Monster hunter モンスターのもう一つの物語 作:細針
※登場モンスター
ケチャワチャ(奇猿狐)
イャンガルルガ(黒狼鳥)
ザボアザギル(化け鮫)
テオ・テスカトル(炎王龍)
クシャルダオラ(鋼龍)
キリン(幻獣)
バサルモス亜種(桃岩竜)
ドスランポス(ドスランポス)
ゲリョス(毒怪鳥)
フルフル(フルフル)
【上位未知の樹海‐南Gエリア】
古代遺跡の残骸が辺りに散らばり、小さな崖が聳えるエリア。その崖の上で炎王龍と鋼龍と幻獣が佇んでいた。
崖の下で枝をを掻き分ける音。そして、黒狼鳥の声。
「テオ首長ー! お話が2つありますー!」
翼に絡まった枝を解しながら黒狼鳥が言った。崖の上から炎王龍が返す。
「とりあえず枝を取ってこっちに来てから話してくれ、ガルルガ!」
炎王龍の凛々しい声が響く。
黒狼鳥は体を払い、後ろに控えていた奇猿狐と化け鮫を手招きして飛び立つ。奇猿狐が続いて近くの岩から滑空し、化け鮫が地中に潜る。六頭のモンスターが崖の上に集まった。
「ふむ……。二頭も連れてきたか。じゃあガルルガ、良い話から聞かせてくれ」
炎王龍が言う。
「どちらも良いお話です!」
「じゃあ古い話から」
黒狼鳥が咳払いする。
「失踪中だったザボアザギルとグラビモスが帰って来ました」
炎王龍の顔が綻ぶ。
「なるほど。さっきから見えるザボアの姿は我輩の幻覚では無かったか。良かった良かった」
「俺はさっきまで幻扱いされてたのかよ!?」
化け鮫が突っ込む。その吹き出す黒狼鳥と炎王龍。
「失礼失礼。……で、二頭はどこに居たんだ?」
「人間達に捕獲され、人間の町の地下牢から脱走しました」
「……!」
炎王龍の笑いが凍る。
化け鮫が前に出て話した。
「――そうか。良かったじゃないか、無事に帰ってこれて!ケチャ、礼を言う。二頭を助けてくれてありがとう」
炎王龍が頭を下げる。
「そ、そんな……ザボアさんとグラビのお陰だし頭を下げなくても……」
奇猿狐は手を横に振って謙遜する。
突然、静かに聞いていた鋼龍が訊いた。
「ザボア。その地下牢の設備の形状を詳しく教えてくれないか。これから対策を作るのに役立たせたい」
化け鮫は頭を掻く。
「いやぁ……。俺はあんま見てなくてさ。グラビなら詳しく教えてくれると思うぜ」
「そうか。じゃあな」
鋼龍はそれだけ言って鎧竜が寝ているDエリアへ飛んで行った。
「クシャさんって怖い龍だね……」
奇猿狐が怯えたように言う。
「クシャ姉様は無駄を嫌う方です……。でも、話してみると優しい方ですよ……?」
ずっと炎王龍の影に隠れていた幻獣が小さな声で答えた。奇猿狐が首を伸ばすが、幻獣は後ろに引っ込んでしまった。
「すまないな、キリンは臆病な性格なんだ。君と同じくらいの年ではあるんだが……」
炎王龍が謝る。
「そうだ、もう一つの話ですがこのケチャワチャの少年を俺達の集落に入れてはどうでしょうか? 俺とザボア、フルフル医師が推薦します。」
思い出した黒狼鳥が提案する。
「おお、それは素晴らしい! こんな集落でよければケチャワチャ、君を歓迎するよ」
炎王龍が歓喜の声を上げた。
「集会は明日だ。その時に正式に君は集落入りする、それまでの間に集落のメンバーに挨拶しに行くといい」
「あっ、ありがとうございます!」
奇猿狐が礼を言う。
「――ところでガルルガ。彼にアレの事は言ってあるか……?」
炎王龍が大事な部分を伏せて言う。
「派閥の問題は既に話しました。ケチャも承知しています。俺の警備隊に入れれば巻き込まれずに済むでしょう」
炎王龍は胸を撫で下ろした。
「そうか。警備隊という手段があったな。ガルルガ、ケチャを頼むぞ」
黒狼鳥が頷く。
「お任せてください。要件は以上です、では」
黒狼鳥は踵を返した。
「さあケチャ。挨拶回りに行くぞ、まだ歩けるか?」
「うん! テオさん、今日はありがとうございました!」
奇猿狐が振り向いて手を振る。にこやかに振り返す炎王龍。その後ろで幻獣が小さく頭を下げた。
黒狼鳥達が炎王龍の巣を抜けた時、陽は既に西に傾き樹海の木々の緑を赤く染めていた。
