2010年7月20日
小萌のアパート
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
目の前の光景を否定するかのように、上条麻琴は大声をあげながら、部屋の中に飛び込んだ。
「行ってはいけません!」
それを見た神裂が慌てて麻琴を止めようとする。
「邪魔だー!」
「ぐはっ…」
麻琴は片手で神裂を壁まで弾き飛ばした。
(間に合え!)
麻琴は必死に右手を伸ばし、今にも当麻の頭に落ちようとしている“輝く羽”に触れようとする。
そして、すんでのところで手が届いた。
「うぅぅぅぅぅらぁぁぁぁぁ!」
羽を消そうとした麻琴の右手が焼け焦げる。
しかし、そんなことには構うようなことはしなかった。
処理落ちした分は“一方通行”と“念動砲弾”で吹き飛ばす。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、どうにか“竜王の殺息”の欠片を払いのけることに成功した。
しかし、まだまだ羽は残っている。
彼らの頭上に降りかからんと舞っている。
(調子に乗ってんじゃないわよ、アレイスター=クロウリー…)
だが、麻琴の顔に焦りの色はない。
無数の羽を見上げながら、ゆったりと立ち上がる。
「もし、私たちがみんな、アンタの思った通りに動くと思ってるんなら、まずは…」
麻琴の瞳に真っ赤な線で描かれた魔法陣が浮かび上がった。
「そのふざけた幻想をぶち殺す!」
麻琴から放たれた“無数の光柱”が、部屋中を舞う“無数の光羽”を撃墜した。
「当麻くん!当麻くん!ねえ、起きてよ!ねえったら!当麻くん!」
倒れた当麻の肩を揺すりながら、麻琴は必死に呼び掛ける。
麻琴が視界に捉えた羽は全て撃墜した。
しかし、麻琴がこの部屋に来るまでに羽は落ちなかったのだろうか。
当麻の脳細胞はまだ無事なのだろうか。
未だに目を開かない当麻が、麻琴の不安を掻き立てる。
(起きてよ、お父さん…。また私のこと忘れたなんてイヤ…。お願い…)
「当麻くん!」
麻琴は喉から血が出そうなほどに当麻の名を呼ぶ。
「ま…」
唐突に当麻の口から声が漏れた。
「はッ!」
「…こと」
「当麻くん!」
「麻琴?」
当麻が虚ろに目を開いた。
「良かった!当麻くん!」
「うぉッ!」
パアッと表情を一変させ、麻琴は当麻を抱きしめた。
自然、当麻の顔が麻琴の胸に埋もれる形となる。
「良かった!ホントに良かった!当麻くん、無事だったんだ」
「えッ、ええっと、上条さんにはよく状況が飲み込めないのですが…。インデックスの頭に右手を叩き込んで、そのまま気絶したんだっけ?あれ?何で麻琴がここに?」
「当麻くんが心配だったからに決まってるじゃない!もうちょっとで、当麻くんのきお…大変なことになるところだったんだから!でも良かった、間に合って…」
「は、はあ…」
麻琴はそのまましばらく当麻を抱きしめ続けた。
女の子を助けて気を失い、目覚めたら女の子の胸の中とは、上条当麻の“旗立職人(フラグメーカー)”っぷりも大したものである。
もう今年も終わりですね。
読者の皆様には大変お世話になりました。
来年からも自分の作品をどうかよろしくお願いします。
それでは、よいお年を(^_^)ゞ