Monster hunter モンスターのもう一つの物語   作:細針

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突然すいません、閲覧ありがとうございます。

何をトチ狂ったかこの話を投稿後手違いで削除してたようです。

穴があったら入りたい……

※登場モンスター
ケチャワチャ(奇猿狐)
バサルモス亜種(桃岩竜)
ジンオウガ(雷狼竜)
ウルクスス兄(白兎獣)
ウルクスス弟(白兎獣)
ブラキディオス(砕竜)
アルセルタス(徹甲虫)
ゲネル・セルタス(重甲虫)
ガララアジャラ(絞蛇竜)
ネルスキュラ(影蜘蛛)


一 上位の樹海、大人の事情 05

[6時間後]

 

 樹海の木々の隙間から朝日が顔に射し込む。昨日は気が付かなかったが一昨日とは少し違う蔦の感触。奇猿狐は起き上がって体を伸ばす。隣では黒狼鳥が鼾をかいていた。下を歩いていた桃岩竜に挨拶する。

「おはようございます、えっと……桃バサルさん」

「おはよーケチャ君。今名前忘れかけてたでしょ?」

 くすりと笑う桃岩竜。図星だった奇猿狐が頭を掻く。

「いいよ、一昨日から色んなモンスターに会ったんだもん、しょーがないしょーがない!」

「キノコ、ドスランポス君が用意してくれたから朝ご飯にしときな。食べ終わったら集会までアタシと挨拶回りに行くよー」

 キノコに伸ばした手を止めて桃岩竜を見る。

「桃バサルさんが?」

「そ。昨日の朝からドスランポスに叩き起こされ普段は仮眠してる昼もザボアさんや首長と喋って夜中も寝た君を運んだ後に見張りをしたりと大忙しでね。アタシが代わりに今日は付き添うことになったの。不服?」

 慌てて首を振る。

「全然! 今日はよろしくお願いします! 桃バサルさん!」

「じゃあさっさと食べてしゅっぱーつ、時間は待ってくれませーん。あと、アタシとそんなに年離れてないんでしょ? 敬語なんて使わなくていいよ」

 奇猿狐は朝食を掻き込む。

 

 

【上位未知の樹海‐南Eエリア】

 

 

 少し離れた場所から滝の流れ落ちる音のする水源が豊かな平地。その小川で雷狼竜と二頭の白兎獣が顔を洗っていた。

「オウガ姉さーん!」

 

「桃バサルじゃん! こんな朝からどうしたの?」

 

 濡れた顔を横に激しく振り、雷狼竜は訊ねる。

「新入りの紹介ですー。隊長の代わりとして付き添いで来ましたー!」

桃岩竜は奇猿狐を前に出す。挨拶する奇猿狐。

「ケチャワチャって言います、よろしくお願いします!」

「朝から元気良いねえ! アタイはジンオウガ! よろしくねケチャ!」

 二頭の白兎獣が顔を見合わせる。

「兄ちゃん、『新入り』って僕達じゃないの?」

 片方が小声で訊く。

「何言ってるんだよ弟。さっきまで『新入り』は僕達だったけど今から『新入り』じゃなくなるんだよ」

 兄ちゃんと呼ばれた方が答える。

「じゃあ今から僕達は『深入り』?」

「『新入り』じゃなくなるんだから『入り』でいいんじゃないかな?」

「さすがだねお兄ちゃん!」

 暫くの問答の末、向き直って奇猿狐に話しかける。

 

「「よろしく『新入り』のケチャ君! 僕達は『入り』のウルク、双子の兄弟なんだ! 二頭合わせてスノウツインズ!!」」

 

「よ、よろしく」

 綺麗に揃っていて奇猿狐は驚く。

 

「うーっす今日もいい朝……あれ、なんかちっさいラーみたいなのが見えるわ」

 

 目を覚ました砕竜が顔を擦りながらやって来た。

「あんた馬鹿? 新入りが来たんだよ、目ぇ節穴なの?」

 雷狼竜が早口で貶す。

「寝起きだからしゃーねえだろー。まあ新入り? 瞼重くてよく見えないけどよろしくな」

 砕竜が手を差し出す。

「ケチャワチャです、よろしくお願いします! …………ん?」

 その手を握り返す奇猿狐。瞬間、顔が歪む。粘着質な蛍光色の液体が手のひらや爪にべっとりと付く。

 

「「「「「あっ」」」」」

 

それを見た全員の顔が凍る。

 

「ケチャ君! 今すぐ川で流して! 早く!」

 

「雷光虫! ケチャの爪に入り込みな! 電流は流すんじゃないよ!」

 

「僕達の爪で冷やそう!」「さすがだねお兄ちゃん!」

 

[3分後]

 

