チイロノミコ   作:SnowWind

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第6話
第6話 前編


 シダイノゲンソ

 

 

 

 

 マギアディールまでの旅を経てチコたちが得た情報は、『ヨゾラノカゲヒメについては何もわからない』、これのみに終わってしまった。

 機操兵を専門として扱う工房を尋ねれば、また新しい情報が得られるかもしれないが、ヨゾラノカゲヒメを狙うコソ泥たちがいる以上、迂闊に人の目に触れることはやつらに撒き餌を与えるようなものだ。

 だからこそ今回、里の縁がありチコにとっても知人であるリクドウの工房を訪ねたのだが、急な依頼にも関わらず引き受けてくれたリクドウたちに感謝の気持ちこそ忘れずとも、チコは途方に暮れる思いだった。

 一方でレンジは、顎に手を当てこれまでの情報を整理する。

 

「黒血油どころか魔導炉すら積んでねえとはな・・・。

 おいチコ、お前どうやってカゲヒメに自分のエーテルを送ってたんだ?」

 

「えっ?」

 

 急に話題を振られたチコはつい呆けてしまい、レンジが改めて説明する。

 

「お前、カゲヒメで『空駆(そらがけ)』使ってたろ?

 そん時にどうやってエーテルを送ったんだって聞いてんだ。」

 

 普通の機操兵ならば魔導炉が操手のエーテルを吸い上げ出力を増幅し、それを用いて機操兵用に威力を高めた魔法の発動する。

 魔導炉がないヨゾラノカゲヒメに同じ理屈が通じるとは思えないが、チコが自分の魔法を使っていたことから、操手であるチコのエーテルが使われているのだとレンジは見たのだ。

 

「・・・あれ?そう言えば私、どうやって魔法使ってたっけ?」

 

「は?」

 

 だがチコから何とも間抜けな答えが返ってきたので、レンジもつい間の抜けた声を出してしまう。

 

「お前バカか?」

 

「うっうるさいわね!頭でイメージしたら勝手に動くし、『空駆(そらがけ)』はもう反射的に使える技だから意識したことなんてないのよ!」

 

「だとしても魔力の消費くらい、てめえで分からねえわけねえだろ。」

 

「戦闘中は動かすことでいっぱいなのよ!

 カゲヒメは普通の機操兵と規格が違うし、機操兵戦なんて初めてだったもの!」

 

「だからって、魔力管理を疎かにするとか操手失格だろうが。」

 

「そんなこと言われたって・・・あれ?」

 

 チコはふと昨日の夜、カンナの髪を魔法で乾かした時のことを思い出す。

 新人類には魔力を体内に保有する『魔力臓器』と呼ばれる体内器官がある。

 そして魔法を使うとき、魔力がエーテルに変換される過程で体内の魔力が消費されるわけだが、体内器官である魔力臓器から魔力が抽出される以上、魔法の発動は身体にも負担がかかるものだ。

 要するに魔力だけでなく体力も消費することになるのだが、チコはこれまでの戦いで精神的疲労感こそあれど、肉体的な疲労はそこまで感じられなかったことを思い出す。

 

「・・・私、結構空飛んでたわよね?」

 

「お前いよいよボケ始めたか?」

 

「茶化さないで聞いてよ。

 今思い返してみたけど、私魔力消費した感覚がなかったのよ。

 意識してないとかそんなんじゃない。戦いが終わった後も魔力消費による疲労感がなかったもの。」

 

「何だと?」

 

 チコの声色から嘘ではないことを知ったレンジは眉を顰める。

 

「それなら一体誰の魔力が・・・待てよ。」

 

「どうやってカゲヒメの魔法が・・・あれ?」

 

 チコとレンジは同時に、ヨゾラノカゲヒメに乗る『もう1人』の人物に視線を向ける。

 

「え?私?」

 

 2人の視線を受けたスズは不思議そうに首を傾げる。

 

「スズ、この前戦いが終わった後、急に疲れたわよね?」

 

「はっはい、でもあれは緊張から解放されただけで・・・。」

 

