土曜日は一日中しっかりと休んで体力を回復し、今日は日曜日。もうお昼は過ぎたからもうそろそろ緑谷くんはやってくる頃だろう。
ピーンポーン。
と思っているそばから来たようだ。
「いらっしゃ~い。」
「うん、お邪魔します。これっ、よければお家の人と一緒に食べてね。」
と言ってそこそこお値段のするケーキを渡してくる。
「わざわざこんなことしなくてもいいのに、……ありがとね。」
……後で黙って一人で食べておこう。
「それじゃ、ついてきて。あっ、靴、持って来てね。」
「え?うっ、うん。」
そのまま地下の降りる。
「ええっ!?この家地下があるの!?」
「そうだよ。一回とか外だと個性使ったときに大きな音するとバレるからね。地下だと大丈夫だから~って。」
「なにか色々ダメな気が……」
気にしない、気にしない。
「ここだよ~。」
「えっと、これは?」
「一応、僕専用のトレーニングルーム的な?」
「専用ってすごいね……」
「それじゃ、さっそく始めよっか。まずやってみよっか。習うより慣れよってことで!」
「はい?」
「ポチッとな。」ポチ
「へ?うわぁ!?」
まぁ、ビビるよね。いきなり床が回り始めたら。
「足動かして~。速すぎず、遅すぎず、常に同じ場所で走れるように。」
「うんっ!」
「床の回るペースは変えるからね。それに応じて走るペースも変えてね。」
「次はこれね。」
「床がベルトコンベアで、後ろのこの車は?」
「ポチッとな!」
「聞いてないし!?」
「そら、逃げろ~。轢かれるよ~。」
「うわぁぁぁ!?」
「取り敢えず最後ね。」
「はぁはぁ……せめて、説明して……」
「仕方ないなぁ。最後は普通に目の前のあれからボール飛んでくるから避けるなり、受け止めるなり、弾くなり、好きにして良いよ。」
「分かったよ。頑張ってみる。」
さて、君はこの特訓の本質に気づいて、本当のヒーローになれるかな?さぁ、準備、準備っと。
「しゅ~りょ~。」
「お、終わったぁ!」
「ははは、お疲れ。はい、飲める?」
「うん、ありがとう。」
「しかし、よく頑張ったね。」
「うん、でももう動けそうにないけどね。」
「そうじゃなくて、よく最後のやつ、ずっと避けなかったね。なんで?」
いくらかは避けると思ったんだけどなぁ。何本か当たらないコースも混ぜたけど、それに対してもパンチングで対応しようとしていた。まぁ、届かなかったり、力が足りなくて持っていかれてたけどね。
「ええっと、理由は二つあるんだけど、一つ目は身体作りかな?もっと筋肉付けてからするべきなんだろうけど、耐える特訓かな?打たれ強い体になるために。。二つ目は、もし後ろに逃げ遅れた人がいたらって考えたからかな。実際はいないけど、もし、ヒーローになれて、現場に出るとそういうのもあるのかなって。」
「緑谷くん、ほんっと、ゴメン。」
「ええっ!?なんで謝るの!?」
「気にしなくて良いよ。ほんと、ゴメン。」
言えない……実は君を試したなんて……ケーキはちゃんと家族みんなで食べます。
「でも、あれだね。やっぱり緑谷くんはヒーローになるべきだね。最後のあれ、普通避けるよ。個性も無しに、よく当たりに行けるよ。」
「あははは……」
「それで、課題なんだけど、やっぱり筋力と体力だね。頭は問題ないと思うけど、考えに対して動く身体が出来てないから、そこら辺を重点的に仕上げるべきかな?」
「うん。」
「筋トレは緑谷くんの家でも出来るけど、本格的なトレーニングマシン使いたかったら教えてね。上にあるから。」
「ありがとうっ!」
「いーよ、いーよ。どーいたしまして。今日はこのくらいでいい?」
「うん、また明日!」
やっぱりケーキは一人で食べました。両親二人とも帰ってくるの遅いしね。痛んじゃっても悪いし。とても美味しかったです。
翌日放課後
今日の授業も終わり家に帰ってランニングをすることにした。浜辺にある公園まで走ってみると、ゴミが大量に捨てられていた。空き缶とかペットボトルなら可愛いんだけど、自転車とか冷蔵庫とか、粗大ゴミが目立つ。
「まだまだだよっ!緑谷少年!さぁ、頑張って!」
「はいっ!オールマイト!」
んん??聞いたことのある名前と声が、粗大ゴミの奥から聞こえてきた。まっ、まさか、このゴミの下敷きに!?助けなきゃ!?
「緑谷くぅぅん!?」
「球川君!?」
「きみはこの前の少年っ!?」
「あれ?緑谷くん無事だったの?」
それにガリガリマイトまでいるじゃん。何してんの?
「球川君!?えっとこれはね!!?その!?」
「まずは落ち着き給え、緑谷少年。少年、名前は?」
「僕?僕は球川蹴斗だよ。」
「そうか、では球川少年。今から君にあることを話そうと思うが、くれぐれも内密にお願いできるか?」
「はぁ、緑谷くんはそのこと知ってるの?」
「ああ、先に伝えてある。」
「そっか、じゃあ緑谷くん以外に知られちゃダメなんだね。分かったよ。」
「まず、この前話した私の体のことは覚えているかい?」
「ヒーロー活動できる時間が短くなってるんだっけ?」
「ああ、そのうえで、私の個性を緑谷少年に譲渡しようと思う。」
個性を、譲渡?
「個性の譲渡ってできるの?」
「普通の個性ではできない。しかし、私の個性、"one for all"は聖火の如く受け継ぎ、強くなる個性だ。」
「受け継いで……その場合、元の自分の個性はどうなるの?」
「その時は個性が二つある状態になる。実はね、元は私も緑谷少年と同じで無個性だったんだ。」
「オールマイトが無個性っ!?」
今まで静かにしていた緑谷くんもこの事は聞いていなかったのか驚くような声を出す。
「ああ、発表こそしていないがね。」
「で、もう個性は引き継いだの?」
「いいや、まださ。今は体づくりの段階だからね。強すぎる個性は身を亡ぼす。今の状態で受け継ごうとしても四肢が爆散して死ぬのが関の山だろう。」
だいぶグロテスクなんですがそれは……
「だから今すぐ引き継ぐ訳ではない。もし可能なら入試前に、間に合わないならこの話は水に流す。」
「厳しいのでは?」
「確かに時間的には厳しいのだろう。しかし、それを乗り越えるのがヒーローなのさ。そして一つ、君に頼みがある。」
「さっきの話さないでって言うの以外に?」
「ああ、今している緑谷少年の特訓だが、私が来れない日もある。その時に、緑谷少年の補助をお願いしたい。」
「良いですけど、具体的には何をすれば?」
「補助とは言っても特にはないさ。オーバートレーニングにならないように少し見張ってほしくてね。」
「緑谷くん、ムチャするの好きだからね~良いよ。」
「ありがとう、球川少年。」
「あとさ、この掃除、僕も手伝ったらやっぱマズイ?」
「そうだな、構わないが……しかし、それでは緑谷少年の鍛練が足りるかどうか……」
「それならここの掃除終わったら家来ます?一通りトレーニング器材とかありますし。」
「しかし、私が行って大丈夫だろうか……ご両親も驚くだろうし。」
「大丈夫ですよ。家の両親帰りが基本遅いんで。」
「なら、お願いしようかな!」
「それじゃあ、僕も手伝ってきますね!」
手伝うことになったものの、一日二日で終わる量ではなかった。しばらくは掃除を続けなくては。
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