とある遡行の上条麻琴   作:Lucas

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15話 迷子

2010年8月1日

 

 

 

 

「ハァ…、不幸だ…」

 

美琴に危ないところを救われた麻琴は、いつもと同じセリフを吐きつつ嘆息していた。

 

(黒子さん……。やばっ…、思い出すだけで悪寒が……)

 

美琴と違い、免疫がない麻琴にはトラウマものだったようだ。

 

「あれ…」

 

そんな時、麻琴はふと大事なことを思い出した。

 

「インデックスちゃん、どこ?」

 

麻琴は慌てて周囲を見渡すが、目立つはずの白い修道服はどこにもなかった。

 

「インデックスちゃ~ん!」

 

麻琴の頬を冷や汗が伝う。

 

(どっか行っちゃった……?どうしよう……。インデックスちゃん、完全記憶能力があるから迷子にはならないだろうけど……)

 

「と、取りあえず、探さなきゃ!」

 

“おーい”と声をあげながら、麻琴は駆け出した。

 

 

 

 

 

「あァ?白い服着たシスターだァ?知らねェなァ…」

 

 

 

 

 

「ん?白いシスター?見てないな。そんなことより、勝負だ!」

 

 

 

 

 

「なんだ?迷子じゃん?ああ、もちろん見かけたら知らせるじゃん」

 

 

 

 

 

「あ、御坂さんのそっくりさん。シスターさんですか?見てませんねえ…」

 

 

 

 

 

「私ですか?初春と一緒でしたから…」

 

 

 

 

 

「ん?あぁ、君か。シスター?いや、見てないな。そんなことより、子供たちのことで礼を…」

 

 

 

 

 

「あの子、迷子になってしまったのかい?見てないねえ…」

 

 

 

 

 

「見てない…」

 

「知りません…」

 

「知らない…」

 

「見てません…」

 

「俺様が知るか」

 

「知らぬのである」

 

「知りませんねー」

 

「私が知る訳ないでしょ。私に悪意を向けたら…」

 

「居所など知らぬにつきよ」

 

「知らないな、上条ちゃん…」

 

 

 

 

 

「もう!どこに行っちゃったのよ、インデックスちゃん!」

 

方々尋ねて回った麻琴だったが、未だにインデックスを見掛けたという人物は見つけられずにいた。

 

(なんか、いちゃいけない人が何人かいたような……)

 

 

……気にしては負けだ。

 

 

(それにしても、インデックスちゃんって行動力ありすぎ。そういえば、ずっと火織さんとステイルさんから逃げ回ってたんだっけ。ハァ…、不幸だ)

 

「あ、あれは…」

 

そんな麻琴の前に新たに知り合いが現れた。

 

「おーい、仕上く~ん!」

 

「ん?おぉ、麻琴か。どうした?」

 

「実はね…」

 

麻琴は何度目かもわからない説明を繰り返す。

 

「あぁ…、そういや、見たな、そんなヤツ」

 

「ホント!?」

 

「おう。そんな格好してるヤツは他にいないだろ。あっちの方にいたぜ」

 

「ありがと、仕上くんッ!」

 

「おぉぅッ!」

 

礼を言うと同時に抱き付いた麻琴に、浜面は思わず赤面する。

 

「じゃ、またね」

 

「あ、あぁ…。またな」

 

動悸が収まらない浜面を尻目に、麻琴はインデックスの元に足早に向かった。

 

「ふぅ~。ったく…」

 

(これって恋なのか?恋なんだよな!でも、スキルアウトの俺なんかがなあ…。いややっぱり、男としてここは…)

 

残された浜面は、しばらく1人で悶々としたのであった。

 

 

 

 

 

「さて、ようやく手掛かりゲットっと…。おーい、インデックスちゃ~ん」

 

『響き合う願いが今、覚醒めてく。譲れない未来のために~♪』

 

「って、こんな時に誰よ?」

 

イラついたように携帯電話を取り出す麻琴。

 

「はい、もしもし?今、忙しいんだけど…」

 

『フフッ…、そうらしいな』

 

「アンタはッ!」

 

電話の主はアレイスター=クロウリーだった。

 

「こんな時に何の用よ?」

 

『今朝、2人組の魔術師がこの街に侵入していたのが判明した』

 

「だから?」

 

(てか、どうせワザと入れたんでしょうが!)

