少年少女たちの異世界活動録(ワールドトリガー編) 作:Koki6425
「毎回毎回…あの野郎」
起きたら知らない天井。周りには知らない家具。やけに整っていることからホテルの類であることはすぐに分かる。だが別に事を行うためにあるようなホテルではなく普通のホテルだ。紫が俺達が寝ている間に連れてきたことは容易に想像できる。窓から見えるとても大きな建物とそこから差し込む眩しい光。その大きな建物には立方体を斜めから見たようなマークと一緒に『BORDER』と書かれている。
霊夢を起こし、朝飯をすませる。もちろんホテルのバイキングだ。そして朝食後部屋に戻り支度する。そんなことになっているのにそんなに直ぐに動けるわけないだろと普通なら言うがもう何回かやられているので慣れた。
ホテルのお代を済ませて建物の外に出る。特に行くあてもなかった俺達はさっき部屋から見えた大きな建物、『BORDER』へと行くことにした。正直この周りの土地を知らないので多少なりとも聞きながら向かっていった。空を飛んでいけばいいと考えるやつもいるかもしれないがそう都合よく飛べたら苦労はしない。空を飛べば不審に思われてしまう。そうするとここで活動するのが困難になってしまう。だから空を飛ばないのだ。
建物で気づくやつもいるだろうが『BORDER』とは界境防衛機関のことである。この世界においては「トリオン」と呼ばれる物質が存在し、それを使って「トリガー」という武器を使って戦っている。
この世界では5年前、未確認生物の侵攻で壊滅的被害を受けた。それがこの三門市だ。そしてその未確認生物を撃退したのが『BORDER』だ。それが発展し今の大きな建物を作るまでになったのである。
「でかいわね…幻想郷じゃこんな大きな建物見ないわよ」
「そりゃあな。山1つ分くらいはあるんじゃないか?」
霊夢もその大きさに圧倒されていた。俺はそんな霊夢を連れて本部の方へと向かった。
☆
「着いたな…」
今いる場所からでもとても大きいとわかる。そして俺達はその建物へと入ろうかと思ったその時…
『警戒区域内に門発生。座標誘導誤差…』
その警告音と共に俺達の目の前に黒い円のようなものが姿を現した。そしてその中から見覚えのある大きな生物が姿を現す。
その未確認生物を三門市の人々は『近界民(ネイバー)』と呼ぶが、正式名称は違う。正式名称は『トリオン兵』。トリオンを使って作られた兵隊人形といえばわかりやすいだろうか。知ってる限りだと通常兵器は全く役に立たず、核爆弾でも傷一つつかないのではないかとされている。
目の前に現れたトリオン兵は俺たちに向かって食らいついてくる。それを躱して後ろに引き下がる。大きい分動きがのろい。そして細かい動きができない。懐に入ったりして剣を使ったが傷一つついていなかった。霊夢は夢想封印を撃とうとしていたがそれだと尚更危険だった。なぜかと言うと異変解決の最後辺りから俺たちの力はどんどん上がり続けている。命が関わる戦いなら全力を出すのでさらに威力が上がる。実験したが山ひとつ吹き飛ばす位の威力になったのを覚えている。だから制御しなければいけない。
「霊夢下がれ!」
「嫌よ」
「ったく頑固なんだから…」
霊夢は建物の上から夢想封印を撃とう準備していた。ヘイトは俺に向いているからしばらく逃げてれば当ててくれる。
「霊符『夢想封印』!」
霊夢の撃った夢想封印はトリオン兵に直撃した。明らかに直撃したのだが…。
「「無傷!?」」
全く効いていなかった。ダメージは通っていない。唯一目くらましのような感じになってはいたが。これで分かった。今の俺たちでは時間稼ぎができればいい方だと。
「待って?あんたの能力で構造に干渉すれば分解できるんじゃない?」
「それだ!」
俺は懐に入り込みトリオン兵の腹のあたりに触れた。そして直ぐに離れる。1度触れれば俺はその物質構造を操ることが出来る。だが触れ続けている時より制度は落ちてしまう。ゲームのローカル通信とインターネット通信のようなものだ。近ければ近いほどラグは起きないが、逆に遠ければ遠いほどラグや通信の制度は悪くなる。とりあえず真っ二つにできればそれでいい。それなら簡単だ。
「堕ちろ」