「スズ、そんとき魔力の消費は感じられたか?」

 

「ごめんなさいお兄ちゃん。それはわかんない・・・。」

 

「あなたじゃ『仕方ない』わよ。それに空駆《そらがけ》は元々、魔力消費の少ない魔法だし。」

 

 申し訳なさそうに俯くスズを励ましながら、チコはスズの側に歩み寄る。

 

「チコさん?」

 

「スズ、ちょっと失礼するわね。」

 

 そしておもむろにスズの下腹部を触り出した。

 

「ひゃうっ!!?チッ、チコさん!!?」

 

「どうしたの、スズ?」

 

 突然のチコの行動にスズは顔を赤くしながら慌てるが、チコの方も不思議そうに首を傾げるものだから更に混乱していく。

 

「どどどどうしたのじゃないですよ!!なななんでいいきなりおおおなかに!!!」

 

「なんでって、魔力臓器が丹田の近くにあることくらい、スズも知ってるでしょ?

 今からあなたの魔力保有量を測るから、少しの間じっとしてて。」

 

 言いながらチコはスズの体内に魔力を送り込む。

 スズの魔力臓器に自分の魔力走らせ、魔力臓器を抜けたら自分の元まで返す。

 その時間から、魔力の消費量を推し測ることが出来るのだ。

 

「でででもそれって、別にお腹じゃなくてもいいですよね!!?」

 

 だが要は自分の魔力が相手から返って来るまでの時間を取れればいいので、普通なら手首や首筋と言った脈に当てて測るものだ。

 それ以前に人の下腹部を触るなんて、下手をしなくてもセクハラである。

 

「だって、あなた聖痕持ってるじゃない。

 聖痕に宿る『光の魔素(マナ)』が測定の妨げになるから、あなたの場合、直接触って測った方が正確なのよ。」

 

「うぅぅ・・・。」

 

 チコの言葉にスズは顔を赤くして黙り込んでしまう。

 スズが生まれ持つ聖痕には、『光の魔素(マナ)』と呼ばれる特殊な魔素(マナ)が宿っている。

 これは大気中に存在する『下位5属性』の魔素(マナ)とは区別されており、魔導学によれば下位5属性の魔素(マナ)は、光の魔素(マナ)から生じたものとされている。

 魔力が大気の魔素(マナ)を属性問わず取り込んで生成されるものなので、光の魔素(マナ)は謂わば、純正の魔力と言えるものであり、聖痕を持つ者は魔力臓器に保有する魔力に加えて光の魔素(マナ)が加算されるため、生まれついての魔力総量が多いのだ。

 現にスズは魔力だけなら、チコとレンジの魔力を足しても尚、足元に及ばぬほどの桁外れなものを持っている。

 その弊害として今回の場合、膨大な光の魔素(マナ)が測定の障害となるので、魔力臓器の位置に直接手を置いて測ると言うのは正しい判断である。

 だが納得出来たものの、チコに下腹部を触られるという羞恥には替え難い。

 元々スズは聖痕を持つこと自体、信仰するチノヨリヒメへの挑発に等しいとして快く思っていなかったわけだが、まさかチコのセクハラを容認するためにまた一段と嫌いになるとは思いもしなかった。

 

「よし、終わったわ。今度カゲヒメに乗ることがあったら、また測らせてね。」

 

「えっええ・・・。」

 

 差分を比較すると言うことは当然、もう一度これを行う必要がある。

 またこんな恥ずかしい思いをしなければならないのかとスズが憂鬱に思う一方で、チコは相も変わらず素知らぬ顔だ。

 そりゃあスズだってチコをお縄につかせるつもりなんてなく、チコも第三者が相手ならこんなセクハラを平然とはしないだろう。

 幼馴染の距離から来る気軽さだと思えば、それだけチコに近しい間柄である裏付けにはなるわけだが、同時に自分だけがチコを意識しているという事実をまた思い知らされてしまう。

 結局いつも通り、チコの無自覚から来る羞恥と、鈍感さから来る怒りで二重に顔を赤くするスズだが、そんなスズを見てチコが心配そうな表情を見せる。

 

