいきなりの戦線布告からだといわれている。で、ランダンの元帥が僕たちの敵、ナイトメアだ。」
ミラはみかんのかけらを一つ見せて、食べる。
「ここまでは倫理的には何もおかしくはない。だけど問題はナイトメアのほうなんだ。彼はもともとムウェンの防衛大臣だった。けど上がナイトメアの要望に応えなかったかなんかでナイトメアは大暴れ、以後昔からのライバル国家、ランダンと裏で手を組みムウェンを破壊しようとした。」
そこでレグルスが口をはさむ。
「その時に、俺と仲間たちが一回はナイトメアを討伐したんだ。」
「そう、その時にはナイトメアを慕っていた人たちは内戦に巻きこまれてたくさん死んだ。」
彼はみかんのかけらを二つ一気に食べる。
「今回ナイトメアが一番上に立って支配しようとしてるのはなんでかが分からないんだ。普通に考えたら国の領土を広げるんだけど、ランダンは去年に広い領土を手に入れて大きいはずなんだよ。」
彼はみかんを食べ終わると、皮をレグルスに投げる。レグルスはそれをキャッチすると目の上で皮を絞り、痛がる。
「ほえー。それで人間の力を借りたってわけ?」
「いや、それが僕にはわからないんだ。僕は箱詰めされて薔薇の家で開封されるまでの記憶が一切ないんだ。きっとそれはサクラも同じだと思う。」
サクラは首を縦に振る。
「教えてやろうか?」
いきなり、聞きなれた声が聞こえた。
「あ、さっきぶりだな。ブラックローズは使えたか?これからいうことは全部真実だ。ミラ、サクラ、レグルス、薔薇、覚悟はできてるか?ああ、ジャンヌもいたか。」
空間に緊張が走り、全員がうなずく。