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それではどうぞ。
小さくなった名探偵との出会い
『何かがおかしい』
そう思ったからここに書いておこうと思う。
言葉ではうまく表せられないけど、みんな、時は過ぎているのに、そこから動こうとしなくて...、
僕は、みんなが立ち止まってまた同じ日を過ごしているから、進まずに一歩先で眺めてる、...そんな感じ。
だから、同じ日を過ごしていることに気づいたんだろう。
もう一つの理由は、僕が、消えてしまって一向に帰ってこない工藤新一のことが好きだから。
...男の僕が、男の工藤君のことが好きっておかしいかな?
別に性同一性障害ではない。
僕は男。 ...そんなこと僕が一番わかってる。
ただ同性の彼が好きっていう、ゲイってだけ。
...叶わない恋だから、遠くで見ていた。
それこそ、一番近くで見てきた幼馴染の毛利蘭よりも。
ま、彼女のおかげで叶わないって踏ん切りがついたから感謝はしてる。
...そうでなくても、僕ら同性愛者の恋は叶わないって分かってるから、大丈夫。
嫉妬なんてしない。
ダメダメ、マイナスな方に思考がいっちゃう。
まあ、だから少し工藤君のことと毛利さんのことを自己流で調べてみたら、工藤君がいなくなったその日に「江戸川コナン」という小学一年生の男の子がやってきて、しかもその頃から毛利探偵が「眠りの小五郎」として有名になっていったということが分かっている。
何かに気が付かない?
そう、全て同じ日から始まっている。
偶然としてはできすぎている。
ただ、現代の医学上、高校生を小学生に戻す薬なんて出来てない。
いや、今んとこ世間にそんな情報が流れてないってだけか?
「ハリーポッター」でも、寿命を延ばす薬とか魔法はあっても、若返る薬とか魔法なんてないないんだよ?
ファンタジー系のマンガとかアニメの見過ぎだって、そんな可能性を考えるのは。
だけどなぁ、この状況に気づいてる僕からすれば、ありえるんだよな。
この状況のほうがおかしい。絶対に。
だから、工藤君の高校生の写真とパソコンというとてもとーっても便利な道具を使って、小学生の姿ならこうだろうとのをを割り出した。
パソコン、便利、とっても。
これさえあれば何でもできる。
いいことも、もちろん悪いことも。
流石に、名探偵の前ではやんないよ。
嫌われたくないからね。
天音響
っていうか、もし「江戸川コナン」が「工藤新一」だった場合、小さい頃からずっと工藤君のことを見てきた毛利さんはどうなんだろう?
逆になんで気づかなかったの?って聞きたいな。
多分工藤君に全力で止められるだろうけどね。
...それはかなり美味しいポジションかも。
江戸川君が工藤君でありますように。
まあ、それはさておき、残る問題はどうやって江戸川君と接触するかだな。
そもそも彼と話したことはあるんだけど、かなり前の話になるから、僕のこと知らないっていう落ちもありえるんだよな。
そうなった場合の僕の心の状態がどうなるかはご想像にお任せします。
...誰に言ってんだろ。
思えば、クラスメイトとも話さないから江戸川君と接触する以前に、毛利さんとも接触できないなぁ...
そこまで考えて勉強机に向かっていた体を伸ばし、髪をかき上げる。
何一つ癖のない髪は、指の隙間から滑り降りてくる。
いったん考えることをやめ、だんだん眠気の増す自分の頭のためにカフェインを投下する。
そういや、仕事の書類片付けとかないと。
明日は、父さんの代わりにパーティーに出席しないといけないから、明日の分も。
そうなると...
「今夜も徹夜かな」
そう言った自分の声が、広い部屋にどこか哀しげに響いた。
♢ ♦ ♢ ♦ ♢
パーティーは嫌いだ。
女は勝手に群がってくるし、お偉いさんとの社交辞令だらけの会話にももう飽きた。
今着ている服もキッチリカッチリしてて、息が詰まりそうになる。
正直、上着を脱いで、第一ボタンを外して、前髪を後ろに流して固めているこの髪をぐしゃぐしゃにして楽にしたい。
こういう服は、それ相応の価値のあるやつが着るものだ。
僕にそういった資格になんてないと思うんだけど。
とりあえず一通りを相手にして満身創痍な僕はイライラしながらトイレの鏡に映る自分自身の姿を睨みつける。
鏡に映る自分が睨んでくる。
...たとえ自分の姿だとしても殴りたくなるわぁ、コイツ。
徹夜続きでけんか腰になる自分の思考回路にため息をつきながら、どうやったらこのパーティーから早く抜け出せるか考えるがいい案が思いつかない。
...大抵の言い訳はもう使い切ったし、もう二周してるから流石に今度使ったら疑われるから使えない。
そもそも、今回のパーティーはかなり重要なものらしいから途中で抜け出して来たら後々面倒だ。
...そもそも、そんなに大切なんだったら自分が出ろよ、息子に押し付けんなクソ親父。
もうそろそろ出ないと疑われるよなぁ...
