目が覚めると、私は自室のベッドの上に横になっていた。
長い夢を見ていた気分だ。
まさか、自分が世界を救うなんて思ってもいなかったから。
私は静かに窓を開けて、深呼吸をした。
平和な地球。
花の化け物などいない、普段の日本。
今まで私がやってきたことが、嘘だったような。
もしかしたら全部本当に夢だったんじゃないかってくらい、平和だ。
そうだ。 私は作文用紙を闇雲に開いた。
世界を救ったのが仮面ライダーだということはみんな知っているだろう。
しかし、私がやりましたと大々的に言うのは、私の美学に反する。
仮面ライダーの小説をかいてやるのだ。
私はペンをとり、題名を書き始める。
SOLEIL ~咲き誇る太陽~
ナイトメア城の崩壊により地球エネルギーがもとに戻り、人々の体には生気が、浮遊島となっていた埼玉県なども何もなかったかのように元にもどった。
ナイトメアの存在は人々に知れ渡っていたが、薔薇の存在は知れ渡ってはいないのだった。
新聞には写真のないまま、【謎の仮面ライダーに救われた】などが太文字で書かれている。
地球と日本は完璧に元の平和にもどったのだった。
一方、フラーワの世界は未だに復旧作業が続いているのだった。日本とは違い、ただ爆発が起こっただけなので、自動復活などの効果もなかったのだ。
ミラは、今、ムウェンの防衛大臣として国を支えている。
もう、地球とフラーワ世界は行き来できない。ミラが考えて考えて、地球とつながるエクスポーターを消滅させたのだ。
彼は爆発の勢いで薔薇が気絶した時、薔薇の家まで戻り変身を解除し、そのままフラーワ世界に戻り、地球エネルギーが全部地球に戻ったことを確認し、エクスポーターを消滅させた。
仮面ライダーソレイユは、もう存在する意味がなくなったのだ。それを思ってミラはそうしたのだった。
これにて、仮面ライダーソレイユの物語は、本当に終了である。
◇◆◇◆
「いらっしゃいませー。」
普通の女性、澤谷薔薇は、ファミレスでアルバイトをしていた。
すると、見たことのある顔の客が入ってきた。
「何名様でしょうか。」
客は答える。
「二名だよ。ソレイユくん。」
薔薇はハッとして尋ねる。
「どうしてそれを...」
客は特殊なベルトをちらりと見せて、中性的なイントネーションでしゃべる。
「私だよ。Mさ。いつか言ったのを覚えているかい?私の友達を連れてきたのさ。」
Mと名乗る男性はもう一人の男性に目配せし、挨拶をさせる。
もう一人の男性はスーツの内ポケットからベルトのようなものを出す。
「ちょちょちょ、とりあえずお席へ....」
薔薇は彼らを席へ案内し、ちょうど退勤時間になったので支度を済ませ、その席に座る。
「私は....まあTとでも呼んでおけ。」
Tは先ほど出しかけたベルトをテーブルの上に置く。
「これは...?」
薔薇が問うと、Tは解説する。
「これは私たちの世界のライダーシステムで変身させる『Zドライバー』だ。」
Tの話にMが付け加える。
「私たちの世界というのは、君やナイトメアが存在していない世界...つまり今いる世界とは別の世界のことさ。」
なるほど、とソレイユはうなずく。
「それで、どうして私のところに?」
その質問の答えは即答だった。
「最低限、仮面ライダーだった君と戦えるように、と思ってね。」
薔薇はその言葉に困惑する。
「どういうこと?」
そういおうとした薔薇の前には一瞬で、見たことのない仮面ライダーが現れた。
Mがすかさず、薔薇の腰にベルトを巻き、薔薇の手に花の形の機械を入れる。
「そういうことか.....わかった!変身!」
かつてのように変身したソレイユは、ライダーとつかみ合いになりながらファミレスの窓を突き破り、近くの公園へ飛んで行った。
ソレイユとライダーは全力で戦う。
「この世界にかつて仮面ライダーであったという記憶がある人間はおそらくお前だけだ。Zのスーツに学習させるついでに、ライダーがいた歴史も消す!」
ライダーはソレイユを蹴り飛ばす。しかし、ソレイユも伊達に仮面ライダーをやってたわけではない。
すぐに立ち上がり、ライダーキックの体勢に入る。
Mは興奮して声を上げる。
「ドライバー完全コピーってスゲー!」
そしてソレイユはそのライダーにキックを入れる。
が、それは失敗に終わった。
ソレイユの横から仮面ライダーMが攻撃し、ソレイユはそのまま地面に墜落したのだった。
「お前ら....卑怯すぎる!」
変身を解除した薔薇はボロボロになりながら言う。
「ナイトメアに教わらなかったのか?これが戦いだ。」
そういってライダーは薔薇に近づく。しかしそこで、ライダーの変身が解除された。
「何?」
Mがライダーのドライバーを引きはがしたのだった。
「君のじゃないんだよ。あんまり調子に乗ってると君が消されるよ。」
Mはカバンから銃を取り出す。
「私の世界では銃が普通に使えるんだよ。」
そう薔薇にいって、MはTの胸に向かって発砲した。
その時点で薔薇も力尽きた。
「私が新しい物語の語り手だ。」
Mは、Zドライバーを片手に元の世界へ戻っていった。
ありがとうございました!