SOLEIL ~咲き誇る太陽~   作:いゆ

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湊敬一の復活

 湊敬一の人格が現れたことにより、ナイトメアの計画はいきなり狂い始めたのだった。

「仕方ない。俺はお前を殺すしかないようだ。せっかくいい体を見つけたと思ったのに。」

 ナイトメアは敬一の口から霧のように出て、怪人態としてその場に出た。ナイトメアの憑依が消え去った敬一は疲れからかその場に倒れこんだ。

「お前らが今から俺に抵抗したらその時点でこいつの心臓を一突きする。」

 ナイトメアは剣を敬一の胸に当てる。

「さあ、レグルス。エナジーとコアを俺に渡せ。」

 レグルスは戸惑い、まずはナイトメアフラーワのエナジーを見つめる。

「これが俺の強化アイテム...返したりはしない。」

 ドライフラーワのソレイユも下手に動くと昔からの仲間の敬一を殺すことになってしまうので、ただ立っているだけだ。

「敬一...」

 サクラがドライバーのまま呟く。

「許して...」

 フラーワドライバーのサクラはかすかに涙を流した。

「時間切れだ。こいつを殺す。」

 ナイトメアは敬一の胸に剣を突き刺そうとした。しかし、それは失敗に終わった。

 なんと、敬一が起き上がりナイトメアの剣を弾き飛ばしたのだ。

「!?」

「体が軽いな。」

 湊敬一、完全復活だ。

 彼は驚くナイトメアに素手で殴り、蹴る。

「俺が人間単体に負けるわけないだろう。」

 気を取り直したナイトメアも強烈なパンチを敬一に入れる。勿論その衝撃で敬一は飛ばされる。

 刹那、カニバルが輝いた。

『ナイトメアフラーワ! カニバルフラワー!』

「ふんっ!完全復活なのは敬一だけじゃない。この俺、サー=レグルス=スカーレットも同じだ!!」

 輝きの中には一人の仮面ライダーが立っていた。ナイトメア軍のライダーは輝きの衝撃で一旦隙を見せる。

『噛砕!噛砕!ピラニア・カニバル!』

 仮面ライダーカニバル・ピラニアフォームだ。ナイトメアフラーワの力を使うカニバルは、ナイトメアと力の大小関係は一緒だった。しかもナイトメアは怪人態なので今はカニバルのほうが断然強い。

「俺はお前を超える。」

 カニバルは口調が変わりずいぶんと英雄らしくなっていた。

「おいお前ら!すきを一切見せるな!!」

 ナイトメアは焦ったのか三人ライダーに指示をする。彼らは動き出すが、強化怪人態のミラ、ドライブフォームの裂羅そしてピラニアフォームのカニバルには勝ち目がないことが分かっていた。

 ライダー二人とナイトメアは東京のくぼみに飛び込み、消えていった。しかし、サンだけは違った。

 一人取り残されても、ナイトメアの指示を最後まで達成しようとしたのだ。

「みんな腰抜けだなぁ。こんなのあたしだけでも倒せるよ。」

 本当は泣きそうなサンは、震える声で呟き、剣を抜いた。

「ソレイユ。あたしはお前を倒す!!」

 彼女は持ち前の速さでソレイユのところへ駆け込む。しかしソレイユは強化怪人態なのでサンは力負けしている。

「うおおおおあああ!!」

 ソレイユはサンの胸倉をつかみ木を何個も倒しながらまっすぐ進んでいく。

 誰も彼を止められない。

「お前ソレイユじゃない!!あたしはソレイユに倒されたいのに!!」

 サンは粉々になりそうな脳と戻ってきた過去の記憶で生を保っている。

 彼女は死ぬ。

 宿敵ソレイユではなく、ただのフラーワ、ミラの力によって。

 バイクを使って裂羅達が横からミラを止めようとしているのが少しだけ見える。

 敵が何か言っている。もしかしたら、自分を救おうとしているのかもしれない。

「」

 彼女も何かを言おうとしたが、瞬間に地面に叩きつけられる。

 爆音は静音になり、ソレイユのライダーキックで起こった爆発により彼女は消滅した。

 ミラと薔薇は変身を解除し、その場に倒れ気絶する。

 裂羅がバイクから降り、まだ半分燃えている土地をゆっくり眺める。

「私、もう仮面ライダーをやめるよ。」

 彼女は変身を解除し、サクラと別れ、どこかへ消えていった。

「ミラは...自分を止められなかった。」

 敬一が言う。

「確かに彼女は俺達の敵だ。だけど、サンも、薔薇もこんな最期を望んでないはずだ。」

 これに、レグルスも付け足す。

「でも俺たちは英雄になる。それには感情なんて関係ないんだ。最初にナイトメアを討伐したときも、俺は何度も許しを請う敵を見てきた。けど倒さなきゃ自分が危ない。泣きながら殺害したさ。」

 ミラの行動は少しも間違っていない。

 彼らはナイトメア討伐に一歩進んだのであった。

 雨が降る。雨はミラ達を叩き起こし、ジャンヌがいないという現実だけを告げた。

「彼女はやり切った。俺の代わりに裂羅として戦い、死んでもない。」

 誰も理由は教えなかった。これ以上にミラの心身に負担をかけると本当に止められなくなるからだ。

 ミラと薔薇は安心し、みんなで薔薇の家に帰った。

 東京へ行くことは今回もダメだった。

 

 あれから十何回目かの朝が来た。敬一と一緒の朝だ。誰も一度もジャンヌを見ていない。

 彼らはいつものように作戦を練り、いつものように出発する。

 ナイトメアは、あれから現れていない。

 変わったことは埼玉が消えたことと自衛隊風の格好をした硬いフラーワが時空の割れ目から出てきていることだけだ。それと、日本政府が復活したこと。

 政府は首都を臨時で被害の少ない大阪へ移し、硬いフラーワの名前を《ガムフラーワ》と名付け、東京と埼玉の大穴にできた割れ目を《エクスポーター》といった。

 ガムフラーワやエクスポーターの存在も民衆に広まり、ソレイユたち仮面ライダーが高い人気を集めた。

 しかしテレビで放送されていた仮面ライダーの存在は消滅していた。これもナイトメアの仕業なのだろうか。そんなことも考えられないまま、ソレイユたちもテレビ版仮面ライダーの記憶が消え去っていた。

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