嗚呼、また地獄が始まる...
目の前に映る自分が遠い目をしている。
...うん、仕方ないよね。ギラギラした目を宿した紳士淑女の皆様のもとに戻ったら、小一時間は抜け出せないから。
顔面に仮面を張り付けて、相手が欲している質問と回答を全て頭の中で計算して、表情、声、動作もちろんセリフも駆使して提供すんだから集中力も体力も根こそぎ奪い取られんだよ。
...考えるだけで疲れてくる。
終わったらさっさと帰って今日はもう寝よう。
確実に引き留められるから家に着く時間は一時から三時の間だな。
学校、体力持つか心配になってきた。
トイレから出た瞬間から、顔に仮面を張り付けて、余裕で、大人なオーラを発する。
...俳優になるのもいいかもな。
そういえば、このパーティーって鈴木財閥が主催だったっけ。
なら、当然鈴木園子も出席してるよな。
...まてよ?
あの鈴木さんのことだったら、親友の毛利さんも呼んでるんじゃないか?
天音家にとって大事ってだけで、かなり緩いパ-ティーだからありえる。
ついでにってことで毛利探偵と江戸川コナンも呼んでるかも
HP全回復した!
ポジティブ思考はやっぱり大事!とっても大事!
ただ、顔がにやけるのを抑えるのは至難の業だな、コレ。
...ならこの広い部屋から、そしてこの人ごみの中から探し出しますか。
とりあえず、付きまとってくるこの人達をどうにかして...。
話はそれからだね。
「あの、すみません」
さも困った風で、顔色は青白く調節し、そして口元に手を添えて、目をウルウルさせる。
『調子が悪い』
そう思わせるために、欠点の見つからない演技をする。
ここまで完璧にすることはほとんどないんだけど、こうしたら噂好きの奥様、お嬢様方が、うわさを流し、当分ついて来ないはず。
あとは...
「少し疲れたので、一人にしてくれますか?」
ちゃんと言葉にすること。
どんなに鈍感な人でも、きちんと的確に言葉にしたら、流石にわかる。
あと、ファンサービスってことで、すがるような目をしたら...
「あら、可哀そうに」
「大丈夫なの?響くん」
「ゆっくり休んだほうがいいわ」
「体が弱いのは昔からだものね」
ね?誰にも疑われずに、尚且つ、好感度を上げつつもみんな去ってゆく。
人間なんて、...チョロいもんだよ。
真っ白で無機質な感じのする壁にもたれ掛かりながら、俯いた。
目を閉じて、周りの音に身をゆだねる。
コツコツと一定のリズムを奏でるヒールの音、人が人と談笑する音、すれ違う時にお互いの服がこすれて出る音...。
大丈夫、役にハマり過ぎてだんだんしんどくなっただけ。
ただそれだけ。
はぁ、うまいこと第一の関門から抜けたっていうのに、テンションが低いのはどうしてだ?
変なテンションはやりにくい。
元に戻らないと...
目の前をを通ったボーイから飲み物取って、一口だけ飲んだ。
...やべ、これワインじゃん。
まあ、アルコール度数はまあまあ高いけどワインぐらいなら余裕だろう。
それほど飲んでないから、バレることもないだろうし、心配するだけ無駄だろう。
先ほどとは違うボーイに飲みかけのワインの入ったグラスを返し、本来やろうと思っていた大切な用事をすることにする。
さっきも言ったけど、この部屋は広いし、人もたくさんいる。
だからすぐに見つけるなんて、普通の人なら絶対無理だ。
...そう、
その点、僕は普通ではない。
良くも悪くも、ね。
体を完全に壁に託してから、再び僕は目を閉じた。
とりあえず、視覚はいらない。
《視覚を排除》
嗅覚も、味覚も必要ないだろう。
《嗅覚、及び味覚を排除》
体に使ってる神経は、なくていい。体力は最小限。
《神経を遮断、体力は最低限》
こんなもんかな?
