桃源郷を目指して ※ボツ   作:ツヅラP

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1話:美少女は突然に

「ふぁ〜ぁ」

 

 

 俺は欠伸をしながら体を伸ばした。

 もう幾千と繰り返したこの行為、最早ルーティンと呼んでも差し支えないだろう。

 

 それから俺は流れる様にベッドから出て、カーテンを勢い良く開けた。

 

 ________バッ! 

 

 

「……うぉ」

 

 

 若干雲はあるものの、天気は紛れも無い快晴で、燦々と輝く朝日はまるで俺の目覚めを祝福しているかの様だった。

 

 ──こんなに気持ちの良い朝はいつ振りだろうか。

 

 思わずそんなことを考えてしまうくらい、本当に目覚めが良い。

 良い夢でも見ていたのだろうか? 

 

 

「こらッ! 何時まで寝てるんだい!?」

 

 

 と思っていたら扉から怒号が響いてきた。

 

 

「はあー……。母さん朝早くから怒鳴らないでくれよ」

 

 

 こんなにすっきりした朝はそうそう無い。

 多分まだ七時前だろう。登校に要する時間は三十分程度だし、まだまだ余裕がある。

 

 母さんはせっかちだな。もしかしたら更年期障害なのかもしれない、まだギリ四十歳ではないと言うのに……。嗚呼、嘆かわしい。

 

 

「朝早くぅ……? なに寝ぼけたこと言ってんだい! 今すぐ時計見なッ!」

 

 

 母さんの言葉にむっとする。寝惚けているのはそっちだろ。

 俺はそれを証明するために、床に無造作に落ちていたスマホで時刻を確認すると──

 

 

 ________7:56

 

 

(ひょえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)

 

 如何やら母さんが正しかったようだ。せっかちとか更年期障害とか思ってごめんね。愛してるよ、マミー。

 

 

「……母さん」

 

「なんだい」

 

 

 俺はスーッと息を吸って十分な溜めを作り……解き放った。

 

 

「本日○七五六を持ちましてッ! 不肖八原九十九ッ! 学校を休むことに致しましたッ!」

 

「却下」

 

「……。ごめんお母様、なんか起きてから頭の調子が悪いんだ。だから少し休ませてくれませんか?」

 

「あんたのそれは持病だよ、諦めな」

 

 

 辛辣ぅ!! 

 

 ________タタタッ

 

 ……ん? なんか階段を上がってくる音が──

 

 

「お義母さん、つくもん大丈夫ですか?」

 

 

 ……え? この声って。

 

 

「あ、日菜ちゃん。あの子頭の調子が悪いらしくって今日学校休むって。折角お迎えに来てくれたのに、無駄になっちゃってごめんね」

 

 

 ババア‼︎なんてこと言うだよッ! いや、悪いのは俺だけども‼︎

 

 

「……そっか、つくもん具合悪いんですね」

 

 

 ________日菜の悲しむ声が聞こえた________

 

 

 瞬間、俺の脳が加速する──。

 

 高速で着替え──。

 

 

 エレガントに扉を開けて洗面台に移動して──。

 

 丁寧に、だが迅速に歯と顔を洗って──。

 

 鏡に映る顔に絶望して──。

 

 

 そしてッ‼︎呆れ顔の母さんと、きらきらしている日菜とこころの前に参上した。

 あれ? こころ? ……いや、寧ろ大歓迎ッ‼︎

 

 俺は紳士らしく頭を下げてお辞儀をした。

 

 

「お待たせ……マドモアゼル」

 

 

 かぁ〜〜! 決まっ『ゴッ‼︎』ぐぁ〜〜‼︎あ、頭がぁ〜〜‼︎

 

 

「やっぱり休ませようかしら。……ごめんね日菜ちゃん、こころちゃん、変なもの見せて」

 

「ううん! とってもるん♪ ってきました!」

 

「ええ! 楽しいショーだったわ!」

 

 

 け、計画通り(白目)

 

 

 

 

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