 

『彼らの狙いは禁書目録らしい。本来ならイギリス清教との関係から手を出せないのだが、彼女が標的とあらば問題ないだろう。君が撃退してくれ。禁書目録の現在位置はその端末に送る』

 

「その2人組ってのの位置は?」

 

『問題ない』

 

「は?」

 

『既に禁書目録のすぐそばにいる』

 

「それを早く言いなさいよ!」

 

『それから、もう1つ…』

 

「何よ!」

 

『上条当麻が禁書目録と一緒だ』

 

「え、何で…」

 

『さあな、偶然だろう』

 

「今は……、あぁ、補習もう終わってるのか」

 

麻琴の腕時計は12時30分を少し回ったところを差していた。

補習は午前中だけである。

 

「アンタ、ホントに…」

 

『私を非難するのもいいが、急いだ方が良いのではないか?』

 

「くっ…」

 

通話を切った麻琴は、アレイスターが座標を送ってくるのを待ってから、その場所の近くへテレポートした。

 

 

 

 

 

「この野郎ッ!」

 

「おっと、危ない」

 

既に、当麻は魔術師たちと交戦していた。

 

「とうま、大丈夫?」

 

「インデックス、下がってろ!」

 

「おうおう。カッコイイな、兄ちゃん」

 

「テメェら、魔術師か!」

 

「そうだぜ。そう言うお前は禁書目録の新しい管理人だろ、兄ちゃん。鬱陶しい右手持ってくるじゃねえか」

 

「でも、2人がかりじゃそろそろキツいんじゃねえか」

 

「ふざけんなッ!インデックスをテメェらみたいな連中に渡す訳ねえだろうが!」

 

「威勢いいじゃねえか」

 

「上等だ。ぶっ潰してやる!」

 

2人のうちの1人が、持っていた杖を振るう。

 

炎が巨大な蛇のような形に顕現し、当麻を喰い殺そうと襲いかかった。

 

「効くかよ!」

 

当麻が右手を突き出すと、ガラスの割れるような音と共に“蛇”が霧散する。

 

同時に当麻が2人目掛けて走り出した。

 

「おぉぉぉぉぉ!」

 

「ほらよ」

 

当麻の突撃に合わせて、もう1人が杖を振った。

 

「なっ!」

 

無数の火の玉が現れて当麻の周囲を埋めた。

 

右手で消そうとするが、数が多すぎてどうにもならない。

 

「ここでもう1発っと…」

 

再び“蛇”が当麻に迫る。

しかも、今度は細いものが大量に現れた。

 

「逃げ場はないし、防げないだろ?終わりだ!」

 

「このッ!」

 

一瞬のちに、当麻が立っていた場所に“蛇”の大群が突っ込んだ。

 

「あっぶねえ…」

 

しかし、当麻はまだ無事だった。

“蛇”が突っ込んだすぐに横に転がっているが、大した負傷はしていない。

 

「1ヶ所だけ集中して消すことで自分が通れるだけの隙間を作ったのか。兄ちゃん、意外とやるな」

 

そうは言っても、このままでは倒されるのも時間の問題だろう。

そのことがわかっているからこそ、魔術師たちも余裕の表情を崩さない。

 

だが、“時間の問題”なのは魔術師たちの方だったようだ。

 

「お待たせ~、当麻くん」

 

「麻琴!」

 

黒髪を風に靡かせた麻琴が、2人組のすぐ後ろに降り立った。

 

「新手か?」

 

「嬢ちゃん、ケガするぜ。大人しく、禁書目録だけ渡してくれよ」

 

麻琴の出現にも2人組は動じず、あまつさえ降伏勧告までする始末だ。

 

「なめてんじゃないわよ。アンタたちなんか、私たちの敵じゃないのよ。そっちこそ、大人しくしないと痛い目見るわよ」

 

そんな2人組に対して、麻琴は母親譲りの挑発的な態度で応じた。

 

「へえ、そうかよ!」

 