じゃあ、今まで集まってる神経を聴覚と思考回路に集中させて...
《...完了しました。》
これで、この会場全体の会話を聞き取ることができる。
声で鈴木さんを探せばいいし、毛利さんが来ているのなら、毛利さんも声で判別できる。
...残念ながら江戸川君の声はまだ聞いたことがないので、見つけることはないんだけど。
急ごう。
この人間離れした能力にだって、欠点はある。
この必殺技みたいな特技は、かなりの体力と神経、そして集中力を消耗する。
時間が経てば経つ程、僕の体調は悪くなる。
さっきついた嘘が嘘じゃなくなるようなことは、できれば避けたい。
さて、どこにいるのかな?
一方的な人探しゲ-ムの始まりだ。
「あら、お久しぶりですわ」
「あらほんとですわね。お久しぶりです」
これは、医薬会社の取締役の奥方と、そのライバル社の社長夫人。
二人とも、ライバル心隠しきれてませんよ。
もう少しぐらいうまく演技しようよ。
そんなことしてたら、この業界やっていけないって。
「響君を婿にもらうのはうちだ!」
「何を言っていらしゃいますの?私に決まっていまして?」
「お二人方に譲る気など私もありませんわ!」
数人のグループが束になって騒いでいる。
僕は誰のものにもなるつもりはないし、そもそも女に興味はないから意味ないんだけど。
大体、本人のいないところでそんな話しないでいただきたいね。
「響君、いつ見ても綺麗ね」
「そうですね、お姉さま。彼のお嫁様になりたいものだわ」
「あら、貴女にはあげませんわ。彼は私のものです!」
「違いますわ!私のものです、お姉さま!!」
...こっちもかよ。
ぼくは誰のものでもない!
いい加減にしてくれないかな?
僕のことで姉妹喧嘩をするなんて可笑しいでしょ。
こんな感じで突っ込みながら、どんどん聞く人を変えていった。
軽く50人は、声を聞いただろう。
...なのに、まったく見つからない。
簡単に見つかるはずはないと覚悟はしていたつもりだったけど...
...まさかこれ程とは思わなかったよ。
時間が経つにつれて思考がだんだん鈍くなっている。
組んだ腕が痺れている。
嫌な汗が額を伝う。
...もうそろそろ限界か。
それでもまだ諦めずに人を変えて会話を聞いているのは、諦めが悪いからか?
別にまた次でもいいかもしれない。
今じゃなくてもいい。
...じゃあ、次っていつ?
このチャンスを逃したら、次は来るの?
《次》まで時は止まったまま?
その間ずっと新一君は此処に居ないの?
...そんなのは嫌だ。
ずっとこのままなんて楽しくない。
工藤君がいない世界なんて、僕にとってはゴミのようなものだ。
...だから
限界なのは分かってる。
だけど、あと少しだけ。
諦められるまで。
悔いが残らないように。
探すんだ。
今までのスピードとは比較しようがないほど速くした。
もう、帰ったのかもしれない。
そもそも、最初からいなかったのかもしれない。
そんなことは考えず、一心不乱に探した。
...燃え尽きるまで。
「__あの、人だかり何なの?園子」
...え?
「___あぁ、あれは、天音響ファンクラブの連中だわ」
...い......た
「なにそれぇ、そんなのがあるんだ」
いた、本物だよね?
「園子姉ちゃん、それ何なの?」
「『天音響』っていう同い年の男子なんだけど、なんでもかなりの美形で、モテまくってるのよね。そして、ついにはファンクラブができちゃう始末よ」
「天音響って、クラスメイトの天音君?」
「そうよ。あんなののどこがカッコいいのかしら?」
「いつもマスクつけてるし、フード被ってるから、素顔見たことないかも」
「昔、何回か話したことがあるはずだけど、覚えてないのよね、顔。」
...なんか、ボロクソ言われてるんだけど。
確かに学校では、常にマスクにフードで、誰とも目を合わせないようにしてるけど、そんな言わなくてもいいじゃん。
嬉しいはずなのに嬉しさ半減っていうか、脱力したっていうか...
