俺は家までダッシュで帰った後、秘蔵のコレクションとムフフな時間を過ごしたが、その代償として得た疲労と虚脱感により、辛うじてテレビの電源を切ると、ベットで横になり
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懐かしい夢を見た。
それは俺と日菜の大切な思い出。
公園のベンチで、日菜に相談を受けていた時のことだ。
「ねえ、つくもん。つくもんは何であたしから離れないでいてくれるの?」
当時の俺は小学二年生で、日菜は三年生だった。
この時の日菜は、既に片鱗を見せていた才能によって勉強と運動のどちらにも並ぶものが居なかったが、皮肉にもそれが、周りから浮く要因となっていた。
子供は純粋が故に残酷で、日菜の異常さを露骨に態度で表していたのだ。
だから、日菜は気味悪がるどころか、笑顔で接してくる俺を疑問に思ったのだろう。
____何か企んでいるのではないか、と。
だが、それは杞憂でしかない。
今も昔も日菜から離れない理由は一つだけだ。
俺は邪気のない笑顔で告げた。
それは最も単純であるが、同時に最も複雑であるもの──
「____何でって、そりゃ日菜ちゃんのことが大好きだからだよ!」
________恋、それだけだった。
この時の驚愕に染まった日菜の顔は忘れない。
高校生になった今でも、あの顔はその時の一度きりだ。
それ程までに、あの時の日菜には衝撃だったのだろう。
「そ、それだけ?」
「うん! 可愛くて、かっこよくて、凄くて、優しくて、それにそれに……ああっ!! とにかく! 片手じゃ数えれないくらい魅力でいっぱいの日菜ちゃんが大好きだから一緒にいるんだよ!」
日菜の目には涙が溜まっていた。
だが、俺は続けた。
「それに、今は友達が居なくても大丈夫! 大きくなったらたくさん出来てるよ!
だって、日菜ちゃんは凄いけど、それ以上にとっても優しいからね!」
「うぅ……うわぁぁぁぁん!!」
日菜は、今まで抑えてきた感情が、爆発したかのように大泣きしながら、俺に抱きついた。
俺はどうしたらいいか分からなかったが、取り敢えず、落ち着くまで頭を撫でることにした。
この時日菜が泣いた理由は、当時の俺にはわからなかったが、成長した今なら少しは理解出来る。
「……グスッ……ありがと。あたし決めたよ。大きくなったらつくもんのお嫁さんになる!」
そう言った彼女の顔は、先程までの暗さを感じさせないくらい、太陽のように輝いて見えた。
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「……懐かしいな」
俺は過ぎてしまった小学校時代に、夢のせいで若干の寂しさを感じていた。
そして少しの間、俺は感傷に浸っていたが……
「何が懐かしいの?」
「エッ」
突如聞こえてきた声に、体が硬直してしまうが、すぐに持ち直して声の主を探す。
だが、姿が見えない。
いや、何処にいるかは判っている。
ただ、無意識に考えないようにしていただけだ。
声の主──日菜は布団の中にいる。
起きた時は気づかなかったが、布団に不自然な膨らみがある。
そして、寝起きから覚醒してきた頭が、ようやく状況の整理を始めると、自分がかなり不味い状況であると理解すると同時に、どっと冷や汗が流れる。
──どんな状況か、だって?
俺が寝る前の状況をよく思い出してれ。
帰宅してから寝るまでの間のことを。
ナニか忘れているものがあることに気づかないかね。ツクモン君。
あれれ〜? おかしいぞ〜? コレクションの隠蔽をした記憶がないぞ〜?
そうだ。コレクションの隠蔽工作だ。
俺は眠気を優先し、後回しにしてしまったのだ。
つまり、日菜が部屋に入っきた時、俺のコレクションは全裸待機中だったわけだ。
嘘だといってよバ◯ニィ!!!!