その声とともにトリオン兵が腹のあたりで真っ二つに割れた。それと一緒に軽い爆発が発生する。その爆発に巻き込まれそうになったが、近くの建物の影に潜んだことでなんとかそれを回避する事が出来た。
爆発と爆風が収まったあと俺達はトリオン兵の状態を確認しようとした。その時横から飛び降りてきた人たちがいた。恐らく…というか確実にBORDER隊員だ。今俺達がたっている区域はBORDER隊員以外立ち入ることが出来ない場所。俺達がいる時点でおかしいことなのだ。
「お前は誰だ」
そう聞かれるのも無理はなかった。軽く自己紹介をして、状況説明(もちろん嘘)。なにやら連絡をしているようだった。俺は保護されるのかと思い、呼ばれるのを待っていたら別のとこからまた新しい人がやってきた。
「秀次」
「迅…何の用だ」
彼の名前は迅悠一。同じボーダー隊員だ。水色の服に黒っぽいズボン。サングラスのようなものを付けて腰には黒いポーチがある。その中に入っているだいたい30cmくらいの物体が目に入った。その真っ黒な何かに目を奪われていると俺はその迅と言う男に話しかけられた。
「話がある。2人ともついてこい」
俺達は迅について行った。別れ際、秀次というさっきのヤツらの顔が少し締まっているようにも見えた。何かをしようとしている目だった。
☆
本部の中に入った俺達は規則的な通路をひたすら歩き続けること10分。ついにある部屋の前で止まった。そして彼が近くの認証板に触れるとロックが解除され扉が開く。その中には数人の凄い偉そうな人たちがいた。おそらく上層部の人間だろう。
「どういうつもりだ…迅」
「いやー城戸さん。ちょっとばかしお願いがありましてね」
「(航生…なんか私嫌な予感がするんだけど)」
「(俺もだ)」
その予感通りの答えを迅は口から出した。
「こいつら2人をボーダーに入れて欲しい」
そう、簡単に言えばボーダーの勧誘。悪くいえば昔の徴兵令…というのもおかしいだろうか。でも意味合いとしては「この街を守るためにこいつらを戦わせる」と言っているようなものだ。
ただ迅だけはそれより深く入り込むことが多い。何故ならこいつは「サイドエフェクト」なるものを持っているからだ。
『サイドエフェクト(副作用)』。その言葉の意味通りなのだが、生まれつきトリオン能力の高い人間は能力を発揮しやすいらしい。迅のサイドエフェクトは未来予知。超人的な能力だがこれも普通の人間の能力の延長線上にある。人間は先の事を「予想」し実行する。計画を立てるのもそのためだ。予想から予知へとなっただけだ。
迅が言うには俺達が何かしら役に立つらしい。
「城戸さんの目的にも役立つと思うんだけど」
するとそう言われた城戸という人は少し考えて再び口を開いた。
「いいだろう…だが1つ条件がある。迅たちはこの後鬼怒田開発室長について行くように」
俺達は言われた通りその鬼怒田という人について行った。体型で比べたら少し小太りな人だった。
そして連れてこられたのは何やら広い部屋だった。そこには席が2つ用意されている。おそらく俺達が座るためのものだろう。さっき用意させているのを聞いた。座るよう指示されたのでその椅子に2人で座る。
そしてしばらく経つと開発室?と思われる方から「なぁぁぁぁにぃぃぃぃ!?」という叫び声が聞こえてきた。部屋を出るよう指示され、俺達は鬼怒田さんのところへと向かう。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもあるか!何だこの量は!」
俺は鬼怒田さんから1枚の紙を渡される。それには俺と霊夢の何かを示したグラフのようなものが書かれていた。おそらくトリオンの量を測ったのだろう。そのグラフには平均値と思われるグラフが書かれていたのだが、それはずいぶん下の方にあった。その平均値を大きく超える結果だったとグラフを見れば一目瞭然だ。
「(トリオン機関なんて持ってないと思ってた)」
「(多分この世界に来た時その場所の人達に適応しようとしたのよ)」
そしてその書類を持ち、そのまま先程の会議室のような場所に戻った。そして提出。本部長?と思われる人物は開いた口が塞がっていなかった。
「城戸さん…」
「…」
「…いいだろう。これだけの能力は放っておくのはこちらとしても惜しい」
内心ガッツポーズを決める。そして俺達はボーダーへと入隊することとなる