「スズ、どうしたの?顔が赤いけど。」

 

「なっ、なんでもないです・・・。」

 

 誰のせいで、と内心愚痴ろうと思ったが、チコがおもむろに顔を近づけてきて・・・

 

「へ・・・?」

 

 自分の額の髪をかきあげてから、チコ自身の髪もあげて額と額を当ててきたのだ。

 

「大丈夫?熱とかない?」

 

 チコとしては、初めての旅に異郷の地と慣れないことが続いたストレスから、スズが体調を悪くしていないかと純粋に心配してのことだったのだが、チコの綺麗な緑色の瞳、ほのかに甘いシャンプーの香り、そして艶やかな唇を全てをゼロ距離で受けたスズは、ただでさえ熱暴走寸前だった頭の中がとうとう爆発してしまい・・・。

 

「ふにゅうぅぅぅ・・・・。」

 

 頭から湯気を出して気絶してしまった。

 

「えっ!?ちょっとスズ!大丈夫!!?」

 

 突然気を失ったスズを抱きかかえ、チコは必死な表情で呼びかける。

 だが必死になっているのはチコだけで、周りの人々は揃いも揃って呆れた表情でジットリと見ている。

 

「チコちゃん、流石に今のコンボはないと思うな・・・。」

 

 ミリアでさえ、額に手を当てながら呆れ交じりのため息を吐く。

 

「ミリアさん!ふざけてる場合じゃないですよ!」

 

「チコちゃん、もう15だよね?もう少し大人になろっか?」

 

「えっ?ダリアさんまで・・・?」

 

 ダリアに続いてデミルとリクドウまでも、うんうんと頷いている。

 

「なっなんなんですか?それよりもスズが・・・。」

 

「お前、やっぱバカだろ。」

 

 最後にレンジまで馬鹿にされてしまい、チコは何が何だか分からない内に不思議な疎外感に包まれるのだった。

 

 

 

 

 ・・・

 

 

 

 

 同時刻、自由都市同盟の中央都市(アマルーナ)にある酒場では、バレットとクレアが酌を交わしていた。

 当初はバレットたちもマギアディールを訪れて、黒い操兵もどきを駆る巫女たちの監視をするつもりだったが、やつらの常人離れした探知能力の高さを警戒して一度アマルーナまで帰還したのだ。

 そして今回は『助っ人』の要請し、こうして酒場で待ち合わせをしているのだ。

 

「もう待ち合わせの時間過ぎてるけど、あいつら遅くない?」

 

「まあ、マイペースな連中だからな。多少の遅刻は目を瞑ってやれや。」

 

「今回ばかりはそうはいかないでしょ。あの子たちがいつマギアディールを出るかわからないのに。」

 

 待てども訪れぬ助っ人に業を煮やしたクレアが愚痴り始めた直後、酒場の扉が大きく開かれようやく待ち人である4人組が入店してきた。

 その姿を確認したバレットは、葉巻をふかしながら笑みを浮かべる。

 

「待ってたぜ、『フォウ・フォース』。」

 

 傭兵ギルド『フォウ・フォース』。

 男性2人、女性2人の僅か4人によって結成されたそれは、傭兵ギルドの中でも特に戦闘を専門としており、全員が熟練の戦士にして操手、そして特定の属性における魔法のエキスパートである。

 

「悪いバレットの旦那。昨日ちと1人で飲み明かしちまってさ。」

 

 さして悪びれた様子も見せずに謝る男性の名は『フレイ・ハイウェスター』。

 年齢は30代頃、背丈は180cm程。

 金色に染めた髪にサングラス、半裸の上に赤いジャケットを羽織っているだけのその風体は一言で言えば『チャラい』が、フォウ・フォースで一番の実力者である。

 

「久しぶりだなフレイ。どうだ。寝酒に一つ乾杯と行こうぜ。」

 

「旦那の奢りでね。」

 