悔やんでも悔やみきれない失態に嘆いていると──
「ねーねー。これなーんだ♪」
布団から日菜の顔がひょっこりん♪
〝性杯″ついでにひょっこりりん♪
可愛らしく日菜が出てきたと思ったら、ついでに現れた〝性杯″に俺氏顔面蒼白である。
性杯──それは男の欲望を満たす穢れた願望器。所謂AVだ。
日菜は無垢な少女のように綺麗な笑みを浮かべているが、手にしているAVのパッケージで台無しである。
そして日菜は、悪戯っぽい笑みに切り替わると──
「これって何のDVDだろー? おねーちゃんに聞いてみようかなー?」
そう言って、日菜はいつの間にか取り出していたスマートフォンを操作する。
オイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!???
それだけは絶対駄目だ! こんなこと紗夜様に知れたら……ゴクリ……。
「……何が……望みだっ……!」
「んとねー。今度みんなでデートしよ♪」
どんな要求をされるかと思っていたら、デートのお誘いだった。
なんだかんだで日菜は優しいようだ。そこに痺れる憧れりゅぅぅぅ!!!
「それだけでいいのか?」
だが、デートなんて、ぶっちゃけ、ただのご褒美でしかないが、本当にそれでいいのだろうか?
「
日菜はベットの側に置いてあった袋を渡してくる。いい香りがするな。
「アロマオイルだよ。使い方は中に入ってるからね。
つくもんに合うものを選んだからるん♪ てくるよ!」
「ちなみに、あたしのオススメはランプかなー? あ、ランプも入ってるからね♪」
プレゼント貰えるだけで、俺の心はルンルンだよ♪
けど、いいのだろうか? ランプまで貰ってしまって。
だが、遠慮するのも野暮ってもんだろう。
俺はせめて何かお返しになるものがないか考える。
あ、丁度いいものがあるではないか。
俺は昨日出来上がったばかりのあるものを思い浮かべる。
「日菜、ありがとな。めっちゃ嬉しい。それと……ちょっと待ってて」
「うん?」
俺は日菜から受け取った袋を丁寧にリビングテーブルに置き、テレビ台と同化している引き出しの中から、あるものを取り出して日菜に渡す。
「これ日菜と紗夜をイメージして作ったんだ」
あるもの──それは、同じ形の二つのネックレスだ。
太陽をモチーフに丸く型取った青色のフローライトを、小粒のカイヤナイトを散りばめた三日月の形のシルバーが、揺り籠のように包み込んでいる。
フローライトは『天才の石』と呼ばれるらしく、日菜にぴったりだ。
カイヤナイトは、御守り的な意味合いで使ったが、紗夜のことを想うと、これ以外思いつかなかった。
本当はもっとちゃんとした時に渡したかったのだが、折角日菜がプレゼントをくれたのだ。
俺も相応のものを渡したっかった。
さて、肝心の日菜の反応はどうかと表情を伺うが……どうやら心配は要らないらしい。
日菜の顔が、あの時と同じだった。
まさか、このネックレスで再びあの顔を拝めるとは思わなかったが、眼福である。
日菜はそのままの表情で聞いてくる。
「……あ、あたしとおねーちゃんのために作ってくれた、の?」
意外に博識な日菜なら、使われている石の意味には既に気づいているだろう。
だから、この『ために』には深い意味がある。
「まあな。作ったって言っても仕上げくらいだけど」
「うぅ……つくもぉぉーん!!」
感極まったのか、日菜は突っ込んできた。
「グオッ!」
なんとか受け止めて、日菜が落ち着くまで俺は頭を撫でる。
やれやれ、これではあの時と変わらないな。
と、苦笑いするが、昔と変わらない日菜に懐かしさを感じて、ほっこりした。
その後、日菜は、
「このネックレス、とってもるん♪ てきたよ! おねーちゃんにも絶対渡すね!」
と言い残し、家に帰っていった。
…………AVのパッケージと俺、のツーショットを見せつけながら。
それは忘れとけよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!
余談であるが、あの後、紗夜からはお礼のメッセージが届き、薫からは喫茶店にお誘いのメッセージが届いた。もちろんOKだ。