複雑な感情を抱いたものの、嬉しいことに変わりはなかった。
子供の声が混ざっていたから、それが江戸川コナンだと思っていいだろう。
毛利探偵の声は確認できなかったが、まあ別に一人ぐらい欠けていても大したことはない。
すぐに向こうに行きたいところだが、当分体が動かないだろうな。
とりあえず、自分の体を元に戻して目を開いた。
「...眩し」
シャンデリアが光を反射して輝いている。
その僅かな光でも眩しいと感じてしまう程目を閉じていただろうか?
まあ、完全に目が見えない状態から元に戻したんだ。
仕方ないと言ったら仕方がないのかもしれない。
...だけど、もどかしいものだな。
近くにいるのに、行けないというのは。
まあ、行けないからこそ出入り口を張っているわけだけど。
再び目を閉じながら、そんなこと考えていた。
そもそもあっちから話しかけてくれたら早いのになぁ。
...ま、そんなことが起こるほどこの世界は甘くないよな。
...分かってはいるけどさ。
「ねぇ、お兄さん大丈夫?顔色悪いよ?」
「あぁ、僕は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「ならいいんだけど...」
いい子が話しかけてくれたみたいだ。
世の中捨てたもんじゃないな。
...待て、僕は今誰と話している?
とっさに目を開き、声のした方を見る。
小学生くらいの子で、色白で華奢。
眼鏡をかけているからなのか、知的な雰囲気がする不思議な感じの少年だった。
...どこかで見たことがある。
どこだったけ?
「ねぇ、お兄さん名前は?」
「え?あぁ。僕は響、天音響だよ」
無邪気に聞いてくる少年に、その無邪気さに住んでいる世界の違いを感じながら、かけられた質問に答える。
...もう少し...、あと少しで出てくるのに、出てこない。
...もの凄くもどかしい。
「君の名前は?」
とりあえず会話は続けておこう。
「ボクは江戸川コナンだよ」
『江戸川コナン』か。
うん、変わってるけどいい名前だね。
...ちょっと待って?
『江戸川コナン』って言った?この子。
ああ!思い出した!工藤新一の小学一年生の姿だ!!
自分から来てくれたんだ。
やっぱフラグかけといて正解。
だけどフラグが回収されるって、どこかのマンガか小説か?
...なんかあり得るな。
もしそうだった場合、主人公は工藤新一君だね。江戸川コナンでもあるのか。
ジャンルで言ったら、推理小説か推理マンガ。
ああ、そうか。ならこの状況も理解できる。
永遠に時が止まったままなんて、そうじゃなきゃ説明できないでしょ。
ならきっと、小説じゃなくてマンガだ。
これは完全に僕の勘になるけど、多分そう。
「?お兄さん?どうしたの?さっきからずっと固まってるけど...」
工藤君...いや、この姿の姿の時は『江戸川君』か、が心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。
...一回、元々顔が整っているかわいい少年に、心配そうに顔を覗き込まれてみ?
普通に死ねるから。
...顔には出さなかったけどさ。
「いや、なんでもないよ。ただ、君が僕の知ってる人に似ててね。それで少し考え事をしていたんだよ」
だから、心配しないでねと僕は笑って見せる。
...それにしても、青のジャケットに赤の蝶ネクタイ、プラス短パンときた。
ほんとに僕を殺しに来たのかな?江戸川君。
というのは置いといて、どうしようか。
今は彼と二人きりだから、「君は工藤新一ですか」聞こうと思えばいつでも聞ける。
...でも、聞いたらきっと、てか絶対警戒される。
聞くべきなのか、それとも聞かざるべきなのか...。
...難しい駆け引きだ。
「___ン君?コナン君?どこ~?いるなら返事して~?」
「ガキンチョ~、ったく、すぐにいなくなるんだからアイツ。」
...鈴木さん、言葉言葉。仮にも財閥のご令嬢なんだから、言葉遣いを気にしようよ。
呆れながらも、江戸川君に声をかける。
「呼ばれてるけど大丈夫?コナン君。ええと、コナン君でよかったかな、呼び方」
江戸川君はおかしいかなと思って、とっさに『コナン君』って呼んじゃったけど、馴れ馴れしかったかな?