 そんなフレイを非難することもなく、むしろ酒を勧めてきたバレットはグラスにウィスキーを注ぐ。

 

「全く、バレットさんから連絡があった側からよく飲めましたね。」

 

 呆れた様子でフレイを一瞥する女性の名は『アクア・サーペント』。

 年齢は20代後半、背丈は165cm程。

 フォウ・フォースのギルドマスターであり、茶がかった黒の長髪、水色のローブの上からもわかる豊満なバストを持つその姿はどこか艶やかな雰囲気を漂わせており、今も異性から注目を浴びている。

 

「久しぶりね、アクア。どう?稼業の方は順調?」

 

「はい、クレアさん。おかげさまで順風満帆です。

 問題児たちに手を焼くことを除けば。」

 

 クレアは親し気にアクアと挨拶を交わしながら、性懲りもなく酒を呷るフレイに冷めた視線を送る。

 

「それでそれで今日はアタイらに何の用?何か面白い話でもあるの?」

 

 早口で捲し立てる女性の名は『ウィン・テーヴァ』。

 年齢は20代前半、背丈は170cm程。

 ライトブルーのツインテール、ビキニウェアとホットパンツと言う露出の多い格好は、フレイとは違った意味で『チャラい』印象を与える。

 

「ああ、面白い厄介事を持ってきてやったぜ。」

 

「マジで?チョー楽しそう!

 最近は雑魚の相手ばっかだったから退屈してたんだよね~。ねっグラン?」

 

「・・・。」

 

 口をへの字に結んでいる男性の名は『グラン・ハワード』。

 年齢は30代後半、背丈は200cm程。

 フォウ・フォースの年長者であり、筋骨隆々とした屈強な体躯を持ち、亜人と言われても違和感がないほどの巨漢である。

 

「んじゃっ、要件を話すぜ・・・ってか、よく俺から聞く前に話を引き受けたなお前ら。」

 

 昨日の夕方ごろ、バレットは通信機を使ってフォウ・フォースに協力を要請したのだが、彼らは2つ返事であっさりと引き受けた上に、詳しい話は当日に聞くと言ってきたものだ。

 傭兵は命を賭ける職業故に、仕事内容が明確でない案件は安易に引き受けるべきではない。

 これが傭兵ギルドにおける鉄則であるも関わらずだ。

 

「旦那からの要請とあっちゃあ、断る理由はないでしょ?」

 

 バレットの言葉に、フレイは笑って答える。

 見ればアクアとウィンも、バレットへの協力は惜しまないと言わんばかりの笑顔を浮かべていた。

 グランだけは押し黙ったままだが、こう見えて自己主張はしっかりとするタイプだ。何も言わないのは、肯定の裏返しである。

 

「全く、お前らと来たら・・・。」

 

 やや呆れながらも、嬉しさを隠せない様子のバレットは、カミナの里で起きた出来事、そして謎の操兵についてフレイたちに話す。

 

「辺境の地で見つかった謎の操兵ですか・・・。」

 

「見た目こそ操兵っぽいけど、あの動きは操兵の範疇を超えているわ。

 操兵を模した何か、と見るべきでしょうね。」

 

 クレアの補足があっても、アクアは信じがたいと言った表情を浮かべている。

 それはそうだろう。当事者じゃなければクレアだって同じ反応をしている。

 

「それにボディーガードの剣士か。確かに面白そうな話じゃないの。」

 

 一方でフレイは謎の操兵よりも、その護り手を務める少年へと興味を向ける。

 

「依頼はあくまでも黒い操兵の捕獲だ。

 だがあのボウズが旅館の嬢ちゃんが言っていた防人の一族とやらなら、巫女ちゃんを守るために戦うだろう。

 ボウズを無視することは出来ねえ。適当に相手をしながら黒い操兵を捕獲する。」

 

「黒い操兵についてはまだどんな力を隠しているかわからないわ。

 あんな得体のしれないやつに正々堂々と事を構えるつもりはない。

 今回は数の暴力で押し切るわよ。」

 

「え~!?」

 

 2人の説明に不満げな声をあげたのはウィンである。

 