「もう夕方か。お前達を見つけたのが早朝で正午くらいに目を覚まして……長かったな」
黒狼鳥の言葉に奇猿狐達が笑う。
「僕達は昨日の夜から大忙しだよ。これから更に挨拶回りがあるんだし、本当一日って長いよね!」
最後の一言を意地の悪い顔で言う奇猿狐。
「悪い悪い。そうだったな。まだまだ俺も甘いな」
そういって黒狼鳥も笑った。
「なあガルルガ。俺そろそろ氷海の様子を見に行っていいか? ずっと行ってないから体が暖まって氷が作れなくなっちまったしガキ共に会いに行かなきゃいけねえし……」
化け鮫が申し訳なさそうに言った。
「なんだ、お前そのつもりならわざわざテオの巣までついてこなくてよかったのに。行って構わんぞ。……もう人間に捕まるんじゃいぞ?」
黒狼鳥がさっき奇猿狐にされたように意地の悪そうに言った。
「う、うるせえ! ……じゃあなケチャ坊! 三日後くらいには戻ってくるぜ!」
二頭に手を振って、化け鮫は地中に潜った。
「ガルルガさん。……どういうこと?」
先程の不可解なやり取りに奇猿狐は頭を捻った。
「ザボアの奴は氷海に住むモンスターだからな。ここに泳ぎ着いてから樹海で暮らすようになったらしいんだが奴の真の武器は氷だ。体を冷やす為に定期的に氷海に行く必要があるらしい」
黒狼鳥が説明する。
「確かに……。先生はザボアザギルは氷の鎧を纏うとか言ってた気がするけどさっきのザボアさんは只の鮫肌だしね。見てみたいなあ……」
化け鮫は地下牢内で三日間既に過ごしていた為、奇猿狐が出会う時には全く氷を生成出来ない状態だった。
「まあ、奴は戦闘状態に入らない限り鎧なんて纏わないからな。警備隊としては見ないで過ごして欲しいが」
黒狼鳥が苦笑する。
「とりあえず警備隊の巣に帰ろう。お前はこれからそこで寝泊まりする訳だし先に紹介しとこう」
さっきまで歩いた道を再び歩き出す黒狼鳥。その後ろを奇猿狐は追いかける。
【上位未知の樹海‐南Dエリア】
赤く色付いた空が黒く塗り潰されていく。二頭は警備隊の巣に帰った。
「「「「おかえりなさーい!」」」」
出迎える竜達。
「君が新入り? アタシは桃バサル! よろしくね、ケチャ君!」
「坊っちゃん、あっしはドスランポスでさあ! 子分共々よろしくでっせ!」
「ウェルカムアワーホーム! マイネームはゲリョス! ミーはユーをベリー歓迎!」
怒濤の挨拶攻め。
「よ、よろしくお願いします……」
狼狽える奇猿狐。
「まったく……。坊やが困っちゃってるじゃないか、もっと静かに挨拶できんのかねえ」
少し後ろでフルフルが呆れた。
「紹介しよう。この鉱石をくっ付けた竜が桃バサル。隣の赤い頭が特徴のチビをたくさん引き連れた鳥がドスランポス。最後に全身ゴムのキチガイがゲリョス。その三頭に俺とフルフル、そして今日からお前が加わってテスカト集落警備隊だ」
黒狼鳥が一人一人紹介する。
「オーウ、ガルルガ隊長!ミーはノットクレイジー!ベリーお洒落なラバーバード!」
毒怪鳥が無駄にポーズを決めながら叫ぶ。だが黒狼鳥は無視して続ける。
「と、まあ、こんな感じだ。直に慣れるさ。さあケチャ、これからレウスのところに会いに行くぞ」
「え……あ……もう、お腹一杯…………」
奇猿狐が呆気にとられた顔で黒狼鳥について行った。
ニ 上位の樹海、大人の事情 03 終
如何でしたでしょうか。
現在初期の稚拙な文章を修正しながらの投稿です。
個人的に女設定のモンスターはかなり優遇しています。特に桃バサル。バサルたんはおr……はい、ごめんなさい。
これから先集落モンスターを片っ端から紹介する作業入ります。読者様のイメージしていたキャラと違っていたらごめんなさい。
私の少ないボキャブラリーではガルルガとザボアの時点で兄貴キャラが混同しかけてしまっているのでこれから登場するモンスターに性格イケメン兄貴は期待しないでください、すいません。
あと、この作品って擬人化にはあたりますか……?細かい定義を知らないのでもし良作を期待してこの小説を開いてくださった読者様に申し訳ないです、ごめんなさい。
次回も読んで頂けたら真夜中に歓声上げます。近所迷惑ですね、すいません。