“蛇遣い”の男が麻琴に杖を向ける。

 

「炎に喰われて死ねぇ!」

 

男が叫ぶと、杖の先から炎でできた大蛇が現れ、麻琴に襲いかかった。

 

「“喰われて”ねえ…」

 

麻琴は微動だにせずに“蛇”を待ち受ける。

 

「“喰う”のは私の方だってえの!」

 

「なっ!」

 

麻琴に触れた瞬間に“蛇”は掻き消された。

 

「お返しよ!」

 

麻琴が“蛇遣い”に向けて“大蛇”を放つ。

 

「嘘だろッ!」

 

“信じられない”とでも言いたげな顔をした男は、それでもギリギリで後方に跳び、本来自らの術であるはずの“大蛇”を躱した。

 

しかし、彼は後方の危機のことを忘れていた。

 

「おい…」

 

「しまったッ!」

 

「俺のこと忘れてんじゃねえぞ!」

 

男は当麻が背後に接近していることに気付かなかった。

もう、当麻の拳が届く距離である。

 

「くそッ!」

 

「遅ぇ!」

 

慌てて振り返り杖を構えようとするが、当麻がそれを叩き落とす方が早かった。

 

 

 

「チッ!あいつ…」

 

もう1人の魔術師が当麻を狙う。

 

「アンタの相手はこっち」

 

すかさず、麻琴が魔術師と当麻の間に割って入った。

 

「この!」

 

魔術師が杖を振ると、無数の火の玉が麻琴を襲う。

 

「効かないわよ」

 

火の玉が何発も直撃するも、麻琴には傷一つつかなかった。

 

「冗談だろ…」

 

「さあ、もう観念しなさい」

 

 

 

「テメェらが…」

 

当麻が右の拳を握り締める。

 

 

 

「アンタたちが…」

 

麻琴が右の拳を握り締める。

 

 

 

「インデックスをただの道具みたいに扱って…」

 

当麻が左足を前に踏み出す。

 

 

 

「そうやって付け狙うっていうんなら…」

 

麻琴が右腕を振りかぶる。

 

 

 

「まずはその…」

 

「ふざけた幻想を…」

 

「「ぶち殺す!!」」

 

当麻と麻琴の右拳が魔術師たちの顔面に叩き込まれた。

 

 

 

 

 

「もう!とうまもまことも無茶しすぎなんだよ!」

 

魔術師たちを撃破した2人に、インデックスが怒ったような声をかける。

 

「そんなこと言ったって、あっちから来たんだからしょうがないだろ?」

 

「とうま!とうまは魔術師じゃないんだからね!“幻想殺し”があるからって…」

 

「あぁ、はいはい。わかったよ」

 

「とうま!後、まことも!聞いてるのかな?そのちっちゃいピコピコで遊んでる場合じゃないんだよ!」

 

「あ、ごめん。ちょっと、メール着てたから」

 

「怒ってないで、もう帰ろうぜ、インデックス。上条さんはそろそろお昼ご飯が食べたいのですが…」

 

「むぅ~。確かに、私もお腹すいてきたかも…」

 

「じゃあ、決まりだな。麻琴、お前も来るよな?」

 

「ごめん。私、行かなきゃ。知り合いから呼び出しかかっちゃったから」

 

「そうか。じゃあ、しょうがないな」

 

「うん、ごめんね。またね、2人とも」

 

「おう。気を付けてな」

 

「行ってらっしゃいなんだよ」

 

当麻とインデックスに別れを言うと、シュンッという音を残して麻琴は姿を消した。

 

 

 

 

 

「ったく、人使い荒くなってきたわね」

 

麻琴は“知り合い”からのメールを再度読みながらぼやく。

 

───────────────────

ビルに来い。

               from ☆

───────────────────

 

(文面簡単すぎでしょ。てか、☆って何よ、☆って。“スター”か、アレイスターの“スター”ってか…)




親子揃ってのそげぶをやらせてみたかった。
前話と今話は本筋には影響ないです。


麻琴がインデックスを探してる時に出てきたキャラたちはどうなるのか?
何のことでしょう……とミサカは(ry
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