「何それ?アタイらに寄ってたかって弱い女の子を袋叩きにしろっての?」

 

「言っておくけど、全然か弱くないわよ、あの巫女ちゃん。

 言葉遣いも粗暴だし、あれは絶対に暴力女よ。」

 

 冗談半分とは言え、クレアが若干的外れな意見をする。

 

「なんだ、可愛げないのですね。」

 

 なぜかアクアが残念そうに頷く。

 

「少年の足止め役に最低1人は必要でしょ。

 旦那、そっちは俺がもらってもいいかい?」

 

「そう言うと思ったぜフレイ。ボウズはお前に任せる。お前が適任だろうからな。」

 

「旦那が喉を唸らすほどの剣士か。こりゃあ楽しみだわ。」

 

 フレイがサングラス越しに好戦的な笑みを浮かべる。

 

「他の3人は黒い操兵を頼む。」

 

「やだやだやだ!

 アタイだってたまにはサシで戦いたーい!タイマンでやり合いたいー!!

 ね?ね?グランもそう思うよね?」

 

「・・・。」

 

「何か言えし!!」

 

「・・・ふむ。」

 

「いや、ふむじゃねーし!!」

 

「ウィンちゃん、少し静かになさい。」

 

 1人騒ぐウィンを、アクアが静かに叱る。

 ウィンはこれでも立派な成人女性なのに、口調も態度も駄々っ子そのものである。

 

「えー、アクア姐は不満ないわけー?」

 

「クレアさんが1人で相手をするなって言うからには、相手に相応の力があると言うことです。

 ウィンちゃんももう子供じゃないんだから、それくらいは理解しなさい。」

 

「ちぇっ。」

 

 アクアに諭され、ウィンはやっと大人しくなる。

 曲者揃いのフォウ・フォースをまとめるギルドマスターだけのことはあり、アクアはこのメンツの中では『比較的』常識人である。

 

「最初はお前たちだけで相手をしてくれ。俺たちは遅れて奇襲をかける。」

 

 ひと段落ついたところで、バレットが再び作戦の説明に移る。

 

「最初から6人でかかれば、それだけで相手も警戒するだろう。

 4人だけと思わせておいてからの方が動きやすい。」

 

「数の暴力な上に奇襲か。よっぽど警戒してるのね、旦那。」

 

「それだけ手酷くやられてきたってことだ。」

 

「はいはーい!じゃあアタイらだけでちゃちゃっと仕留めちゃってもいい?」

 

「こら、ウィンちゃん。」

 

「いや、むしろ大歓迎だぜ。こっちが休める。目的さえ達成できればそれで良し。

 お前らだけで押し切れると思ったら、遠慮なく攻め倒せ。」

 

「よっしゃー!やる気沸いてキター!!」

 

 1人テンションを上げるウィンを余所に、フレイがバレットの奢りと言っておきながら、酒の代金を置いて店を出ようとする。

 

「んじゃま、連中がいつマギアディールから出るか分からない以上、早めに動きましょうかね。」

 

「おう、報酬は後で弾ませるぜ。」

 

「別にいいさ。これくらいの依頼じゃあ、旦那から受けた恩の足元にも及ばねえ。」

 

 フレイの断りに、クレアが驚いた様子で言葉を続ける。

 

「本当にいいの?

 戦闘は避けられないし、せめて操兵の修理費と燃料代くらいは出すわよ。」

 

「構いませんよクレアさん。

 あなたたちのおかげで、今の私たちは食べることに困っていません。

 だから私たちはみんな、個人の意思であなた達に協力するだけです。」

 

「面白そうなことになってきたしねー。誘ってくれただけ儲けもんだよー!」

 

「・・・うむ。」

 

 仮にも命を賭けた戦闘の依頼なのに、4人は一切の見返りを求めない。

 

「ホント、頼りになる連中だぜ。」

 

「ええ、全くだわ。」

 

 だからこそバレットもクレアも彼らに全幅の信頼を置き、感謝しながら笑い返すのだった。

 

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