「ふう……焦った……」

 息を切らしながら雷狼竜が言う。

「本当すまんかったケチャ! うっかりしてた!」

 砕竜が土下座する。その手から液体が土に付く。

「あんた何てことすんの!? ケチャ殺す気!? 何が『寝起きだからしゃーねえ』よ!?」

 凄まじい剣幕の雷狼竜。しかし、何が起きているか奇猿狐には分からない。

「あのー……何もそんな怒らなくても……。さっき洗ったあの液体って何ですか?」

 桃岩竜が起き上がって説明する。

「粘菌。ブラキさんの武器でくっつくと爆発するの。例えばさっき土下座した時に落ちた粘菌がほら」

 桃岩竜が砕竜が土下座した地面を指す。いつの間にか変色した液体が轟音と共に爆発した。

「もし粘菌がベトベトのブラキさんの手を握ったまま放置したら……?」

 奇猿狐が震える。奇猿狐は無言で川へ走った。狂った様に爪と指の隙間を洗う。

「さて。ケチャと桃バサルはもう帰りな。まだ挨拶が終わって無いんだでしょ? ここにいてもカラッポ頭のリーゼントに爆破されるだけだよ」

 最後の一言に砕竜以外の皆が笑う。砕竜は項垂れた。

「お邪魔しましたーっ。ケチャ君、さっきオウガ姉さんの雷光虫が入り込んで取ったんだからもう大丈夫だって、行くよ!」

 未だに握った手を見つめる奇猿狐を引っ張って去る桃岩竜。

「「じゃあねー!」」

 二頭の横を滑って見送る白兎獣兄弟。奇猿狐が笑って手を振った。その動作は僅かに残ってるかもしれない粘菌を取ろうとしてる様に見えた。

 

 

【上位未知の樹海‐南Fエリア】

 

 

 天井に張り付いた蔦が垂れ、その天井を苔むした柱が支える洞窟の様なエリア。そこに座る重甲虫と徹甲虫達、絞蛇竜と影蜘蛛。

 桃岩竜が洞窟の前で深呼吸する。今までに無かった挙動に奇猿は首を傾げた。

「お邪魔しまーす……」

 徹甲虫三匹が襲いかかる。

 

「誰だっ!」

「なんだ、ピンクの竜かぁ……」

「人間なら仕留めて女帝様に貢げたのに……」

 

 その言葉を聞いて奇猿狐は桃岩竜が深呼吸した意味を察した。

 

「桃バサル。入って来な」

 

 聞き取りにくい声が遠くから聞こえた。

 洞窟内に入る二頭。徹甲虫と絞蛇竜が前に出る。

 絞蛇竜の舐め回す様な視線に奇猿狐は怯む。

「用件。隣の猿の説明」

 表情の読めない顔で訊く

「新入りの紹介で来ました。隣のが新しく入るケチャワチャです」

 淡々と説明する桃岩竜。

「よ、よろしくお願いします……」

 勇気を奮って話しかける奇猿狐。

「そうか。よろしく」

 重甲虫は素っ気なく返した。

 

「君が新入りですか。随分と小さいし爪も怪我してるみたいですねえ。精々人間共にステーキにされないよう頑張って下さいね」

 

 嫌味っぽく言う絞蛇竜の視線から目を逸らす奇猿狐。桃岩竜が庇って間に入る。

「おっと、僕は恐がられてしまったようだ。すまないね……シュルルル」

 謝罪の気持ちの込もってない笑い声。

「用件はこれだけですので。もう帰りますね」

 奇猿狐を押して去る桃岩竜。奇猿狐は去り際に終始無言だった影蜘蛛を見るが全く声を発する気配も無かった。

「チビだったねー」

「あんなんが生きれるかなー」

「どう思います女帝様ー?」

 後ろで聞こえる徹甲虫達の声。歩調を早める桃岩竜。

 エリアを抜けた所で桃岩竜は溜め息をついた。

「あーっ……。あの派閥だけは本当苦手…………」

 頷く奇猿狐。

「なんか……感じが悪いと言うか……。ザボアさんが推してるって言ってたからイメージと違う……」

「まああれで狩りは上手いからねー……。でも性格がなー……」

 桃岩竜が話題を変える。「これで一通り集落の皆の紹介はしゅーりょー。今日の午後には集会があるから一旦Dエリアに帰って昼御飯にしようか?」

 前から疑問に思っていた奇猿狐が訊く。

「集会って何するの?」

「んー……集落の皆が集まって最近何があったー、とか、人間がやってきたー、とか報告すんの。まあ話長いし寝てても問題ないよ」

 奇猿狐が納得する。

「ああ! 先生の授業終わりの報告会みたいなやつか!」

「下位樹海でも似たようなのがあるんなら大丈夫か、じゃあこれで挨拶終わりー。いざ、ごっはーん!」

 下位樹海の思い出を懐かしむ奇猿狐。気が付いたら既に桃岩竜は歩き出していた。慌てて走る。

 

 この時、下位未知の樹海で何が起きているか奇猿狐はまだ知らなかった。

 

一 上位の樹海、大人の事情 05 終




如何でしたでしょうか。

\ふざけんな!/…はい、本当すみません。
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