「うん、呼び方は何でもいいよ、お兄さん。それと、蘭姉ちゃん達ならボクのことさっき見つけたぽかったから大丈夫」
「ならいいんだけど...」
確かに、毛利さんと鈴木さんがこっちに走ってくる。
...タイミング、逃したかも...。
「ああ、コナン君。もう、急にいなくなるから、心配したのよ?」
「あはは...ごめんなさ~い」
コナン君は笑いながら毛利さんに謝る。
...うん、まったく反省してない。これ、常習犯の反応だよ。
「えッと...、この人は?」
「蘭姉ちゃん達がさっき話してた人だよ」
「...え?ていうことは...」
不安げに顔を覗いてきたから反射で笑い返しながらも、自己紹介をする。
「...え~っと、ちゃんと話すのは毛利さん初めてだよね。鈴木さんは久しぶりかな?僕は天音響です」
「「え?えぇぇぇええええぇぇええ!?」」
「...ボリュームは抑えてね?」
あまりにもいい反応をしてくれたこの二人の好感度が若干上がった。
あ~あ、周りから注目されてるじゃん。
また、僕質問攻めにあうの?そんなの嫌なんだけどな~
周りの目に気づいた毛利さん達は、すみませんと周りに謝る。
その様子をコナン君は苦笑いで、僕はにこにこしながら見守る。
コナン君は一言言いたいようだけどね。
ちょっとの間、僕はコナン君を観察することにした。
髪型とか、ちょっとした動作は工藤君と全く同じで、やっぱり同人物なんだなとまた思ってしまう。
やっぱり分かっていても、本人に確認するまで疑うなぁ。
ずっと見ていたからなのか、コナン君は不意に僕の方を見上げた。
急に目をそらすのも悪いので曖昧に微笑みながら目線を毛利さん達に戻す。
...やっぱり疑われてるかな?
工藤君が考え事をするときにするポーズをしながらなんか考えてるから、ちょっとそんな風に思ってみたり...
...いや、確実に疑われてんなぁ、僕。
どうやったら疑いが晴れるんだろ?
「ちょっと園子ぉ、全然話と違うじゃない!」
「...それについては悪かったって、蘭」
もぉと頬を膨らます毛利さんと、その毛利さんをなだめる鈴木さん。
...仮にも財閥のご令嬢なんだから、言動はそれらしく振舞おうよ、鈴木さん。
...あれ?同じようなこと前にも考えてなかったっけ?
ま、いっか。
「...あのさ、さっきから言ってる『話』って何のこと?」
取り合えず会話に参加するとしよう。
流石に、これ以上は下からくる『疑ってます』って言ってるような視線に耐えれないよ。
「ええっと?...聞いて気を悪くしないでね?」
ああ、この子達は『誤魔化す』っていうことをしなのか。
...ふぅん、面白いじゃん。
結構好きかもな、こいつらのこと。
「うん、いいよ。大抵のことなら大丈夫」
「...ええっとね...」
...要するに、学校では誰とも話さなくて、教室にいるときいつも何かをしているか、寝ているし、いつも顔が見えなくて、常に誰も近よんなオーラ発しているから、ブスのコミュ障だと思ったんだってよ。
そういう演出をしてたから何も問題はない。
...ただ、面と向かって言われるのはなかなか面白いものだな。
思った通りの反応をしてくれて、そして望んだ勘違いをしてくれる毛利さん達は面白かった。
だから、心から笑ってしまったんだ。
こんなの、久しぶり過ぎてなかなか止まらなくて、それがまた面白くて、ずっと笑っていた。
毛利さん達はびっくりしてたけどね。
「なんで、そんなに笑ってるの?」
「いや、だってさ。思った通りの勘違いをしてくれんだもん」
そんなのって面白いでしょ?
そう、毛利さん達に返しながら目元に浮かんだ涙をぬぐう。
やっぱり、人間なんて単純だ。
みんな、見た目で判断する。
...だから、簡単に操れる。
「ねぇ、じゃあなんでお兄さんはそんなに悲しそうなの?」
「え?」
「だって、笑ってるけどとても悲しそうだよ?ねぇ、なんで?」
ああ、やっぱりこの子は工藤君だ。
僕のことを最初に見破ってくれたのも工藤君だった。
...きっと彼は覚えてないだろうけど。
「それは...。...きっと、なにもかも望んだとおりになったからかな」
でももう悲しくなんてないよ?
だって操れない、僕にとっての危険分子がそばにいるからね。
...それが言い表せれないほど嬉しかったんだ。
どうでしたか?
なぜ、主人公が「謎の青年」なのかはこれから分かっていきます。
もしかしたら、気づいた読者様もいるのではないでしょうか?
まあ、途中ですが文字数の関係で次回に続きを書いていきたいと思います。
次回も見てください!