とある遡行の上条麻琴   作:Lucas

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12話 記憶

2010年7月20日

 

 

 

小萌のアパート

 

 

 

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

目の前の光景を否定するかのように、上条麻琴は大声をあげながら、部屋の中に飛び込んだ。

 

「行ってはいけません!」

 

それを見た神裂が慌てて麻琴を止めようとする。

 

「邪魔だー!」

 

「ぐはっ…」

 

麻琴は片手で神裂を壁まで弾き飛ばした。

 

(間に合え!)

 

麻琴は必死に右手を伸ばし、今にも当麻の頭に落ちようとしている“輝く羽”に触れようとする。

 

そして、すんでのところで手が届いた。

 

「うぅぅぅぅぅらぁぁぁぁぁ!」

 

羽を消そうとした麻琴の右手が焼け焦げる。

 

しかし、そんなことには構うようなことはしなかった。

 

処理落ちした分は“一方通行”と“念動砲弾”で吹き飛ばす。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

そして、どうにか“竜王の殺息”の欠片を払いのけることに成功した。

 

しかし、まだまだ羽は残っている。

彼らの頭上に降りかからんと舞っている。

 

(調子に乗ってんじゃないわよ、アレイスター=クロウリー…)

 

だが、麻琴の顔に焦りの色はない。

無数の羽を見上げながら、ゆったりと立ち上がる。

 

「もし、私たちがみんな、アンタの思った通りに動くと思ってるんなら、まずは…」

 

麻琴の瞳に真っ赤な線で描かれた魔法陣が浮かび上がった。

 

「そのふざけた幻想をぶち殺す!」

 

麻琴から放たれた“無数の光柱”が、部屋中を舞う“無数の光羽”を撃墜した。

 

 

 

 

 

「当麻くん!当麻くん!ねえ、起きてよ!ねえったら!当麻くん!」

 

倒れた当麻の肩を揺すりながら、麻琴は必死に呼び掛ける。

 

 

麻琴が視界に捉えた羽は全て撃墜した。

 

 

しかし、麻琴がこの部屋に来るまでに羽は落ちなかったのだろうか。

当麻の脳細胞はまだ無事なのだろうか。

 

 

未だに目を開かない当麻が、麻琴の不安を掻き立てる。

 

 

(起きてよ、お父さん…。また私のこと忘れたなんてイヤ…。お願い…)

 

「当麻くん!」

 

麻琴は喉から血が出そうなほどに当麻の名を呼ぶ。

 

「ま…」

 

唐突に当麻の口から声が漏れた。

 

「はッ!」

 

「…こと」

 

「当麻くん!」 

 

「麻琴?」

 

当麻が虚ろに目を開いた。

 

「良かった!当麻くん!」

 

「うぉッ!」

 

パアッと表情を一変させ、麻琴は当麻を抱きしめた。

自然、当麻の顔が麻琴の胸に埋もれる形となる。

 

「良かった!ホントに良かった!当麻くん、無事だったんだ」

 

「えッ、ええっと、上条さんにはよく状況が飲み込めないのですが…。インデックスの頭に右手を叩き込んで、そのまま気絶したんだっけ?あれ?何で麻琴がここに?」

 

「当麻くんが心配だったからに決まってるじゃない!もうちょっとで、当麻くんのきお…大変なことになるところだったんだから!でも良かった、間に合って…」

 

「は、はあ…」

 

麻琴はそのまましばらく当麻を抱きしめ続けた。

 

 

 

女の子を助けて気を失い、目覚めたら女の子の胸の中とは、上条当麻の“旗立職人(フラグメーカー)”っぷりも大したものである。




もう今年も終わりですね。
読者の皆様には大変お世話になりました。

来年からも自分の作品をどうかよろしくお願いします。


それでは、よいお年を(^_^)ゞ
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